- Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106002212
感想・レビュー・書評
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ちょっと古いですが、在籍していた国際政治ゼミの高坂・前教授が書かれた書ということで買った本。
装丁は堅苦しそうだけど内容は平易な、タイトルの通り、いかに文明は衰退するかを考察した本。文明の限界点だとか、異質社会が出会ったときに受ける影響だとか。多様性を保持したがる欧州に、帝国化の様相を見せて警戒させるアメリカ。そのアメリカの、国際政治上の失敗の原因と、優越の要因。
「NGO」も「世界化」っていう単語もなかった頃の著作だけれど、そもそも政治って歴史の部分が広いから、むしろつながりが見えてきて読みやすい。
国際政治の本・・・というよりは、世界の見方を養う本?
無知と情熱の組み合わせは、危険だねぇ。とか、日本このままいったら順調に衰亡するね、やっぱ積極的に外でな外!と、仕事の性質上胸にとどめておくべき視点が多いので、社会人になってから何度か思い出しては読んでる。在学中はほとんど読んでなかったのに。 -
ローマ帝国とヴェネチアをアメリカと日本にたとえて、通商国家が生き延びる方策を検討する。名著
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みんな大好き国家衰亡論。著者は、学者としては前原誠司や中西輝政が師事したことでも知られ、1960年代から80年代自民党のブレーンとして活躍した高坂正堯先生。
ローマ帝国、そしてヴェネツィアの成長と衰退、アメリカ、日本の行く末について説いている。
ローマ、ヴェネチアについては、国家の浮沈の流れを歯切れよく説いて一気に読める。
特に、ローマについては民主主義という政体が持つ国家への攻撃性、ヴェネチアについては経済的、地政学的な優位性が時代とともに変動する様をわかりやすく解説している。
ヴェネチアが、その成長期においては外国との通商を活発に推進し、その後衰退期に入ると進取の気性を失い不動産投資が流行したという対比は、本書の刊行(自動車生産台数で日本が世界トップになった頃)から数年後、日本もまた土地バブルに突入、さらに失われた20年へと突入することも併せて、読んでいて悲しくなってくる。
そして、アメリカ。
この本に出てくるのは、アメリカが最も自信を失っていた時期…カーター政権からレーガン政権に代わった直後のアメリカ。
ベトナム戦争の敗戦を経て、かつてのように圧倒的な力でゴリ押しができなくなったことを踏まえ、推進力を失ったかに見える超大国の力を分析している。
まぁ、その後のアメリカは冷戦を煽ってソ連を崩壊させたり、中東で戦争したり、ITなど新しい経済を興したりして、あんまり枯れた感じにはならなかった訳ですが、このサイゴンが陥落してから5年後という時代の空気は、そんな感じだったんだろうなぁ、と。
最後に、日本については、バランスの取れた現実的な路線を提言している。
36年前の政策決定の場にこういう人が居たんだな、という事実自体が過去に対する印象と認識を改めさせる内容だった。 -
■書名
書名:文明が衰亡するとき
著者:高坂 正堯
■概要
衰退は必然なのか――。マクニール『世界史』に並ぶ歴史の名著!
なぜ文明は衰亡してしまうのか? 繁栄の中に隠された失敗の本質
とは? 古代の巨大帝国ローマ、中世の通商国家ヴェネツィア、そ
して現代の超大国アメリカ……栄華を極めた強国が衰退する過程を
詳しく検証、その驚くべき共通項を洞察する。人類の栄光と挫折の
ドラマを描く、日本人必読の史的文明論。【文字拡大改版】
(From amazon)
■気になった点
・税金はいかなるシステムでも、ごまかす便法を見つけ出せるもの
である。
・重税と特例措置との濫用がいたちごっこを始めるようになると、
財政は本物の危機に陥る。だから、税制が複雑になる事は、それだ
けで十分な危険信号と考えるべきであろう。 -
ローマ、ベネツィア、20世紀後半のアメリカ、衰微する文明を実に程よい距離感で概説している。著者はあまり目的意識を強く持たずに、どちらかというと純粋な知的好奇心に駆られて書いたそうだ。その言葉に従って、あまり目的意識を持たずに読んでみたら、その分色々と考える余裕が持てる気がする。
字面を追いながら、気づけば今の日本について考えたりもするし、この本が書かれた当時の状況に思いを馳せたりするし、著者の視点に深く敬意を抱くこともある。気ままに思考が揺れていきつつ、それが楽しいと思えるような読書だった。
「〜せねば」という思考は、すぐに硬直してしまう。やっぱり頭が固いのは良くない。色んな方面にアンテナを張って、感度の高い人間でいたい。 -
2012年の現在、既成政党が瓦解し日本が再生すると思いきや、逆に危険水域に追い詰められている今こそ、読み返す価値あり。
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学長推薦図書。
ローマ/ヴェネツィア/アメリカ/日本の4部構成。
個人的には、この中でローマの所が勉強になった。