小暮写眞館 (書き下ろし100冊)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 772
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  • Amazon.co.jp ・本 (722ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062162227

感想・レビュー・書評

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  • 分厚かった。
    読むのに時間かかりすぎた。

  • 分厚いのに全く長さを感じさせない連作中編集。ファンタジーやミステリーも良いけど、宮部さんのこういう話をずーっと読みたかったので大満足です。本文読了して、表紙の写真を見返すとじんわりとこみ上げてくるものがあります。また会えるといいな。出会ってほしいな。
    いつものことながら、目には見えない人の心の、瞬間の感情の襞をすくい上げるのがほんとに上手いです。読んでて何度もざわっとなりました。もし、もしも漫画化されるとしたら、羽海野チカさんで見てみたいです。とくにテンコくんやクモテツの面々を。

  • 始まりは表紙の印象と違う感じ
    めっちゃ長編のようだけど面白そう
    怖そうで怖くない(^^;; とりあえず第一話読了

    後半まで読み続けてるとキャラ達と出来事を
    共有しているような気になってくる
    この小説の世界は今より少し過去で
    登場人物は今の自分と年齢が違うし自己投影する共通点がある訳もない…でも入り込めるんだよなぁ

    花ちゃんの語り口がすきでした^^)
    表紙の意味も回収 読み応えスッキリ楽しい読書が出来ました

  • 嫁さんが図書館で借りていた「宮部みゆき」の長篇青春小説『小暮写眞館』を読みました。

    初めての「宮部みゆき」作品… 先に読んだ嫁さんの評価が高かったので、愉しみにして読みました。

    -----story-------------
    もう会えないなんて言うなよ。
    あなたは思い出す。
    どれだけ小説を求めていたか。
    ようこそ、小暮写眞館へ。
    3年ぶり現代エンターテインメント。
    -----------------------

    最近、「東野圭吾」作品を中心に長篇を何篇か読んでいますが、、、

    700ページを超えるほどの大作は久し振りですねぇ… 本自体が重いので持って読むのが辛くて、机に置いて読む機会が多かったですね。

    それでも、読みやすくて、週末の二日間で一気に読んじゃいました。

    以下の4話構成になっていますが、主人公の高校生「花菱英一」、通称「花ちゃん」が新居(旧小暮写眞館)に引っ越してから発生する不思議な事件を軸に、家族の在り方や人と人の繋がりについて描かれた、ひとつの物語です。

    第1話 小暮写眞館
     世の中にはいろいろな人がいるから、いろいろな出来事も起きる。
     なかには不思議なこともある。

    第2話 世界の縁側
     人は語りたがる。
     秘密を。
     重荷を。

    第3話 カモメの名前
     電車は人間を乗せるものだ。
     鉄道は人間と人間を繋ぐものだ。
     だから鉄道を愛する者は、けっして人間を憎めない

    第4話 鉄路の春
     ――僕はこの人を守らなくちゃいけない。


    ひと言で表現すると、胸がキュンとして、ほろ苦さを感じる青春物語… という感じでしょうか、心霊写真の謎を追うという事件を軸に、子ども特有のピュアな部分や繊細さを巧く表現しながら、家族の絆や恋愛等を絡めて、主人公たちが成長して行く姿が生き生きと描かれていましたね。

    40歳代の著者が描いたとは思えないほど、瑞々しい青春小説に仕上がっていると思います。

    家族の絆がテーマという点では、先日読了した「リリー・フランキー」作品の『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』とも重なる部分がありましたね。

    「花ちゃん」と「垣本順子」がインスタントカメラで撮り合ったお互いの写真は、現像したら何が写っているのかな… 笑顔で撮影した本人が一緒に写っているとイイなぁ と勝手な想像をしながら読みました。

    個性豊かな登場人物ばかりなのですが、好感が持て、魅力的に描かれていることも、本作品の魅力なんでしょうねぇ。

    読み終えて、胸が熱くなる… 上手く表現できないのですが、若い頃の自分を思い出して、物語と重ね合わせて考えてしまう… そんな感情を抱くことのできる貴重な作品でした。

    エンディングの一節、、、

    「走り出せ、垣本順子。
     ――あたしはとっくに走り出してる。
     あんたこそ、走れ。
     ――いつまでも停まってるんじゃないよ。駅は長居する場所じゃない。
     走り出せ、花菱英一。
     そうだ、走ろう。
     鉄路は続いているのだから。
     今はまだ見えないどこかに向かって走ろう。
     そこにはきっと、春の花がいっぱいに咲いている。」

    この部分が大好きです… 停まってちゃダメですよね、前に向かって走り出さなきゃね。

    読み終えたあと、頭に浮かんできたのは「ザ・ブーム」の曲で「矢野顕子」と「小田和正」がカヴァーしている"中央線"でした… 「走り出せぇ~、中央線 夜を越え~、僕を乗せぇて」、、、

    ぴったりだと思いますけどね。



    備忘用に主な登場人物を記録しておきます。

    花菱英一(花ちゃん)
     都立三雲高校1年生、ジョギング同好会所属。
     テンコとはよく泊まったり泊まりに行ったりする仲。
     テンコからコゲパンには“花ちゃんは一刻者だからからかっちゃだめっ”といわれている。

    店子力[たなこつとむ](テンコ)
     三雲高校1年生でクラスは違うが、英一の親友、軽音楽同好会に属す。
     モテるがコクられても全てふっている。
     ピカちゃんと嗜好が似ていて仲がよい。

    寺内千春(コゲパン)
     都立三雲高校1年生、軽音楽同好会にいる甘味処てらうちの一人娘。
     色が黒いのでコゲパンと言われるが内心はこだわりもある。

    花菱秀夫
     花菱英一の父親
     製造業の総務課に勤めるサラリーマン。
     結婚20周年を期に築33年の小暮写眞館の古家を購入、改装して住む変わり者の夫婦。
     「小暮写眞館」の看板はそのまま残している。

    花菱京子
     花菱英一の母親
     パートで大手会計事務所に勤める。

    花菱光(ピカ)
     花菱英一の弟
     朋友学園小学部2年生、電車通学で美術部にいる。
     本をよく読むし、花ちゃんより出来がいいけど、それなりに苦労があるよう。

    花菱風子
     花菱英一の妹、4歳で(ピカが2歳、英一が10歳の時)インフルエンザによる脳症のため亡くなる。

    小暮泰次郎
     今年85歳で亡くなる。
     その後小暮写眞館に幽霊が出るという噂があるが、真意の程は判らない。

    石川信子
     小暮泰次郎の一人娘。
     横浜に住み、夫の親の介護をしている。

    須藤社長
     小暮写眞館を世話した不動産会社社長。
     誠実で赤ん坊みたいな笑顔が特徴。

    垣本順子
     ST不動産の事務員。
     何から逃げたくて、何に傷ついて自殺未遂を繰り返すのか… 謎の多い女性。

    山埜理恵子
     三田家の法事の時の写真に、居ないはずの女性が映っている問題の写真の女。
     三田真の結婚相手。

    河合公恵
     三雲高校出身の元バレー部員、22歳。
     4人の被写体の写真に何故か河合夫妻と公恵の親子3人がもう一度写っている、順番も違って。
     撮影者は足立文彦当時26歳、公恵の婚約者、今は消息不明。

    牧田翔
     フリースクール(不登校の生徒が通う)の<三つ葉会>の小学6年生12歳。
     カモメの写真が写っちゃったと、何かを訴えている。

  • 思った以上に深い内容だった。前半は英一とコゲパンが仲良くなるのかなあと思って読み進めていたのだけれど、後半で垣本さんがこんなに鍵を握る人物?になるとは。
    高校生の英一が、たまたま写真館だった家に住むようになる。心霊写真もどきの謎解きを通して人間の強い念を知り、謎解きの過程でかかわったST不動産で社長や垣本さんと出会う。妹が幼くして亡くなったために親類と縁を切り静かに暮らしていた英一の家族ではあったが、祖父の危篤・死去を通してまた一波乱が起きる。
    印象的だったのはST不動産の社長、須藤さん。42才とまだ若いのに、いろいろと事情がありそうな垣本さんを雇い、受け入れ、うっかりすると自殺未遂を繰り返してしまうやっかいな女性を見捨てることなく、どっしりと対応している。この人の度量の大きさ、すごいなと思った。
    ともすれば重くなりがちなテーマだけれど、写真館のご主人の幽霊や、高校生の生活や行事、不登校の子どもたちが通うフリースクールなどを通して、どんどん読み進んでいける。前を向いていくというラストがすっきりする。

  • 長いこと忙しくて本が読めず、戻った最初の小説。休日にゆったり幸せな時間を味わえました。700ページの書き下ろしですが、すぐ読めてしまいます。

    『小暮写真館』のタイトルから、写真館を訪れる人々のお話を想像していたら、すこし違うのです。四人家族が自宅として引っ越した先は、古い元写真館で、そこには元店主のお爺さんの幽霊がでるという噂がある。

    心霊写真のストーリーが始まった時には、えーとおもいましたが、どれも心温まる優しいお話です。

    4つのお話が同じ登場人物で連続しています。

    個人的には、最後の『鉄路の春』が一番好きでした。

  • 久しぶりに読むが初期の頃の明るい雰囲気が良い。

  • 「怖くてあってはならないこと」は本当はたくさんあって、「それでいい」と流されて、真実をどれだけ自分が知っているのかを想像した。
    最近はSNSが流行し簡単に自分の気持ちを書きこむ場所が増えたけれど、流れに同調した意見か、真実に近づいた発言なのか、本当に自分の意見なのか…自分自身も安易に使っているけれど、その発言に責任を持ち、かつその内容を見極めるだけの力を養いたいと考えさせられた。
    全ての事の真実を知る事は無理でも近しい存在の真実は大事にしたい。その中で見極めた真実を力にかえて走り出せたらそれが良いとも…
    久しぶりに宮部先生の作品を読みましたが、読後はとてもスッキリしました。

  • 主人公の英一や弟のピカ、やや変わり者の両親など登場人物が皆味わい深く魅力的に描かれているのは、流石宮部みゆきというところ。様々な経緯で持ち込まれる写真毎に4編の物語に分かれているが、登場人物達の人間模様は繋がっており、1つの大きな物語を構成している。はじめの3編で登場人物たちに愛着が沸いたところにで、彼等自身を中心に描かれる最後の一遍は特に読み応えがあり、分厚い分量の割に一気に読みきってしまった。幼いピカの苦悩がいじらしい。

  • 713ページの大作。本が厚すぎて読みにくく、文庫にしたら良かった。第三話目までは淡々と読めた。
    風ちゃん出てこないんかーと思ってたら第四話。
    結構泣いてしまった。
    英一もテンコちゃんもピカもお父さんお母さん学校のみんな、全員のキャラクターが良くてとても良かった。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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