- Amazon.co.jp ・本 (195ページ)
- / ISBN・EAN: 9784255960296
感想・レビュー・書評
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巨匠ルイ・マル監督によって映画化された「地下鉄のザジ」の作者レーモン・クノーによる言語遊戯。
とある昼下がりバスの中での出来事を99通りの方法で書き分けていく、という趣向。
これは、日本語に翻訳した人がすごい!朝比奈弘治、おそるべし。彼のあとがきもよい。いくつか引用したので、ご覧ください。私のレビューより、彼の言葉のほうが説得力あり!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
学生の時に読んで、ずっと手に入れたいと思ってた本。ようやく手に入れた。
表現の可能性の広がりを感じる。 -
読了日 2023/07/30
Podcast「超相対性理論」で渡邉康太郎さんが紹介していた本。
一つの出来事を、99通りのやり方で描くという「文体練習」を収録した本。翻訳が大変そう。 -
思うように文章が書けなくなって焦っていた時に出会った本
それまでの自分は常に完全解答を叩き出そうとしていたけど、言葉の世界にはたくさんの答えがあるんだと知って、心がかなり軽くなった
なんじゃこりゃ、、、って感じの文章もたくさんある(むしろそっちの方が多いかも)けど、その奔放さも救いになるというか いつの間にか忘れてしまっていた言葉遊びの楽しさや開放感を思い出せる
原典がどんな感じなのか気になる。これ翻訳するの大変そう -
「嗅覚」の項に胸キュン。翻訳の手腕込みで。
その気になればこんなに文体を書き分けできるのか。
一介の喫語者として終始ウキウキして読んだ。
ラインやメールの文面に活かしてみよう。 -
よくもここまで書き分けて、本にしたな、と。訳者の腕も凄すぎる
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・原書の発想も凄いが、
翻訳のセンスが凄すぎる。
翻訳でこんなに味が出るとは…
フランス語ができる人であれば、
合わせて原書も読んでみたら、
より楽しめそう。
・本文はもちろん面白いが、
訳者のあとがきを最初に読んだのはよかった。
訳者が苦心したこと、
翻訳しながら考えたこと
またそれぞれの章の注釈が書かれているので、
より味わって読むことができる。
・書かれている文章の内容は同じ。
でも、書き方が違うとこんなに印象が変わるのかと驚かされる。
21区別
バスのなかで(風呂の話ではない)、わたしは、ひも(女に貢がせる男のことではない)を巻いた帽子(某氏ではない)をかぶった男を見かけた。
(ぶった男を見限ったのではない。)…
和訳センスが面白すぎる!
35語頭音消失
衝撃的。
たしは とで っぱいの スに った。
スの かには びが るで リンの うに がい
かものが た。…
これでも、なんとなく読めてしまうから不思議。
46音の反復
7行ほどの文章の中に
ぶん
と言う言葉が33回も出てくる。
洒落
になっている。
70語頭音付加
まある日の、ど小五ごろ、べ混雑した、さバスの、お後部デッキで、な私は、とある、お若者を、も見かけた。…
72だくでん
ひらがなに、濁点を打ちまくった文章。
普通の日本語では、濁点が付かない所にも
(例えば、うに濁点など)ついてるところが面白い。
役者あとがき
翻訳を通じて感じた事は
自分の無力さであり
日本語の無力さではなかった。
フランス語以上に、
日本語を探検する良い機会となった。
日本語は相当奥の深い柔軟な言葉である。
本文の中では一切説明しないこと
もしもクノーが現代の日本人だったら、
どんな文体にしただろうかと想像しながら言葉を選ぶことを方針とした。
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99の同じ内容、それも平凡な。異なるのはその内容の描かれ方。無限増殖される翻訳。底なし沼のような言葉の深みにはまっていく感覚になって何度も本を閉じた。
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ひとつの話を色々な文体、角度から書く正に「文体練習」
文体のテーマに沿って面白い(なるほど的な)文章。私の今得たいと思っている多角的視点なのかなと思うし、人それぞれ異なると言うことになる。こんなにも人は違うのだなと思う。
本が好きな人と言うより、文が好きな人が面白いと感じる一冊。と、私も文章と言うものに魅力を感じているのだなぁと再認識する。
まあよくコロコロとこんなに文体を変えた表現が出来るものだ。