僕が愛したすべての君へ (ハヤカワ文庫 JA オ 12-1)

著者 :
  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150312336

感想・レビュー・書評

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  • 2016.11.6

  • 誰かの不幸が誰かの幸せ。ではなくどこかの自分の不幸せによってこの世界の自分が幸せになっている。不幸せになる分岐点を避けて今の世界の自分は幸せになること、それはその分岐点で不幸せになった並行世界の自分のおかげで今この世界の自分が幸せになっているということ。

    並行世界を巡る話で、分岐点によって生まれる可能性を考慮し主人公が最終的にまとめた考え方。並行世界というものが知らず知らずにあるとしたら確かにそうなのかなと。
    そう考えると今自分が、ある選択によって不幸せになってしまった瞬間、分岐された世界の自分は別の選択により幸せになっているのだから、なんだか不幸せを許せるような気がした

  • 高名な学者の父と資産家のお嬢さんな母が離婚して母の実家で母と祖父母と暮らしている暦。父との月に1度の面会日に買ってもらったエアガンを取り上げられた8歳の時から祖父と口を聞かなかった。2年後祖父の死に目に会えなかった後悔をした暦は変な箱の中にいたー

    ◆うわ-…難解(笑)私はもう1つを先に読んでしまったのでそちらが0のような気がしてたけど、彼らにとつてはコッチが0で。ほんの紙一重の隣の世界、隣の隣の隣の隣の世界では少しづつ違う現実がある。「え、この話2回め?!ごめん」て何回もやるうちの旦那はんも、もしかしたら隣の世界の旦那はんかもしれない(笑)、と思うと酔っ払いの戯れ言よりはほほえましく許せるかもしんない(笑)

    【ネタバレ】作中、「並行世界ものの映画をたくさん観たじゃない」と言ってた。「ああいう作品のほとんどって主人公が何度も世界をやり直して自分の望む未来に変えていくって感じじゃない?思ったんだけど、それって主人公が自分の望まない並行世界を勝手に否定してるってことなのよね。その世界はその世界で、自分じゃない自分が生きて作り上げてきた世界なのに」

    その通り。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」も「タイムマシン」も「ジャケット」も「バタフライエフェクト」も「ルーパー」も。なかでもバタフライエフェクトとルーパーは根本的解決法がもう1冊の暦に近い。結局…幸せだったのかどうなのか…

  • 二冊で1セットになっている様式の幸せな方。
    平行世界が実際に存在したら…というストーリーをかなり現実的に描写していたと感じた。警察とか法制度が整えられていたりとか。
    平行世界ものでありがちな設定もあってややストーリーが先読みできてしまうところもあったが、ちゃんと裏をかいて驚かせる点もあって良かった。
    だけど、明らかにもう一冊のストーリーに絡んでくるんだろうなっていうシーンがあったりしてちょっと萎えたりもした。伏線の置き方が雑。

  • 平行世界って、あの時ああしていれば今ごろ…の積み重ね。人生にはいかに分かれ道が多いかを考えさせられる。もう1冊読んだら評価しよう。

  • 一気に読みきった。
    もしパラレルワールドがあったとしたら行ってみたい。
    可能性の全てを愛する

  • どっちから読むかなーと思って、ナンバリング順で読むことにしたベタな私。

    でも、両方読んでこっちの方が好みだったかな。
    パラレルワールドで入れ替わった先にいる恋人が、オリジナルではないことの、気持ち悪さ。
    何かが微妙にズレていて、でもその多層世界が在ることを受け入れざるを得ない現実。

    冤罪の話もそうだけど、オリジナルは自分一人でありたくて、だから自分一人の幸せを願って世界がむちゃくちゃにならないんだろうかと思う。
    そういう意味では、暦じーちゃんが思う、他人が幸せであることを幸せと感じられる良さ、はなかなか深いもののように思った。

  • 両親の離婚で母親についていくことをきめた暦。

    暦の住む世界では平行世界と言って、自分の生まれた世界を0だとすると1~∞のパラレルワールドが存在し、また気がつかないうちに入れ替わっていたりする。

    そんな中出会った滝川和音。
    順調に愛を育み、結婚する運びとなるが、そこである疑問点に行きつく。「結婚するのは本当にこの世界の相手なのだろうか?」もしかした式の最中に入れ替わっているかもしれない。そう不安を漏らす和音に、暦は言う「君のすべての可能性ごと君を愛す」

    なかなかその境地までいくのは大変だと思う。でも愛を貫いた暦はかっこよかった。

  • パラレルワールド(平行世界)が普通に認識され始めた世界での物語。

    時間軸は変わらずに、物質、人、事柄等が変化している。
    パラレルワールドにて
    主 人 公  高崎 暦
    ヒロイン 瀧川 和音
    この二人が織り成す物語。


    序章が終章。
    約束通りにその場に行ったが一瞬で居なくなる少女。
    白服ストレートの髪の少女。


    両親が離婚して母親についていくことにした暦。
    そこで。
    パラレルがまだ確立される以前に移動した暦。
    祖父が亡くなった現世界から生きてる世界に吹っ飛ばされる。
    それから5年後。
    高校入学して、和音と同じクラスに。
    和音の悪戯が暦を騙す事で。
    二人の親がパラレル世界のお仕事してて。
    和音は85番目の世界から今の世界に飛ばされたと言い。
    実は嘘で。

    同じ大学に進み、晴れてカップルとなり順調に結婚。
    子供 涼(男子)にも恵まれ。
    涼が6歳の時に、パラレルから入れ替わった和音。
    通り魔に襲われて涼を亡くした世界。
    無事に入れ替わって、同じ世界の二人に戻る。
    涼は絵理と結婚して愛(女子)を授かる。

    序章にて約束通りに
     8月17日午前10時昭和通り交差点レオタードの女
    73歳になった暦は車椅子で向かう。
    そこには白服のストレート髪の少女。
    一瞬で消えてしまった。
    が、入れ替わりに現れたご婦人。

    終章が序章。


    私的に 意識的に平行世界に飛ぶ というのはヤダな。
    自分で自分を縛っているようで。
    物語的には面白いと思うけど。
    対になる作品を読んでどう繋がるのか?

  • フォロワーさんが推してたのでなんとなく気になってもう片方と一緒に購入しました。
    「僕が…」→「君を…」の順に読みました。

    期待してた通りに全体的に爽やかで、殺伐としたものばかり読んでいた分リフレッシュできてよかったです。
    勿論、この世界観の中心における「平行世界」を巡る葛藤、苦悩はあるものの、“高崎”暦はそれを暖かく受け入れ乗り越えることができる人物であるため穏やかに読めます。
    瀧川和音との関係を主としてるので、「SF世界観はあくまでベースのハートフルラブストーリー」と言って間違いはないでしょうか…?
    SF要素については文系脳の私は「そーなのかー」と素直に受けとることしかできないので悪しからず…

    ただしやはり、もう片方の「君を…」と対になる物語なだけにこの一冊だけでは少しボリューム不足かなとも。まぁ皆様2冊読むので問題ないと思いますが。
    私みたいな普段殺伐とした追い詰めていくようなものを読む人には幸福が過ぎるかもしれません。でも、そんな人こそこちらを先に読むべきだとオススメします。
    逆に大団円がお好きな人は、是非「君を…」をお先にどうぞ。

  • 73歳、余命僅か、3日後に記憶にない予定あり。妻と息子と孫、並行世界の研究者としての人生。

    この世界で幸せでなくとも、幸せである並行世界がある、というのは、ひとつの希望かもしれないですね。

  • ★同時刊行2冊にまたがるネタバレあり★

    同時刊行の『君を愛したひとりの僕へ』を読了後、続けて本書『僕が愛したすべての君へ』を読みました。

    本書『僕が…』の世界の暦の方が『君を…』の暦よりも幸せな人生を歩めたように思います。
    でも、よくよく考えると、『僕が…』の暦は、『君を…』の世界を生きた暦が幼少期へ並行世界移動+時間移動してきたのか?と考えると、なんだか混乱してきました。

    現世界(ゼロの世界)の自分(や彼女)と、少し離れた並行世界の自分(や彼女)との関係性について真剣に悩み、結論を導いていくところが、好きです。

  • どうか君と、君の愛する人が、世界のどこかで幸せでありますように。

  • パラレルワールド物のSF
    並行世界が科学的に実証され、一般にも認知されだした世界で、並行世界間で意識が入れ替わる"パラレルシフト"に纏わるエピソードを主人公の視点から語る。
    主人公の成長に合わせて、幼年期、少年期、青年期と話が進むので、その時点での並行世界の世間での受け入れ方等が描かれてておもしろい
    対になる君を愛したひとりの僕へを読むと全貌が分かるようになっている様子

  • どうりで、綾辻行人の『絶叫城殺人事件』が自宅に3冊もあるか理由がわかったよ(嘘)。
    並行世界の自分の仕業だな。
    などと、パラレルワールドの自分も感想を、あれあれ、でも、この本は買ってないかも。
    実際、別日に2回手に取りながらも購入を見送り、3回目に購入したわけで。
    まぁ、そんな話です(ウソ)。
    と言うか、
    君を愛したひとりの僕へ
    から読んでるかもね。

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著者プロフィール

1981年大分県生まれ。2012年、第18回電撃小説大賞選考委員奨励賞を受賞した『ミニッツ ~一分間の絶対時間~』(電撃文庫)でデビュー。初の一般文芸作品『僕が愛したすべての君へ』『君を愛したひとりの僕へ』(ともにハヤカワ文庫JA)を同時刊行して、大きなヒット作となる。ほかに『ラテラル ~水平思考推理の天使~』(電撃文庫)、『正解するマド』(ハヤカワ文庫JA)など、トリッキーなアイデアを武器とした作品を得意とする。

「2021年 『アイの歌声を聴かせて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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