西の魔女が死んだ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.85
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本棚登録 : 53284
感想 : 5500
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101253329

作品紹介・あらすじ

中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、何でも自分で決める、ということだった。喜びも希望も、もちろん幸せも…。その後のまいの物語「渡りの一日」併録。

感想・レビュー・書評

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  • こちらの作品有名なので名前は知っていたものの、魔女?SF?とか勝手に思って躊躇していたのですがが、、(想像と全然違ってた笑)
    本屋さんで夏の新潮フェアのとこで、めちゃくちゃ推してたので遂に購入。笑

    ページ内の文字数的にも、すらすら読めました!
    主人公と祖母が一定期間の夏を一緒に過ごすお話。
    ※自分で決めること
    ※外部からの刺激に反応、動揺しすぎない
    ※身体と魂の合体で自分ができている
    というような、生きていく上で、大事なヒントがたくさん。私も魔女になる訓練しないとっ!


    自然豊かな土地の描写から、自分の小さな頃のばーちゃんち思い出す。青のじょうろ!!
    畑で作るトマト、庭で育てたダリアとか。

    これもう一度改めて読もう。もっと深い気がする…

    • Manideさん
      なんなんさん

      魔女になる特訓は難しそうですねww

      私の母は既に亡くなっているんですが、
      今10歳の息子が、たまに母の話をするのを聞くと、...
      なんなんさん

      魔女になる特訓は難しそうですねww

      私の母は既に亡くなっているんですが、
      今10歳の息子が、たまに母の話をするのを聞くと、
      この子の中でも母が生きてるんだなと感じて、
      とてもうれしく思うことがあります。

      よいイメージで残る方がいいですが、
      わるいイメージだったとしても、
      誰かの中に残り続けるのはいいですよね。
      2022/08/10
    • なんなんさん
      Manideさん
      コメントありがとうございます!
      素敵な内容過ぎて、感動です✨✨
      誰かの中に残り続けるのは素敵ですね。
      ホント素敵!!!!!...
      Manideさん
      コメントありがとうございます!
      素敵な内容過ぎて、感動です✨✨
      誰かの中に残り続けるのは素敵ですね。
      ホント素敵!!!!!

      特訓は、やはり難しいかあww
      2022/08/10
    • Manideさん
      なんなんさん

      ほんと素敵ですね
      なんなんさん

      ほんと素敵ですね
      2022/08/12
  • ずっと読んでみたかった。一気読み。あったかい世界観。風景とかも想像しやすくて凄く入り込めた。魔女ってゆうからもっと意地悪なおばあさんかと思ったら、とても素敵なおばあちゃん。
    "死んだら魂は……"そうであってほしい。その方が美しいな。ヒガシのマジョになっていてほしい。

  • 『おばあちゃんの思い出』、この言葉を聞いただけで目頭がなんだか熱くなる方は多いのではないでしょうか。2000年3月に公開されたドラえもんの同名映画を思い出す人もいるかもしれません。私にとってもおばあちゃんは特別な人でした。共働き家庭で育った私は、おばあちゃんと過ごした時間が両親との時間より格段に長かったこともあり、両親にも相談できないこともおばあちゃんになら話せる、両親に話すことでも事前におばあちゃんに話して意見を聞いてからにする。そういう日常を送っていました。でも、今思えば話しやすいが故に、そんなおばあちゃんには随分とわがままを言ったようにも思います。親しいからこそ何でも話す、わがままも言う。でも、そんな私が話すあんなこと、こんなことをいつも『そうだな。』『がんばったな。』『よくやったな。』と静かに聞いてくれたおばあちゃん。おばあちゃんの思い出は誰にとっても特別じゃないでしょうか。

    『西の魔女が死んだ』唐突な書き出しで始まるこの作品。『英国人と日本人の混血であるママは、黒に近く黒よりもソフトな印象を与える髪と瞳をしている』というママ。だから、おばあちゃんは英国人という主人公・加納まい。そんなおばあちゃんを『西の魔女』と呼んでいた まい。『回りの世界から音と色が消えた。失った音と色は、それからしばらくして徐々に戻ったけれど、決して元のようではなかった。二度と再び、まいの世界が元に戻ることはなかった』というおばあちゃんの死という現実に向き合いながら、ママと、おばあちゃんの家に急ぐ まい。そんな途上、二年前に一ヶ月の生活をともにしたおばあちゃんとの思い出が記憶に蘇ります。小学校を卒業し、中学校に入ったばかりのその時期に『わたしはもう学校へは行かない。あそこは私に苦痛を与える場でしかないの』とママに訴える まい。ママは、そんな娘を無理に学校へと追いやるのではなく、おばあちゃんの家に連れて行く決意をします。

    『まいと一緒に暮らせるのは喜びです。私はいつまでもまいのような子が生まれてきてくれたことを感謝していましたから』と喜んで迎えてくれたおばあちゃん。『「今日は裏山で働いてみましょう」おばあちゃんが突然言い出したので、まいはびっくりした』というそんなおばあちゃんとの二人暮らしが始まりました。そんな中、『まいは、魔女って知っていますか』と尋ねるおばあちゃん。『魔女』という言葉にとても興味を持ち自分も魔女になれるのかと問う まい。そんな まいにおばあちゃんは『それではまず、基礎トレーニングをしなければ』と答えます。そして、おばあちゃんが見守る中で まいの魔女修行が始まりました。

    『櫟や樫、榛の木や栗の木などの点在する陽当たりのいい雑木林』という森、『木のまばらなその林の床一面、真っ赤なルビーのような野いちごの群生』という野苺畑などの絶妙な表現。また、ホトトギス「テッペンカケタカ」、こじゅけい「チョットコーイ」、鶏「コケコッコー」という鳥の鳴き声のリアルな描写。おばあちゃんの家の周りのあんな情景、こんな情景が、読書という文字からしか得ることができない状況にもかかわらず、目の前に森が大きく広がるのが見え、また、耳に鳥のさえずりまでが聞こえてくる。まるで自分がその場にいるかのようなとても臨場感を感じられる描写に満ち溢れていて、思わず私も深呼吸したくなりました。

    ママからは『昔から扱いにくい子だったわ。生きていきにくいタイプの子』と言われていた まい。学校生活に馴染めず今も苦しんでいる中学生も数多くいるこの社会。それは今も昔も変わらないこの国の現実なのかもしれません。でも一方で核家族化という言葉が変化ではなく、もはや当たり前となった時代には、以前より子供に逃げ道が少なくなったように思います。私は、かつておばあちゃんと長い時間を過ごすことができました。喜び、怒り、哀しみ、そして楽しみの全ての感情を共にする中で、どんなに救われたかわかりません。今の自分があるのはおばあちゃんがいたから、大袈裟でも何でもなく、自信を持ってそう言いたいと思います。でも、おばあちゃんは何も特別なことを教えてくれたわけではありません。魔女修行をする まいにもおばあちゃんは語ります。『いちばん大事なことは自分で見ようとしたり、聞こうとする意志の力ですよ。自分で見ようとしないのに何かが見えたり、聞こえたりするのはとても危険ですし、不快なことですし、一流の魔女としてあるまじきことです』。自分の意志の大切さ。自分が自分であるために。大人への階段を自分の力でのぼっていくために。そう、そんな時代を送る子どもたちに向けたとても印象的な言葉だと思いました。

    もうため息が出そうになるくらいに澄み切った美しい森の描写と、柔らかなぬくもりの感じられるおばあちゃんの まいに対するあたたかい眼差し。そこで紡がれる人の優しさと、慈しみ。『おばあちゃん、大好き』という まいに、『いつも微笑んで、「アイ・ノウ(知ってますよ)」、と応えた』というおばあちゃん。その静かな結末に、悲しさと切なさを超えて、愛おしいさと懐かしさを感じることのできる、とてもかけがえのない時間を綴られた梨木さん。素晴らしい作品に出会えました。ありがとうございました。

  • 「冬虫夏草」の江戸時代からいきなり現代に戻ってくる。

    それでも共通して感じる自然と生命力、透明感は本作でも引き継がれている。

    現代社会で、よく耳にするいじめ、単身赴任、女性の社会進出などを取り入れながらも、時代が変わっても引き継がれて行く生活や、知恵を織り交ぜ、普遍的な人間の様態を描写している。

    主人公である加納まいは、学校の同級生から受けるストレスから、田舎に住むイギリス人のおばあちゃんのところでしばらく生活することになる。
    このおばあちゃんがタイトルの「西の魔女」である。
    魔女の元で、自然と接しながら、規則正しい生活していくうちに、思春期の少女は、大人として必要となる、常識、思いやり、そしななによりも生きて行くために必要な心のコントロールの方法などを教わりながら、大人になるための準備、自我を形成していく。

    「人は死んだらどうなるの?」というまいの問いにおばあちゃんは、人は身体と魂が合わさってできていると説明する。「死ぬ、ということはずっと身体に縛られた魂が、身体から離れて自由になることだと、おばあちゃんは思っています。」
    これはつまり、まいがここにやって来たことまさに理由ではないかと思えてならない。つまり、まいは、生きながらにして、身体と魂がバラバラになっていたのだと、言外に示している気がするのである。それ故に魔女修行により、本来のまいらしさを取り戻して欲しいと願う孫を心配する祖母の気持ちのようにも感じるし、魔女としての助言のようにも感じる。

    ゲンジさんのことでわだかまりを解消することなく離れていってしまったふたり。まいのこれからの人生を思い窓ガラスに残した伝言は、おばあちゃんの魂そのものではないかと思うと、心が震えた。と同時に、感謝の気持ちが湧いてくる。それはまさにまいの気持ちであり、その気持ちが私に降りてきたような感覚に落ちいる。

    まいにとっては、おばあちゃんは魔女である。でも、おばあちゃんは決して魔女ではなく(もちろん魔法使いという意味でもなく)、読んでいくうちに人生を彩りながら生き抜いた人間のように思えてくる。
    人が人として、正しく生きる、豊かに生きる、思いやって生きる……そのためにどう生きればいいのかということを伝えている気が
    した。そうできていない人が多い現代社会においては、そんな生き方をしている人が魔女のように見えるのではないか?

    おばあちゃんと過ごしたからこそ「渡の一日」で成長したまいを確認することができたのだろう。(と、密かに成長したまいをおばあちゃんの気持ちで見てしまった。)

    • しずくさん
      映画も劇場で鑑賞しましたよ。
      映画も劇場で鑑賞しましたよ。
      2021/06/28
    • kurumicookiesさん
      しずくさん、
      こんにちは^_^ コメントありがとうございます!
      映画は、しずくさんのイメージ通りでしたでしょうか?本を読まれて、映画も鑑賞...
      しずくさん、
      こんにちは^_^ コメントありがとうございます!
      映画は、しずくさんのイメージ通りでしたでしょうか?本を読まれて、映画も鑑賞されていらっしゃるなんて、しずくさんのお気に入りの作品であることがわかりますー
      2021/06/28
  • これはもう有名で大人気の本ですね。私にとっては、梨木香歩さんの作品で一番最初に読んだ物語で、梨木香歩さんの作品をもっと読みたいと思うきっかけになった本。梨木香歩作品の中では、三本指に入る大好きな物語。といっても、今回は3~5度目くらいの再読かな・・・。珍しく積読がなくなったので、本棚から抜き出してみた。

    今回も初読みの時と同じで、ラスト3ページくらいから涙が溢れ、最後の「アイ・ノウ」で号泣。
    何度読んでも、おばあちゃんがいなくなったという悲しさだけではない何かが胸を突く。

    まいのおばあちゃんは素敵な人だ。まいを預かることになって、こう言った。
    「まいと一緒に暮らせるのは喜びです。私はいつでもまいのような子が生まれてきてくれたことを感謝していましたから」
    私は思った。あぁ、まいみたいな子はきっと大丈夫、と。
    まいもちゃんとわかっていて、だから最後、おばあちゃんがまいとの約束を覚えてくれていたことに気がつくと、「まいはその瞬間、おばあちゃんのあふれんばかりの愛を、降り注ぐ光のように身体中で実感」できたのだ。

    まいの魔女修行は、規則正しい生活をして、自分で考えて自分で決めるようにすること。なんて当たり前で難しくて尊いことなのだろうと思う。それを暮らしの中で少しずつ教えてくれるおばあちゃんは自分のことをオールドファッションというけれど、その姿勢・思考・暮らし方は決してオールドファッションではなく、人間らしい生き方にはこれからも必要なものだと強く思う。

    まいのように感受性豊かで、しかも多感な時期の子にとって、おばあちゃんが教えてくれた死生観はどれだけ救いになっただろうと思う。最近私自身の死への考え方がまいのお父さんが死について話したその言葉通りだったので、違う意味で、しかもあまり望んでいない形で、この物語が私の中に残っていたんだと苦笑してしまった。死について何が正しくてどれが本当なのかなんてわからないけれど、私もおばあちゃんのように死を捉えてみようと素直に思った。魂の脱出が成功したら、守りたいもののそばにその後も寄り添える気がして、それって素敵、と思ったから。

    児童文学ということもあって、短時間で読めてしまう物語ですが、本当に本当に素敵な物語です。多くの人に手に取ってもらいたい作品です。

    • ふーみんさん
      ずいぶん昔にこの本を読みましたが、あの時の心の震えが蘇りました。そうそうそうなのよ、と魂の共鳴を感じる感想でした。私の思っていたことを明晰な...
      ずいぶん昔にこの本を読みましたが、あの時の心の震えが蘇りました。そうそうそうなのよ、と魂の共鳴を感じる感想でした。私の思っていたことを明晰な文章にしてくださって、ありがとうございます
      2023/08/18
    • URIKOさん
      >ふーみんさん

      コメントありがとうございます!
      とてもうれしいコメントをいただき、びっくりするやら恐縮するやら。
      いつも迷走しなが...
      >ふーみんさん

      コメントありがとうございます!
      とてもうれしいコメントをいただき、びっくりするやら恐縮するやら。
      いつも迷走しながら感想を書いているのですが、書き続けてよかったと心から思いました。
      この作品についてはどれだけ感想を綴っても足りない、伝わらない気がしたのですが、この素晴らしい作品を通して、ふーみんさんと共感できたことがうれしいです。
      2023/08/18
  • 随分前に、友人から譲られて、ずっと読む機会がなく、置いておいた本。
    ようやく読めた。

    加納まいは、中学生になって、イジメを受け、学校に行けなくなった。
    心配した両親の勧めで、田舎に住む、お婆ちゃんの元に行く事になった。
    自然に溶け込み、ゆったり住むお婆ちゃんによって、徐々に、生命力を回復していくまい。

    まいは、ある日、お婆ちゃんが魔女である事を知らされる。
    ワタシにとって、魔女は「サマンサ」かなぁ。

  • 梨木香歩さんの名前や作品名はよく聞くが読んだことがなく、この「西の魔女が死んだ」が最初の出会いとなる。
    タイトルから、恐ろしい場面が出てきたら嫌だなというのが頭の片隅にあったが、心配無用だったし児童も読める内容の作品とは知らなかった。
    ブクログのレビューだけで5000件を超えている程、多くの人に読まれている超ベストセラー作品なんですね。

    西の魔女の語り口が、イギリスの実直なおばあちゃんを想像させるのにピッタリで、最後まで落ち着いた感じでいい雰囲気だった。

    まい「死んだらどうなるの?」
    魔女「おばあちゃんが死んだら、知らせてあげますよ。」

    という途中の会話が脳裏に沁みついて、ずーっと、どのように知らせるのかが気になりながら最後まで読んだ。

    そして、ある方法で知らされ、さらに「アイ・ノウ」という魔女の声までもが、まいに届けられた。


    併録されている25ページ程の「渡りの一日」は、まいが転校してやっとできた友達ショウコとのある日の出来事だ。
    「西の魔女が死んだ」で、まいは「魔女修行」を行い生きていくのに大切なことを学ぶ。
    その中の一つが、「何事も自分で決める。自分で決めたことは最後までやり通す。」ということだが、時には周囲の人達の負担にもなったりする。
    このことの善し悪しについても考える物語になっていると思った。

    • ひまわりさん
      おはようごさいます。私もこれから読んでみます
      おはようごさいます。私もこれから読んでみます
      2022/11/05
    • Kazuさん
      ひまわりさん。
      はじめまして。
      とてもいい本だと思います。じっくりと、楽しんでくださいね!
      ひまわりさん。
      はじめまして。
      とてもいい本だと思います。じっくりと、楽しんでくださいね!
      2022/11/05
  • 「西の魔女が死んだ。」という冒頭の部分から、こわごわ読んでみると、そこには孟宗竹やら楓など大自然に囲まれた描写がどんどん広がってきて、心地よい世界に浸ることができた。
    裏山の雑木林の床一面に覆われた、真っ赤なルビーのような野いちごの群生。
    その野いちごで、おばあちゃんと一緒に作った鍋いっぱいのジャム。
    大鍋でお湯を沸かして布巾を煮沸し、たらいの中で足踏みをして洗ったシーツなど。
    山の中でまいがおばあちゃんと一緒に過ごした日々が、とてもうらやましく思えた。
    「人は死んだらどうなるの」という問いにも真摯に答えてくれた、素敵なおばあちゃん。
    まいが学校へ行かなくなった本当の理由も、おばあちゃんには素直に話すことができ、私もまいと一緒に清々しい気持ちになることができた。
    お気に入りの一冊がまた増えてうれしいです。

  • 大好きな本!
    学校での人間関係に疲れたまいは、田舎のおばあちゃんのうちで療養することに。そこでの生活がまいを「魔女」として成長させていくストーリー。
    おばあちゃんの大樹のような安心感・どっしりと包み込んでくれるような優しさが大好きです。
    まいも「扱いづらい子」と言われ傷ついていたけど、自分で物事を考えられる素晴らしい子だと感じました。

    おばあちゃんの暮らし方は、今で言う【ミニマリスト・丁寧に暮らす】系。まいの両親がそれを時代に逆行していると感じている部分もあり、また違った発見があった読書でした。

    多感期の子供が「死」についてちゃんと向き合えるように、おばあちゃんが自分の信じている事を話す場面が好き。ラストのおばあちゃんの思いやり・約束のは果たし方が最高にカッコいい。素敵です。こんなおばあちゃんになりたい!

  • 梨木香歩 著

    あまりに有名な「西の魔女が死んだ」を今更ながら
    読了。タイトルはまるで絵本のような作品を想像してしまう…惹かれるタイトル。
    淡々としているが、わりとリアル…でも、西の魔女がいる世界(おばあちゃんの家)では、気持ちの良い風が吹いていて…自然との営みの中の暮らしが、とても心地良い。
    梨木さんの作品は(と言っても、まだ2作目なんだけど…)花や植物たちの息遣い、そこにある林や緑
    の情景が手にとるように感じられるのが、すごいと思う。
    しかも、花や草木、鳥の名前まで、色々知れて楽しくてワクワクしてしまう。ジャムの作り方やエプロンの作り方まで、そこで、おばあちゃんに伝授されてるような親近感を持って読んでいられる。
    まず、何より、おばあちゃんの居なかった私には、羨ましい限りだった。(こんな、素敵なおばあちゃん居ていいなぁと素直に感じる場面が多くて…)
    大好きなおばあちゃんといた幸せな時間に、心のしこりを残したまま、お別れするのは悲しかったけど、人はいつでも生きてるうちは、まだまだ、時間も残っていて、やり直すのに十分な時間があると思ってしまうものだ…まさか、死んじゃうなんて、それは、とても呆気なくて、残された者は後悔しか残らない。どんなに生きてる間に、よくしても後悔は残るものだと私なりの持論はあるが、
    「ニシノマジョ カラ ヒガシノマジョ へ
     オバァチャン ノ タマシイ、ダッシュツ、
     ダイセイコウ」というメッセージ見た時は
    心から良かったって思った。
    人は自身も含め、残念ながらお別れのサインを送る事は…なかなか出来ないものだから。
    この魔女のようなお話にすんなり入っていけたのは、私自身、子どもの頃から少し霊感がある…なんて言えば、気味悪く思われそうだが(実は、みんな、子どもの時は持っているんだ、少し、感じ方が敏感か?どうかだけで…)子どもの時は 何か、不思議な体験しても、自分もまわりの子どもたちも、全く不思議な感じがなくて…素直に「すごい!」なんて言われて、得意になった事もある しかし、大人になるにつれ、勘が働くというか感受性が強いのか?ここの空間にうけつけないものを感じるという感覚くらいで、絶対に霊感強いなんて思われては駄目だって思うようになった
    気味悪がられるだけだと気づいたからだ。
    だんだん…子どもの頃より不思議な体験はしなくなったし、大人になるにつれ、霊感的なものも当てにならなくなったので、何故か安心していたのだ、、しかし、
    なくならないものが一つだけある 
    友達や親や身近な存在で付き合ってる人が遠くに行ってしまう時、必ず、前夜か当夜に夢で見てしまうのだ〔ディジャブみたいな感じ〕本当にそれは、転勤であったり、(転勤だとか引越しだと、ほっとする)亡くなる前だったり…こんな才能とも呼べない嫌な予感の夢は…とても残念だが、いつも当たっており、嫌になる。
    でも、この作品読んでると、人には皆んなそれぞれの悩みや…厄介事があるって事なんだなぁと妙に感慨深く、感じた。
    余談が多くなり過ぎたが、知っていても、おばあちゃんがそうしたように、答えを示すのではなく、自分で考えて自分で決めるのを見守ってくれる優しい存在になることが大切だと思えた。

    解説で 裸足で立ってみて下さいと書いてあった
    「靴と靴下を脱ぐのは、最初ちょっと抵抗あるかもしれませんが、きっと何かが目覚めるような感覚を体験出来ると思います」
    そして…私は思い当たった 随分前に 沖縄宮古島に旅行に行った時、砂山ビーチに出るまでの間、狭い砂利道のような所から、「騙されたと思って 靴と靴下を脱いで歩いてみて下さい!本当に気持ちいいから…」とバスガイドさんに言われ、嫌々というかグズグズととりあえず、靴と靴下を脱いで歩いてみた
    それがもう、一気に子どもの時の解放的な気分と心地良い感覚に感動した
    そうなんだ!文句ばかり言ってないで、いいという事は試した方がいいし、妙に勘が、勝手に働く私でも、自然と寄り添って生きていけば、大丈夫って気持ち!!

  • 純粋な子供の気持ちをすごく繊細にあらわされていてよかったです。生きるということは人の体を借りて魂が成長すること、「魔女になる」という目標を立てることで人として成長いくこと、死というものは悲しいものであるが、全くの無になるわけではなく魂は生き続ける(きっと他の人の心の中で)ということが書かれてありました。子供だけでなく親としても是非読んでみてもいい作品だと思いました。

  •  中学校入学後間もなく、学校が苦痛で溶け込めなくなってしまった主人公のまい。
     そんなまいが、英国人の祖母「西の魔女」と過ごした1ヶ月余りの日々を、回想する形で物語は進みます。
     祖母は、魔女の修行と称して、大きな包容力で孫娘に関わり、「意志の力」(自分で決める力、自分で決めたことをやり遂げる力)の大切さを説くのでした。
     更には、自分にとって何が幸せなのか、人間には本来、予想される困難を避けたり耐えたりする力が備わっているのだと教え、上手にまいの潜在能力を引き出していきます。
     いきなり「西の魔女が死んだ。」で始まる物語ですが、死やいじめからイメージする悲壮感がなく、自然の中で瑞々しく爽やかさを感ずる印象さえもちます。
     大人が読んでも、当たり前の生活の中にある大事なことを教えられる気がします。多くの中学生に読んでほしい、読み継がれてほしい名作と呼べる一冊だと思います。

  • 自分の祖母を思い出した。
    家や学校にちょっと疲れた時、簡単に日常から離脱できる場所、それが祖母の家。

    たっぷりした朝食。
    庭に椅子を並べて、背もたれに渡すように布団を干した景色。
    梅をザルに並べて土用干し。
    どれも慌ただしい自分の毎日とは全く違う。
    懐が広く、ちょっと辛辣で、一人の生活を楽しんでいた祖母。

    この話の主人公のまいにも、心を預けられるおばあちゃんがいて良かった。

    私も自分の生活を愛せるおばあちゃんになれるだろうか。

  • 小さい頃に読んだ以来、今回なんとなく手にとったが、大人になって読むとこういう生活が一番キラキラしているなぁと感じる。
    のんびり、規則正しく、丁寧に。

    「この一見古風な生き方は、実は、古くもあり、同時に最も新しくもあります。それは、まさに現代社会に生きているまいが、自分の力で立ち直り、自分の足で歩きはじめるのに有効であったということからもわかります。」あとがきより。

  •  いじめに合っている子(またはその家族)に是非読んで頂きたい本。易しい文章なので、小学校高学年くらいだったら読めるかと思います。

     いじめに対抗して、正面から相手に立ち向かうのではなく、自分の居心地が良い場所を見つけるというのも一つの策です。「居心地の良い場所なんてない」と悲観的に思うかもしれませんが、あなたがまだ出会っていない新しい登場人物たちが居心地の良さを提供してくれるかもしれない。

     殻に引きこもる前に、まずは新しい場所へ一歩踏み出す勇気を与えてくれるようなお話です。

    ---------------------------------
    【本書より抜粋】

    まい(主人公)
    「わたし、やっぱり弱かったと思う。1匹狼で突っ張る強さを養うか、群れで生きる楽さを選ぶか。」

    西の魔女(まいの祖母)
    「その時々で決めたらどうですか。自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ。サボテンは水の中には生える必要はないし、蓮の花は空中では咲かない。シロクマがハワイより北極で生きる法を選んだからといって、だれがシロクマを責めますか。」
    ---------------------------------

    • Reyさん
      土瓶さん
      こんにちは。コメントでは初めましてですね。
      コメントありがとうございます!

      今更ながら有名な本書を手に取りました。土瓶さんのレビ...
      土瓶さん
      こんにちは。コメントでは初めましてですね。
      コメントありがとうございます!

      今更ながら有名な本書を手に取りました。土瓶さんのレビューにもありました通り、私ももっと早く読みたかったと思いました!

      親子関係、確かに気になりますね。
      (セリフがすごく無骨ですし‥)

      〝母と娘〟よりも〝祖母と孫〟は、少し俯瞰したような互いの距離感があり、子どもへの接し方の違いが妙にリアルでした。
      2022/09/26
    • 土瓶さん
      いきなりのコメント失礼しました~(⁠;⁠^⁠ω⁠^⁠)

      コメント好きなもので。
      これからもよろしくです。
      いきなりのコメント失礼しました~(⁠;⁠^⁠ω⁠^⁠)

      コメント好きなもので。
      これからもよろしくです。
      2022/09/26
    • Reyさん
      土瓶さん
      コメント、大歓迎です!
      これからも宜しくお願いします。
      土瓶さん
      コメント、大歓迎です!
      これからも宜しくお願いします。
      2022/09/26
  • 同じ著者の「家守奇譚」に感動して手に取った一冊。
     
    名前だけは聞いていたが読んだことのない作品でした。
    ああ、もっと早く読んでおくべきだったかな。
    せめて主人公と同じくらいの歳のうちに。

    この物語の主人公は中学生の「まい」です。
    そして最も重要な魔女の役を務めるのは「まい」のおばあちゃんです。
    しかし、わたしは物語の後半、そのどちらでもなく、「まい」の母親であり、魔女の娘である母親に感情移入してしまいました。
    読み終えた今、彼女にママという以外の呼ばれ方があったかどうかも思い出せません。
    それでも彼女のことを想ってしまうのです。
    もっと彼女にも光を与えて欲しかったな、と。

  • 「西の魔女が死んだ」。冒頭でとても引き込まれた。そこから登場する主人公まいとそのおばあちゃんの関係にどうしても終わりが来ると想像してしまい、近いうちに訪れる終わりを感じながら読み進めた。
    祖母はまいに魔女修行と称して一人の人間として独立する術を教えていた。「意志の力、自分で決めたことをやり遂げる力」が大事だという教えはいつの時代でも大切なことだ。なんでも人に聞くことができ、さらに言うとAIに意思決定を任せることすらできるこの時代で、自分で選ぶ力は自分であることを証明してくれると感じた。併録されていたまいのその後の物語ではまさにまいは精神的な独立を成し遂げているように思えた。
    自分で見ようとしたもの以外には耳を貸さないという考え方は生きやすくもあり、それでいて危険も孕んでいるなと感じた。もちろん意味のない悪魔のささやきやいわれもない中傷などには一瞥もくれてやる必要はないが、それが悪魔のささやきなのか自分の身を案じてくれた魔女の注意なのかはどう判断するのだろう。祖母の他人の意見には惑わされないまっすぐとした生き方を彼女は「オールド・ファッション」と言っているように感じたが、その言葉にも自分と他人は理解しえないというあきらめがあるように感じた。結局この本を通してどちらの考え方が今の時代に適しているのか余計分からなくなったような気がしたが、結局は自分で決めることが大事という大きな教えに立ち返ればよいのだということに気が付いた。
    ゲンジさんの最後の行動はよく理解できなかったし、祖母の庭の再開発をまいの土地が防いだという話も詳しく聞きたいし、銀龍草と祖母との物語も続きがありそうでもっと書いてくれたらいいのにと思った。

  • まるで絵本を読んでいるかのような、とてもきれいな小説。

    おばあちゃんの生き方は、まさに魔女と呼ぶにふさわしい。日々に感謝しながら、自然と一体となり生きる。自分の手が届く範囲だけを、最大限に活用しながら暮らす。つつましやかでも質素でもなく、むしろ「飾らない」とでも言うべきおばあちゃんの生活は、「なんでも自分で決める」という魔女の心得どおりのものであった。

    この本の結末は、タイトルどおり魔女が死んでしまうのだが、その明るさと優しさが相まって、死すら軽く楽しいものであるかのように見えてくる。今生の別れだという寂しさを微塵も見せなかったおばあちゃんは、さながら来年も芽を出すたんぽぽのように、風に乗ってどこか遠くへ行ってしまった。
    その朗らかな魂は、まいの心のなかにこれからもずっと生き続けるのだ。

    読んでいて悲しすぎず寂しすぎず、カラッとした感動を植え付けてくれた本であった。

    • だいさん
      最近はなかなかお目にかかる機会がないが
      仙境に達する老人がいる
      やはり ばあちゃんはカワイくなくちゃ ネ
      最近はなかなかお目にかかる機会がないが
      仙境に達する老人がいる
      やはり ばあちゃんはカワイくなくちゃ ネ
      2021/06/08
  • 西の魔女と過ごした
    宝物のような短い日々。

    心と体はひと繋ぎであり、心の健康は
    体の健康によって培われ強く輝くことを
    言葉ではなく、ゆるやかに体と心に染み込ませ
    気づかせてくれる。

    眠ること、食べること、作ること、
    育てること、生活のリズムをとること。
    特別なことではなく、基本の大切さや
    心を直感や私情で滞らせることなく
    柔らかに動かすことであらゆる問題を解いていく
    道筋を教えてくれたおばあちゃん。

    大好きな花や草木、鳥たちがいっぱいで、
    風の音が、匂いが、朝露が感じられ、
    まいちゃんのように魔女の優しさに包まれて
    いつの間にか全身がほぐれていく。
    本を開くたび西の魔女からのプレゼントのように
    いつでもここに優しさと光が待っている。
    かけがえのない1冊になりました。

  • いい話でした。
    温かい味噌汁を飲んでいる時みたいな、なんともほっとする感じと似ている。
    毎日、負の感情が涌き出る時に、読み返したい一冊。
    蔵書します。
    おばあちゃん、大好き

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著者プロフィール

1959年生まれ。小説作品に『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』『丹生都比売 梨木香歩作品集』『裏庭』『沼地のある森を抜けて』『家守綺譚』『冬虫夏草』『ピスタチオ』『海うそ』『f植物園の巣穴』『椿宿の辺りに』など。エッセイに『春になったら莓を摘みに』『水辺にて』『エストニア紀行』『鳥と雲と薬草袋』『やがて満ちてくる光の』など。他に『岸辺のヤービ』『ヤービの深い秋』がある。

「2020年 『風と双眼鏡、膝掛け毛布』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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