文体練習

  • 朝日出版社
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本棚登録 : 1969
感想 : 208
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  • Amazon.co.jp ・本 (195ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784255960296

感想・レビュー・書評

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  • 「文体練習」という名の通り、あるなんの変哲もない例文をただひたすら「キザっぽく」「無機質な感じで」「箇条書きで」「教科書のように」「ギャル語で」「比喩表現を使いまくって」「通行人Aを主人公にして」「全て倒置法で」など、思いつく限りの様々な文体でこねくり回した本。文体とはなんなのか、比較できるのが面白く、自分の文体を見直す手がかりにもなる。ベースとなる例文自体は本当にシンプルで短いので、次から次へと想像を超える文体たちに驚いているうちにサクッと終わってしまう。暇つぶしにもぜひ。

  • 同じ状況を極力同じ文章で、文体を変えて書くというもの。日本風にアレンジして訳されているところもあり素敵です。

    そういえばずいぶん前のダ・ヴィンチで嵐の松本潤がこの本を持ってきていましたが、時のトップアイドルがこれを持っていたと思うと…おしゃれだな〜

  • 『藪の中』ではないが、こうやって多角的な視点をもって一つの現象を描写していくということには、なんだかものすごい可能性が詰まっているような気がしてとても好きだ。それぞれの間の隙間というか、齟齬がとてもリズミカル。そしてオチも結構良い。

  • 読んで笑う自分を知的に感じられる本。
    皮肉ではなく、純粋に言葉遊びの世界に浸ってしまうというか。それもちょっと知的表現か。どう言えばいいのか?……ま、ええわ。
    ページをめくるとあまりに意外な展開でつい笑ったページと、ああ、うん、と頷くだけのページだったり、へぇ~これはどういう?おお!と感心したり。
    それにしても翻訳がすばらしいのではないでしょうか。
    仏語→短歌、仏語→漢文、仏語→英語かぶれ、などなど。他国の言葉がからむとどうやって?と読みながら疑問に思ったら、あとがきに具体的にどう翻訳したかなどが明記されていた。
    言語にもレイモン・クノー氏にも尊敬の念を感じるあとがきで、読めてよかったし、この本の存在を知ることが出来て良かったと思いました。

  •  図書館の返却日がせまってきたので、ちょっとだけ目を通しておこうと開いたら、止まらなくなりました。「何これ? 意味不明!」というものもありますが、全195頁のうち、p137から始まる「訳者あとがき」にて詳しい解説があるのでご安心を。本棚にあって時々パラパラと読み返したら楽しいだろうなと思ったものの、本体価格3,398円とは……。

  • 同じ手法で、自ら文章を書いてみれば、おそらく「書く」ということのとてつもない訓練になるのだろうなと思う。
    今後の参考のために、文体一覧。

    メモ、複式記述、控え目に、隠喩を用いて、遡行、びっくり、夢、予言、語順改変、虹の七色、以下の単語を順に用いて文章を作れ、ためらい、厳密に、主観的な立場から、別の種完成、客観的に、合成語、・・・・でもなく、アニミズム、アナグラム、区別、語尾の類似、あらたまった手紙、新刊のご案内、擬音、論理的分析、念には念を、無関心、ぼく、現在、・・・・・た、・・・・・ていた、アレクサンドラン、同一後の連続使用、語頭音消失、語尾音消失、語中音消失、俺はね、感嘆符、あのー、荘重体、俗悪体、尋問、コメディー、傍白、音の反復、白日夢、哲学的、頻呼吸、下手糞、無造作、偏った見方、ソネット、臭覚、味覚、触覚、視覚、聴覚、電報、歌の調べ、漸増方式による文字の置き換え、漸増方式による文節の置き換え、古典的、集合論、定義、短歌、自由詩、平行移動、リポグラム、英語かぶれ、語頭音付加、だぐでん、女子高生、品詞ごとに分類せよ、並べ替え、前から後ろから、固有名詞、らぞなぞね、ぱぴぷぺぽ、さかさま、ちんぷん漢文、聞き違い、いんちき関西弁、イギリス人のために、子音交換、植物学、医学、罵倒体、食べ物、動物たち、表現不能、モダン・スタイル、確率論、種の記述、幾何学、疑似農民ことば、間投詞、気取り、意想外・・・

  • 面白かった。

    ドラマチックでも何でもない1つの出来事を
    99通りの書き方で表した本。

    言葉遊びや実験的なものも含まれていて
    中には解説を読まないと何がなんだか分からなかったり
    読んでもよく分からないものもあるんだけれど(笑)

    でも面白い。

    文章って色んな書き方があるんだなぁと、改めて感じられる本でした。
    内容も大事だけど、書き方って大事だなぁ。


    個人的には「語尾の類似」「アレクサンドラン」「古典的」「英語かぶれ」「イギリス人のために」辺りが好きだった。

    「英語かぶれ」は、完全なるルー大柴的文章なんだけれど(笑)
    解説を読むと日本語って面白い!と思う。

    「イギリス人のために」は音読したくなるし、
    最後の最後の「意想外」の最後の一文も意想外で良いな…


    全編通して、フランス語から日本語に訳した翻訳者さんの苦労が偲ばれました。
    よくぞこれを!グッジョブ!!

  • リポグラムは日本語の凄さ感じられる

  • 推薦入試で時間つぶしに読もうと思って読んでいたら,本の中に吸い込まれる気分になりました。危ない危ない。いろんなとらえ方,表現の仕方があるんだと感嘆しました。

  • 同じ出来事を99通りの文体で描かれている作品。

    文体、文章、言葉の無限の可能性を感じる素晴らしい作品。

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著者プロフィール

一九〇三年ル・アーヴル生まれ。パリ大学で哲学を学び、シュルレアリスム運動に参加。離脱後、三三年に「ヌーヴォ・ロマン」の先駆的作品となる処女作『はまむぎ』を刊行。五九年に『地下鉄のザジ』がベストセラーとなり、翌年、映画化され世界的に注目を集める。その後も六〇年に発足した潜在的文学工房「ウリポ」に参加するなど新たな文学表現の探究を続けた。その他の小説に『きびしい冬』『わが友ピエロ』『文体練習』『聖グラングラン祭』など、詩集に『百兆の詩篇』などがある。一九七六年没。

「2021年 『地下鉄のザジ 新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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