平和主義とは何か - 政治哲学で考える戦争と平和 (中公新書 2207)
- 中央公論新社 (2013年3月22日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121022073
感想・レビュー・書評
-
2014.3.27
民主的平和主義が結論
難しいが、集中して一気に読めば理解できる。書き方に一貫性がある。
問題提起→平和主義と非平和主義よ立場を提示→結論→具体例→相手の立場に土俵を移し検討→具体例→再度結論。
使う場は、対話式の授業での題材。
ただ、いきなり使うのは難しい。本全体をもっと読み込まないといけない。
こんな風に論説すれば通じやすいと、わかる良い文章。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
平和主義とは何かを考えるにあたり、はじめに重要なことは戦争よりも平和を愛好することをもって、平和主義の定義であるとするわけにはいかない。
戦後日本の平和主義は世界をリードする崇高な試みだった。
戦争には機会費用も含めた相応のコストが必ず生じる。もんだしあh戦争とその準備によって代わりに実施できなくなる政策と比較して、戦争がいつどのような場合に、そのコストにペイするのか、という点。
現実主義は国際関係論において、質量ともに他を圧倒する、疑いなく支配的な学説。
国際関係の最大の構造的特性はそれが中央政府の存在しない無政府状態(アナーキー)であるという点。より上位の権威が存在しない点で、国際政治の構造は経済市場の構造に似ている。
あるべき世界を語る平和主義者と異なり、現実主義者は現実の世界と向き合っている。 -
政治哲学の見地から見た平和主義の解説。
手法としてはまず平和主義にどのような分類があるか整理したうえで、様々な非平和主義の主張と「対話」するスタイルを取っている。
その結果として
(1)戦争と平和に関する主義・立場について政治哲学的見地から広く理解できる。
(2)非平和主義の主張を紹介し、相対化することで、平和主義の立場をより浮き彫りにすることに成功している。
(3)平和主義の立場に立ちながらも非平和主義の主張を頭ごなしに却下しておらず、読者に考える余地を提供している。
何せ歴史的に議論の積み重ねが非常に多い分野であるから、本書一冊で網羅することは当然かなわないことだが、この分野について今まで全く触れたことのない私にとっては、深さ・広さともに程よい本だった。
あくまで哲学書なので、論理に論理を重ねて推し進める論調であるため、通勤電車の中でとぎれとぎれに読むと時々ついていけなくなることもあったが、概ね平易に解説されている良書。 -
さまざまな平和主義、そして非平和主義を「否定」するのではなく、批判的な論証を通してそれらとの「対話」を試みる。