- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087445312
作品紹介・あらすじ
北海道に深く刻まれる歴史、文化、食。その魅力に迫る。豪華作家陣による、北の地が舞台の小説&エッセイからなるアンソロジー。
【収録作品】
「鉄道員」浅田次郎
「ニッポンぶらり旅 釧路」太田和彦
「頸、冷える」河﨑秋子)
「あったまきちゃう!/札幌冬の陣」北大路公子
「本日開店」桜木紫乃
「函館 「ラッキーピエロ」のハンバーガー」堂場瞬一
「雪は降る」馳星周
「旅すれば 乳濃いし」原田マハ
「四月の風見鶏」渡辺淳一
感想・レビュー・書評
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集英社文庫編集部・編『北のおくりもの 北海道アンソロジー』集英社文庫。
北海道を舞台にした短編小説5編とエッセイ4編から成るアンソロジー。浅田次郎『鉄道員』、太田和彦『ニッポンぶらり旅 釧路』、河崎秋子『頸、冷える』、堂場瞬一『函館 「ラッキーピエロ」のハンバーガー』、馳星周『雪は降る』が良かった。
浅田次郎『鉄道員』。既読。名作中の名作。一途に生きた乙松に高倉健の姿を見るのは当然のことか。廃線が決まった路線の駅長の乙松は娘を幼くして亡くし、妻にも先立たれ、不器用に孤独のままに生きていた。自身も定年を目前に控えたポッポヤ一筋の乙松に人生の最後に神から与えられた至福の時間。★★★★★
太田和彦『ニッポンぶらり旅 釧路』。既読。『ニッポンぶらり旅 可愛いあの娘は島育ち』に収録の1編。相変わらず、流れる水の如き文章が食への興味がかき立てられるようなエッセイだ。羨ましいことに釧路の居酒屋でエゾジカや鮭、海老などの魚介類で酒を堪能する著者。★★★★★
河崎秋子『頸、冷える』。既読。『土に贖う』に収録の1編。戦後、北海道で毛皮を目的にミンクを育てていた男が挫折した理由は一体何だったのか。冒頭で郷里に戻る男が描かれるが、その正体が判明する終盤に全てが明らかになり、愕然とせざるを得ない。★★★★★
北大路公子『あったまきちゃう!/札幌冬の陣』。既読。『石の裏にも三年 キミコのダンゴ虫的日常』からの1編。北大路公子のエッセイも最初の頃は珍しさもあって面白かった。しかし、毎度ワンパターンのように冬将軍の到来による雪かきを恐れ、飲む食う寝るのグータラな日常が描かれた日記風エッセイには些か飽きて来る。★★★★
桜木紫乃『本日開店』。既読。第149回直木賞受賞作『ホテルローヤル』からの1編。再読してみると桜木紫乃は女性の性的なものを切り売りしているような作家のように感じる。貧乏寺の維持のため、檀家たちと身体の関係を続け、御布施を集める住職の妻。余りにも酷い話だが、今の時代ならあり得ないことではない。★★★★
堂場瞬一『函館 「ラッキーピエロ」のハンバーガー』。『弾丸メシ』からの1編。ハードボイルド風の食のエッセイ。函館のローカルチェーン店ラッキーピエロのハンバーガーを中心に食の世界が広がる。確かに日本の有名チェーン店のハンバーガーは安く軽く食べられる。しかし、アメリカのローカルレストランで食べたハンバーガーは肉料理を感じさせるボリュームで日本円で1,200円くらいはした。ハワイのデニーズのハンバーガーも似たようなもので、日本のデニーズとは全く違うメニューだった。こうなると親本の『弾丸メシ』も読んで見たくなるな。★★★★★
馳星周『雪は降る』。既読。『約束の地で』からの1編。若い男女の距離が縮まるかと思えば、もう二度とは会えないのかも知れないという状況に陥る。人生は山があり谷もあるが、取り分け男女の関係というのは山谷が激しいように思う。怪我でJリーガーの夢破れた雅史はガソリン代にも事を欠く、金欠の惨めな日々を費やしていた。そんな雅史の前に現れた1つ歳上の美穂。ガソリン代を美穂に立て替えてもらう代わりに雅史は美穂を函館まで乗せていくことになる。★★★★★
原田マハ『旅すれば 乳濃いし』。『丘の上の賢人 旅屋おかえり』からの1編。北海道で乳製品を味わう旅のエッセイ。可もなく不可もなくという少し味気ないエッセイだった。★★★
渡辺淳一『四月の風見鶏』。『医師たちの独白』からの1編。札幌医科大学で行われた心臓移植手術をテーマに小説を書いたことから東京に出奔することになった著者の憂鬱を描いた自伝的小説。舞台が北海道というだけで自然や風物の味わいもない。★★★
本体価格680円
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小説すばる1995年11月号浅田次郎鉄道員、サンデー毎日2014年2月2日〜3月16日号太田和彦にっぽんぶらり旅釧路、小説すばる2017年3月号河崎秋子頸,冷える、小説すばる2015年2月号・3月号北大路公子、集英社2013年1月刊ホテルローヤル桜木紫乃本日開店、小説すばる2018年9月号堂場瞬一函館『ラッキーピエロ』のハンバーガー、小説すばる2007年4月号馳星周雪は降る、小説すばる2014年9月号原田マハ旅すれば乳濃いし、オール讀物1974年6月号渡辺淳一四月の風見鶏、の9編の小説とエッセイを2023年5月集英社文庫から刊行。浅田さん、渡辺さんの話は既読だったが、作者の持ち味というか特徴的なものがあって楽しめた。どちらも名作。残り初読み作品でしたがなるほど北海道へと気持ちが近づきました。
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仕事の関係で、北海道モノのアンソロジー読了しました。メジャーな作家さんが多いので、ダブりもありました
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このアンソロジーは、収録作ひとつひとつが良いということ以上に、その順番が大変自分にはあっていたようで、一気に読んでしまった。河﨑秋子氏が書かれる時代が毎回ツボにハマってる。
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どの作品も北海道が舞台
短編集なのでちょっとした時間に良い
様々な作者の作品が並んでるので
短編ながら、作家さんの個性を感じ
比べたりした
当然、作品により好き好みが出る
結果、私的には良いなと思う作品が
少なかった
でもこれも読者それぞれなので♬
少なくともどの作品も
北海道の空気を感じる -
北海道を舞台にした、または北海道に繋がりのある作家さんたちのアンソロジー。今ひとつ意図がよくわからない集め方に感じられるが、個々の作品は楽しめる。
鉄板の「鉄道員」からベテラン渡辺淳一氏、新鋭作家で直木賞受賞の河崎秋子さんなど、バラエティに富んでいる。
馳星周さんは道南の地理が手に取るようにわかるし、桜木紫乃さんは人と人との繋がりが皮肉だし、北大路公子さんは相変わらずだし、太田和彦さんは釧路の居酒屋さんだけど、飲めないのでよくわからない。堂場瞬一さんはあの有名すぎるハンバーガー店。原田マハさんは、北海道ではハズレがない乳製品のエッセイなのだが、もう知ってるそれ・・・という北海道民の感覚が邪魔をしてしまってすみません。
人によって楽しめる作品は違うと思うが、私は相変わらずぞわっとしてラストが衝撃的な「頸、冷える」と、道南をドライブする男女の「雪は降る」。どちらも短編なのに重厚だった。(桜木紫乃さんは既読であったので外す) -
北海道にゆかりのある作家や作品をまとめて読めたのは良い経験。鉄道員はあの映画の原作かと感慨深い。ラッピのエッセイはさすが堂場瞬一。渡辺淳一のルーツを知れたのも収穫。
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あまりアンソロジーは読まないのだけど、北海道は大好きなので読んでみた。
鉄道員、何度も読んで話を知ってるのに泣けた。さすがだなぁ
やっぱり色んな作家さんのアンソロジーは、好みがあるからちょっとしんどい。
好きな堂場さん、馳さん、マハさんのは面白く読んだ。渡辺さんのも面白かった。 -
未読のぽっぽやはまだしも、北海道をディスりたいのか?の選択作。読んで後悔。エッセイ不要。