- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101010502
感想・レビュー・書評
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2016年「小説新潮」が2か月続きで企画した漱石「吾輩は猫である」のトリビュート版を、文庫化した短編集である。その年の年末に出しているから、多分未だにそれぞれの人気作家の短編集には入っていない可能性が高い。ワンコイン弱で買える新潮社のサービス版(消費税値上げ以前は正に500円以内で買えた)。おそらく、これをキッカケに新潮文庫に揃えている漱石を読んでくれると嬉しいし、未読の各作家を手に取ってもらえたら嬉しいという編集長の意図が見え見え(「騙し絵の牙」を読んでから、そういうコンテンツで本を見る習慣がついてしまった)。でもだからこそ、かなりお得な一冊である。
赤川次郎 新井素子 石田衣良 萩原浩 恩田睦 原田マハ 村山由佳 山内マリコ、それぞれの御大が、「猫の一人称で物語を綴る」こと以外は、自由に書いている。
男性作家2人に女性作家6人、気がついたのは、読み比べて猫の立ち位置がなんとなく客観的なのは男性で、女性は完全に猫に同化している気がした。という分析的な評価自体が、いかにも男性的な評価なのかもしれない。
漱石は、当時の文壇や社会をそれなりに批判的に見ていたが、平成の猫たちもヒト科としての人間を相対的に見る視点がそれなりに面白かった。
大傑作は一つもなかったけど、つまらないものも一つもなかった。
赤川次郎さんは、途中でバレバレのゆるい推理ものだった。
驚いたことに「原作」とついていないので、正真正銘、萩原浩が描いたとしか思えない猫の4コマ漫画8pの完成度の高さ。
「彼女との、最初の一年」という短編では、芸大3年の女性に拾われた猫の1年間を描いていた。どうてことはない描写だけど、作者の原作映画「あのこは貴族」には感心したので最近知った作家である。日韓ワールドカップが出てくるから、明らかに2002年からの1年間を描いる。この小説自体を2016年に描いたことは、彼女の14年間に一緒についてきた猫の一生の最初期をあつかった作品に思えてくる。いつかその一代記を読んでみたい気にもなる。山内マリコは初めて読んだが、少し気になった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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2023/11/25
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アールグレイさん、
ぜひぜひ!
個性派作家さん堪能してくださいね。
猫好きにはたまらないと思います。アールグレイさん、
ぜひぜひ!
個性派作家さん堪能してくださいね。
猫好きにはたまらないと思います。2023/11/25
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夏目漱石没後100年&生誕150年記念出版。
猫好きな8人の作家さんのアンソロジー。
ということで、すべて猫目線で書かれています。
どの作家さんの作品にも、猫好きな気持ちがあふれ出ていて楽しめました。
赤川次郎さんの猫になった奥さんのミステリー。
恩田陸さんっぽいホラーな感じ。
荻原浩さんの4コママンガにはびっくり!
村山由佳さんの飼い主の恋を応援する?猫ちゃん、
「うちのネコ」ではなく、「うちのヒト」なんだ(笑)。
特に好きなのは、石田衣良さんと原田マハさん。
石田衣良さんの猫の集会、「星送り」という不思議な儀式に涙がこぼれた。
原田マハさんの飛梅。
飛梅太くん命名の瞬間は吹き出してしまった。
若かわいい~。
母猫ちゃんも幸せになれたようで、めでたしめでたし♪
「吾輩堂」福岡に本当にあるんですね。
それにしても、どのネコちゃんも人間に対してどこか上から目線なのはなぜでしょうか?(笑)
そこがまたなんとも可笑しくて、かわいらしいんですが。
うちの子たちもこんな風に思ってたのかなぁ?
いつの日か再会したら聞いてみよう。
彼ら曰く、
>やってくるかどうかわからない明日の心配をして、もうやり直すことのできない昨日のことを悔やんでいる。
今を豊かに生きられない。
それが人間という気の毒な生き物だ。
とのことです。
よくご存知で!(笑) -
これはきっと猫に書かされたんやな。ぜったいそうやで。作家は違うのに、おんなじような猫ばっかし出てくるし。これは猫の陰謀や。
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新井素子さんと村山由佳さんの話が特に好きだった。
猫たちがこんなふうに考えて生きてるって思ったら愛しくなる。
猫たちは猫たちなりに自分らしさやプライドを持って生きている。
猫目線の短編集っていうコンセプトが魅力的で私としてはツボでした! -
夏目漱石の名作にあやかったタイトルだけに、猫の一人称で語られるアンソロジー。
人間から見ると勝手気ままに生きる猫。プライドが高く、決して飼い主には忠誠はおろか、迎合すらしない。養ってもらっているのではなく、飼わせてあげている。その見返りとして飼い主は心の安らぎを享受する。
8人の稀代の作家がそれぞれの猫を描いていても、総じて似たような性質となるところが興味深い。 -
楽しかった!好きな作家さんたちが、「我輩も猫である」と、猫の視点で描くお話はどれも個性があって、そうそう、わかるわかるとうなずくことばかり。
きっと作家のみなさん、猫の魅力にいつもやられているのだろうと思われる -
猫視点で描かれた短編集。
猫が人間に飼わせてあげているという表現が共通しており面白かった。猫を一度でも飼ったことがある人であれば共感できるのではないかと思う。