風に立つ

  • 中央公論新社 (2024年1月10日発売)
3.85
  • (196)
  • (357)
  • (242)
  • (32)
  • (4)
本棚登録 : 3263
感想 : 302
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • 本 ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120057281

作品紹介・あらすじ

問題を起こし家裁に送られてきた少年を一定期間預かる制度ーー補導委託の引受を突然申し出た父・孝雄。南部鉄器の職人としては一目置いているが、仕事一筋で決して良い親とは言えなかった父の思いもよらない行動に戸惑う悟。納得いかぬまま迎え入れることになった少年と工房で共に働き、同じ屋根の下で暮らすうちに、悟の心にも少しずつ変化が訪れて……。家族だからこそ、届かない想いと語られない過去がある。岩手・盛岡を舞台に、揺れ動く心の機微を掬いとる、著者会心の新たな代表作!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • まっちゃん、地球っこさん、aoi-soraさん と定期的に行っている「みん どく}。
    なかまと一緒に読書 楽しすぎ。。。


    今回はまっちゃんの選書で、柚月裕子さんの「風に立つ」を読みました。

    南部鉄器を題材に取り上げながら、親子の物語。

    問題を起こした少年の一定期間預かる「補導委託」。

    「人なんて、どんなに話し合ったって、百パーセントわかり合えることなんてない。それが近くにいる人だったらなおさらだって。」

    「応援することと味方をすることは違う。」

    柚月さんは岩手県出身。

    柚木さんだからこそ書ける小説でした。

    「チャグチャグ馬コ」というお祭り。

    ぜひ見てみたい。。

    • aoi-soraさん
      「作家とプロフ展」面白そう♪
      神保町本店でやってるんだね
      情報ありがとう
      6/30までらしいから、機会があれば行ってみたいな^⁠_⁠^
      「作家とプロフ展」面白そう♪
      神保町本店でやってるんだね
      情報ありがとう
      6/30までらしいから、機会があれば行ってみたいな^⁠_⁠^
      2024/05/20
    • いるかさん
      地球っこさん、まっちゃん、aoi-soraさん

      おはようございます。
      みんどく 楽しかったです~

      まっちゃん 選書 ありがとう...
      地球っこさん、まっちゃん、aoi-soraさん

      おはようございます。
      みんどく 楽しかったです~

      まっちゃん 選書 ありがとうございます。
      柚月さんの人生のテーマ「後悔しない」、好きな言葉は「大丈夫」、自分の人生に影響を与えた本は「シャーロックホームズ」 おもしろいですね。

      みなさん 楽しい時間をありがとうございました。
      また次回も楽しみです~
      2024/05/20
    • 松子さん
      あおちゃん、おはよ。
      そうなの、神保町の仮本店の一角で開催中なんだ。
      スペースがそんなに広くなくて一見地味な感じなんだけど、プロフの内容が面...
      あおちゃん、おはよ。
      そうなの、神保町の仮本店の一角で開催中なんだ。
      スペースがそんなに広くなくて一見地味な感じなんだけど、プロフの内容が面白いのと、質問内容が作家さんに聞いてみたいよねって質問ばかりで^_^
      お時間あったら、ぜひ!

      いっちゃん、こちらこそ楽しい時間ありがとうございました!
      きっと、いっちゃん、今すごく忙しいんじゃないかなぁと思っていて、でもみんどく一緒に楽しめて、本当感謝です。楽しい時間をありがとう^_^

      次はちーちゃんこ選書。どんな本と出会えるんだろ。ワクワク。夏の部のみんどくも楽しみにしてます!

      2024/05/21
  • 児童書を読んでいるような優しい一冊でした。
    岩手の南部鉄器の工房で、補導委託(問題を起こし家裁に送られてきた少年を一定期間預かる制度)をすることになり、預かった少年親子と関わりながら、工房の親方でもある父親と自分との親子関係も見つめ直す悟。
    この悟と父親との関係がギクシャクしていて歯痒くなります。男同士だから会話が少ないのは仕方がないとしても、終始、“俺には父親らしいことはしてくれなかったくせに、なぜこの少年には一生懸命になるんだよ!”という気持ちが溢れ出ていて、一周回ってかわいくなってしまうほど(^^;
    でも、親子ってそんなものかもしれませんよね。近過ぎてお互い素直になれず、つっけんどんになってしまうものです。
    私も父に対して若い頃は“なんか違うんだよなぁ”と思っていたけれど、自分も歳をとってくると、あのトンチンカンな行動も父なりの不器用な愛情だったんだなと理解できるようになりました。
    この物語に出てくる親たちは、みんな子どもを大切に思っているのだけれど、子どもには伝わらない。子どもの方も愛情を欲しがっていて、本当は相思相愛なのに、お互い片想いな感じで、つくづく親子って難しい。
    親世代にも、子ども世代にも気付きがある一冊。
    中学生の課題図書にしてくれないかなぁ。

  • 久々の柚月裕子さん

    いつも読み応えのある作品を
    しっかり書かれている印象

    なのでこちらも腰を据えて読まなきゃ!
    …と思っているとなかなか手が伸びず
    ご無沙汰でした。


    でも久々に読むととてもよかったー!


    補導委託を受け入れる、ある家族の物語。


    補導委託というのは
    問題を起こした少年を、
    更生を目的として一定期間預かる制度のこと


    少年を預かることで、
    元々あった家族間のすれ違いも
    少しずつ変化が見られていきます


    家族それぞれの想いが
    丁寧に描かれていて
    後半は知らぬ間に泣いておりました。



    すごい大きな事件があるわけじゃないけど
    人と人とがきちんと向き合うことで生まれる
    心の動きがよく描かれていました。


    この本を読むと
    『幸せ』とはなにかと
    考えさせられます


    自分の過去の経験から
    子どもには同じ経験をさせたくないと思う孝雄と達也の気持ちもよくわかります

    でも子どもには伝わってなくて、、

    もっと関心を持って欲しいと思う悟と
    好きなことをさせて欲しいと思う春斗くん
    二人の気持ちもよーくわかる。。


    子どものことを思う親の気持ちは間違ってないのに、すれ違ってしまう。


    それはまさに
    『なにが幸いで、なにが不幸と思うかは、
    人それぞれだ。』からでしょう。


    親の思いも、子の思いも
    きちんとわかりあうために必要なのは
    話し合いでした

    バーのママが言っていた

    『思ったことはできる限り言葉にしないといけない。
    気持ちなんて、それでやっと自分が言いたいことの数パーセントが伝わる程度なんだから。
    しかも、それが近くにいる人だったらなおさら
    近すぎて見えないこともあるからさ』

    ということでしょう。
    とても納得してしまいました。



    また

    『あなたは春斗くんの敵ではないけれど、
    味方じゃない』
    『俺から言わせれば、
    あなたは春斗くんの応援者にすぎない』


    という言葉はとても考えさせられました。
    私は子どもの応援者になってないだろうか、、


    子どもの気持ちも、
    未来の可能性も考えて、
    味方でいる。。。

    子育てって難しいです。。


    うーがんばろm(._.)m



    盛岡は行ったことがないですが
    行ってみたくなりました(*´-`)

    • アールグレイさん
      どんぐりさん(^_^)/こんにちは
      この本、私92番目!待っている人は104人。
      市内の図書館、四館で四冊を回す!もし一冊だったら・・・・(...
      どんぐりさん(^_^)/こんにちは
      この本、私92番目!待っている人は104人。
      市内の図書館、四館で四冊を回す!もし一冊だったら・・・・(◎_◎;)
      2024/03/21
    • どんぐりさん
      アールグレイさん

      ひー!先は長いですね(_ _).。o○


      私は田舎に引っ越してから
      予約本がすぐ届くようになって、
      引っ越してよかった...
      アールグレイさん

      ひー!先は長いですね(_ _).。o○


      私は田舎に引っ越してから
      予約本がすぐ届くようになって、
      引っ越してよかったと思う事1位かもしれないです笑


      ちなみに1ヶ月半くらいで届きましたよ(`_´)ゞ
      2024/03/21
  • じんわり、ゆっくり心に沁みる物語


    南部鉄器工房で働く職人の悟と、親方の父親。
    補導委託で預かることになった春斗と、その父親。
    二組の親子の姿が丁寧に描かれています。
    そして岩手の風景や文化がとっても好きになりました。
    特に、チャグチャグ馬コ!


    「補導委託」って知らなかったのですが、問題を起こし家庭裁判所に送られてきた少年を、一定期間預かる制度なんですね。

    38歳の悟は、父・孝雄と二人暮らし。
    母は他界、妹は結婚して家を出ている。
    男二人は本当に不器用で、気持ちを伝えることが下手だから、ほとんどお互いを分かりあえていない。
    ずっーと気持ちがすれ違ったまま、ギクシャクと過ごしている。
    そこに補導委託で、16歳の春斗を預かることになり…

    悟と春斗の心の苦しさ、戸惑い、悲しみ、そして喜びなど、心の揺れ動きを本当に丁寧に丁寧に、すくい上げています。

    悟は38歳にもなって、まだ父親の愛情が欲しくて、春斗を可愛がっている姿に嫉妬に近い感情を抱くなど、なんて子供じみているのだろう。と思わせるけど、敢えて柚月さんは書いているのかな。
    悟が言葉で伝えられずに、ずっと抱えてきた苦しい気持ちがよく分かる。

    作中の「応援することと、味方することは違う」
    「親っていうのは、子供の一番の味方であるべきなんじゃないんですか」
    という言葉が響くなぁ。

    私は親として、ちゃんと子供の味方でいるだろうか?振り返ってよく考えてみよう。
    そして、気持ちはしっかり伝えよう。親子という近い存在だからこそ。
    もし出来ていなくても、今からでも間に合うよね。


    この本は、いるかさん・地球っこさん・松子さんとの〝みんどく〟春の会の一冊です。
    選書は松子さん。
    素敵な作品との出会いをありがとう!!

    • aoi-soraさん
      いるかさん、地球っこさん、こんばんは^⁠_⁠^
      今回も本当に楽しい読書時間でしたね。
      まっちゃんに感謝です!!

      うん。嫉妬に近い感情かな?...
      いるかさん、地球っこさん、こんばんは^⁠_⁠^
      今回も本当に楽しい読書時間でしたね。
      まっちゃんに感謝です!!

      うん。嫉妬に近い感情かな?と思ったんたけど…
      私達の内面にある感情を文章でさらけ出されたような。
      ちょっと苦しかった。
      周囲の人たちの明るさに救われる感じだったね。
      スナックのママも良かったよね^⁠_⁠^
      名言だらけみたいな
      良い人だらけwww
      2024/05/19
    • 松子さん
      あおちゃん、こんばんは(^^)
      私も「応援することと、味方することは違う」の場面、心に響いたなぁ。味方でいたいのに、気づかないうちに応援側に...
      あおちゃん、こんばんは(^^)
      私も「応援することと、味方することは違う」の場面、心に響いたなぁ。味方でいたいのに、気づかないうちに応援側にいる自分に気付いて反省したよ。
      あおちゃんの感想、とっても心響きました。素敵です

      さっき、いっちゃんのコメントにも書いたんだけど、先日、三省堂書店の『作家とプロフ展」に行ったんだ。プロフの中にマイベストブック3っていうのがあって、柚月さんの答えが『すみません、頑張ったけど選べませんでした』って書いてあって。ほっこりしました(^^)

      今回もみんなで読めて楽しかったです。
      素敵な時間、ありがとう!
      2024/05/20
    • aoi-soraさん
      まっちゃん
      〝みんどく〟楽しかったよ〜(⁠人⁠*⁠´⁠∀⁠`⁠)⁠。⁠*゚⁠+
      また大切な一冊に出会えました
      ありがとう♡

      「がんばったけ...
      まっちゃん
      〝みんどく〟楽しかったよ〜(⁠人⁠*⁠´⁠∀⁠`⁠)⁠。⁠*゚⁠+
      また大切な一冊に出会えました
      ありがとう♡

      「がんばったけど選べない」って、柚月さん優しい方ですね
      この作品も静かだけど優しかったもんね
      2024/05/20
  •  我が家には、数十年前に盛岡で購入した南部鉄器のつりがね型風鈴があり、今も変わらず、高く澄んで残響の長い洗練された音で涼を運んでくれます。さすが「残したい日本の音百選」(これは水沢駅の南部風鈴)です。本作は、この風鈴がますます愛おしくなるような物語でした。
     また、先日の柚月さんのエッセイに続いて新作の本書を読むことができ、岩手の風土や柚月さんの作風を中心に、内容の理解が深まった気がします。

     南部鉄器工房の親方・孝雄(72歳)は、頑固、寡黙、不器用‥と、絵に描いたような昔気質の男。同じ工房で働く息子の悟(38歳)は、父とぎくしゃくした関係です。
     そんな父が、補導委託(試験観察)で非行少年・春斗(16歳)を相談なしで預かることに‥。

     本作は、こんな父と息子、そして預かった少年の親子関係の内面に迫る、濃密な物語でした。
     2組の親の過去、主人公と少年の心の揺れを丁寧に描き、周囲の支えと未来への希望を温かく見つめる柚月さんの眼差しが伺えました。

     親方の孝雄にとって少年を預かることは、亡き妻や息子への「贖罪」というよりは、自分自身の家族との関わり方への「問い直し」だったのかな、と思えました。
     結果的に主人公も少年も、親子関係の縛りを乗り越え、分かり合えたことが何よりです。親子関係、幸せについて深く考えさせてくれる秀作でした。
     読後の余韻に浸っていると、心の原風景に南部風鈴の涼やかな音が聞こえたように感じました。

  • 読みながら、最近知った「他者の合理性」という言葉のことをずっと思っていた。甘い考えで言えば、この世に悪い人はいなく、みな善人だ。善悪の基準が違う一人ひとりがいるだけ、という身も蓋もない話になってしまう。お互いの合理性を、見せ合い話し合わなければ、人はいつまでも自分の合理性を弱いものに押し付けるだけになってしまうだろう。この本に書かれた親子の例も、その小さなひとつ。せめて自分だけは、そのことを考えに入れながら生きていければ、という人が増えれば、世界はまた少しよくなるのだろうな。

  • 人が育っていく際の、周りの大人達の影響力を改めて認識。怒り、嘆き、悔恨すべてを受け止められた時、荒れ狂う風に動じない強い人になれるとあるが、なかなか難しい

  • 南部鉄器の職人である父は、仕事一筋で家族思いとは到底言えない昔気質の堅物だと思っていた。
    その父が突然、補導委託の引き受け先になると言う。
    母は亡くなり、妹は結婚して出て行ってから父との二人暮らしで、そこに問題のある少年を受け入れることが納得できない悟に有無を言わさぬまま、少年春斗が来る。

    工房で一緒に働く健司は、若い子が来ること事態が嬉しい様子で、手取り足取り面倒をみる。
    あまり喋らず、表情も乏しい春斗が、アルバイトの八重樫が来たときに己を爆発させたことがあったが、やがて落ち着きを取り戻す。


    春斗と工房で働き、一緒に暮らすことによって見えてきたものは…。
    悟にとっては父の存在が大きく影響していたように思う。
    自分にとっては、無関心であった父なのに春斗には笑顔を見せ、寄り添っている。
    嫉妬ではないが、何がそうさせたのかがわからないと戸惑っているように思えた。

    父が昔話をしたことで、悟にはわかったのではないだろうか。
    とても不器用な親子だけれど、その間にひとり少年が入ったことで見えてくるものがあった。
    家族だからこそ、近くにいすぎたからこそ伝わらなかったものがあったということに気づいた。


    幸せな人生とはなんだろう。
    恵まれた人生と充実した人生は違う。
    与えられたものと自分が望んで生きる道とは得る価値が違ってくるだろう。
    自分の目でしっかりと選んでその道を目指してほしいと願う。





  • 家業の南部鉄器工房を手伝っている、小原悟は、ある日、家庭裁判所に送られてきた少年を預かる補導委託の引受を突然申し出た父・孝雄の行動に戸惑いを感じた。
    少年・庄司春斗と工房で共に働くうちに、悟の心も、少しずつ変化して行く。

    小原家の人や、工房の従業員と一緒に、春斗を見守っているような気分にさせられた。
    読後感は、すこぶる良好。

  • 著者はハードな警察小説のイメージがあったが、今回の作品は非行が絡むものの、家族愛を描いたもので若干ハートフルな内容。
    父親からの愛情を全く感じていない息子が、相談も無く勝手に父親が補導委託で少年を預かることになる。父親に反発しながらも、肝心なことを聞けない息子。何度も途中まで話して突然に話しを変えてしまう息子にイライラしてしまう。
    非行に走った少年が徐々に心を開き変わって行く中で息子も変わって行く。
    少年が家族の中での立ち位置含め、非行の原因が明らかになるが、最後は唐突なように少年の両親が改心する。ハッピーエンドで終われたのは良いが、前振りが長かっただけに・・?

全302件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1968年岩手県生まれ。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。同作は白石和彌監督により、18年に役所広司主演で映画化された。18年『盤上の向日葵』で〈2018年本屋大賞〉2位となる。他の著作に『検事の信義』『月下のサクラ』『ミカエルの鼓動』『チョウセンアサガオ咲く夏』など。近著は『教誨』。

「2023年 『合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柚月裕子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×