だから見るなといったのに: 九つの奇妙な物語 (新潮文庫nex)
- 新潮社 (2018年7月28日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101801322
作品紹介・あらすじ
色とりどりの恐怖をどうぞ召し上がれ。あのとき、目をそらしていたら。でも、もはや手遅れ。あなたはもとの世界には二度と戻れない。恐怖へ誘うのは、親切な顔をした隣人、奇妙な思い出を語り出す友人、おぞましい秘密を隠した恋人、身の毛もよだつ告白を始める旅の道連れ、そして、自分自身……。背筋が凍りつく怪談から、不思議と魅惑に満ちた奇譚まで。作家たちそれぞれの個性が妖しく溶け合った、戦慄のアンソロジー。
感想・レビュー・書評
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「だから見るなといったのに」ですと!?
じゃあ、結果を知ってるなら勿体ぶらずに、
「こうなってしまうんだよぉぉ~……」と何が起こるのか具体的に教えてくれい!
そしたら踏み込まなかっただろうに…と焦れったくも愕然とした話は、織守きょうや「とわの家の女」。
澤村伊智「高速怪談」は、乗り合わせた者による狭い車内での告白が冗談じゃないよ!とゾワッとした。もう逃れられない…と迫りくる恐怖の描写が流石であった。カタ:( ;´꒳`;):カタ -
何か絵だけのヤツもあった…
趣向は良いけど、活字がええな。
怖い感じやけど…
澤村さんが好きで読んだけど、何か意味不明のもあった。
ホラーというほど、怖くはないけど、何かゾワゾワ感が…
SFっぽいのもあり、軽く読むのには良い感じ。
「世にも奇妙な物語」みたいな感じかな?
澤村さんのは、良いけど、それ以外では、
「自分霊」
「ヤブ蚊と母の血」
かな?
でも、自分の将来なんか自分の好きに、生きたら、ええと思うで!どんな形でも。忠告なんか要らん!
ヤブ蚊のは、何か後味悪くて、気持ちええではないけど、何か良かった。
でも、電車で読んでると、(-_-)zzzのもあったな。
ライトなホラーかな… -
芦沢央さんの話が特に好きだった。「怖い!」というより「ああ、なるほど」と納得できる奇妙さがよかった。織守きょうやさんの話は「先読めちゃうなあ」がひっくり返されるのが気持ちいい。前川知大さんの話は終わり方に「ん?」となったけれど、プロフィールを読んで「劇作家さんか、たしかに舞台的な表現かもしれない」と、なんだか妙に納得できた。
あまり好みではない話やなんだか腑に落ちないなあと思うものもあったけれど、それらを総合しても面白い一冊だった。 -
小説新潮2014年8月号:あまりりす(恩田陸)、 破落戸の話(海猫沢めろん)、うしろの正面(さやか)、ヤブ蚊と母の血(前川知大)、誕生日(北村薫)、2017年8月号:妄言(芦沢央)、とわの家の女(織守きょうや)、自分霊(小林泰三)、高速怪談(澤村伊智)の9篇を2018年8月新潮文庫から刊行。じわじわ、ずんずん、??の怖い話が続き、楽しめました。「妄言」のラストが好きです。
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怖い話、奇妙な話を集めた短編集。
図書館本。
『色とりどりの恐怖をどうぞ召し上がれ。』とのキャッチコピーだが、よっぽどホラー系が苦手な人でない限り、特に怖くはない。「世にも奇妙な物語」的な感じ。
どちらかというとミステリーやショートショートっぽく感じた。
全体に消化不良というか、なんだかなあ~という感じの話が多い。短時間で読めるものが多いので、初めての作家の雰囲気を知るのには良いかも?(恩田陸はあまり典型的じゃない気はするが)
◆恩田 陸「あまりりす」
ボイスレコーダーに記録された、とある会合の様子。某地方で37年に1度行われる祭り、そして“あまりりす”とは?
う~ん、ホラーで全てが明らかにはならないって手法は好きなんだけども、これは……明らかにならなすぎ。消化不良もいいとこ。
◆芹沢 央「妄言」
中古とはいえ夢のマイホームを手に入れた塩屋夫妻。親しげな隣人、おめでたと、新居での生活は順調に思えたが、ある日、妻の様子が……?
イヤミスの名手だけに、期待通りのイヤ~な話。
ただ、短編だからなのか構成の関係なのか、展開が急過ぎてなんだかなあ。最後のオチも、その前にバレる可能性高し。とはいえ、伏線をしっかり回収しているのはさすが。
◆海猫沢めろん「破落戸の話」
久しぶりに会った友人の謝花。ヤクザ者の彼が、物書きのMに語る心霊話。
色々な心霊話の詰め合わせ。実話系なのか完全にフィクションなのかは知らないが、心霊譚としてはこれが一番面白く感じた。
最後の方のMの言い草があんまりなので、謝花が気の毒。そりゃ怒るわなぁ。
◆織守きょうや「とわの家のおんな」
料亭での打ち上げの帰り、ひょんな事から知り合った“とわの家”の芸者・糸香。彼女にのめり込む住野に、“とわの家”の芸者に惚れてはいけない、男女の仲になってはいけない、と上司は言うのだが。
く、くだらねぇ~!そっちかよ!
オチでがっかり、読んで損した気分。
まあ雰囲気は悪くないんだけど、それを完全にぶち壊すオチ。糸香の純愛を返せ(笑)。
◆さやか「うしろの、正面」
ちょっと怖い雰囲気のイラストストーリー(?)。
◆小林泰三「自分霊」
二浪して希望の大学に合格した稟奈。しかし、安心と気の緩みで講義にも出ず、遊びとバイトに明け暮れる生活になってしまう。そんな折、アパートの自室に幽霊が……?!
ちょっと変わった話。タイトルから何が出るのかは察しがつくのだが、その後が……。まあ、似たような展開の話はあると言えばあるんだけど。
◆澤村伊智「高速怪談」
関西へ帰省する5人の知人たち。交代で運転しながら高速道路を西へ向かう。その車中での話題が、次第に怖い雰囲気に?
ホラーや実話怪談などにそこそこ登場するオチなので意外性はなかったが、それまでのストーリーが面白かった。オチはもう一工夫ほしい気が。
◆前川知大「ヤブ蚊と母の血」
10歳の時に母がいなくなり、父と2人暮らしのアユム。家のことを一切省みない父に代わり、アユムは裏庭の家庭菜園で野菜を育て、食卓を維持してきた。ある疑念を抱えながら……。
奇妙な味の話。ネグレクトから始まって、まさか中学生であんなことになるとは(笑)。
◆北村 薫「誕生日 アニヴェルセール」
侯爵家の双子の息子。産まれた順番が将来の明暗を分けた。太平洋戦争の最中の7月、病に伏せる次男の寿家は過去に思いをはせる。
こちらも、もったいつけたわりに大したオチではない。ポー、ユイスマンス、ネルヴァル、モロー、ドラクロアなど、知らないとピンと来ない作家や画家の話が続くが、知らなくても全然問題なし。 -
恩田陸『あまりりす』、芦沢央『妄言』、澤村伊智『高速怪談』が特に怖い。怪異の存在、怪しい隣人、怪談。様々な種類の恐怖を感じ、ゾッとする。
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どういう経緯でこのアンソロジーが編まれたのかはわからないが、全部、小説新潮の2014~2017年の「8月」号からなのね。道理で夏の話やお盆や終戦記念日の話ばかり。
恩田陸がいささか軽め。芦沢央もちょっと拍子抜けかなあ。織守きょうや、澤村伊智◯。1番よいと思ったのは前川智大『ヤブ蚊と母の血』これは面白かった。タイトルからは全く想像出来ない話だけどね。最後は北村薫がギュッと閉める。
それにしても、なぜこのアンソロジーを読もうと思ったのだったかどうでしも思い出せない。自分霊となってそう思った時の自分に訊いてみたいものだ。 -
澤村伊智さんの「高速怪談」が特によかった
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九人の作家、イラストレーターによる短編集。
作品には定評のある有名作家ばかりなので、物語の面白さはお墨付きだ。
「あまりりす」はわからないことに対する恐怖。
物語の中では口にしてはならない何かのことが語られる。
上手いのは最後視点をガラリと変えてくるところ。
暗雲しか立ち込めない終わり方は本書の幕開けにふさわしい。
白黒はっきりつけたいタイプの読者にはもやもやの残る終わり方かもしれないが。
「とわの家の女」
お座敷を担う芸者に惚れた男。
芸者も、男に惹かれ、二人は永遠の愛を誓おうとした。
しかし周りからは絶対にダメだと言われている。
客と芸者の関係を崩すな。
そう言われたら踏み込みたくなるのが人間の性。
待ち受ける結末は、思っていたのと違う。
なぜ永遠に一緒にはいられないのか。
悲恋の結末は絶望の慟哭が聞こえてくるようだ。
「高速怪談」は夜中に読むべからず。
走る密室の中、告げられた言葉は恐怖しかない。
それからこれ、漫画になったらトラウマになる。
『地獄先生ぬ〜べ〜』の海坊主の回が今でもトラウマになっているように。
見るな、と言われるとみたくなる。
言うなと言われたら言いたくなる。
九つの恐怖とミステリー、力のある作家たちの作品もぜひ。
最近は芦沢央に注目している。
ざわつく日常の恐怖がおすすめだ。
夏のお花+果物の方……w
夏のお花+果物の方……w
でもヤバイ…果物の方、ここをまだチェックしてないかスルーしてるのか…|д・) ソォーッ…...
でもヤバイ…果物の方、ここをまだチェックしてないかスルーしてるのか…|д・) ソォーッ…
当分隠れますね|彡 サッ!!