家守綺譚

  • 新潮社 (2004年1月30日発売)
4.06
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Amazon.co.jp ・本 (160ページ) / ISBN・EAN: 9784104299034

感想・レビュー・書評

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  • なんとも不思議な世界に迷いこんでしまいました。
    とても心地よい(〃ω〃)
    装丁も素敵です♪
    好きなんですよ物怪、妖怪…

    百年すこしまえの物語。
    サルスベリ、河童、タツノオトシゴにマリア様
    男は湖で亡くなった友人の家に住み、不思議な者達と違和感なく過ごしている。
    とても美しい風景が浮かびます。

    羨ましい…わたしもこんな暮らししてみたい(´ー`)


    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      おはようございます♪

      うちの近くの図書館には冬虫夏草は貸出中で並んでなかったし、
      村田メンディ滞土録(笑)は、なかったので、他の図書館か...
      おはようございます♪

      うちの近くの図書館には冬虫夏草は貸出中で並んでなかったし、
      村田メンディ滞土録(笑)は、なかったので、他の図書館から、数日かけてお取り寄せして読めたのですよね。

      教えてもらって良かったですよ、私も(*^^*)
      村田さんのお話も、胸にグッとくる素晴らしい作品でした!!
      感謝してます!!読めて良かった(*˘︶˘*).。.:*♡
      2023/06/03
    • おじょうさん
      最初読んだ時は、変なはなしと思ってましたが、次に冬虫夏草を読んで、はなしがみえるようになりました。花や草や不思議な者達は、同じ位置にいるのね
      最初読んだ時は、変なはなしと思ってましたが、次に冬虫夏草を読んで、はなしがみえるようになりました。花や草や不思議な者達は、同じ位置にいるのね
      2023/07/07
    • みんみんさん
      はい〜自然の中にたくさんいますね(๑•∨︎•๑)
      はい〜自然の中にたくさんいますね(๑•∨︎•๑)
      2023/07/07
  • 好きな作家さん。
    久しぶりに、不思議な世界に入り、ほっこりとした。

    サルスベリに惚れられたり、犬が居ついたり、
    はたまた、河童やキツネ、狸に翻弄されたり、
    和尚にしても、怪なことをそのまま受け入れている。

    亡くなった友人との、何とも言えないふれあいが、
    楽しく、温かい気持ちにさせられた。

  • チーニャさんの素敵なレビューで興味を持って読んでみました。

    なんとも不思議な雰囲気の話でした。亡き友の家の管理を任されてとゆうかほとんど草木は伸び放題なんですが無精者の物書きが主人公。いきなり死んだはずの友人が現れても動じないどころかサルスベリに惚れられるとか。
    カッパや狸、狐に、マリヤ様まで降臨して入信の誘いとか和尚に相談しようと考えるところが滑稽で笑えました。
    もう何が出てきても自然な雰囲気で、隣のおかみさんも犬好きで面倒見が良くって差入れてくれるし、牛尾山が出てくるので山科か大津あたりに住んでる感じかな。
    商売っ気のある長虫屋とは反りが合わない様子なんですが何かとバッタリ会うところが面白い。母方の祖父がカワウソとか弟は御札屋をしてるとか奇天烈でした。
    増水したりすると境界がはっきりしなくなり人以外の生物がひょっこり入り込んでくるところが愉快でした。

    犬のゴローが何かと手助けしてくれるのですが、仲裁犬として鈴鹿の山までその名が轟いているとか。
    続編が気になるっw

    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      おはようございます!!

      『鈴鹿は、ホームマウンテン!』
      クゥ〰️!!カッコい〰️っ!!
      半端ないですね-。山好き具合!!

      梨木さんは、鈴...
      おはようございます!!

      『鈴鹿は、ホームマウンテン!』
      クゥ〰️!!カッコい〰️っ!!
      半端ないですね-。山好き具合!!

      梨木さんは、鈴鹿にちゃんと自生する草花を書いている感じですかね…。山に咲くシャクナゲ、ヤマシャクナゲ、凄く素敵でしょうね~
      ☆彡
      森林浴良いですね~♪
      堪能してきてくださいね(*´▽`*)
      2023/04/29
    • つくねさん
      ただいまw
      ゴローを探して登って来ました。
      イワカガミが沢山咲いてました♪
      マツムシソウはもうちょっと高い山じゃないかな?鈴鹿では見たことあ...
      ただいまw
      ゴローを探して登って来ました。
      イワカガミが沢山咲いてました♪
      マツムシソウはもうちょっと高い山じゃないかな?鈴鹿では見たことありません。
      夏の花なんですが鈴鹿はヒルがでるので夏は行かないのです。
      三重側から石榑トンネル抜けると綿貫ワールドになりますけど八風街道沿いにイワナ料理の看板が出てきてイワナ夫婦を探しましたよW
      2023/04/29
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      お帰りなさ~い♪
      ゴローや、イワナ夫婦…w
      探したり…山登りお疲れ様でした〰️(笑)イワカガミ咲いていて良かったですね(*´∇`)
      綿貫ワー...
      お帰りなさ~い♪
      ゴローや、イワナ夫婦…w
      探したり…山登りお疲れ様でした〰️(笑)イワカガミ咲いていて良かったですね(*´∇`)
      綿貫ワールドも、満喫できましたようで…良かったです~\(^-^)/
      2023/04/29
  • 一言で表すと「摩訶不思議」。
    懐かしさを感じるような、未知の世界を感じるような、今まで読んだことのない不思議な作品だった。

    文筆業を生業とする綿貫。彼は亡き友人・高堂の実家が空き家となった為、留守宅を預かることになる。「家守」
    そして、この家での生活を通じて、不思議な現象や幻想的な出来事に遭遇することになる。「奇譚」

    明治・大正期が舞台のようで、季節の移ろいが植物を通して描かれており、とても綺麗だった。子どもの頃に遊びに行った田舎の祖父母宅を思い出すような、何だか懐かしい気持ちを覚える。

    そんな中で、当たり前のように河童や鬼が存在するし、植物も動物も人間のように振る舞うし、亡くなったはずの高堂が家の掛け軸から此方の世界にやって来るし、あり得ないことが次々と起こっていく。

    怪異の理由や原因を突き詰めようとするのは無粋な気がするので、モヤモヤするけど考えないようにして…。
    高堂の心情を掴みきれなかったはかなり心残りなので、続編を読み進めようと思う。

  • 読んでいる途中は評判の高いこの本を私は楽しめているのかなんだか不安で、集中力を欠くことも多かった。
    ところが、いったん読み終えてみると物語の舞台となった京都の外れだろうか、訪れたこともないこの地を綿貫とともにゴローとともに時には漂い時には立ち止まりとすっかり知り尽くしたような気分になるのだから不思議だ。
    私もキツネやタヌキに化かされてしまったのか。

    夏の終わりに読むにふさわしい本だった。
    秋の夜長に虫の音を聞きながらページをめくるのも良いかも。
    気負わず力まず物語の世界を楽しむのが良し。
    私の乏しい草木の知識では景色がすぐさま目に浮かぶなんて無理な話。
    そこはネットの力を借りながら(笑)
    いや、ドクダミくらいは分かりましたよ。
    庭に毎年のようにわさわさとはびこりますから。
    匂いもさることながらその生命力の強さには参ってしまう。

    河童やらカワウソやらに化かされるなんて日常的だった時代。
    物の怪の世界も人間の世界も境界線があいまいで恐れることもなく。
    いいな~、この緩い感じ。
    隣の奥さんとか和尚とかその緩さの代表格。
    むしろ妖怪なんてあたりまえじゃないって位の構えで。
    長虫屋も良かったな。カワウソの孫ってなんだよ(笑)

    関西に住んでいたら週末にでも作品の舞台になった地へすぐにでも行きたいところだけど。
    いや、残念無念。
    ここは続編の「冬虫夏草」を読んでまたトリップすることにしますか。
    面白かったです。
    良い作品、ご紹介ありがとうございました(*^_^*)

    • vilureefさん
      nico314さん、こんにちは!

      ええ、ええ、機が熟すまでですよね(笑)
      とくにこの作品は急いで読む本ではなくじっくり腰を落ち着けて...
      nico314さん、こんにちは!

      ええ、ええ、機が熟すまでですよね(笑)
      とくにこの作品は急いで読む本ではなくじっくり腰を落ち着けて読む本だと思いますから焦らずマイペースで読んでくださいませ(*^_^*)

      私も続編の「冬虫夏草」を読みたいとは思うのですがなかなか落ち着かず・・・。
      で、私も今池井戸潤読んでますーー!!
      やっと回ってきた「銀翼のイカロス」です。
      もしかしてご一緒ですかね??
      2014/09/29
    • nico314さん
      vilureefさん、こんにちは!

      はい、それです!
      先程読み始めました。もうすぐ、きっとスイッチが入りそうな予感がします。
      vilureefさん、こんにちは!

      はい、それです!
      先程読み始めました。もうすぐ、きっとスイッチが入りそうな予感がします。
      2014/09/29
    • nico314さん
      vilureefさん、こんにちは!

      ようやく読みましたよ!
      読み始めた瞬間、「これ好きだわ~!」と気づきました。
      この感覚、「かの...
      vilureefさん、こんにちは!

      ようやく読みましたよ!
      読み始めた瞬間、「これ好きだわ~!」と気づきました。
      この感覚、「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」以来です。
      現在「村田エフェンディ滞土録」を読んでおります。
      2014/10/18
  • 心というものが植物にもあったなら、こんな不思議な世界だって存在するのかもしれない。四季折々の自然に触れるなかで、河童や小鬼、動植物たちとなされる淡々とした日常会話。幻想的で美しく、穏やかで、すべてを受け入れてくれるような感覚。あぁ、日本に生まれてよかったと心から思った。ゆっくりじっくり味わって読んだ。

    • 地球っこさん
      ひろさん、おはようございます。
      はじめまして。

      たくさんの「いいね!」ありがとうございました。

      わたしもこの小説大好きです♪
      ひろさん、おはようございます。
      はじめまして。

      たくさんの「いいね!」ありがとうございました。

      わたしもこの小説大好きです♪
      2022/05/24
    • ひろさん
      地球っこさん、おはようございます。
      はじめまして(*^^*)

      こちらこそ、ありがとうございます。
      素敵な作品ですよね♪続編「冬虫夏草」も読...
      地球っこさん、おはようございます。
      はじめまして(*^^*)

      こちらこそ、ありがとうございます。
      素敵な作品ですよね♪続編「冬虫夏草」も読みたいなぁ。
      涙活の話の中で地球っこさんが挙げていた本、とても気になりました!

      たくさん本のお話ができたら嬉しいです(*´˘`*)♡
      よろしくお願いします。
      2022/05/24
    • 地球っこさん
      ひろさん

      「冬虫夏草」も素敵な作品ですよ。ぜひぜひ♪

      涙活の本として選ぶのはちょっと緊張しました。
      涙のスイッチって、人それぞれですから...
      ひろさん

      「冬虫夏草」も素敵な作品ですよ。ぜひぜひ♪

      涙活の本として選ぶのはちょっと緊張しました。
      涙のスイッチって、人それぞれですからね。
      でも涙本かは別にしても、どの本も大好きなものばかりです(*^^*)

      こちらこそよろしくお願いします。
      2022/05/24
  • 読んでいると、鬼太郎の世界にいる感じがしました。
    登場人物は人だと思ってたけど、実は妖怪だったのか?とわからなくなってしまいました。
    とにかく不思議な話なんですが、ほっこりもします。

  • 早く早くと先を知りたくて読む本と、出来るだけ時間をかけて読みたい本との2種類があるとすれば、これは確実に後者の本。
    著者は、先日「沼地のある森を抜けて」で第16回紫式部文学賞を受賞したばかりの梨木香歩。
    「家守奇譚」は2004年の作品です。
    梨木さんの本はもうこれで何冊目かしら。
    いつもの如くゆっくりと咀嚼しながら、心に染み込むように読みました。
    近頃売れる小説は具体的に答えを提示してしまっているものが多く、その分リアリティは増すのですが、読み手の想像力を奪ってしまうという欠点があります。
    この作品はまさにその逆を行くもの。
    こちらの独自のインスピレーションを、めまいがするほど刺激してくれます。

    物書きの主人公・綿貫征四郎が、かつての親友でありすでに亡くなった高堂の実家の家守として住むことになり、そこで起こる数々の奇妙な出来事や不思議な生き物たちとの出会い。その一年間を、花の名前になぞらえながら28の章で綴っています。
    怖ろしいのか、それとも可笑しいのか、毎回のように現れる高堂や、もめ事があるたびに仲裁に行く飼い犬のゴロー、庭のサルスベリに惚れられたり、祠にマリア様が現れたり、池から河童が出てきて脱皮していたり、三角錐の角を持った小鬼がふきのとうを摘んでいったり、と挙げればいくつも不思議な話が出てきます。

    「カラスウリの花」を写真に撮ってきたのは、その章が特に印象的だったせいです。
    天井から屋根裏まで茂ったカラスウリの葉を眺めているうちに細い絹糸のようなものが降りてきて、つたって昇っていくと、いつしか自分が「家守(ヤモリ)」になっていたという夢の談。
    夢から覚めると干からびた家守を見つけるというオチなのですが、登場人物たちがあまり驚かずに受け入れていくので、読み手も自然にその幻想的な世界に引きこまれ、自分も一緒に不思議な体験をしているような気分になるのです。

    四季折々の情景描写も美しく、複雑な心理描写も取り払われ、短めの文節の中に多くの光景を浮かび上がらせます。
    饒舌な人間、饒舌なブログや本、それらすべてが苦手なわたしは一級の芸術品を愛でるような気分で読み終えました。
    ひとつ面白いのは、主人公は新鮮な気持ちでひとつずつ対峙しているにもかかわらず、近所の和尚や隣のおかみさんは眉ひとつ動かすでもなく、当然のように相づちを打って流していること。
    これが一層可笑しさを増しています。
    祖父母の時代には、こうだったのかもしれませんね。
    自然との共同生活には自然への畏怖があって当たり前だったし、小さな生き物にもそれなりの役割と物語があったはずです。
    狸や狐の悪意の無い悪戯も、共存していれば起こり得ること。
    神話も伝説も当然のように存在していた頃、それはつい最近までそうだったはず。
    失われた物たちへの微かな哀惜も感じつつ、本を閉じました。
    「文学」を「文から学ぶ」と定義づけるなら、この作品はまさしく「文学」そのものでした。

    • nejidonさん
      hiromida2さん、こんにちは(^^♪
      こんな古い古いレビューに、ようこそいらっしゃいました・笑
      (しかももっと古い伊坂作品↓にま...
      hiromida2さん、こんにちは(^^♪
      こんな古い古いレビューに、ようこそいらっしゃいました・笑
      (しかももっと古い伊坂作品↓にまで、ありがとうございます!)
      この後庭にカラスウリを植えて、夏の早朝幻想的な花を眺めています。
      そんな・・達者でもなんでもないですよ(^^;
      hiromida2さんのように、感動がストレートに伝わるのが一番です。
      この本棚には載せてない小説が殆どなので、梨木さんの本も少ないかな。
      お好きな作家さんが見つかったのであれば、本読みの愉しみもグンと増しますね。
      これからも楽しみにお待ちします。
      hiromida2さん、ありがとうございました!
      2020/05/21
    • hiromida2さん
      nejidonさん、こんにちは(^^)
      度々、失礼します。こちらこそ、ありがとうございます。目下、今一番好きな作家さんは伊坂幸太郎さんなんで...
      nejidonさん、こんにちは(^^)
      度々、失礼します。こちらこそ、ありがとうございます。目下、今一番好きな作家さんは伊坂幸太郎さんなんですが、nejidonさんもおっしゃってたように、いつ読んでも面白い事は分かってるから、安心して読めるのですが、色んなジャンルやまだ読んだ事がないけど…興味を惹かれる作品が多すぎて…nejidonさんのレビュー見るだけで、私よりな読みたい本が沢山で、積読本も増えた(笑)少しずつ、マイペースに読破してゆきたいと思ってます。毎回、楽しみにしてる素敵なレビュー
      ありがとうございます…こちらこそ、よろしくおねがいします。
      2020/05/21
    • nejidonさん
      hiromida2さん 、こんばんは(^^♪
      再訪して下さってありがとうございます!
      こんな本棚でもお役にたてて嬉しいです(#^^#)
      ...
      hiromida2さん 、こんばんは(^^♪
      再訪して下さってありがとうございます!
      こんな本棚でもお役にたてて嬉しいです(#^^#)
      積読本の悩みは皆さん同じようで・笑
      大丈夫、本はいくらでも待っててくれます。
      そして、いくら積んでも叱られません。
      hiromida2さん のペースで楽しみながら読まれればもうじゅうぶんかと。
      ノルマもありませんし、仕事じゃないから全然無理する必要もないし。
      お互いぼちぼち参りましょう。
      こちらこそ、これからもよろしくお願いします。
      2020/05/21
  • 再読。何度読んでも楽しい。
    亡くなった者も、植物も動物も、異界のものも、全てが穏やかに共に生きている。
    綿貫の『隣のおかみさん』の言葉を借りればそれが土地柄であり、後輩で編集者の山内の言葉を借りればそれが常識になる。
    しかし犬のゴロー、綿貫ではないが『おまえはいったい何者なのだ』と言いたいほどの大活躍。様々なものたちの仲立ちをしているらしい。
    だが綿貫もなかなかの活躍振りであり、サルスベリに懸想されたり桜に暇乞いをされたり、狸に化かされたり狐に助けられたり、カワウソに魚を贈られたり。
    続編も再読してみる。

  • 着古された和服の生地に、柔らかな筆字で『家守奇譚』、
    ひと枝の南天が紅を添える、美しい表紙。
    見返しに描かれた白鷺、一面の雪景色の中の白い笠と黒い衣。
    最後の頁にぽつんと添えられた、家守の這う蔦の挿画。

    この物語の世界を余す処なく表現してくれている装丁に
    読者として深い感謝を捧げたくなるくらい、素晴らしい本です。

    湖、疏水、用水路、田圃、池、床の間の掛け軸の水辺。
    主人公の綿貫が住まう、亡き旧友の家を取り巻く湿った空気が
    この世のものではない存在を呼び寄せるのでしょうか。

    木肌を撫でてくれる綿貫に懸想して、もの言いたげに揺れるサルスベリ。
    そんな彼女(?)のために、根元に腰を下ろして本を読み聞かせる綿貫。

    床の間の掛け軸の水辺から、ボートを漕いで現れ
    生前と変わらぬ口調で語りかける亡き友の高堂。

    風流を解し、河童を救って仲裁犬としてその名を轟かせ、
    隣に住む犬好きのおかみさんから、主人の分の食糧まで融通する飼い犬ゴロー。

    雷に打たれて孕んだ白木蓮の蕾から、天をさして昇っていく白い竜。

    庭の片隅で、満開になる木槿に助けを借りて降臨する、儚げなマリア像。

    竜田姫の竹生島参りの侍女が乗り移った、上半身は女人、下半身は鮎の人魚。

    黄泉の国へと嫁入りする幼なじみに白いサザンカの花を手向け
    幻の汽車を待つ間、綿貫と共にゲーテのミニヨンの歌を口ずさむ、ダァリヤの君。

    墨をたっぷりと含ませた筆でしっとりと原稿用紙に書きつけられた文字が
    ゆらりゆらりと形を成して実体化してきたような摩訶不思議な感覚に
    うっとりと呑み込まれ、いつのまにかその湿った空気を肌に纏っている。。。

    そんな世界まで連れていってくれる、稀有な物語です。

    • nejidonさん
      はじめまして。フォーロー&コメントをいただき、ありがとうございます。
      読まれた本のすべてにレビューを書かれていることに感心することしきりです...
      はじめまして。フォーロー&コメントをいただき、ありがとうございます。
      読まれた本のすべてにレビューを書かれていることに感心することしきりです。
      さてどの本にコメントしようかしらと物色して(笑)していたら、この本にたどり着きました。
      ずいぶん前に読んだのですが、印象に強く残っている一冊です。
      異形のものをこんなに美しく愛おしむように書いた作品は珍しいですよね。
      また素敵な作品に出会ったら教えてくださいね。楽しみにしています。
      なお、猫は15匹に増えました。可愛いから構いませんが、時々大変です・笑
      2013/02/26
    • まろんさん
      nejidonさん☆

      コメントありがとうございます!
      暇に任せて長々と書くばかりのレビューを物色(♪)していただけて、光栄です。
      本を開い...
      nejidonさん☆

      コメントありがとうございます!
      暇に任せて長々と書くばかりのレビューを物色(♪)していただけて、光栄です。
      本を開いたとたん、湿った空気がたちこめて
      乾ききったお肌も潤ってしまいそうな、風情のある本ですよね。

      なんと、10匹でもうらやましいのに15匹ですか!
      もはや猫天国ですね。素敵です。
      プロフ写真の、頭にみかんをのっけてカメラ目線の猫ちゃんにも
      見るたびうっとりしてしまいます(笑)
      これからもどうぞよろしくお願いします(*'-')フフ♪
      2013/02/26
  • 亡くなった友人の家を管理する事になった主人公の一年間。春夏秋冬折々の草花と共に不思議な出来事が起こる。サルスベリに嫉妬されたり、亡くなった友人が掛け軸から度々現れたり…。小鬼、河童、カワウソなんかも出てきて梨木ワールドらしい不思議な世界だ。
    100年前の頃の話だが、昔は自然と触れ合い、共存しながら生きていた。この本の中の世界もあながちフィクションではないような気がしてくる。
    以前読んだ「村田エフェンディ滞土録」の村田さんの事が少し書かれている。

  • 確かに以前読んだ記憶はあるのだが、
    逆に
    「読んだ。」
    と、いう記憶しかないのが信じられない。

    人がまだ
    人以外のモノ達をどこにも
    追いやってはいない頃の物語。

    モノノケ達は
    人を怖れずに(と、いうか好意を持って?)
    共に生きよう、としていた。
    人もまた
    それを当たり前の様に受け入れてきた事で
    「生き方」の選択肢がごく自然に広がっている様に思えた。

    (前に読んだ時は
    彼らの声が聞こえていなかったのかな…)

    あぁ~
    家守を通して聞こえる
    その者達の声が愛おしくてたまらない。

    木々が揺れる音、
    鳥の囀り、
    家の軋む音、
    雨音に
    庭で吠える犬、
    まるでそれらが総じて
    言葉を綴り、物語と化した様な
    きっとすぐ隣にあったはずの世界。

    でも、今は見えない世界。

  • これは、つい百年前の物語。庭・池・電燈つき二階屋と、文明の進歩とやらに棹さしかねてる「私」と、狐狸竹の花仔竜小鬼桜鬼人魚等等、四季折々の天地自然の「気」たちとの、のびやかな交歓の記録。
    「Amazon内容紹介」より

    最近の本なのに、それを感じさせない日本語.
    仄かな幽玄.精神の世界.
    境界のあいまいさを感じる作品.生と死の境界、この世とあの世の境界、今と昔の境界、人と自然の境界.
    八百万の神を信じる文化の権化.

  • 読めない漢字出てきたりして、多少読み辛い部分はあったけど、四季折々の庭の様子、植物の描写がすごく良かった。
    河童や小鬼、狐、狸の話も夢の中みたいで良い。

  • とても好きな感じ。

    妖怪が出てきたり不思議なはなしだけれど、季節感が感じられるし、文体も古き良き時代を感じさせてくれます。
    読んでいてなぜか楽しい気持ちになりました。

  • こんな素敵な本だったとは知らず…

    湖で亡くなった友人・高堂の実家を、彼の父親から任されて住みながら管理することになった、綿貫征四郎の一年。

    人ならぬもの…植物や動物が何故か彼の前に頻繁に現れ、高堂も、疏水をたどってか、ときどき水辺を描いた掛け軸の中からボートで現れたりする。
    学生時代のように気軽に言葉を交わすものの、そこにはやはり、違う世界に住まうものの隔たりが確かにあるのだった。

    古い民家。
    時々風を通して家を保って欲しいということだが、綿貫は、戸は開け放ち、ムカデもマムシも入れ放題。
    湿って踏み抜いた床下から延びた蔓もはびこり放題。
    来るもの拒まずで、まことにアチラの世界へのガードもゆるく、何度も化かされたり取り込まれかかったり(笑)
    それでも危ういところでこちら側に踏みとどまっている。

    短編のタイトルはすべて植物の名。
    文章そのものも、ふんいきも美しい。

    犬のゴローさんがまことに男前である。

    サルスベリ/都わすれ/ヒツジグサ/ダァリヤ/ドクダミ/カラスウリ/竹の花/白木蓮/木槿(むくげ)/ツリガネニンジン/南蛮ギセル/紅葉/葛/萩/ススキ/ホトトギス/野菊/ネズ/サザンカ/リュウノヒゲ/檸檬/南天/ふきのとう/セツブンソウ/貝母(ばいも)/山椒/桜/葡萄

    時々植物名を検索しながら読んだ。
    「貝母」の別名が「アミガサユリ」だったことを知り、本文中の謎か解けたり、「セツブンソウ」の写真の美しさにびっくりしたり。

  • なんだかしみじみとレトロで、空気感がなじむ。読み終わって気づいたのだが、私は読んでいる間中、ずっと大好きだった祖父母の家を舞台にして頭の中で自分が主人公になって、動き回っていた。40年ほど前の記憶になるが、祖父母の家は彦根城のお堀の周囲に建つ武家屋敷の一つで、夏休みにここで過ごした記憶がものすごく鮮明に記憶に残っている。「こんなに記憶に残るほど私はあの場所が好きだったのか?」とこの年になって驚くくらいに。木の塀に囲まれた家、瓦の平屋、床の間、夏みかんの木があった玄関横の庭、裏側は田んぼで小高い丘が見えた。小さな中庭、押し入れを開けた時の湿ったニオイ。
    記憶の中のこの場所で広がる物語は、何が出てきても、自然に受け入れられる物語となった。梨木さんが書いた物語の上に私は私の記憶を重ねた。他の方が読むときは、また別の舞台があるのだろうなと想像する。
    ずっと、本棚に置いておきたい本の一冊です。

  • 「僕の友だちも湖で行方不明になりましたが、気の向いたときに還ってくる。」
    あたかも普通であるかのように。

    文字から光、香、音までわかる、美しいことばと情景。出会いたいと切に願う非日常がいつも傍らにあることを、薄明るく示してもらえる素敵な本です。いつかその非日常を気づけるようになりたい。

  • ≪内容覚書≫
    ボートで行方不明になった友人の自宅を任された主人公の記録。

    ボートに乗って掛け軸から戻ってくる主人公の友人。
    意思をもっているかのような庭の草木。
    賢い犬ゴロー。
    隣の奥さん。
    化かす狸。
    その他もろもろ、不思議な生き物?達。

    不思議なのか、当たり前なのか、よくわからない日常の記録。

    ≪感想≫
    この雰囲気、好きだと思った。
    梨木さんは、雰囲気作りがうまいと思う。

    語り口調が古臭いので、
    一瞬とっつきにくいかと心配したが、
    読み始めればスラスラ読めた。

    一文一文をていねいに味わって読んで、
    楽しいと思える本は久々。

    不思議を不思議として、
    よくあることと受け入れるこの世界観に引き込まれる。

    そういった意味で、隣の奥さんがとても象徴的。
    普通のおばさんのようなのに、
    ちょっと不思議なことを尋ねると、
    当たり前のように返してくる。
    それがシュールで、面白い。

    久しぶりに、ゆっくりとお茶を飲みながら、
    姿勢を正して楽しんだ作品。

  • 再読。

    何度も読み返している好きな本。家の守役として亡き友人・高堂の生家に住むこととなった学士・綿貫征四郎の暮らしを描く短編集。

    自然と信仰が今より身近にあった時代。高堂の生家に移り住んだ綿貫の周囲では奇妙な出来事が起きるようになり…。水の通り道を伝って現世に戻ってくる亡き友人高堂、様々な生き物の仲介役として活躍する飼い犬ゴロー、書物を好み綿貫に好意を寄せる庭のサルスベリの木、河童や狸や小鬼、神仏等が次々現れる。
    人ならざるものが数多く現れるが、人との関わり方は淡白な方でそれが心地よい。季節ごとに生き物(或いは幽霊?)の生活・行動は変わり時折人の目に触れ交わる。それぞれの文化を尊重し、「そういうもの」で済ます。それが良いのだ(河童の衣については人間界に誤解があったが…)
    ハクモクレンの蕾に宿った白竜の仔の、天に孵るまで見守る綿貫とゴローの話が特に好きだ。

    高堂の生家に越してからの綿貫の生活は、金銭的には貧しくとも自然や精神性では豊かで彩りが多い。それに慣れているが故に高堂は人の世の未来(現代)を儚んで湖底の世界の住人となる事を選んだのか…。

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著者プロフィール

作家。小説に『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』『丹生都比売 梨木香歩作品集』(新潮社)、『家守綺譚』(新潮文庫)、『海うそ』(岩波書店)、『椿宿の辺りに』(朝日新聞出版)など。エッセイに『ほんとうのリーダーのみつけかた』(岩波書店)、『炉辺の風おと』(毎日新聞出版)など。児童文学作品に『岸辺のヤービ』(福音館書店)、絵本に『蛇の棲む水たまり』(ブルーシープ)などがある。

「2025年 『森のはずれの美術館の話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

梨木香歩の作品

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