風に立つ (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
3.85
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本棚登録 : 2000
感想 : 120
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120057281

感想・レビュー・書評

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  • もっと波瀾万丈あるかと思ったが、少年がいい奴すぎてハッピーエンド。法廷での一人語りはうまくできすぎ。でもラストはそれなりに感動もあり
    、もしかすると続編も?という期待すら。

  • 補導委託先という制度(犯した少年を更生させるために一般事業で少年を預かる)をこの小説を通じて知れた。エピソード内の東北の南部鉄器職人の経営判断も面白かった。登場人物のキャラクター設定がきちんとしていてリアル感たっぷりで楽しめた。重い内容だが楽しく向き合えました。

  • 岩手県の素晴らしさが溢れてきた
    宮沢賢治
    チャグチャグ馬コ
    南部鉄器
    ババヘラアイス

  • 補導委託—はじめてききました。
    とても良いシステムだと思います。

    何十年も生きてきた大人たちは
    ときに頑固で偏屈でまわりから理解不能に見えても
    本人はそれぞれ大きな経験をして
    それをきっかけに強い信念をもって生きているのでしょうね。

    それより、若い人たちは
    もちろん順調に一生を終えられれば
    それに越したことはありません。

    しかし一見問題ないように見える子が
    実は心のなかに大きな問題をかかえていて我慢して
    周囲は気づかず
    大人になってから無差別大量殺人のようなことを起こす

    池田小、秋葉原、カリタス、やまゆり、京アニ、北新地ビル……
    今調べたらこんなにでてきて、恐ろしくなりました。
    もし彼らが十代のころに「善い大人」と出会っていれば
    こういう事件は起こらなかったかもしれません。

    だから若い頃に万引きとかして非行に走り
    補導委託のような形でも
    親以外の大人たちと関われる
    それはとても良いことだと思いました。

  • 寡黙な男を書かせた、著者の本は、いつも堪能しています。今回も、期待を裏切ることはなく、一気読みしてしまいました。
    粗方、想像された展開で話は進むものの、それでも、鼻をすすりながら読みました。
    宮沢賢治も読まないとダメかなぁ。

  • 今まで読んだことない作家さん。多くの作品を出されいて、レビューは★5が50%付近。あらすじに興味がわいたし、2018年本屋大賞2位ということで、相性合う作家さんか確かめたくなった

    #風に立つ
    #柚月裕子
    24/1/10出版

    #読書好きな人と繋がりたい
    #読書
    #本好き
    #読みたい本

    https://amzn.to/41QCbPA

  • 少年だろうが犯罪は犯罪だろ。と思っていますが、やはり若いが故、満たされないが故に犯してしまった犯罪を同列に語る事は出来ないのは事実。真っ当な環境で過ごすことで本来の自分を取り戻すことで、新たなスタートに立てるならばとても素晴らしい事です。
    珍しく柚月さんが完全なヒューマンドラマを書きました。どこかでハードボイルド要素が出てくるのかと思いましたが、ひたすら人間の成長を描いたドラマでした。

  • 親は子に出来るだけ苦労をさせたくないという思いから、自分の経験則に照らし合わせて、子供のいろんな選択肢を奪いがちなのかもしれない。
    孝雄が話した「自分の子供には自由に生きてほしい。選択肢がない人生がいかに辛いかを知っているから」という言葉が胸に刺さる。
    自分と家族の幸せについて考えさせられる小説でした。

  • 著者の作品としては、正直少し物足りなかった。
    とはいえ、盛岡、南部鉄瓶、岩手山なども文化に触れられたことは良かった。
    「チャグチャグ馬コ」という行事も初めて知ったこと、いつかは訪れたいと思う。

  • Amazonの紹介より
    問題を起こし家裁に送られてきた少年を一定期間預かる制度ーー補導委託の引受を突然申し出た父・孝雄。南部鉄器の職人としては一目置いているが、仕事一筋で決して良い親とは言えなかった父の思いもよらない行動に戸惑う悟。納得いかぬまま迎え入れることになった少年と工房で共に働き、同じ屋根の下で暮らすうちに、悟の心にも少しずつ変化が訪れて……。家族だからこそ、届かない想いと語られない過去がある。岩手・盛岡を舞台に、揺れ動く心の機微を掬いとる、著者会心の新たな代表作!



    「補導委託」という言葉を初めて聞きました。
    非行少年を補導委託したことで深堀りされていく父と子の関係性に家族の難しさを感じました。なかなか面と向かって父親と言葉を交わしづらいですが、正直な気持ちで交わすことが大切であるとしみじみ思いました。

    非行少年といっても、見た目は普通の真面目な少年にしか見えません。なぜ犯罪を犯したのか?
    詳細は後半に描かれていて、前半では受け入れた側の家族を中心に描かれています。

    背中で語るようなあまり言葉を喋らない父親が勝手に補導委託を引き受けたことによって、親子関係はさらに亀裂が走ります。
    険悪な雰囲気ですが、それを支えるベテランの健司さんの存在感が良かったです。読んでいて、もう泉谷しげるさんのイメージでした。明るく振る舞っている一方で、暗い過去も潜んでいます。深い事情を知ると、それぞれに人の歴史ありとしみじみ感じました。

    少年を受け入れたことによって、息子として、今まであまり愛情を注がれた記憶がないのに、少年を愛情を注ぐことに嫉妬などを感じる場面があります。
    良い大人が・・・と思う一方で、嫉妬することにその気持ちもわかるなと思いました。

    なんで別の子供にはそんなに愛情を注いでいるんだ。自分は子供の頃、なかったじゃないか。
    いつまでも子供かもしれませんが、息子の気持ちが文章を通して、人柄が表れているように感じました。

    さて、少年の方に着目すると、色んな不可解な出来事が発生します。
    毎週、ポストに何かを出すのですが、それは何か?
    そもそも少年はどんな罪を犯したのか?

    色んな謎を残したまま、後半へ。今度は少年の家族の方に重視されるのですが、深掘りしていくと、少年の背景が浮き彫りになっていきます。
    少年の閉ざされた心が段々と溶けていく様子は、感慨深く感じました。

    優等生だからこそ感じる心の葛藤。そして沸々と湧き上がってくる感情の爆発。
    様々な謎を通してわかってくる少年の実態に、他人事ではないなと思いました。
    感情をどうコントロールしていくのか。一人だけで抱えず、周りの協力や環境が必要だなとしみじみ感じました。

    小説内では、様々な登場人物の心理描写が描かれているのですが、それぞれの登場人物が放つ魂の叫びには、心を打たれました。
    一見、普通に振る舞っている人も、心の内側では誰しも弱い部分を持っているかと思います。
    色んな人物を通じて、じんわりと世界観に浸れました。

    言葉でちゃんと伝えることの大切さをしみじみと感じた作品でした。

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著者プロフィール

1968年岩手県生まれ。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。同作は白石和彌監督により、18年に役所広司主演で映画化された。18年『盤上の向日葵』で〈2018年本屋大賞〉2位となる。他の著作に『検事の信義』『月下のサクラ』『ミカエルの鼓動』『チョウセンアサガオ咲く夏』など。近著は『教誨』。

「2023年 『合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柚月裕子の作品

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