- Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152091628
感想・レビュー・書評
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人間くささが良い。訳もうまい。面白かった。短編集が苦手だけれど連作なので最後まで読めた。じっくり読んだ。オリーブみたいになってはいけない!と不安すら感じるけれどだんだん情がうつってけれどイライラしてこれが人間だよなと絶望してしまう。とても素敵で心に残る。
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色を重ねたり配置するのではなく、木を削って輪郭やテクスチャを描く版画のような小説。饒舌な語りがない分、想像力が求められるし、慣れない外国人名だったりで、読みにくさがあるけど、味わい深さは格別。
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小さな町で人生の後半の時間を刻んでいく人々の生活が淡々と描かれていく。けっして穏やかなものではなく、一筋縄ではいかない。もつれさせているのは、人間の業や孤独なのかもしれない。人生はやさしく、切なくて。連作短編集の構成が素晴らしい。
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アメリカ北東部の小さな港町で暮らす人々の人生の1ページを元数学教師のオリーブ・キタリッジとの関わりの中で描く連作短編集。全てのエピソードでオリーブが中心となるわけでも無いが、僅かに登場するだけでもその人柄(率直であり、皮肉屋であり、強引であり・・・)がうかがい知れる。オリーブ自身も息子(とその妻)、夫との関係で奔走する。どの物語も味わい深いが、最初の「薬局」と最後の「川」が夫婦それぞれの秘めた心の内を知るようで印象深かった。
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誰か他人について自分ひとりが理解しきれるわけないし自分についての全てを他人がわかるはずもない
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一人の女性と深く、淡く関わる人々の人生を描く連作短編集。
諦念と希望と良識と狂気とその他色んなものにまみれた傑作。 -
13編の連作短編集。視点が変わるので慣れるまでに少し時間がかかる。その中で、主人公であったり、ほんのちょい役であったりするオリーヴ・キタリッジ!彼女の強烈な個性がほとばしる一冊である。
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こんなふうに、短編を順に読んでいくとまるで長編のように一人の女性の半生が見えてくる、という小説をはじめて読んだ。
オリーヴはわたしの身近にいる女性にとてもよく似ていて、読みながらつい重ねあわせてしまった。
ひとつひとつの物語はとても静かで、それぞれに孤独な悲劇がある。最初は脇役として登場したオリーヴが、いつのまにか主人公になり、どんどん存在感を増していく。ひさしぶりに、なんだかすごく新鮮な気持ちで読んだ1冊だった。