- Amazon.co.jp ・本 (418ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150119607
作品紹介・あらすじ
創刊時掲載の巨匠から現代SFの最先端まで、オール短篇集初収録作12篇で構成する傑作選
感想・レビュー・書評
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創刊700号記念アンソロジーというだけのことはあって、さすがの内容。SFマガジンに載ったもので、短篇集初収録となる作品が並んでいる。好みはあるだろうが、いずれ劣らぬ傑作揃いだ。
何をおいても語りたいのは、テッド・チャンの「息吹」。これは創刊50周年記念特大号で読んだのだが、その時の感動は忘れられない。今回も真っ先に読んで、前と同じく、いやそれ以上に心うたれた。SFって本当に素晴らしい!とつくづく思う。並みの想像力がとても及ばないような異世界が目の前に差し出されて、それだけでもすごいのだが、圧巻はラストの数十行。冷静に淡々と綴られている言葉が、「真実」のオーラを放っている。なんだか厭世的な気分になったら(時々なる)、このページを思い出すことにしよう。
好きだなあと思うのは、やっぱりル・グィン。「孤独」はハイニッシュシリーズに連なるものだ。研究者である母親に連れられて、異星にやってきた少女が、その星の人として成長していく。後退した文明と見なされているこの星の人々のありようが、不思議な魅力で迫ってくる。母や兄、元の世界の人たちと隔たっていく少女の姿が、切なくも凜として美しい。
ジョージ・R・R・マーティンの「夜明けとともに霧は沈み」でも、遠い辺境の星が美しく描かれていて心に残る。特に目新しいテーマではないのに、読ませるんだなあ。
ブルース・スターリングの「江戸の花」にはちょっとびっくり。すごくそれらしい(明治の初めの感じ)のは、訳のおかげ? ラストがぴたりと決まっている。イアン・マクドナルド「耳を澄まして」の静謐な世界も良かった。イーガンは例によって、よくわからないけど面白い。バチカルビは印象的なんだけど、やっぱり好きじゃないと再認識。
とまあ、それぞれにあれこれ語りたくなる作品ばっかり。私はSFマガジンと同い年。ずっと続いてほしいです。 -
積読状態だったSFマガジン700号記念アンソロジー。今は隔月刊になったけど、そのくらいで密度的にはちょうど良いのでは?とも思えます。
創刊時から抽出された作品群は流石にどれも印象深いです。文体と雰囲気がどうも合わないと感じている作家や、何を書いているか理解出来ない作家さんの作品まで楽しめるから短編って素晴らしい。 -
収録作の作家が超有名な方々ばかりなので、面白いかどうかは、あとはもう好みの問題では、と思う。さすがにハズレなし。
特に印象に残った作品をいくつか。シェクリイ「危険の報酬」古い作品だが、面白かった!これが元ネタになっていそうな映画がいくつか頭に浮かぶ。マクドナルド「耳を澄まして」アンソロジー中、一番気に入った作品。長編で読みたかった。イーガン「対称」帯の記載通り、ガチハードSF。個人的にはこの手だと、もっとひねくれた変化球好み。短編だからかな。チャン「息吹」素晴らしい。 -
ルグィン目当てだったが…イーガンはまだ読めた
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全12篇からなるSFアンソロジー。
個人的に良かったのは次の5篇。
ジョージ・R・R・マーティン『夜明けとともに霧は沈み』
イアン・マクドナルド『耳を澄まして』
アーシュラ・K・ル・グィン『孤独』
コニー・ウィリス『ポータルズ・ノンストップ』
テッド・チャン『息吹』 -
テッド・チャン「息吹」
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個人的なベスト3は
スターリング『江戸の花』
ウィルス『ポータルズ・ノンストップ』
チャン『息吹』
スターリングのサイバー・パンク落語にはやられた。