家守綺譚

  • 新潮社
4.06
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104299034

作品紹介・あらすじ

たとえばたとえば。サルスベリの木に惚れられたり。床の間の掛軸から亡友の訪問を受けたり。飼い犬は河瞳と懇意になったり。白木蓮がタツノオトシゴを孕んだり。庭のはずれにマリア様がお出ましになったり。散りぎわの桜が暇乞いに来たり。と、いった次第の本書は、四季おりおりの天地自然の「気」たちと、文明の進歩とやらに今ひとつ棹さしかねてる新米精神労働者の「私」と、庭つき池つき電燈つき二階屋との、のびやかな交歓の記録である。

感想・レビュー・書評

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  • なんとも不思議な世界に迷いこんでしまいました。
    とても心地よい(〃ω〃)
    装丁も素敵です♪
    好きなんですよ物怪、妖怪…

    百年すこしまえの物語。
    サルスベリ、河童、タツノオトシゴにマリア様
    男は湖で亡くなった友人の家に住み、不思議な者達と違和感なく過ごしている。
    とても美しい風景が浮かびます。

    羨ましい…わたしもこんな暮らししてみたい(´ー`)


    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      おはようございます♪

      うちの近くの図書館には冬虫夏草は貸出中で並んでなかったし、
      村田メンディ滞土録(笑)は、なかったので、他の図書館か...
      おはようございます♪

      うちの近くの図書館には冬虫夏草は貸出中で並んでなかったし、
      村田メンディ滞土録(笑)は、なかったので、他の図書館から、数日かけてお取り寄せして読めたのですよね。

      教えてもらって良かったですよ、私も(*^^*)
      村田さんのお話も、胸にグッとくる素晴らしい作品でした!!
      感謝してます!!読めて良かった(*˘︶˘*).。.:*♡
      2023/06/03
    • おじょうさん
      最初読んだ時は、変なはなしと思ってましたが、次に冬虫夏草を読んで、はなしがみえるようになりました。花や草や不思議な者達は、同じ位置にいるのね
      最初読んだ時は、変なはなしと思ってましたが、次に冬虫夏草を読んで、はなしがみえるようになりました。花や草や不思議な者達は、同じ位置にいるのね
      2023/07/07
    • みんみんさん
      はい〜自然の中にたくさんいますね(๑•∨︎•๑)
      はい〜自然の中にたくさんいますね(๑•∨︎•๑)
      2023/07/07
  • チーニャさんの素敵なレビューで興味を持って読んでみました。

    なんとも不思議な雰囲気の話でした。亡き友の家の管理を任されてとゆうかほとんど草木は伸び放題なんですが無精者の物書きが主人公。いきなり死んだはずの友人が現れても動じないどころかサルスベリに惚れられるとか。
    カッパや狸、狐に、マリヤ様まで降臨して入信の誘いとか和尚に相談しようと考えるところが滑稽で笑えました。
    もう何が出てきても自然な雰囲気で、隣のおかみさんも犬好きで面倒見が良くって差入れてくれるし、牛尾山が出てくるので山科か大津あたりに住んでる感じかな。
    商売っ気のある長虫屋とは反りが合わない様子なんですが何かとバッタリ会うところが面白い。母方の祖父がカワウソとか弟は御札屋をしてるとか奇天烈でした。
    増水したりすると境界がはっきりしなくなり人以外の生物がひょっこり入り込んでくるところが愉快でした。

    犬のゴローが何かと手助けしてくれるのですが、仲裁犬として鈴鹿の山までその名が轟いているとか。
    続編が気になるっw

    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      おはようございます!!

      『鈴鹿は、ホームマウンテン!』
      クゥ〰️!!カッコい〰️っ!!
      半端ないですね-。山好き具合!!

      梨木さんは、鈴...
      おはようございます!!

      『鈴鹿は、ホームマウンテン!』
      クゥ〰️!!カッコい〰️っ!!
      半端ないですね-。山好き具合!!

      梨木さんは、鈴鹿にちゃんと自生する草花を書いている感じですかね…。山に咲くシャクナゲ、ヤマシャクナゲ、凄く素敵でしょうね~
      ☆彡
      森林浴良いですね~♪
      堪能してきてくださいね(*´▽`*)
      2023/04/29
    • つくねさん
      ただいまw
      ゴローを探して登って来ました。
      イワカガミが沢山咲いてました♪
      マツムシソウはもうちょっと高い山じゃないかな?鈴鹿では見たことあ...
      ただいまw
      ゴローを探して登って来ました。
      イワカガミが沢山咲いてました♪
      マツムシソウはもうちょっと高い山じゃないかな?鈴鹿では見たことありません。
      夏の花なんですが鈴鹿はヒルがでるので夏は行かないのです。
      三重側から石榑トンネル抜けると綿貫ワールドになりますけど八風街道沿いにイワナ料理の看板が出てきてイワナ夫婦を探しましたよW
      2023/04/29
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      お帰りなさ~い♪
      ゴローや、イワナ夫婦…w
      探したり…山登りお疲れ様でした〰️(笑)イワカガミ咲いていて良かったですね(*´∇`)
      綿貫ワー...
      お帰りなさ~い♪
      ゴローや、イワナ夫婦…w
      探したり…山登りお疲れ様でした〰️(笑)イワカガミ咲いていて良かったですね(*´∇`)
      綿貫ワールドも、満喫できましたようで…良かったです~\(^-^)/
      2023/04/29
  • 好きな作家さん。
    久しぶりに、不思議な世界に入り、ほっこりとした。

    サルスベリに惚れられたり、犬が居ついたり、
    はたまた、河童やキツネ、狸に翻弄されたり、
    和尚にしても、怪なことをそのまま受け入れている。

    亡くなった友人との、何とも言えないふれあいが、
    楽しく、温かい気持ちにさせられた。

  • 読んでいる途中は評判の高いこの本を私は楽しめているのかなんだか不安で、集中力を欠くことも多かった。
    ところが、いったん読み終えてみると物語の舞台となった京都の外れだろうか、訪れたこともないこの地を綿貫とともにゴローとともに時には漂い時には立ち止まりとすっかり知り尽くしたような気分になるのだから不思議だ。
    私もキツネやタヌキに化かされてしまったのか。

    夏の終わりに読むにふさわしい本だった。
    秋の夜長に虫の音を聞きながらページをめくるのも良いかも。
    気負わず力まず物語の世界を楽しむのが良し。
    私の乏しい草木の知識では景色がすぐさま目に浮かぶなんて無理な話。
    そこはネットの力を借りながら(笑)
    いや、ドクダミくらいは分かりましたよ。
    庭に毎年のようにわさわさとはびこりますから。
    匂いもさることながらその生命力の強さには参ってしまう。

    河童やらカワウソやらに化かされるなんて日常的だった時代。
    物の怪の世界も人間の世界も境界線があいまいで恐れることもなく。
    いいな~、この緩い感じ。
    隣の奥さんとか和尚とかその緩さの代表格。
    むしろ妖怪なんてあたりまえじゃないって位の構えで。
    長虫屋も良かったな。カワウソの孫ってなんだよ(笑)

    関西に住んでいたら週末にでも作品の舞台になった地へすぐにでも行きたいところだけど。
    いや、残念無念。
    ここは続編の「冬虫夏草」を読んでまたトリップすることにしますか。
    面白かったです。
    良い作品、ご紹介ありがとうございました(*^_^*)

    • vilureefさん
      nico314さん、こんにちは!

      ええ、ええ、機が熟すまでですよね(笑)
      とくにこの作品は急いで読む本ではなくじっくり腰を落ち着けて...
      nico314さん、こんにちは!

      ええ、ええ、機が熟すまでですよね(笑)
      とくにこの作品は急いで読む本ではなくじっくり腰を落ち着けて読む本だと思いますから焦らずマイペースで読んでくださいませ(*^_^*)

      私も続編の「冬虫夏草」を読みたいとは思うのですがなかなか落ち着かず・・・。
      で、私も今池井戸潤読んでますーー!!
      やっと回ってきた「銀翼のイカロス」です。
      もしかしてご一緒ですかね??
      2014/09/29
    • nico314さん
      vilureefさん、こんにちは!

      はい、それです!
      先程読み始めました。もうすぐ、きっとスイッチが入りそうな予感がします。
      vilureefさん、こんにちは!

      はい、それです!
      先程読み始めました。もうすぐ、きっとスイッチが入りそうな予感がします。
      2014/09/29
    • nico314さん
      vilureefさん、こんにちは!

      ようやく読みましたよ!
      読み始めた瞬間、「これ好きだわ~!」と気づきました。
      この感覚、「かの...
      vilureefさん、こんにちは!

      ようやく読みましたよ!
      読み始めた瞬間、「これ好きだわ~!」と気づきました。
      この感覚、「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」以来です。
      現在「村田エフェンディ滞土録」を読んでおります。
      2014/10/18
  • 心というものが植物にもあったなら、こんな不思議な世界だって存在するのかもしれない。四季折々の自然に触れるなかで、河童や小鬼、動植物たちとなされる淡々とした日常会話。幻想的で美しく、穏やかで、すべてを受け入れてくれるような感覚。あぁ、日本に生まれてよかったと心から思った。ゆっくりじっくり味わって読んだ。

    • 地球っこさん
      ひろさん、おはようございます。
      はじめまして。

      たくさんの「いいね!」ありがとうございました。

      わたしもこの小説大好きです♪
      ひろさん、おはようございます。
      はじめまして。

      たくさんの「いいね!」ありがとうございました。

      わたしもこの小説大好きです♪
      2022/05/24
    • ひろさん
      地球っこさん、おはようございます。
      はじめまして(*^^*)

      こちらこそ、ありがとうございます。
      素敵な作品ですよね♪続編「冬虫夏草」も読...
      地球っこさん、おはようございます。
      はじめまして(*^^*)

      こちらこそ、ありがとうございます。
      素敵な作品ですよね♪続編「冬虫夏草」も読みたいなぁ。
      涙活の話の中で地球っこさんが挙げていた本、とても気になりました!

      たくさん本のお話ができたら嬉しいです(*´˘`*)♡
      よろしくお願いします。
      2022/05/24
    • 地球っこさん
      ひろさん

      「冬虫夏草」も素敵な作品ですよ。ぜひぜひ♪

      涙活の本として選ぶのはちょっと緊張しました。
      涙のスイッチって、人それぞれですから...
      ひろさん

      「冬虫夏草」も素敵な作品ですよ。ぜひぜひ♪

      涙活の本として選ぶのはちょっと緊張しました。
      涙のスイッチって、人それぞれですからね。
      でも涙本かは別にしても、どの本も大好きなものばかりです(*^^*)

      こちらこそよろしくお願いします。
      2022/05/24
  • 読んでいると、鬼太郎の世界にいる感じがしました。
    登場人物は人だと思ってたけど、実は妖怪だったのか?とわからなくなってしまいました。
    とにかく不思議な話なんですが、ほっこりもします。

  • 早く早くと先を知りたくて読む本と、出来るだけ時間をかけて読みたい本との2種類があるとすれば、これは確実に後者の本。
    著者は、先日「沼地のある森を抜けて」で第16回紫式部文学賞を受賞したばかりの梨木香歩。
    「家守奇譚」は2004年の作品です。
    梨木さんの本はもうこれで何冊目かしら。
    いつもの如くゆっくりと咀嚼しながら、心に染み込むように読みました。
    近頃売れる小説は具体的に答えを提示してしまっているものが多く、その分リアリティは増すのですが、読み手の想像力を奪ってしまうという欠点があります。
    この作品はまさにその逆を行くもの。
    こちらの独自のインスピレーションを、めまいがするほど刺激してくれます。

    物書きの主人公・綿貫征四郎が、かつての親友でありすでに亡くなった高堂の実家の家守として住むことになり、そこで起こる数々の奇妙な出来事や不思議な生き物たちとの出会い。その一年間を、花の名前になぞらえながら28の章で綴っています。
    怖ろしいのか、それとも可笑しいのか、毎回のように現れる高堂や、もめ事があるたびに仲裁に行く飼い犬のゴロー、庭のサルスベリに惚れられたり、祠にマリア様が現れたり、池から河童が出てきて脱皮していたり、三角錐の角を持った小鬼がふきのとうを摘んでいったり、と挙げればいくつも不思議な話が出てきます。

    「カラスウリの花」を写真に撮ってきたのは、その章が特に印象的だったせいです。
    天井から屋根裏まで茂ったカラスウリの葉を眺めているうちに細い絹糸のようなものが降りてきて、つたって昇っていくと、いつしか自分が「家守(ヤモリ)」になっていたという夢の談。
    夢から覚めると干からびた家守を見つけるというオチなのですが、登場人物たちがあまり驚かずに受け入れていくので、読み手も自然にその幻想的な世界に引きこまれ、自分も一緒に不思議な体験をしているような気分になるのです。

    四季折々の情景描写も美しく、複雑な心理描写も取り払われ、短めの文節の中に多くの光景を浮かび上がらせます。
    饒舌な人間、饒舌なブログや本、それらすべてが苦手なわたしは一級の芸術品を愛でるような気分で読み終えました。
    ひとつ面白いのは、主人公は新鮮な気持ちでひとつずつ対峙しているにもかかわらず、近所の和尚や隣のおかみさんは眉ひとつ動かすでもなく、当然のように相づちを打って流していること。
    これが一層可笑しさを増しています。
    祖父母の時代には、こうだったのかもしれませんね。
    自然との共同生活には自然への畏怖があって当たり前だったし、小さな生き物にもそれなりの役割と物語があったはずです。
    狸や狐の悪意の無い悪戯も、共存していれば起こり得ること。
    神話も伝説も当然のように存在していた頃、それはつい最近までそうだったはず。
    失われた物たちへの微かな哀惜も感じつつ、本を閉じました。
    「文学」を「文から学ぶ」と定義づけるなら、この作品はまさしく「文学」そのものでした。

    • nejidonさん
      hiromida2さん、こんにちは(^^♪
      こんな古い古いレビューに、ようこそいらっしゃいました・笑
      (しかももっと古い伊坂作品↓にま...
      hiromida2さん、こんにちは(^^♪
      こんな古い古いレビューに、ようこそいらっしゃいました・笑
      (しかももっと古い伊坂作品↓にまで、ありがとうございます!)
      この後庭にカラスウリを植えて、夏の早朝幻想的な花を眺めています。
      そんな・・達者でもなんでもないですよ(^^;
      hiromida2さんのように、感動がストレートに伝わるのが一番です。
      この本棚には載せてない小説が殆どなので、梨木さんの本も少ないかな。
      お好きな作家さんが見つかったのであれば、本読みの愉しみもグンと増しますね。
      これからも楽しみにお待ちします。
      hiromida2さん、ありがとうございました!
      2020/05/21
    • hiromida2さん
      nejidonさん、こんにちは(^^)
      度々、失礼します。こちらこそ、ありがとうございます。目下、今一番好きな作家さんは伊坂幸太郎さんなんで...
      nejidonさん、こんにちは(^^)
      度々、失礼します。こちらこそ、ありがとうございます。目下、今一番好きな作家さんは伊坂幸太郎さんなんですが、nejidonさんもおっしゃってたように、いつ読んでも面白い事は分かってるから、安心して読めるのですが、色んなジャンルやまだ読んだ事がないけど…興味を惹かれる作品が多すぎて…nejidonさんのレビュー見るだけで、私よりな読みたい本が沢山で、積読本も増えた(笑)少しずつ、マイペースに読破してゆきたいと思ってます。毎回、楽しみにしてる素敵なレビュー
      ありがとうございます…こちらこそ、よろしくおねがいします。
      2020/05/21
    • nejidonさん
      hiromida2さん 、こんばんは(^^♪
      再訪して下さってありがとうございます!
      こんな本棚でもお役にたてて嬉しいです(#^^#)
      ...
      hiromida2さん 、こんばんは(^^♪
      再訪して下さってありがとうございます!
      こんな本棚でもお役にたてて嬉しいです(#^^#)
      積読本の悩みは皆さん同じようで・笑
      大丈夫、本はいくらでも待っててくれます。
      そして、いくら積んでも叱られません。
      hiromida2さん のペースで楽しみながら読まれればもうじゅうぶんかと。
      ノルマもありませんし、仕事じゃないから全然無理する必要もないし。
      お互いぼちぼち参りましょう。
      こちらこそ、これからもよろしくお願いします。
      2020/05/21
  • 再読。何度読んでも楽しい。
    亡くなった者も、植物も動物も、異界のものも、全てが穏やかに共に生きている。
    綿貫の『隣のおかみさん』の言葉を借りればそれが土地柄であり、後輩で編集者の山内の言葉を借りればそれが常識になる。
    しかし犬のゴロー、綿貫ではないが『おまえはいったい何者なのだ』と言いたいほどの大活躍。様々なものたちの仲立ちをしているらしい。
    だが綿貫もなかなかの活躍振りであり、サルスベリに懸想されたり桜に暇乞いをされたり、狸に化かされたり狐に助けられたり、カワウソに魚を贈られたり。
    続編も再読してみる。

  • 着古された和服の生地に、柔らかな筆字で『家守奇譚』、
    ひと枝の南天が紅を添える、美しい表紙。
    見返しに描かれた白鷺、一面の雪景色の中の白い笠と黒い衣。
    最後の頁にぽつんと添えられた、家守の這う蔦の挿画。

    この物語の世界を余す処なく表現してくれている装丁に
    読者として深い感謝を捧げたくなるくらい、素晴らしい本です。

    湖、疏水、用水路、田圃、池、床の間の掛け軸の水辺。
    主人公の綿貫が住まう、亡き旧友の家を取り巻く湿った空気が
    この世のものではない存在を呼び寄せるのでしょうか。

    木肌を撫でてくれる綿貫に懸想して、もの言いたげに揺れるサルスベリ。
    そんな彼女(?)のために、根元に腰を下ろして本を読み聞かせる綿貫。

    床の間の掛け軸の水辺から、ボートを漕いで現れ
    生前と変わらぬ口調で語りかける亡き友の高堂。

    風流を解し、河童を救って仲裁犬としてその名を轟かせ、
    隣に住む犬好きのおかみさんから、主人の分の食糧まで融通する飼い犬ゴロー。

    雷に打たれて孕んだ白木蓮の蕾から、天をさして昇っていく白い竜。

    庭の片隅で、満開になる木槿に助けを借りて降臨する、儚げなマリア像。

    竜田姫の竹生島参りの侍女が乗り移った、上半身は女人、下半身は鮎の人魚。

    黄泉の国へと嫁入りする幼なじみに白いサザンカの花を手向け
    幻の汽車を待つ間、綿貫と共にゲーテのミニヨンの歌を口ずさむ、ダァリヤの君。

    墨をたっぷりと含ませた筆でしっとりと原稿用紙に書きつけられた文字が
    ゆらりゆらりと形を成して実体化してきたような摩訶不思議な感覚に
    うっとりと呑み込まれ、いつのまにかその湿った空気を肌に纏っている。。。

    そんな世界まで連れていってくれる、稀有な物語です。

    • nejidonさん
      はじめまして。フォーロー&コメントをいただき、ありがとうございます。
      読まれた本のすべてにレビューを書かれていることに感心することしきりです...
      はじめまして。フォーロー&コメントをいただき、ありがとうございます。
      読まれた本のすべてにレビューを書かれていることに感心することしきりです。
      さてどの本にコメントしようかしらと物色して(笑)していたら、この本にたどり着きました。
      ずいぶん前に読んだのですが、印象に強く残っている一冊です。
      異形のものをこんなに美しく愛おしむように書いた作品は珍しいですよね。
      また素敵な作品に出会ったら教えてくださいね。楽しみにしています。
      なお、猫は15匹に増えました。可愛いから構いませんが、時々大変です・笑
      2013/02/26
    • まろんさん
      nejidonさん☆

      コメントありがとうございます!
      暇に任せて長々と書くばかりのレビューを物色(♪)していただけて、光栄です。
      本を開い...
      nejidonさん☆

      コメントありがとうございます!
      暇に任せて長々と書くばかりのレビューを物色(♪)していただけて、光栄です。
      本を開いたとたん、湿った空気がたちこめて
      乾ききったお肌も潤ってしまいそうな、風情のある本ですよね。

      なんと、10匹でもうらやましいのに15匹ですか!
      もはや猫天国ですね。素敵です。
      プロフ写真の、頭にみかんをのっけてカメラ目線の猫ちゃんにも
      見るたびうっとりしてしまいます(笑)
      これからもどうぞよろしくお願いします(*'-')フフ♪
      2013/02/26
  • 亡くなった友人の家を管理する事になった主人公の一年間。春夏秋冬折々の草花と共に不思議な出来事が起こる。サルスベリに嫉妬されたり、亡くなった友人が掛け軸から度々現れたり…。小鬼、河童、カワウソなんかも出てきて梨木ワールドらしい不思議な世界だ。
    100年前の頃の話だが、昔は自然と触れ合い、共存しながら生きていた。この本の中の世界もあながちフィクションではないような気がしてくる。
    以前読んだ「村田エフェンディ滞土録」の村田さんの事が少し書かれている。

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著者プロフィール

1959年生まれ。小説作品に『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』『丹生都比売 梨木香歩作品集』『裏庭』『沼地のある森を抜けて』『家守綺譚』『冬虫夏草』『ピスタチオ』『海うそ』『f植物園の巣穴』『椿宿の辺りに』など。エッセイに『春になったら莓を摘みに』『水辺にて』『エストニア紀行』『鳥と雲と薬草袋』『やがて満ちてくる光の』など。他に『岸辺のヤービ』『ヤービの深い秋』がある。

「2020年 『風と双眼鏡、膝掛け毛布』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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