奇跡の人 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (574ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101270227

感想・レビュー・書評

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  • 読み出しが素敵な内容で、期待していたけど、後半からあまり共感できないような内容で、終わり方もすっきり!とはなりませんでした。
    記憶をなくしたら、自分ならどうなるか。
    その問いかけができたのはよかったと思いますが、後味があまり良くないかなとも思います。

  • 途中から克己の執念が正直怖いくらいで、気色悪く、そりゃあ拒絶されるよなぁと思った。が、自分が分からなくなれば、あんな風に昔に執着したくなるのかもしれない。聡子が対応を間違わなければ、もっとスムーズにいった気がするけど。
    解説にもあったけど、ミステリというより人間ドラマ。

  • 8年前の事故から新たに生まれなおしたと言っていい克己は、まだ心は少年である。
    学力も中1レベル。
    人生の全てを病院で過ごしたと言ってもいいくらいである。
    そんな彼が退院してひとりでやっていけるのか。

    リハビリの辛さ、入院仲間との絆、医者や看護師への信頼。
    そういうことをきちんと書いてあるからこそ、その先の生活の大変さが思われてしょうがない。
    生活に必要な技術は病院で教わった。
    お金の管理は院長先生を通して会計士がやってくれる。
    民生委員が仕事を見つけてきてくれ、日々の生活の細かなところも気にかけてくれる。
    理解のある社長と面倒見のいい先輩社員たち。
    少し行き違いがあったりもしたが、親身になって面倒を見てくれる隣人もできた。

    順風満帆であればあるほど、物語の序盤から何度か出てくるフレーズが気にかかる。
    「ぼくは母を深く信じたいと思っている。」

    母が遺してくれたノート。遺してくれた家。遺してくれた過去。
    母が巧妙に作り上げたそれに亀裂が入ったとき、克己は自分の本当の過去を探し始める。
    なぜ母は過去を隠したのか。どんな過去が隠されているのか。

    誰もが「過去を探すよりも、現在や未来を生きるほうが大事だ。」と言うけれど、過去と繋がっていない人間なんていない。

    退院して数ヶ月しかたっていないのに、初めての長距離移動なのに、ホテルをとったり飛行機のチケットを取ったり、東京で公共の交通機関の乗り継ぎが適切だったりと、いろいろ都合の良い展開もあるけれど、早く先を知りたいという気持ちには合致していたので、そこはまあもごもご。( ̄* ̄ )

    でも、最後の「母のエピローグ」はいらないと思った。
    克己がこの先の人生を共に生きたかったのは母という存在ではなかったのだから。

  • 2014.10.2(木)¥250+税。(-2割引き)
    2014.10.25(土)。

  • いつもの真保さんの作風とちょっと違う感じだったので読んでみた。事故で身体的には奇跡的な回復をしたけれども、事故の前の記憶は帰ってこなかった。その失われた記憶を探して、主人公は東京へ旅立つ。そこで会う昔の仲間と再会することで、事故の前の自分と向き合うことになってしまう。前半はとても共感できたのに、後半はちょっと共感しづらい内容になっていた気がする。悲しい終わり方だった。

  • もし自分が過去の自分を一生思い出せなくなったら…今を生きるか過去の自分を探すか、どちらだろう。

  • 止まらず読んだ。克己が生まれかわってどんな人生を歩むのか気になった。
    人は赤ん坊の状態からうまれかわったらまた同じような生き方を選ぶのだろうか。
    この本を読んで誰でも人の根底にあるものは変わらないと感じた。しかし、克己が生まれかわって接してきた人々は温かい人ばかりだった。
    だから克己は過去の自分とは違うのであり、同じ境遇になった時に違和感を感じるのは当然のことなのだ。人の根底は変わらずとも、環境によってその人の考え方や生き方は180度変わるものだろう。
    だから、私にはなぜ克己があんなにも過去の自分に執着したのかわからない。終わったことだ。生まれかわったことだ。でもそれは今までの蓄積をすべて知ってきた私だからこそ言えるのかもしれない。私が克己のように無知な状態からのスタートだったら、同じように昔を遡ってしまうのだろうか。
    私はやりなおしたいとよく思う。すべてやりなおせたらと。そしたら今度はもっと自分らしい道を進みたいと。でも過去の自分が何をしたかわからない状態からのスタートはとても不安なのだろう。過去があって、今がある。どんなに思い出したくない過去でも過去がなければ今の自分はないんだ。

  • 事故で記憶喪失になった主人公が、昔の自分を知ろうと奔走する話です。主人公に対して「もうその辺で止めときなよ…」と何度思ったことか…
    かなりイライラ、モヤモヤしながら読んでいましたが結末が気になってどんどん読み進めていけました。
    実際こういう事例があったら、難しいとは思いますが…

  • 後半からどんどん重苦しくなってきます。
    「三つ子の魂百までも」ということわざを思い出してちょっと怖いです。

  • 070403

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著者プロフィール

真保裕一(しんぽ・ゆういち)
1961年東京都生まれ。91年に『連鎖』で江戸川乱歩賞を受賞。96年に『ホワイトアウト』で吉川英治文学新人賞、97年に『奪取』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞長編部門、2006年『灰色の北壁』で新田次郎賞を受賞。他の書著に『アマルフィ』『天使の報酬』『アンダルシア』の「外交官シリーズ」や『デパートへ行こう!』『ローカル線で行こう!』『遊園地に行こう!』『オリンピックへ行こう!』の「行こう!シリーズ」、『ダーク・ブルー』『シークレット・エクスプレス』『真・慶安太平記』などがある。


「2022年 『暗闇のアリア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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