黄金蝶ひとり (ミステリーランド)

著者 :
  • 講談社
3.39
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本棚登録 : 162
感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062705684

作品紹介・あらすじ

5年生の夏休み、洸は物心がついてから1度も会っていない祖父・白木義明の住む茶木村で過ごすことになった。アサギマダラという蝶が群れとび、鍾乳洞があり、豊かな自然が残る村には、山を守る“テツ”がいるという。
「茶木牧場&白木万能学研究所」なる看板をかかげた祖父は、あらゆることの先生として、村民から尊敬されていた。だが、なにか皆に秘密にしていることがありそうだ。村にかくされているという宝と関係があるのか……。ある日とつぜん祖父が姿を消した。茶木村を観光地化しようと前村長の不良息子が会社社長となって戻ってきたのと、関係があるのだろうか。彼の真の狙いは村の宝にあるのでは……。

感想・レビュー・書評

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  • 講談社ミステリーランド第三回配本の一冊。

    まず、「はじめに」を読んで著者のお茶目さに、にんまり。
    こんなところにこんな形で読者への挑戦を持ってくるとは。

    本編はこれまた盛りだくさん。

    いつまでもイチャイチャしている両親に呆れている小学5年生の洸(たけし)は、そんな二人と一緒に旅行に行くのが嫌で祖父のいる田舎で夏休みを過ごすことにする。
    それは今まで会ったことがないどころか、存在さえ知らなかったおじいちゃん。
    どうやらかなり変わった人らしい!?

    おじいちゃんの教える犬との接し方や〈万能学〉のいろいろ、奇妙な三人組、悪者らしい悪者、そして起こるおじいちゃんの失踪。
    自然・戦争・鍾乳洞・謎のドームとそこに眠る村の財宝(?)と、本当に盛りだくさん。

    そんな中で一際気になる存在が、テツ。
    名前と気配だけで、なかなか姿を現さないのもおもしろい。
    子どもながらに「山を守るもの」として暮らす、たくましくて強いけれど孤独なテツ。
    大人もたじたじのテツが同年代の洸と接するうちに子どもらしくなるのが読んでいてうれしかった。
    そして一緒に冒険をした二人はお互いを認め合い、強い絆ができる。

    あとがきがわりの「わたしが子どもだったころ」にも、にんまり。
    『作者』が子ども時代を語り、すっかり忘れていた冒頭の謎解きをしてくれる。

    ミステリーランドはまだ読了2冊目だけど、子どもたちにミステリを好きになってもらいたい、ずっと好きでいてもらいたいという気持ち=作家さんのミステリ愛が伝わる。

    • kwosaさん
      九月猫さん

      『ミステリーランド』って、コンセプトと装丁がいいですよね。
      僕もまだ二冊しか読んでいないんですけど、ずっと気になっているシリー...
      九月猫さん

      『ミステリーランド』って、コンセプトと装丁がいいですよね。
      僕もまだ二冊しか読んでいないんですけど、ずっと気になっているシリーズです。
      これを機に他の作品も読んでみようかな。

      好みはあるかも知れませんが、乙一さんの『銃とチョコレート』はすごく面白かったですよ。
      2013/04/03
    • 九月猫さん
      kwosaさん、こんばんは♪

      >『ミステリーランド』って、コンセプトと装丁がいいですよね。

      ほんっとーっっにそう思います!
      装...
      kwosaさん、こんばんは♪

      >『ミステリーランド』って、コンセプトと装丁がいいですよね。

      ほんっとーっっにそう思います!
      装丁とコンセプトについては一冊めに読んだ『虹果て村―』のレビューで
      少し書いているのでこちらでは書かなかったのですが、どの本の装丁もすごく好きです。
      丸窓からのぞくイラストを眺めているだけでも楽しいですよね(*^-^*)
      ページの角が丸いところもポイント高いです。

      >乙一さんの『銃とチョコレート』

      おススメありがとうございます!
      『銃とチョコレート』はまだ手にしてませんが、
      ミステリーランドはコツコツと全巻集めるつもりなので、ぜーったい読みます♪
      も、もう少しミステリーランド山が低くなったら(汗)
       ※※現在、15冊積んでおりますもので(^▽^;)
      2013/04/03
    • kwosaさん
      九月猫さん!

      全巻コンプリート!
      そして、すでに15冊もスタンバイしているとは!!
      おみそれしました。

      『銃とチョコレート』の他は『びっ...
      九月猫さん!

      全巻コンプリート!
      そして、すでに15冊もスタンバイしているとは!!
      おみそれしました。

      『銃とチョコレート』の他は『びっくり館の殺人』を読んだのみ。
      気になるこのシリーズ。今後とも御紹介よろしくお願いします。
      2013/04/04
  • 旅行付きの両親に、また今年も連れて行かれそうになった主人公は
    前回遭難しそうになった事もあり、拒否。
    したら、物心つく前にしかあった事がない『おじいちゃん』の家に
    預けられる事が決定に。

    見知らぬ土地、見知らぬ人、見知らぬ宝。
    色々とわくわく感を高めてくれるキーワードあり。
    しかも最後まで読んで戻ってみれば、確かに、な答えがそこに。
    いやでも左下に書かれている数式…みたいなのはさっぱりです。
    ひとつでひとつの意味なのか、塊でそういう意味なのか…。
    ヒント下さい!!w

    途中までは、普通の話。
    …いや、森の小人(?)が出てきた時点で
    ちょっと色々普通じゃない?
    まぁでもそこは、そういうものだと思えば、多分。
    それよりも問題なのは、おじいちゃんから語られる事。
    うんまぁ確かに怪しいというか何というか…えすえふ。

    最後の小人さんの正体(?)ですが、それまでの方がインパクトがあって
    あぁそうなの? という感じでした。
    もうちょっと、主人公が慌てたり、あれ? と思う部分があったら
    それはそれで期待があったかも知れませんが。

  • 少年の夏の冒険。都会っ子が田舎で成長していく姿はやはり感動します。おじいさんもカッコいい。1人罪と秘密を抱き村に尽くした祖父。その祖父と、少年と、もうひとりの新たな出会い。襲う悪意、そして幻想的な秘密。眩しい少年時代がここにあります。ラストに語り部のちょっとした秘密が明かされ、微笑まずには居られません。

  • 「ひとりじゃない。洸は心の中で繰り返した。おじいちゃんも、テツも、ひとりじゃない。ひとりには、させない。」

    ミステリーランドです。
    太田さんの作品を、また読みたいなぁ、と思っていたので、
    これはさらりと読めて良かったです。
    そして、これは、子どもが読んだらミステリー好きになっちゃうかも!
    というような、心憎い演出もいくつか。
    そういうの、好きです。

    比較的勧善懲悪で、分かりやすい物語形成。
    最後にちょっぴり驚かされました。

    謎解き、というよりかはファンタジーと言ってもいいかも。
    論理て解けるものではないところが、
    完全なミステリーを求めていたので少し物足りなかったかな。

    【2/16読了・初読・市立図書館】

  • 冒険ものだー!ジュブナイル全開!
    ミステリー要素はあんまりなかったように感じたけど何もかもが夏休みの爽やかさって感じで良い。
    しかし旧日本軍がどうこうってやつ、直前に読んだはやみねかおるの「ぼくと未来屋の夏」と被ってたな。ジュブナイルの鉄板なんだろうか。

    いつまでもイチャイチャしてる両親に呆れて引いてる部分があった洸だけど、「わたしが子どもだったころ」を読むと自分も両親みたいな夫婦になってるぽくてちょっと微笑ましい。
    てか暗号解読とかなくても「わたしの両親の話をはじめようか」の時点でまんま言ってたな、作者の正体。

  • 複数の作家による、少年少女のためのミステリシリーズ。
    講談社の宇山編集者の声掛けで始まったという。
    本巻は、ミステリというよりはファンタジーかな。でも、ちゃんとそこかしこに謎解きがあって面白かった。

    白木洸小学五年は、夏休み、両親の新婚旅行(?)につきあわない代わりに祖父の家で過ごす事になった。しかし、その祖父は一癖あって、訪れた村にも何かあるようで。
    洸にとって、それからの人生が変わる位の一夏の体験が待っていた。

    どうしても、暗号が解けなくて、ブクログレビューに助けてもらいました!感謝!!

  • ミステリ。ジュブナイル。
    はっきりと子供向けの感じ。
    イメージ的には、森博嗣『カクレカラクリ』と雰囲気が似ている気がする。気のせいか?
    物語とは関係ないけれど、ミステリーランドの作品は文字が大きく、読みやすくてありがたい。

  • はじめに と あとがき が作者の言葉ではなく、登場人物のセリフとなっていて
    本編のその後を知ることが出来る。ナルホド。。。

    本編とは関係ない暗号を解くためにポーの『黄金虫』を読むミステリ好きの子どもがいたら、更にミステリにハマるきっかになる。ナルホド。。。

    ラストのオチのミステリーはそのままだけれど
    逆にそれが良いのだろうか。。

    児童書だから読みやすいと思っていると
    ラストのどんでん返しが半端ない。。凄い。。

  • 4-06-270568-0 312p 2004・1・30 1刷

  • 最初のほうのページにこっそり書かれていた暗号を見つけて、暗号解読ものだ!と期待して読んでいたけど出てきませんでした笑

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著者プロフィール

1959年名古屋市生まれ。名古屋工業大学電気工学科卒業。81年「星新一ショート・ショートコンテスト」で「帰郷」が優秀作に選ばれる。その後、会社勤めをしながら「ショートショートランド」「IN★POCKET」にショートショートを掲載。1990年、長編ミステリー『僕の殺人』を上梓してデビュー。2022年『麻倉玲一は信頼できない語り手』が徳間文庫大賞2022に選ばれる。

「2022年 『喪を明ける』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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