イギリス帝国の歴史 (中公新書 2167)

著者 : 秋田茂

• 中央公論新社 (2012年6月22日発売)

感想・レビュー・書評

[goodafternoonreikoさんの感想 · 2013年7月23日]

アジアとイギリス帝国との経済・金融関係に注目したイギリス帝国史。近年注目されている、諸地域の相互連関を重視したグローバルヒストリーという捉え方をとる。

[unzaristさんの感想 · 2013年4月18日]

その版図を世界各地に広げたイギリス帝国に関する近現代史。
経済やヒト・モノの流れの解説がメインで、
政治や外交に関する話題は少なかったのが残念。
各地方に対する支配形態の多様さが新鮮でおもしろかった。

[katohirojpさんの感想 · 2013年1月5日]

ロンドンオリンピックにかけて、
イギリスの歴史を知ることを目的に本書を取った。

イギリスは、世界の覇権を握った。
その歴史と、その影響力の及ぶ範囲の広大さに驚く。歴史をほとんど勉強してこなかった自分だが、奴隷貿易という重要な問題について、知らなかった自分に驚く。アメリカの独立に対する背景、インドとイギリスの関係、そして、アジア、アフリカ。
歴史を知らずして、グローバルを語れないとつくづく感じた。

[jif0148さんの感想 · 2012年12月9日]

アジアとの関連性に重心を置いたイギリス帝国史の通史。イギリス本国が植民地を支配したという一面的な見方だけではなく、インドをはじめとしたアジア植民地勢力がイギリスに与えてきた影響や、その結果帝国がいかに変容し、解体していったか語られている。こういう経済史の講義だったら、大学でももっと勉強していたかな。。

[kazyxさんの感想 · 2012年12月8日]

グローバルヒストリーという手法で、一国の歴史に留まらず、地球的視野で地域間の関係からイギリス帝国の歴史を描いている。17世紀のアジア圏での交易と大西洋圏の交易と密接に関係している様子や、遠隔地交易の決済の必要性からシティが発展していく様子等が生き生きと描かれており面白かった。19世紀のイギリス小説には、インドで成功した人物が良く登場する。その人たちが、個人にも許可されている貿易により財産を築いた東インド会社の文官や軍人らしいと分かったのが、この本を読んだ副産物であった。

[polyhedronさんの感想 · 2012年8月15日]

　地球規模での諸地域の連関を考え，各国史を超える新たな世界史を構築しようという「グローバルヒストリー」が近年注目されてるらしい。本書はそれを取り入れた大英帝国の通史。
　特にアジアの視点をメインにしてるのは，二百年にわたって世界経済を支配した欧米世界に変わり，今世紀に勃興してきたアジアを重視したため。大英帝国は，長い18世紀から20世紀まで，アジアとも密接な関係をもってきたため，まさにうってつけの視点でもある。
　大英帝国が19世紀を中心に世界を支配したのは，地球の各地に定住植民地，従属領・直轄植民地，非公式帝国を築いてきた結果。その帝国が，どのように形成され，どのように繁栄して，そして衰退していったのか，興味深く読める貴重な新書。中公新書の歴史物はほんとに良いものが多いな。

[moriizouさんの感想 · 2012年8月14日]

Immanuel WallersteinのHistorical Capitalism,『史的システムとしての資本主義』でも再読しようかと思いました。それにしても、定住植民地から従属領・直轄植民地、非公式帝国まで、帝国経営は大変なんですね。19世紀末から20世紀初め、情報通信インフラは、長崎発で、台湾、上海、ウラジオストック付近と海底電信ケーブルでつながっていたんですね。日英同盟を境に、日本はイギリスの非公式帝国からジュニアパートナーに格上げされたなんて、世界史の先生は教えてくれなかったな。

[ryu440さんの感想 · 2012年8月10日]

インドへの機内で読んだ。18世紀から20世紀のイギリス帝国の歴史をグローバルヒストリー（相互作用や関係性を重視する）の視点から、近年のインドを含むアジアの経済的発展を歴史的に考える。「非公式」も含めたイギリス帝国の植民地、とくに英領インドの諸関係には多くの考察がなされている。たとえば、インドの綿の生産・流通は、やがては帝国の解体やインドの独立へとつながる。現代のインドを知る上において大切な1冊。日本史研究においてもグローバルヒストリーの手法は有効と思われ。

[城西大学水田記念図書館さんの感想 · 2012年7月26日]

新着図書コーナー展示は、２週間です。
通常の配架場所は、1階文庫本コーナー 請求記号：233.06//A37

[fukuyaさんの感想 · 2012年7月15日]

トインビー以来の産業革命が近代への一大転換点であったという見方に揺らぎが出ているという近年の歴史学上の動向や、英国の金融立国はかなり昔から続いていたことなど、従来とひと味違った英国史観が興味深かった。

著者プロフィール

1958年生まれ。大阪大学大学院文学研究科・教授
（主要業績）
『イギリス帝国とアジア国際秩序』（名古屋大学出版会、2003年：第20回大平正芳記念賞2004年)、『イギリス帝国の歴史―アジアから考える』（中公新書、2012年：第14回読売・吉野作造賞2013年）、Shigeru Akita (ed.), Gentlemanly Capitalism, Imperialism and Global History (London and New York: Palgrave-Macmillan, 2002).

「2020年 『グローバルヒストリーから考える新しい大学歴史教育』 で使われていた紹介文から引用しています。」