パディントン発4時50分 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 41)
- 早川書房 (2003年10月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (421ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151300417
感想・レビュー・書評
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ごはんの描写が多いのが楽しい。とくに家庭料理が出てくるあたりがマープルシリーズの醍醐味ですね。イギリス料理って描写を見るととてもおいしそうに思えるんだけどなあ(笑)シラバブをぜひ食べてみたい。
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パディントンから電車に乗る予定なので、久々にミス・マープルを。やっぱりひきつけられる面白さ。登場人物の描写が素晴らしくて、誰もがあやしく感じてしまう
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日常生活で殺人事件という突飛な出来事にあう入り方が好きでした。
事件解決のために大切だったルーシーのことが大好きになりました。 -
『牧師館の殺人』で、ミス・マープルはあまり合わないかなぁと思ったけど、これはヒットでした。
うちにもルーシーが来てくれたらいいのに!
頭の良い人は、家事も効率よく片づけてしまう、と聞いたことがあります。知識も豊富だし機転も利くから、誰とでも話が合わせられて、親しくなれるのでしょう。そのうえ、殺人捜査まで出来てしまうなんて。
ともあれ、適材適所に人を配置して、情報を統合して事件を解決してしまう、ミス・マープルが一番すごい!
ルーシーお手製のローストビーフが食べたくなりました。 -
出ましたルーシー・アイレスバロウ!
私はこのヒロインが大好き。
無敵のフリーランス家政婦で
どんな難仕事もへっちゃらちゃら、
特殊技能もどれだけあるか分からない。
雇い主には法外な料金を請求するけど、
彼女が働いている間、家は快適そのもの。
おかげでどこからもひっぱりだこだけど、
短い契約期間を終えたら
どんなに引き止められてもスパッと辞め、
しばらく優雅な休暇をとる……
なんだかドラマ「ハケンの品格」で篠原涼子が演じた
スーパー派遣社員・大前春子みたいですが
あのドラマと違ってルーシーは愛嬌たっぷりで
古参の召使ともすぐにうちとけ、交友関係も広い。
このルーシーが事件とどう関わるのかというと……
物語は、列車に乗っていたある中年婦人が
線路で一瞬すれちがった車両で
男が女の首を絞めているのを
目撃するところから始まります。
殺人を目撃した婦人はみんなに知らせるが、
証拠もなく、誰も信じてくれない。
しかし、彼女はミス・マープルの友人だった!
名探偵は友の証言を信じ、調査を開始する。
地理、時刻、犯行心理等を計算したミス・マープルは
広大なクラッケンソープ家の敷地のどこかに
死体が隠されていることをつきとめる。
しかし、ミス・マープルにはここまでしかできない。
なんとか立ち入って死体を捜す必要があるというのに、
年のせいか、体が万全ではないのです。
(このあたり『鏡は横にひび割れて』につながる)
だれか私の手足になってくれる人はいないだろうか?
そこで助っ人として登場したのが
ルーシー・アイレスバロウだったのです。
名探偵の指揮の下で素人が捜査を進めるという図式は
『三幕の殺人』『スリーピング・マーダー』
等にも見られますが、
今回が最高の成果だと思います。
任ではない人の手際の悪い捜査を読んでいると
じれったく感じることも多々あるのですが、
ルーシーの場合は、自身が名探偵になっても
おかしくないほど優秀ですし、
雇い主をだましながら捜査を進める
スパイのような緊張感がなんともいえません。
ルーシーがとても魅力的に描かれているので、
彼女がクラッケンソープ家の殿方から
次から次へと(!)言い寄られる展開も
ごく自然に、ニコニコしながら読めます。
というわけで、序盤よし、中盤よし、
ヒロインは魅力的、ロマンスもたっぷりと、
ここまでは完璧なんですが、肝心の謎解きが……。
これはロバート・バーナードに代弁してもらいましょう。
「見たところミス・マープルは霊感で謎を解いたらしく思われ、ヒントや推理の類が非常に少ない」
「推理というよりは神のお告げといったほうがよい」
(『欺しの天才』より)
「霊感で謎を解いたらしく思われ」なんて
イギリス人らしい皮肉ですね。完全に同意します。
初めて読んだときはびっくりしました。
「えっ、なんでこの人が犯人なの?」と。
根拠がまったくないんですから!
本作は比較的後期、1957年の発表ですが、
論理的な本格推理を構築できていたのは
『予告殺人』(1950)『葬儀を終えて』(1953)
あたりまでだったのかな、と悲しくなります。
だからミステリとしてはちょっとアレなんですが、ルーシーは結局誰を選ぶのか? という
恋のリドルストーリ-がたまんないので、
ロマンス好きな人はぜひぜひどうぞ!
ルーシーの相手は
「ケンカばっかりだけど実は……」なセドリックなのか、
「私がついてないとダメね……」なブライアンなのか、
はたまた別の選択肢があるのか、
今でも暑い議論が繰り広げられていますが、
例として大手掲示板「発言小町」を挙げておきます。
http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2006/1207/112060.htm?o=0&p=0
クラドック警部説にもびっくりですが、
ルーザー老人説まであるなんて!
小説としての雑多な要素がつまっているから、
たとえミステリとしては肩すかしでも
クリスティーは飽きないんですよねえ。
ところで、近年発表された創作メモを分析した
『アガサ・クリスティーの秘密ノート』によると、
作者はルーシーが結ばれる相手を決めていたようです。
それは……それは読んでのお楽しみ。
でも作者の意図なんて、読者には関係ありませんもんね。
自分がこれだ! と思う相手が正解だと思います。
ちなみに私はブライアンだと思ってました。
旧版は山村美紗さんの解説。
名探偵の性格や殺人にふさわしい現場について。
旧版が出たのは1976年。当時の山村さんはまだ
京都なんたらかんたら殺人事件の作者ではありません。
『花の棺』や「殺意のまつり」を書いた
新進気鋭のトリックメーカーです。
自分もこれから傑作を書いてやるのだという
気負いが感じられ、すがすがしい。
新版は前島純子さんの解説。
クリスティー文庫はありがたい、という話と
「私がはじめてクリスティーを読んだのは」構文。
最後に少しルーシーの料理にふれていますが、
好著『探偵たちの食卓』の著者なんだから
「クリスティーと料理」というテーマで
全編通した方がよかったのでは?
旧版の勝ちです。 -
外国のミステリは苦手意識があったんだけど、こんな少女マンガみたいなミステリがあったなんて!
ルーシーみたいな女の人になりたいし、ルーシーの恋のお相手も気になるし、この辺すごく少女マンガの王道みたいだった。
そしてラスト8ページまで犯人が分からないという秀逸なミステリ!
盛り沢山で本当に楽しく読めた。
そしてローストビーフが食べたくなりました。 -
おもしろかった。初めてのアガサクリスティーだったが、予想より満足できた。長編だが、そう感じさせないテンポの良さと場面転換の上手さは驚いた。人物も生き生きとしていて、ぐいぐい引き込まれてしまった。
また機会があったら読みたい。 -
ルーシーは、私の憧れの女性です。
マープルの次に。
「この年じゃ、もう冒険はできない」