- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094084399
作品紹介・あらすじ
「あなたがお隣に引っ越してきてから、わたしの人生はまた乙女時代に戻ったかのような活況を取り戻しました」竹内京子、二十歳。右目の斜視にコンプレックスを抱く彼女が、就職を機に引っ越した先で、変わり者のおばあさん、杉田万寿子に出逢った。万寿子からさまざまないやがらせを受け、怒り心頭の京子。しかし、このおかしなやりとりを通じて、意外にも二人の間に、友情ともいうべき感情が流れ始めるのだった。半世紀の年齢差を超えた友情が、互いの人生に影響を与えていく様を温かな筆致で描く感涙の物語。
感想・レビュー・書評
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引っ越し先のアパートのお隣に住むおばあさん。
しゃんと姿勢の良い立ち姿に、何となく好感を持っていた京子だけれど、勇気を持って挨拶した彼女から帰ってきた言葉は「寄り目」。
斜視である事を気にしていた京子にとって、とても傷つく言葉。
そんな出会いにもかかわらず、そして祖母と孫程年の離れた2人であるにもかかわらず、京子とおばあさん(万寿子さん)は、遠慮のなくものが言い合える女友達として、深い友情で結ばれていく。
けれど、万寿子さんは時々、深い目をしてぼんやりする事が増えていって…。
少し切ないけれど、オドオドと自信がなかった京子が、万寿子さんと過ごすうちに少しずつ逞しくなっていく様子は清々しく、読後感はとてもよかったです。
関係ないですが、読み終わってから作者が男性と気づいてかなりびっくりしました。
詳細をみるコメント1件をすべて表示-
しずくさん随分前に読んで好きな本でした。随分前に読んで好きな本でした。2020/06/19
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嫌だなと思う人が少しのきっかけで馬が合う、そんなお話でした。
主人公はまだ20歳。そんな彼女は変わり者と言われるおばあさんと不思議な友情が生まれます。
年を取る事は若かった頃、子供の頃の自分が無くなるわけではない事を教えてくれます。
お互いがなくてはならない存在になれる出会いは羨ましいです。
けどやっぱり最初からおばあさんは彼女の事と話したいと思っていたのではないかと。
でなければずーっと馬が合わないままだったような気もします。 -
20歳の京子と78歳の万寿子さんの歳の離れた友情。万寿子さんと庭の花や木の世話をする事でゆうじょを育む。万寿子さんは京子に亡き妹の面影を見ていた。離れた親族より近所の他人と言うように、万寿子さんが認知症を発症しても放っておけず世話を焼く。
後半は涙なしでは読めず。読後は爽やかな風が吹いた。 -
想像以上に良かった…。感動で胸がいっぱいになりました。
優しさと友情がつまった本書。素敵な作品を読み終えた後の余韻が心地いい。
京子と隣人の独居老人・万寿子さんとの友情の物語。
繰り広げられる大人げない悪口の応酬。大の大人の子どもみたいなやり取りに笑ってしまう。
仲が良いんだか悪いんだか…。
ケンカしながら少しずつ絆を深めていく二人。
だけど万寿子さんに認知症の症状が出始めて…。
二人でお酒を飲みながらバカ笑いするシーン。
意地を張り合う二人。
当たり前の光景となった二人が万寿子さんの庭いじりをするシーン。
読んでるうちに全部が愛おしく感じました。
誰しも向き合う“老い”についても考えさせられる作品でした。
意地悪婆さんを彷彿とさせる万寿子さんと京子ちゃんの友情に心が温まります。
切なくも優しい感動のストーリー。 -
半世紀以上の年の差がある二人の不思議な関係。方や斜視にコンプレックスをもつ二十歳の女子会社員。方や一人暮らしの偏屈な七十八歳のお婆さん。
お婆さんから嫌がらせを受けながらも、次第に二人の距離が縮まっていきます。交流が微笑ましく感じるのは、思いやりやケアなどと言う意識を超越した友達としての対等さなのでしょう。
静かな感動がじわじわと溢れてくる物語との出会いに感謝です。 -
女同士の友情を育む成分。
意識しつつの適度な距離感。本音のおしゃべり。とは言え礼儀は大事に。ショッピング。お洒落合戦。黒歴史の共有。男の人の話。ほっこりする休日のお茶。たわいない悪戯。旅先での打ち明け話。対等な関係。
それらがあれば年齢なんて関係ないのだ。
竹内京子、二十歳。就職を機に引越した先で風変わりなおばあさん 杉田万寿子さんに出会う。七十八歳でもしゃんとして、常に美しく庭を手入れする万寿子さんを最初からなんとなく意識していた京子だが、何故か彼女は気まぐれな反応で京子を翻弄するばかり。
右目の内斜視を気にしてなかなか人と視線を合わせられない京子に万寿子さんはあろうことか、「寄り目」と暴言を投げつける。堪忍袋の緒が切れた京子は彼女と罵り合って大喧嘩するが、不思議なことにそこから2人は仲良くなっていく。
向かいのアパートのサラリーマン山本さんや、社内の気になる存在 荻野くん、気のいい同期のチヨちゃんら脇役も皆いい味を出しているが、何と言っても万寿子さん。
元々美人で気が強く、老人扱いされることを嫌う彼女は「世話をやかれる」のではなく「友達」という関係を求めていた。
時折現れる深い色の瞳の万寿子さんは京子のことをみっちゃんと呼び、虚ろで彼女の実年齢を意識させる。年齢を重ねる上で避けられない老いを描きながらも、2人の世代を越えた友情にほろりとした。
万寿子さんを老人扱いするようなプロには任せたくない、友達だから放っておけないと会社を仮病で休んでまで面倒を見る京子。父との確執を含め、自身の問題を見つめなおし、変わっていく京子が眩しかった。
私がおばさんと言われると憤慨するように、おばあさんと呼ばれるのも本人には失礼なことなのかも。
米寿を過ぎてなお、自転車ですいすいと何処へでも出かけ、毎日のように仲良しのお友達と色んな話をして、気は若くわお化粧やファッションにも気を抜かない。そんなタフな人生の大先輩もいるようなので、精進あるのみである。 -
年齢差のある友情の話
京子の打算的でない真心が良好な人間関係を築いたのだろう。一歩間違えるとお節介や犯罪になりそうな世知辛い世の中には心温まる話だった。 -
読みはじめは、嫌なお婆ちゃんだなと思っていたが
徐々に、年齢差を越えた二人の関係を羨ましくさえ思った。
初作家さんだったので他の作品も読んでみたいな。 -
ほんわかした雰囲気で楽しく読みすすめていたものの
後半結構重かった。
でも、いわゆる老人ものじゃない。
これは乙女の友情物語。
しかしまあ・・・
認めたくないものの
元気なジジババが出てくる小説が好きなんだろうなあ。
NHKあたりでドラマとかつくりそう。
京子は蒼井優で。
万寿子さんは・・・夏木マリしかないでしょう。