- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121025951
作品紹介・あらすじ
千年以上にわたるビザンツ帝国の歴史。本書は、文字どおり波瀾万丈・有為転変の連続であった、その軌跡を描き出す試みである。個性豊かな皇帝が登場し、過酷な政争や熾烈な外交および戦争が展開された歴史は、ダイナミズムに富んでいる。コンスタンティノープルの発展、帝国が各地に及ぼした影響、十字軍との関わりなど、豊富な論点を踏まえて、帝国の内実を描き出す。
感想・レビュー・書評
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歴代王朝と皇帝の事績について概観でき、ビザンツ帝国通史として力作。ただコラムで現代政治との比較をしていたり、著者も書いているように固有名詞だけで紙面がいっぱいになったりと読みにくい箇所がある。
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古今東西の様々な研究成果も踏まえながら、判り易く「約千年もの期間に亘る興亡」の物語が説かれた「新書らしい」という感の面白い一冊であった。
自身としては「ロシア史に関心を寄せている」という意味で「ビザンツ帝国」にも興味を持っている。
トルコのイスタンブールは、ローマ皇帝の名に因むコンスタンチノープルという名で、ビザンツ帝国の帝都であった。これがオスマン朝のトルコ帝国に攻め取られてしまったような頃、ロシアのモスクワ大公はビザンツ帝国の帝室に縁が在る女性を后に迎え、ビザンツ帝国の皇帝が用いたという「双頭の鷲」の紋章を用いるようになり、ビザンツ帝国の皇帝の呼称でもあった“ツァーリ”(“シーザー”、“カエサル”がロシア語風に転訛している…)と称するようになって行った。そしてロシアが「第3のローマ」というような論、「正しい教えを擁護する君主を擁する帝国」というモノを受継ぐ「正当な後継者」というような考え方が起こる。
そんな経過を承知しているので、「そのビザンツ帝国?」という関心が在る訳だ。
本書では7世紀頃から12世紀頃までという辺りを軸に、「ビザンツ帝国」というモノが辿った経過を、歴代の皇帝達の物語を中心に説いている。敢えて日本の用語を使うが、「奈良時代から鎌倉時代まで」というような次元の、非常に永い経過を辿るということになる。
帝国の版図は拡がり、縮小し、また拡がり、また縮小しということを繰り返している。色々な勢力との外交や戦い、また帝国内部での色々な騒乱も繰り返された。更に<十字軍>というような大きな出来事も在った。
ビザンツ帝国の皇帝というのは、特定の家系の一族が延々と代々受継いでいたということでもない。親子等で継承された例、帝位が簒奪された例、何らかの形で選任された例が在って、帝国統治の核としての皇帝達が登場した。
ビザンツ帝国というモノは、アジアでも欧州でもなく、古典古代の帝国でも近代の帝国でもない。永い人類の歴史の中で、相当の長さで、一定の価値観のようなモノを受継ごうとしていて、やがて退場したという存在だ。
「奈良時代から鎌倉時代まで」というような次元の永い経過なので、世の中の様子はドンドンと大きく変わっていて、時代毎に様々な対応は求められ、実際にそうしながら、次第に周辺勢力に蚕食されて行ったビザンツ帝国ではある。が、歴代の皇帝達を核に「受継ごうとしたモノ」が何だったのか?
そういうような「考える材料」ともなり得る内容だが、他方で、単純に「物語」として面白いかもしれない内容が多かったと思う。
愉しく素早く読了に至った… -
最近の研究動向を盛りこみながら、主に7世紀から12世紀をあつかうビザンツ帝国についての本。感想はこちら。
https://historia-bookreport.hatenablog.jp/entry/2020/06/21/002708 -
コンスタンティヌス帝時代からオスマン帝国に滅ぼされるまでの歴史を取り扱う。古代ローマ時代の途中、西ローマ帝国と東ローマ帝国とに分裂する。その後、西ローマ帝国は滅ぼされるが、東ローマ帝国(ビザンツ帝国)は千年ほど存続した。とはいえ、本書を読むと、初期、特にユスティニアヌス帝など偉大な功績を残した人物を除くと、常に周囲からの襲来によって、国家が危うい状態であったとわかる。地政学リスクに晒された国家であったといえる。その意味で、ビザンツ帝国は奇跡の帝国であった。本書は各章の末にビザンツ帝国に関するコラムが記載されているが、こちらも各年代の事情通暁するうえで重要である。なかでも、ビザンツ帝国の公用語に関する情報は興味深い。ヘラクレイトス1世の時、公用語がラテン語からギリシア語へ変わった。しかし、本書によると、この時代のギリシア語は、プラトンやアリストテレスが活躍した古典ギリシア語と発音が異なり、『新約聖書』で用いられるコイネーと現代のギリシア語とのちょうど中間くらいに位置する。これ以外にも、高校世界史ではあまり語られない情報が詰まっており、手軽にビザンツ帝国ないし周辺地域を知りたい場合、本書を読むことを推奨する。
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長い歴史を持つビザンツ帝国の通史を解説した本書。
読み終わって最初に浮かんだ感想が、「そりゃこれだけ内輪もめしていたら滅びて当然、むしろなんでここまで保ったんだ?」である。
典型的な衰退国家。王朝の末期症状のお手本。内紛のオンパレード。陰謀するより他にやる事ないのか?事実は小説よりも奇なり。この世の不思議、etc...。
読むまではそれなりにちゃんとした国家なのだろうと思っていたが、いっそ見事にイメージを壊された(当然悪い方で)。
途中で色々げんなりするが、人名の多さでもげんなりする。何とか読み終わった、という感じである。
まぁ、それでもそれなりに面白さはあった。 -
今一、影の薄いビザンツ帝国の千年の歴史を皇帝を中心に見ていく一冊。
ローマの末裔でありバルカン半島、小アジアの二つの半島を持つ巨大な国であるが、その分ありとあらゆる所から攻撃される可哀そうな国家でもある。
見所は国家とキリスト教の嚙み合わなさと、多民族を抑えることができずに徐々に瓦解していく有様である。
ユーラシア大陸の真ん中の半島という人間が交錯する巨大な繁華街であるビザンツ帝国は、島国日本とは真逆の立場の国である。比較しながら読むとより面白いかもしれない -
東ローマ帝国、コンスタンティノープルの印象が強いビザンツ帝国について、興亡を知ることができてとても良かった。
新しい見方として、そもそもビザンツ帝国が十字軍によって滅んだ(パライオロゴス朝はおまけ)という考え方があるのと、十字軍の始まりは、アレクシオス一世の教皇ウルバヌス2世に対する軍事支援の様相を帯びていたこと。
歴史を違う方向から見れるのは発見もあり楽しい。 -
「波瀾万丈の歴史」と帯にあったが、帝位の簒奪、反乱、簒奪、反乱、簒奪失敗、それらに伴う「摘眼刑」「摘眼刑」「摘眼刑」・・・
もう、摘眼刑しか印象に残ってない。
ビザンツ帝国怖い -
ビザンツ帝国。
私の無知故に、半分もわからなかった。
もう少し、知識量を増やしたい。
また、皇帝の数が多く、人物名で紙面が覆われる事が多々あった。
難しい…世界史って。