蜜蜂と遠雷

著者 :
  • 幻冬舎
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レビュー : 1398
  • Amazon.co.jp ・本 (507ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344030039

感想・レビュー・書評

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  • あるピアノのコンクールを通して色々なことを思い、成長するコンテスタント達のお話。

    お客さんが聴きながら何を思い起こすような演奏なのか。
    文章なのにコンテストで披露される演奏がどんな感じだったのか分かるような描写。
    その曲を聞いていないのに、観客と同じようにテンションが上がったり感動したり出来ました。

    そしてコンテスタント達の思いや苦悩は文学作品なのに哲学的。

    音楽をやってる人には是非一度読んでもらいたい本です。

  • ピアノコンテストの舞台だけでこれだけのドラマを書き上げるのはさすが。風間塵が神がかりすぎていたが、そこもまた読者を引き寄せる。ストーリーはどんでん返しもなく想定通りの展開なのにコンテストの場の緊張感や登場人物のそれぞれの思いなど読者を飽きさせることはまったくない。本から音は出ないのに自分もコンテストの会場にいてコンテスタントのピアノを聞いているかのような感覚すら覚える。

  • とても色彩豊かな物語でした。
    音楽には疎いですが、ピアノの音色とその音色が表す風景が飛び込んで来るかのよう。
    音楽が文字になって、それがさらに映像になって脳内に浮かぶカンジ。

    色んなタイプの天才が描かれてるいましたが、
    やはり小説で天才を読むのは面白いし、人を惹きつけますね。
    何と言っても風間塵の演奏が楽しみで仕方なかったです。

    なかなかの長編で、そこまで長さは感じさせないものの、もう少し短くても良かったかなと思いました。

  • ピアノの音色が聞こえてくるような美しくてリアルな描写が凄い。それぞれの登場人物が苦悩を乗り越え、人に助けられながら成長していく様子が爽快で、長編ながらも一気に読み進められるテンポがあった。
    音楽をやったことのある人なら、うんうんそうなんだよなと、音楽する喜びを思い出しながら読める本だと思う。

  • 直木賞受賞作品。
    ちょうどこれを読み終えた日が受賞発表日だった。

    すごく面白かった。
    恩田陸が文章で音楽を表現するとこんな感じになるんだなぁと思った。
    クラシックに全く興味がないので、
    タイトルを聞いても音楽が流れない。
    文章を読んでも私の中で音楽は流れなかった。
    音の物語を読んでいる感じ。
    でも会場で聞いている気がした。
    そこにいる観客の一人になれた気がした。
    そこはさすがだなと。

    一番聞いてみたいのは栄伝亜夜かな。

    世界に音楽はあふれている。

  • 意外なことに恩田陸にとって直木賞初受賞作。
    3年ごとに開催される芳ケ江国際ピアノコンクールを舞台に、参加するコンテスタント、審査員、応援する人などの様々な視点で描かれた作品です。

    この作品のテーマは間違いなく「天才とは何か?」です。塵はさほど練習しなくても難しい技術ができてしまう天性の天才、亜夜は些細なことで自信をなくしたりといった脆さを持つ天才、マサルは名門ジュリアード音楽院に所属するエリートの天才。この3人の天才がコンクールを通してそれぞれに影響を与え、自分の才能を引き出されいく。そんなシーンを通して才能とは、天才とはについて考えさせられます。

    また、参加するコンテスタントの個性が際立っていて見事です。養蜂家を父にもち、自宅にピアノを持たないが伝説的な音楽家の推薦状を持つ風間塵、かつて天才少女ともてはやされるも母の死をきっかけにピアノから離れた経歴を持つ栄伝亜夜、音大出身だがサラリーマンでコンクール出場年齢ギリギリの28歳の高島明石、栄伝亜夜と幼馴染で亜夜をきっかけに音楽をはじめ、名門ジュリアード音楽院のマサル・C・レヴィ・アナトールなどなど。
    これだけでも読んでてワクワクするのに、特筆すべきなのは、演奏シーンです。全編が1次予選から始まり、2次予選、3次予選、本選と続く演奏シーンにもかかわらず、それぞれの演奏者ごとの音楽の違いを表現するだけでなく、コンサートの持つ臨場感をうまく表現できています。自分も聞いているような気分にさせくれて、全然飽きさせません。

    読み終わった後には、素晴らしいコンサートを聴いた後のように、拍手喝采を送りたくなる、そんな一冊です。ブラボー!

  • 重たいな
    持って帰るのも重たいな
    そう思って買ったのだけれど
    読み始めたら止まらない
    止められなかった

    音楽無知の私を軽々とクラッシックピアノの世界へ運んでくれました
    天才たちと一緒に言葉の音符を楽しみました
    共鳴し合って成長するそれぞれがすてきでした

    カバーの蜜蜂の飛ぶ草原
    表紙と中表紙はつややかな鍵盤
    愛すべき本です

    ≪ この世界 満ち満ちてるんだ 音楽で ≫

  • 分厚く中身もギッシリだけど
    疾走感ハンパない
    文字を追っているはずなのに
    気づけば音の世界へ、
    そして何度か鳥肌立ちました。
    (ロ短調ソナタの長い説明だけは
    読み飛ばしたくなったけど)
    とにかく面白かった!!

    読み終わった後も
    4人が今自分がいる世界のどこかで
    それぞれの道を歩んでるような感覚が続きました。

  • ページを捲る手が止まらなかった。
    この感覚、久しぶり。
    文字から流れる音を感じることができる。
    そして、まるで自分もコンクールの会場にいる錯覚さえ起こる。
    または、まるで自分がコンテスタントにでもなったような錯覚さえ…
    2017年、最初の読了本が[蜜蜂と遠雷]でよかった。
    図書館本だけど、これは手元に置いておきたい本。

  • 規格外の天才・風間塵の強烈なインパクトに加え、亜夜とマサルの気になる関係、埋もれた天才・明石の活躍......など、いくつもの主題がもつれ合いつつ、「誰が勝つのか?!」というゴールに向かって、気持ち良いほど一直線に物語が突き進む。絶え間ない緊張感とスピード感に、見事に翻弄されてしまった。演奏シーンでのウットリさせられる感じや、結果発表の心臓バクバクは忘れ難い。

    青春ドラマであると同時に、芸術、人生への力強い賛歌でもある。単なるエンターテイメントの枠を超えた作品がこうして生まれたことに敬服。

    音楽の感動を描くという難題にあえて挑もうとする作者の熱意のほどを、パワフルな文章にひしと感じました。


  • 【再読】年末年始のお楽しみに選んだ1冊。YouTubeに演奏曲リストが出来ていて、聴きながら読む幸せの時間。その分、時間かかるけど…
    映画化も決まり、楽しみ!
    2019/1/10読了 2019年の1冊め


    至極の時間を提供してくれた本。
    本の冒頭に、楽曲リストがあるので、それを見て、聴きながら読み進める。そうすると、途中で音楽が追いつかなくなるので、そこで就寝。幸せな時間でした。
    コンクールとは、そうかこういうものだったな、と思い出させてもくれた。音楽に触れたい。
    そして、絶対に、絶対に、奥付の前のページをめくってはいけません。注意!!
    2016/11/21読了

  • ああー、一気に読み切ったー!という達成感。

    正直、最初は恩田陸版『ピアノの森』かぁ、という想いがないではなかった。

    けれど、一人一人の音を、これだけ言葉で描くことが出来るって、本当にすごい。
    それも、物語としてのバランスを欠くことなく、ちゃんと読者を本選まで導いてくれる。
    『羊と鋼の森』はどちらかというと静謐、だけど、こちらはまさに「ギフト」で、ワクワク感が半端なく、楽しすぎた。
    今まで読んだ恩田陸作品の中でも、『夜のピクニック』並みにお気に入りです。

    以下、ネタバレ有。

    この作品の、一つのターニングポイントに亜夜と塵の月夜のセッションを挙げたい。
    亜夜は、その後、マサルと重ね合わすこともあるのだけど、この夜の二人の即興シーンが嬉しくてたまらなかった。

    その後の予選では、二重カギカッコ付きで、塵のピアノと語り合う亜夜がいて。
    本選では、そのカギカッコさえ取れて、塵との会話の中で約束を交わす亜夜がいる。
    そのやり取りに正直涙が出そうだったし、二人が向いている方向は勝負ではなく、常に自分であり、常に世界であることも好ましかった。

    音楽を世界に返す。
    そんな無邪気なことを考え、また実行出来る人はいるのだろうか。
    けれど、また、それは人にしか出来ないことでもあるんだな。

    本選の章に入る前に、改まった気持ちにさせられた。

    以前のレビューにもあるけれど、装丁も素敵!

  • 恩田陸がとある国際ピアノコンクールを描く、音楽小説。
    方々で好評判だが、確かによかった。傑作あるいは名作というより、力作であり、読み応えがすごい。
    ピアノ弾きを主人公に据えた作品は漫画では時々目にするし、そこにある天才の描写や、挫折と成長という青春・成長ストーリーも目新しいものではない。しかし、安定と鋭さを併せ持った文章がなすこの作品は、鮮やかでとても印象深い。
    また、例えば年増のお兄さんを入れるあたり、物語の幅の取り方も上手い。
    音楽や芸術を表現し、読み手に響かせるのは、難しくてセンスがいると思う。バラエティに富んだ作品を一定ペースで書き続けている筆者が書くと、こんなにも安心して読めるものか、としみじみ感動した。
    4

  • 恩田陸の最新作は、ピアノコンクールを舞台にした群像劇。
    のっけから恐縮な話題だが、よく、恩田陸作品の『欠点』として挙げられることに、『オチがイマイチ』『登場人物が優等生ばかり』というのがある。本書の場合、『コンクール』という『ハッキリと順位がつけられる』舞台を描いているので、結論は順位という形で明確に示される。そして後者は基本的に本書でも変わらない。確かに優等生ばかりだ。良くも悪くも。
    しかし、それでも私は本書を恩田陸の『最高傑作』に挙げる。個人的に好きな作品は色々あるが、傑作ならこれしかない。
    理由はたったひとつ、私は読んでいる最中、本当に音楽を、ピアノの音を聴いたからだ。文章だけで読者の中にピアノの音を響かせた、その一点で本書は『傑作』と呼ぶに相応しい。ずっと恩田陸の本を読み続けていて良かった。

  • 聴きなさい、耳を澄ませなさい。世界は音楽に溢れている。
    クラッシックなどの歌のない音楽を演奏する時、自分の中のイメージを持ちながら奏でる。水彩の風景や色彩、映像として表現したい言葉以外の思いを音に乗せる。歌詞のある楽曲とはまた違う楽しみ方。そんな世界がこの本には広がっている。熾烈なピアノコンクールが舞台の話なのに暖かい。

    音に浸る、体に染み渡る、音楽を呼吸する。
    3曲間の演奏家ももともと音楽がそこら中にあってそれをどこかで聞き取って譜面にし、さらにはそれを演奏する。作り出したのではなく伝えている。神様の声を預かって伝える。音楽の前では等しくいち預言者であると思う。

    無尽蔵とも言える伸び代は才能。己に決して限界を設けない。

    人間の最良の形が音楽。どんなに汚くおぞましい部分が人間にあるとしてもそのドロドロした沼から音楽という美しい蓮の花が咲く。花の中から光が放たれる。無数の光が湧き出して空に昇る。

  • 作者の言う通りピアノを弾いているだけの物語なのに、続きが気になり、どんどん読み進めてしまいました。
    映画化も楽しみです。

  • 長編
    音が溢れ出す大作だった!

  • こんなストーリーの紡ぎかたがあるんだ。多幸感に包まれつつ、前に踏み出すチカラを与えてくれる。
    好きな本をヒトに勧めることはタブーと思いつつ勧めてしまった。

  • 圧巻だった。音楽に造形が深くない私でも音源をネットで検索しホントをみながら聞くと情景が浮かんでくるような錯覚を起こした。 出てくる人がみんないい人! コンクールの話なのに他者ではなく己と戦っている姿に感涙。 本は厚いが読み進めるとあっという間に読了できた。

  • 読んでいて、頭の中に曲がイメージできて楽しかった。登場人物がみんな魅力的。
    終わり方はあっさりしていて少し残念。

  • ピアノが聴きたくなる本でした。

    こんな風に音楽を考えたこともないし聴いていなかったので難しかったけれども読み応えたっぷりでした。

    本気で何かに夢中になる人を応援したくなるし
    分からないけれども勝手に音楽が鳴りました。

  • 3年に1度開催される、芳ヶ江国際ピアノコンクールに参加した、音楽の神に愛された若手天才ピアニスト3人と、おじさん。

    彗星の如く表れた、今は亡き巨匠ホフマンの弟子、風間塵は、ホフマンと音楽を外へ連れ出す約束をしていて、自由奔放な演奏で観客を熱狂させ、審査員の物議を醸す。かつて天才少女として活躍していた栄伝亜夜は、引っ込み思案な性格で、母親の死が元で演奏会をドタキャンし、音楽界から姿を消していた。ジュリアード音楽学院で学ぶ、ナサニエル・シルヴァーバーグの秘蔵っ子、マサル・カルロス・レヴィ・アナトールは、容姿端麗でバランス抜群の戦略家。そして28歳、楽器店に勤めるサラリーマンの高島明石は、音楽家になる夢を捨てきれず、遅咲きのチャレンジ。

    物語は、栄伝亜夜が、風間塵の演奏に刺激されて、予選を追う毎に超弩級の進化を遂げる形で展開する。クライマックスは、第三次予選の亜夜の演奏シーン。

    そして、ホフマンの仕掛けた爆弾が、風間塵「自身の才能が起爆剤となって、他の才能を秘めた天才たちを弾けさせる」こと、「型にはまった演奏や、ただ技巧的にうまいだけの演奏ではなく、真に個性的な才能を、風間塵の演奏を触媒として、開化させること」にあることが分かってゆく。

    本作の魅力は、楽曲の美しさ、演奏の素晴らしさが、ビビッドに、これでもかというくらい表現豊かに語られているところにあると思う。曲毎に、草木の質感や匂い、温度や湿度、動物や人々の営みがありありと浮かんでくるのは、読んでいて楽しいし、聴衆の琴線に触れる感動的な演奏がされていると感じられて、心揺さぶられる感じがする。

    例えば、

    「甘さも華やかさもあるのに、彼の音は陰影もあり複雑だ。ヨーロッパの伝統の響き、ラテンの光と影、オリエンタルな詩情、そしてアメリカの闊達さ。それらがすべて無理なく同居し、統合されて彼の音楽になっている」(P137)

    「一音一音にぎっしりと哲学や世界観のようなものが詰めこまれ、なおかつみずみずしい。それらは固まっているのではなく、常に音の水面下ではマグマのように熱く流動的な想念が鼓動している。音楽それ自体が有機体のように「生きて」いる。」(P291)

    「たちまち風景が変わる。
    大きな、年代物の額縁に囲まれた、古い絵。
    くすんだ色の、黄昏の集落。ねっとりとした、亜熱帯のアジアの湿気。草の匂いや、熱風の匂いまで漂ってきそうな光景。古びた塔。
    まるで、パノラマ島。
    まるで3D映画。
    風景が舞台から飛び出してきて、座席に押し付けられるような重力を感じる。」(P386~387)

    ただ残念なことに、YouTubeで同じ楽曲を聴きながら本作を読んでみても、耳から入る音からは、文章に表現されているような幻想的なイメージが浮かんでくることはなかった。文章と楽曲のギャップはいかんともしがたかった。(ちょっと描き過ぎ感もあることだし)本作が描いているのは、あくまで文章でしか味わうことのできない創作の世界なだろうか。それとも、クラシック音楽の世界に身を置く人は、リアルに体験できることが描かれているのだろうか?? 勿論、本作が十分に楽しめないっていうことではないのだけれど…。とても気になる。

    本作、三浦しをんの「風が強く吹いている」とダブルなあ。

  • ピアノコンクールの様子を描いた小説。最初から最後まで一つのコンクールの予選から本線までみっちり描いている。
    最初は登場人物紹介の側面もあってか、次々に人物が増えてきて、一気に読まないと、誰が誰やらわからなくなっていく。ま、それでも最後の方はキャラクターが集約されてきて一気にクライマックスに持っていくので心配はご無用。
    それにしても、音楽の表現を文字だけで表すってのはとても難しい事だと思うけど、この小説は見事にやってのけている。音楽の知識なんて皆無の自分が読んでもとてもわかりやすかった。音楽家の心情の文学的表現や聴衆の反応などを盛りだくさんで、コンクールの緊張感や会場の一体感や圧倒的な迫力が感じる事が出来た。恩田陸すげぇ。

    音楽表現の小説としては中山七里さんの岬洋介シリーズ(「さよならドヴュツシー」など)が好きだったけど、本作品もとても良かった。

    読んでいるうちに誰が優勝するのかはもはやどうでも良くなってきて、みんながんばれ!って気持ちになる。
    爽やかな読後感を感じることができる、良書。

  • これだけの長編なのに会話が少ない本だったなぁ。それだけ音の描写が濃密だった。音楽の理解と知識が乏しい私でも音楽の素晴らしさを感じられた。辛く苦しい努力の上に素晴らしい世界があるんだろうなと想像できた。でも音痴で音楽への興味が薄い自分には描写が理解できないところもあって悔しくもあった。
    恩田陸作品でコンクールというとチョコレートコスモスが印象深くてそちらの方が理解しやすかったけど今読み返したら印象違うかもしれない。読み返して比べてみよう
    登場人物ではマサルが好き

  • 触発されてピアノを買ってしまった。
    文字しか並んでないのに何度も音楽に泣かされてしまった。
    感動よりかは同様、気圧され、に近い。
    映画化されるらしいので映画もぜひ見に行きたい。

  • 全然音楽に詳しくないけど、描写がすごく、なんだか聴こえてきそうなぐらいだった。

    音楽の世界ってすごく深くて、厳しくて、わたしには到底理解しきれないだろうなと思った。

    きっと、ステージに上がる気持ち、演奏が終わったときの気持ちなんてのも、その世界の人にしか計り知れないんだろうな。

    かっこいいな。
    クラシック聴きに行きたいな。

    長編で、予選が繰り返し行われるので途中飽きることもあったけど、すごく読みやすかった。

  • 素晴らしい。
    音楽家の葛藤や喜びを共感する手助けになる。
    読んでよかった。

  • 恩田陸作品の中では今のところ1番好き。
    過酷なピアノコンクールの世界。
    曲の拡がりを、多彩な表現で伝えてくれ、飽きることなく予選から本選まで読み進められる。途中、終わるのが惜しかった。曲を聴きながら、読み進めました。

  • 音楽をテーマに小説を書くのって、本当に難しいと思うけど、この小説は描写だけでピアノの音色が聞こえてくる感じがして、恩田さんの凄さを感じた。ピアノの音色の描写を読むだけで涙がふとこぼれる瞬間もあって、本屋大賞&直木賞受賞は納得!
    それぞれのピアノの音色の特徴も分かりやすいし、キャラクターも個性的かつ親しみやすくて感情移入しやすい。コンクールの結果もどんどん気になってくるので、ボリュームは多いけど、それが気にならないくらい。むしろもっともっと読みたいと思う程。ページをめくるのが惜しいくらい素晴らしい作品でした。是非皆さんに読んでほしい。

  • 優れた音楽家が、言葉のない音楽の中に、風景や心情を描くように、文字だけで表現する小説の中に、見事な音楽を鳴らした作品でした。

    登場人物のほとんどが主人公で、それぞれの一人称によるストーリーで展開していくのに、場面転換や時間の移動に全く違和感なく入り込めました。

    それぞれのキャラクターが漫画のように際立っているから分かりやすい部分はあるにせよ、素晴らしい文筆力です。毎日同じ言語を使って生活しているにもかかわらず、この差は、さすがプロと感嘆しました。

    ストーリー全体を通して私がもっとも影響を受けた考え方は、「仕事は全て同じ時代を生きる人のためにある」ということ。
    モーツァルトやショパンの名曲は現代まで愛され続けているが、それは現代のピアニストが演奏するからこそ感じられる。同じ曲であっても、どう演奏するかによって、与える感情は変わる。つまり作曲者は誰であれ、感情を動かしているのは、今、現代のピアニスト。

    世の中には、形の残る仕事、残らない仕事があるが、「同じ時代を生きる誰かを喜ばせること」。
    後世に残るか、未来の人が感動するかは、オマケみたいなものなのだと思いました。

    今を精一杯生きる人の美しさとみずみずしさを感じる作品でした。

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著者プロフィール

恩田陸(おんだ りく)
1964年、青森市生まれ。水戸第一高校を卒業し、早稲田大学進学・卒業。1991年、第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作となった「六番目の小夜子」でデビュー。2004年刊行『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞及び第2回本屋大賞、2007年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。2017年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞、第5回ブクログ大賞などを受賞した。同作品による直木賞・本屋大賞のW受賞、そして同作家2度目の本屋大賞受賞は史上初。大変大きな話題となり、代表作の一つに挙げられるようになった。同作は2019年4月に文庫化され、同年秋に石川慶監督、松岡茉優・松坂桃李らのキャストで映画化される。

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