桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087468175

感想・レビュー・書評

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  • こんなに面白いなんて、正直舐めてた。

    学校生活の閉塞感と、ふとしたきっかけで生まれる心の開放感。

    あの頃はみんな未熟でみんな何かに怯えていたような気がする。

    登場人物全員が似通った詩的な表現で情景を描写している部分は少々食傷気味ではあったが、それはそれで統一感を感じ、この人たちは同じ世界の人間だと思えて良い。

    高校生のリアルな心情を描いていて切なくなりながらも前に一歩進めそうだと思った。

  •  あっという間に読み終えた。特別派手な非日常的事件が起こるわけではない。桐島が部活を辞めるのは事件だけど、派手な話ではないし、桐島の行動が大きな事件を引き起こす訳でもない。同級生達の間にゆらぎが起こるが、きっかけは桐島の退部出なくても起こったであろう。
     高校生活を「上」「下」のカースト制にとらえて語る。いじめまではいかない。上下どちらも暗黙のルールで自らを振り分けていく。
     確かに自分の学生生活を思い出しても近しいことはあった。でも上下で意識したことはない。モテモテでイケてるグループを羨ましいと思っていただけ。羨ましいと感じることは、見上げるわけで、上下関係ができてしまっている。ただ羨ましいと思うだけで、自分は下と明確に意識していたわけではない。無意識のうちに己を落としていたのかもしれない。認めようとしなかっただけかもしれない。
     多分、学校生活の構造は時代を超えて変わってないと思う。言語化されて顕在化するかどうかの違いだろう。言語化されるとレッテルとなり歪んでしまうのではないだろうか。
     還暦前のおっさんが、十九歳が書いた高校生活の小説を読む。読めてしまうのは、こうしてぐだぐだと感想書いてしまうのは、四十年前の高校生活も、そして社会に出てからの生活も根っこの構造が同じたまからではないだろうか。
     社会に出ると上下は明確に言語化され、数値で表される。そこには高校時代の酸っぱさはない。苦味と辛味があるだけだ。

  • 朝井さんの「チア男子」を呼んで面白かったので代表作であるこれを読みました。
    全く関わりがない人たちかもしれないが、深いところで繋がり合っているる感じが好きでした。
    桐島が出てこないのも面白い。
    人それぞれ色んな悩みがあって、辛いかもしれないけど、いつかみんなが前を向けるといいな。

  • まぶしいぜちくしょう

  • 高校生5人の数日間が各視点で描かれており、共感できる箇所が5人それぞれにあった。例えば、体育で迷惑をかけた時に罪悪感を感じる前田涼也は、中学時代の俺に似ている。何にも情熱的になれない菊池宏樹は、今の俺に似ている。作品全体を通して表現されているカースト制、目に見えないランク付けなども中高を経験してきた大人なら、あったなぁと理解できるはずだ。他人を馬鹿にすることしかできないかわいそうな価値観の人や、熱中するものが何も無いむなしい人、思ったことを勇気を出して言えない人、逆に思ってもないことを言って相手の顔色をうかがいながら生きる人。狭い世界に生きていると、こういう人になってしまうのかなと感じる。朝井リョウの作品は表現が好きだが、珍しく原作よりも映画の方が面白いと思ってしまった作品だった。

  • 当然だけど、私は私を主人公だと思って生きているけれど、
    私以外の人も自分を主人公だと思ってそれぞれ生きているんだよな、と思った。
    同じシーンを共有していても、それぞれの主人公の葛藤や焦り、いたたまれなさを感じている者、
    それと対照的に全能感があったり優越感に浸っている者。
    学生という狭い社会に囚われた独特の世界観が、
    いろんな立場の人から汲み取れて懐かしい気持ちになった。

    ただ、みんなこんな複雑なスクールカーストの立場を意識して過ごしてたのか...!!
    朝井リョウさんと世代ほぼ変わらないですが、
    わりと自分は何も考えず毎日楽しく生きていて鈍感であるがゆえに幸せだったんだな、と思えた。

  • 朝井リョウさんの正欲が良かったので有名なこの作品も読んでみた。
    登場人物は主に高校生だけど、私は中学生時代にスクールカーストによるクラス内の熾烈な戦いを経験した(経験したというよりは私は下の方だったので上の人たちがやり合うのを眺めていた)ので、自分が中学生の頃のことを沢山思い出して、正直読んでいて辛い気持ちにもなった。
    スクールカーストの上位にいようが、下の方にいようが、それぞれに悩みがあり、ほんとうのきもちを言えないという葛藤があり。スクールカースト上位にいたって、下の方にいる人を羨ましく思えたりする。本当にそんな感じだったよなぁと十年前の自分や周りの人たちのことを思い出しながら思う。
    「どっちがむなしいんだろうな、俺と。」
    と、スクールカースト上位ににいる宏樹が、映画部の二人を見て思うシーンが心に残った。

    構成としてはタイトルに出てくる桐島くんが全然出てこないのが意外で面白かった。桐島くん視点の世界はあえて読者の想像に任せてるのかもね。

    登場人物それぞれの視点から語られる物語が並んでいるけれど、単なる並列ではなくてちゃんと交差していて凄かった。
    亜矢の章でさけるチーズのように弾くように!と詩織がいっていてわけわからん、みたいに亜矢は思ってたけど、後の章でその曲がさけるチーズのCMに使われてたみたいな話がちょろっと入ったりして、もはや作者は小説で遊んでるのでは?笑

  • 桐島が部活を辞めたことで、少しずつ周囲の生活に変化が訪れる。学校が世界そのものだったな~、窮屈さを感じていたんだな~と作品を読んで改めて感じたり。あの頃にしか感じ取れない感性が描かれていて、胸を締め付けられる。非常に面白い!

  • 学校は格差社会。

    確かに、学生の時、年を重ねるごとに、無意識のうちにこの人は、自分より「上」自分より「下」と順位付けをしていた気がする。みんな平等と言いながらも。

    映画部のように、自分のやりたいことをやっている姿はとても輝いて見え、格差なんかどうでもよく感じた。

  • 自分という存在が消えてしまわない様に、存在し続けられるように、必死にもがく学生を描いている。

    瑞々しさに潤わされる。

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著者プロフィール

1989年岐阜県生まれ。2009年『桐島、部活やめるってよ』で、「小説すばる新人賞」を受賞し、デビュー。11年『チア男子!!』で、高校生が選ぶ「天竜文学賞」を受賞。13年『何者』で「直木賞」、14年『世界地図の下書き』で「坪田譲治文学賞」を受賞する。その他著書に、『どうしても生きてる』『死にがいを求めて生きているの』『スター』『正欲』等がある。

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