空棺の烏 八咫烏シリーズ 4

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163903026

感想・レビュー・書評

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  • 1作目からは想像もできなかった世界の広がり。
    とりあえず、猿の襲撃を退け、危機的状況は回避したものの、新たな問題が勃発。
    すべての親である「金烏」の若宮が、実は金烏ではなかった、という嫌疑をかけられたのである。ではなんなのだ、と問うても、金烏に近いものであるとしか言いようがなくて、なんとも据わりが悪い。

    一方、己の大好きな故郷を守ることは即ち、世界を守ることであり、その世界を護る金烏を護ることが、大好きな故郷や大事な家族を守ることだと知った雪弥は、若宮に忠誠を誓い、首席で卒業できれば若宮の護衛となれる兵の養成所、勁草院へと入学することになった。まさかのスクールライフ(笑)が読めるとは思わなくて新鮮な感じ。

    猿の脅威は去ったわけではない。
    今まで、烏たちの話すことば「山内詞」を解する猿は出現しておらず、たとえ烏に成りすましていたとしてもそれによって見分けることができそうだという仮説は、山内詞を話す猿の存在が現れたことによって、もろくも崩れ去る。

    平穏無事に終わるはずもなく、物語はさらに深みへ。
    続きがますます気になって仕方ありません!

  • シリーズ初代から読んでいるが、まさかこんな展開になるとは…『烏に単は~』からは想像もつかない。次巻はエピソード0とのこと。猿との関係や、今回出てきた小猿との関わりも明かされるのだろうか。とても楽しみ。
    そして雪哉がどんどん逞しくなっていくのが嬉しいような寂しいような。『烏は主を~』の頃の少年ぽさも残しておいて欲しいと思ってしまう。

  • 引き込まれて、気が付けば2日で4冊読み切ってしまいました。

    若宮が金烏として欠けていた理由が明かされつつも、広がっていく世界の綻び。
    次作が楽しみでなりません。

    ところで、あのぼんくらが、いつしか私好みの捻れた性格に成長していて思わずほくほくしています。

    特に高笑いしながら挑発し乱闘するシーンは脳汁がすごい。
    挙句、この顛末を全て彼が仕立て上げたとは。
    随一の参謀になりましたね。

    キャラクターとしては彼と路近が好きです。

  • 久々の新刊!

    猿の襲撃を受けた全巻は、ちょっと怖かったのですが、今回は雪哉が山内衆養成所「勁草院」を舞台に活躍する物語でした。

    個性豊かな面々がいて、おもしろかったです。

    市柳草牙、ツボです。
    なんだかんだいって、面倒見がいい先輩。いい人ですね。
    逆に、路近は内心どう思っているか分からなくなって不安になる時も…。

    最後に今回は、友好的な「猿」も出てきて、金烏の秘密が少し明らかに。
    どうなるのかな、続きが気になる。

  • 八咫烏シリーズの、今回はスクールライフ編。
    もうすっかり王子様の意中の人を争うお姫さまの初巻の衝撃がまったくなくなって、少年の冒険ファンタジーになりつつある。

    今回は死人が出るわけでもなく、大したミステリーというものもない。表題にある「空棺」の謎は途中で提示され、最終章で駆け足程度に明かされる。学園ドラマのドタバタに頁を割かずに、若宮の話に主軸を置いた方がよかったようにも思うが、新登場の三人の話はよくまとまっている。

    設定がいかにも中華ファンタジーぽくラノベっぽいが、少年たちは蒼くさいを通り越して滋味深いことを語っており、作者の若さのわりに老成した出来を感じる。続編が楽しみ。

    表紙の絵、悪くないけど色調が淡すぎてみづらいので、もうすこしシンプルでもいいのではないか。

  • 雪哉が中心となり、ますます面白くなってきました。先が気になります。

  • 安定して面白い八咫烏シリーズ。
    今回は学園モノ一辺倒になるかと思いきや山内の根幹を揺るがすようなストーリーもある。タイトル回収もされるのでそれを楽しみに読むのも良いと思う。
    生まれも境遇も違う4人の青年たちが時にぶつかり合い、時に助け合い成長する姿にはとても感動する。
    雪哉のできすぎ感がちょっと行き過ぎているようにも思うけれど、彼は天才肌なのだろう。
    次作は“現代”とも繋がってくるようなので、そちらも楽しみである。

  • これまでと同様に猿の存在にハラハラする展開は後半にありますが、雪哉がけいそう院で修行に励む?中、若宮を守る得難い同士を得てゆく過程は、今までになく痛快で楽しく読めました。相変わらず、雪哉は何を考えているか読めないのはもちろんですが、謎が謎を読んで先が気になる展開です。

  • が、学園モノだ〜〜!?
    桜花宮、招陽宮、辺境…と巻ごとに舞台が変わるので、話の軸は変わらずともまるでそれぞれが別ジャンルの物語のような印象を受けていたのですが、今巻の実態はもはや学園モノと呼べるのではないでしょうか(??)
    学園モノの良いところは、幅広い人間が会することで異なる価値観を知ったり同じ目標に向けて切磋琢磨したりする姿が見られるところですよね。まさに雪哉くんも同世代の子供達と触れ合い、高め合い、団結することで、私刑暴力折檻搾取等々が蔓延る山内をフルパワーで戦い抜く覚悟を固めていて…子供たちの活躍する姿は爽やかで良いですね。ちょっと雪哉くんの覚悟の固まり具合が想像以上でしたが……雪哉くんの働きぶりのおかげで若宮殿下のための環境が着々と整えられていて、スゴイ。これが忠誠心…?
    お気に入りポイントを挙げるなら、傲慢を押し通すことを決めた宮烏がいる一方で、喧嘩を仕掛ける野蛮さを捨てない山烏たち(自認含む)がいたのが良かったです。中途半端に寄り添おうとするよりも、己の使える力を出し切れるやり方を貫いたほうがかっこいいんだなぁと思いました。

  • 978-4-16-390302-6
    c0093¥1500E

    空棺の烏(くうかんの からす)

    八咫烏シリーズ 1章4巻

    2015/07/30. 第1刷
    2015/10/20. 第3刷発行

    著者:阿部 智里(あべ ちさと)
    発行所:株式会社 文藝春秋

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著者プロフィール

1991年群馬県生まれ。2012年早稲田大学文化構想学部在学中、史上最年少の20歳で松本清張賞受賞。デビュー作から続く「八咫烏シリーズ」は、松崎夏未氏による漫画化、中台翻訳など進行中。19年『発現』(NHK出版)刊行。

「2023年 『烏は主を選ばない(4)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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