虹果て村の秘密 (ミステリーランド)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 562
感想 : 101
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  • Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062705622

感想・レビュー・書評

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  • かつて子どもだったあなたと少年少女のため―がコンセプトの「講談社ミステリーランド」第二回配本の一冊。

    執筆陣の顔ぶれは、確実に「かつて子どもだったあなた」向け。
    内容はちゃんと「少年・少女」向きになっているようで、易しめ文章で漢字のほとんどは読みがな付きで、挿絵入り。

    事件の解決を目指し活躍するのは、小学6年生の優希(ユー)と秀介。
    ただし、やはり有栖川作品。
    日常のナゾ系ではなく殺人事件が起こるし、解決はきっちりロジックで攻める。
    児童書ゆえの物足りなさはあるものの、クローズド・サークルで密室で、と、なかなかのサービスっぷり。

    秀介が読みかけの推理小説の内容を、登場人物の一人が話しすぎて読書の興を削がれる、という場面が冒頭からあるので、わたしも本書の内容はこれ以上は書かないでおくことにする。

    ミステリーランドでは著者があとがき代わりに「わたしが子どもだったころ」というタイトルで文章を書いている。
    有栖川氏は推理小説との出会いと推理小説に対する想いを書いておられるのだけど、これが本格推理に対する愛情が感じられ、またちょこっと書いておられる奥様のお話もとても微笑ましい。
    そして最後には、読者である少年少女たちへの魅力的な誘いの言葉が書かれている。


    ミステリーランドは、背だけでなく小口も開いている箱入りで、その箱は窓状の穴があり表紙絵の一部が見えるようになっている。これが絶妙な見え方で、眺めているだけでも楽しい。
    「かつて子どもだったあなた」たち垂涎の豪華執筆陣の書き下ろし、しかも「シリーズコンセプト的にノベルス落ちや文庫落ちはしない」というウワサを信じて買い集めていたのに、ここ数年でいくつかノベルスや文庫になっている。
    装丁が良いのでハードカバーで買って後悔はないが、ノベルス化・文庫化されたものも揃えたくなって困る。

  • 子供向けのミステリーですが、トリックとプロットは骨太です。きちんとロジカルに解明されていますし、論理のアクロバット性も兼ね備えています。大人でも読み応えがあります。
    「殺人事件」という題材で子供がショックを受けないようにしっかりと配慮されているところは好感が持てます。
    ミステリーの面白さを知って欲しいという著者の愛情溢れる優しい作品です。

  • ミステリーランドシリーズ。
    夏休みに出かけた田舎で起こる殺人事件を、ミステリ作家志望の秀介と刑事志望の優希が、新米刑事光と一緒に謎解きする話。
    ハデな展開やどんでん返しはないけれど、少年少女の探偵振りが面白かったし、終わり方も良かった。
    このシリーズ、また読んでみたいな。

  • 刑事の息子な主人公と、その幼なじみの推理小説家の娘が夏休みに遭遇した殺人事件。
    序盤のトンチキ話題としての埋蔵金が伏線だったとはびっくり。

    それにしても少年探偵団したがる子供と、別に親しい家族というわけでもないのにその面倒を見なければならない若い大人という構図がもう堪える年代になってしまった…これがnot for me…
    いやだって自分が明日香の立場だったらもうやってらんないもんな~!? たまったもんじゃないよ!!

    泥棒もいない平和な村のはずなのに事件が起きたら疑心暗鬼で罵り合うの、やはり平和など幻想という気持ちになってしまった。

  • 推理作家にどうしてもなりたい12歳の少年・秀介は、憧れの作家二宮ミサトを母にもつ同級生の優希(刑事になりたくてしょうがない)と、虹果て村にあるミサトの別荘で夏休みを過ごすことになった。
    虹にまつわる七つの言い伝えがあるのどかな村では、最近、高速道路建設をめぐって賛成派と反対派の対立が激しくなっていた。
    そんな中、密室殺人事件が起こり、二人は事件解明におとなも驚く知恵をしぼる。
    がんばれ、未来の刑事とミステリ作家。
    (アマゾンより引用)

    面白かったけど、何か登場人物が多くて、「誰だっけ?」ってなる

  • 「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」というコンセプトを持った、講談社ミステリーランドの一冊です。

    有栖川さんにとって初めてのジュブナイル・ミステリ。

    大人の読者の方々には、少々物足りない内容なのかもしれません。
    ですが、子供たちに本格ミステリの面白さを伝えたい、という真摯な思いに溢れていて好感が持てました。

    主人公達が中学生や高校生になったお話も、いつか発表していただきたいですね。

  • 推理作家になりたい少年と刑事になりたい少女が殺人事件に挑む。青いけど純粋に未来を信じるミステリー。

  • ミステリーランドシリーズ。
    何が凄いって、元推理小説好き少年が、現推理小説好き(あるいは好きになるかもしれない)子供に向けて書いたんだもの、面白くない訳がない!星が5つしか無いのが残念。
    さらっと推理小説のイロハ、密室物のルールも教えてくれ、主人公と読者に平等に与えられたヒント、あらま本格推理だぞ、これだけじゃない、現代の社会問題、子供なら誰もが抱く大人への疑問、、、文体が、三人称なのに、一人称みたいに子供達に寄り添ってて感情移入しやすいの。でも、三人称だから本格のルールからすると、嘘は書いてないよね?
    横溝正史氏の本陣殺人事件で感じた、ミステリを書く・読む事の幸せをこの本でも強く感じました。あー幸せだっ!

    12歳の秀介は、この夏休み、クラスメイトの優希と彼女の母親の別荘に避暑に向かう。優希の母親は秀介の憧れミステリ作家二宮ミサトなのだ。別荘はそのミサトの故郷、虹果て村にある。
    子供達だけ先に現地入りしたものの、そこで事件が起こる。

  • 子供向けのミステリーです。私は大人ですが、読み応えはありました!良かった。あとがきも良かったなぁー。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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