リアルワールド (集英社文庫(日本))

著者 :
  • 集英社
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感想 : 280
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087460100

感想・レビュー・書評

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  • 私としては、なんだか不思議な感覚を抱いた本。隣に住む男の子が殺人を犯し、彼に人質として逃亡を共にさせられるのだが、次第に恋愛関係へと発展してしまい、最後は衝撃のラストとなる。

  • 仲良し四人組の女子高生が、とある事件をきっかけに人生を狂わせていく( ´ ▽ ` )ノ。
    皆が裏と表の顔を合わせ持ち、自分だけが各人の裏の顔を知っていて、自分の裏は隠し通せていると思い込んでいる( ´ ▽ ` )ノ。
    でも、自分で思っている「裏」は本当の自分じゃないんだな( ´ ▽ ` )ノ。
    その勘違いが、物語を不幸な結末に追い込んでいく......

  • 【本の内容】
    高校三年の夏休み、隣家の少年が母親を撲殺して逃走。

    ホリニンナこと山中十四子は、携帯電話を通して、逃げる少年ミミズとつながる。

    そしてテラウチ、ユウザン、キラリン、同じ高校にかよう4人の少女たちが、ミミズの逃亡に関わることに。

    遊び半分ではじまった冒険が、取り返しのつかない結末を迎える。

    登場人物それぞれの視点から語られる圧倒的にリアルな現実。

    高校生の心の闇を抉る長編問題作。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    桐野夏生ならではの生々しい心理描写。

    何が生々しいかというと、語り手である四人の女子高生たちの生態はもちろんのこと、親しい友達のようでいて彼女たちがほとんどわかりあえていないということだ。

    高校生の時点では、まだ少年少女はそれぞれの家庭に重く縛られている。

    そして家庭のことは他人に理解しにくいところが大きい。

    たとえばここで描かれているテラウチの絶望。

    信じられないながらも母親を愛すことで、自分自身も信じられなくなる。

    これが「取り返しのつかないこと」だとテラウチは絶望する。

    だがこの小説で語り手になっている他の三人のうち、誰がこの絶望を理解するだろう。

    おそらく皆、うっすらとしか理解できないだろう。

    女子高生たちは母親殺しのミミズ少年に、「何かが自分と共鳴するかもしれない」と感じる。

    しかし感じ方は皆ばらばらで、当のミミズ少年は、何とあきれるくらい単純でバカなのだ。

    皆が違う世界を見ている。

    そして高校生のリアルとは、他人とけして共有できない絶望のなかにしかない。

    そんなリアルワールドに引き込んでくれる。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 4人の高校生の微妙な人間関係
    隣の暗い高校生が、母親殺し
    その逃走に4人がそれぞれの異なる考えで関与する。内容は平凡な事件だが4人の関与の仕方や、考え方の違いで描いている。
    ただし、こんな女子校生グループはありえないかな?

    題名もちょっと違和感感じる。

  • どういう読み方をすればいいのかわからないまま読み終わってしまった…。ありきたりで平和な高校生活を送っていた自分には合わない本だった。

  • 5人の異なった視点からの文章には最初は戸惑ったけど、こういうのも悪くない。途中までの展開と結末の落差がやっぱり桐野ワールドなんだなぁ・・・毎回ショックを受ける。今の時代、リアルワールド=いつでも厳しすぎる現実のような気がする。

  • 自分にもこんな時期があったのだろうか。あったんだろうな、都合良く忘れてしまったけど。絶望的な闇。なんとか逃れた人だけが前に進んできたんだね。

  • 高校生の心の闇を描いた作品。ぐんぐん引き込まれたし、みんな一筋縄じゃいかないってのは理解できるけど、救いがない結末はあまりにも悲しい。取り返しがつかなすぎる。

  • 女子高生の表の顔と裏の顔、対する友達によって顔を変えていったり、本当の気持ちを隠したり。それは誰にでもあることだと思う。しかし、そんなちぐはぐな気持ちから思いもよらぬ事態に巻き込まれてしまう。

  • 高校三年生の夏休み、隣家の少年が母親を撲殺して逃走。
    ホリニンナこと山中十四子は、携帯電話を通して、逃げる少年ミミズとつながる。
    そしてテラウチ、ユウザン、キラリン、同じ高校にかよう4人の少女たちが、ミミズの逃亡に関わることに。
    遊び半分ではじまった冒険が、取り返しのつかない結末を迎える。
    登場人物それぞれの視点から語られる圧倒的にリアルな現実。
    高校生の心の闇を抉る長編問題作。


    昔だったら考えられないけど、現代だったらもしかしたらこんなことありそうかなと思った。周りとの関わりが上手くできなくて、わかんなくなって、善悪の判断が出来なくなる…
    怖いなと思った。

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で「江戸川乱歩賞」、98年『OUT』で「日本推理作家協会賞」、99年『柔らかな頬』で「直木賞」、03年『グロテスク』で「泉鏡花文学賞」、04年『残虐記』で「柴田錬三郎賞」、05年『魂萌え!』で「婦人公論文芸賞」、08年『東京島』で「谷崎潤一郎賞」、09年『女神記』で「紫式部文学賞」、10年・11年『ナニカアル』で、「島清恋愛文学賞」「読売文学賞」をW受賞する。15年「紫綬褒章」を受章、21年「早稲田大学坪内逍遥大賞」を受賞。23年『燕は戻ってこない』で、「毎日芸術賞」「吉川英治文学賞」の2賞を受賞する。日本ペンクラブ会長を務める。

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