流星ワゴン (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 23821
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062749985

感想・レビュー・書評

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  • 「チュウさんに会えてよかった。おとなになった僕が、会えてよかった。子どもの頃にはわからなかったはずのチュウさんの強がりが、いま、はっきりと感じ取れる。」
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    父と子の話。仲が良い悪いに関わらず父がいる人、子を持った父に刺さる話だった。
    重松清の描く、人間らしく、カッコがつかない不器用な優しさをこの本でも感じた。
    チュウさんは決して良い人、いい父ではなかったと思う。しかし、それでも「父」であったし、主人公と同じく悩みながら「父」をしていたと分かるのが良い。
    親子が親子であるが故に話せないことを、流星ワゴンに乗って同い年の父と出会い、朋輩になって話せるのはとても羨ましいことなのかも。

  • 市民を描く描写がリアルでしたが、悔いのないように過ごさないと、自分自身だけでなく、一緒に暮らす人との関係までもが変わってゆくことにも少し怖さを感じました。 妻の不倫って知ったまま過ごさないといけない状況ってすごく辛いな。。

  • 人生に生き疲れた男が交通事故で死んだ親子に導かれ、後悔の残る過去を旅するお話。

    チュウさんとカズ、カズと美代子と広樹、橋本さんと健太くん、家族や親子という複雑な関係を丁寧に描いていて、良かった。

    カズとチュウさん、親子として決定的にすれ違った2人が、同い年の朋輩としてぶつかり、後悔し、打ちひしがれ、絆を結んでいく様子に心揺さぶられた。

    ファンタジーのようであってどこまでも現実で、親子の繋がりから生まれた、前に一歩進む強さに力をもらえる作品だった。

    ☆4.5

  • 家族とは何か、どうあるべきなのか。多くの人が抱く家族との確執が書かれていて、色々と考えてしまう。きっと、この作品が心に響く人は多いと思います。

  • 自分からしたら人生の1冊だと思う。
    主人公は家族関係が破綻した、夫であり、親であり、息子。
    死んでもいいと、最寄り駅で自暴自棄になっていたところ、
    古いワゴンが現れ、乗車するよう促される。わけも分からず、困惑するが、もう全てがどうでもいいと、それに従う。

    ワゴンに乗っていたのは、仲の良さそうな普通の親子。父親は、38歳の自分と同年代で、子供は小学校低学年。信じられないが、数年前に話題となった自動車事故の当事者で、後悔を遺した人々を乗せてどこか遠くへ運ぶのだという。

    乗客を運ぶのは、その人にとって「たいせつなとき」。
    「たいせつなとき」は、人生の分岐点の瞬間で、運命と異なる結果を得られることもあるし、何も出来ずに宿命をなぞるだけの時もある。

    主人公は、「たいせつなとき」を何度も旅し、テレクラにのめり込む妻の秘密や、中学受験で苦しむ息子の苦悩を知る。
    その度に、過去の自分の不甲斐なさを観測し、後悔したり、未来を変えようともがいたり、何も出来ないと絶望したりする。

    ちなみに、この旅には同い年となった父親が朋輩として参加している。主人公に勇気を与えたり、時には叱責したり、喧嘩したりする。幼い頃は大きく強く揺るがないものに思えた父が、同年代の目線で捉えると、涙脆く、弱く、ずるい側面が見えて、親父は大変だと実感する。

    この旅を経て、主人公はつらく大変な毎日を生きていく決心をする。「たいせつなとき」は誰にだってある。それに干渉した所で、現実の未来は変わらない。しかし、今触れている、実際に生きている「たいせつなとき」は自分次第で変えられる。そういったメッセージを感じた。

    私は家族関係に問題を抱えている。
    1番下の弟が大学受験を機に寮生活を始める。自分も一人暮らしのため実家を出る。
    家族が離れていくタイミングでこの本に出会えて良かった。
    自分の性格上、なくしてたから
    ああすればよかった、こうするべきだったと考えることが多い。
    この本も、引っ越し終えて、全てが済んでから読んでしまう未来もあったと思う。しかしながら、私はこの本を読めた。ラッキーだった。





  • 死んだ事もないし、幽霊を見た事もないけど、未練を残して死んだらこうなるんだなぁって心から信じてるし、そう願う。

  • 123ページ「分かれ道は、たくさんあるんです。でと、そのときには何も気づかない。みんな、そうですよね。気づかないまま、結果だけが、不意に目の前に突きつけられるんです」
    3組の親子(父と息子)の物語。

    人生の分かれ道に戻れたらどうする…?
    未来は変えられないけれど、分かれ道に戻ることができる。
    よくある設定では、未来を変えるために行くけれど
    このお話はそんなに甘くなく…(笑)

    出てくる登場人物が個性的。
    ほぼほぼ登場人物は男性なので、
    男性だったらもっと「あるある」「わかるわかる」となるかもしれない。

    父親は2種類に大別されるというようなことが書いてあって
    「そう言われればそうかも…!」となった。
    「威厳みせつけ家庭には無関心系」か
    前者を反面教師とした「こどもの顔色伺い系」みたいなニュアンスだった。

  • 重松清の代表作、流星ワゴン。読んでみたらとても面白かった。シンプルな構成で登場人物もそれほど多いわけでもなく、とても面白く読むことが出来た。

  • とてもとても面白かったです。どんなに身近に見てきているつもりでも心のうちを全てわかるわけではなくて、親子って難しい。あまり本を読んで泣くタイプではないのに気づいたら泣いてました。子供の気持ちはわかっても親の気持ちはまだわからないので、親になってからまた読み直したら違う面白さが出てきそうだなと思いました。

  • 父親としての自分と息子としての自分。
    それぞれの役割を絶妙に表したヒューマンドラマ。
    3組の親子が出てくるが、どれも絶妙な味を出しており、吸い込まれた。
    父であり、息子である今、読めて良かったです。

著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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