- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344036901
作品紹介・あらすじ
「俺は、同性愛者です」
高3のバスケ部エースがSNSでカミングアウト。彼の衝動は思わぬ波紋を広げ……。
ドラマ「腐女子、うっかりゲイに告る」の原作者、待望の最新作。
「登場するすべてのひとの気持ちが胸に迫って、読みながら必死に声援を送りました。たぶん誰もが、この小説のなかに「自分」の姿を見いだせるはずです。」三浦しをん氏推薦!
高3のバスケ部エース・塚森裕太は自分がゲイだとInstagramでカミングアウト。それがバズって有名に。
このカミングアウトが、同じ学校の隠れゲイの少年、娘がレズビアンではないかと疑う男性教師、塚森を追いかけるファンのJK、塚森を崇拝しているバスケ部の後輩へと変化をもたらしていく。そして塚森自身にも変化が表れ…。
作り上げてきた「自分」からログアウトしたら、「本当の自分」になれると思っていた――痛みと希望が胸を刺す青春群像劇。
感想・レビュー・書評
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バスケ部のエースで成績優秀。
誰からも愛される少年が
自身の性的嗜好をカミングアウトする話が
本人も含め周りの様々な人の視点から描かれる。
生徒から借りなければ
(面白かったんで読んでください!って子がたまにいる。)
絶対出会わなかった本。
複数人からの視点から
同じシーンが描かれる。
この時彼女はこう思ってたのかとか
だから彼はこんな行動に出たのかとか
徐々に広がってくるカラクリ。
何度も同じシーンが出てくるのは
少し飽きちゃったけど
いろんな人の気持ちが丁寧に描かれていた。
主人公がアイデンティティの葛藤をするシーンが良かった。
他者評価と自己評価の乖離。
言葉に出来ない感情。
自分も若い時期にはあったのかもしれない。
本当の自分と周りに見せている自分。
これが一緒じゃない時期(人)は
なかなか生きづらい。
塚森裕太の性的嗜好のカミングアウトを通して
本人や彼と近しい人たちの
自己が揺らいたり、確立したりしていく。
高校生の話なだけに
少し若々しい感じもあったけど
感想を書いていたら
なかなか深い本だったなと
思い直してきた笑
初めて出会う作家さんだったけど
今後も注目してみたい作家さんでした。 -
「彼女が好きなのはホモであって僕ではない」がとても良かったので、浅原ナオトさんの本を読んでみたかった。
バスケ部のヒーロー塚森裕太が、友達2人にカミングアウトした時の反応があっさりしていて、受け入れてもらえて、これはSNSでみんなにもカミングアウトできる。しよう。と思い、まずインスタで、報告。
それをみた周りの人がそれぞれもやもやする。
同じ学校の学年は違う男子目線。(同性愛者)
自分の娘が同性愛者かもと気づいて何もできない父親目線。(同じ高校の先生)
塚森裕太を推している後輩の女子目線。
バスケ部の後輩目線。(ゲイを嫌悪し厳しい気持ち)
それぞれの気持ちがとても良くわかり、LGBTについての当事者の気持ちを学べる。
悟志目線の章もほしい。
アウティング→他人の性的指向を無許可で別の人間に暴露すること。セクシャルマイノリティと関わる上で絶対にやっちゃいけないこと。
ずっと『塚森裕太』って名前のアカウントにログインして生きてる気分で、そこからログアウトしたかった。だからカミングアウトをした。
クラスメイトや、人と会話する時はログイン状態。
ひとりの時は、ログアウトできるが、
みんなが注目している時など、廊下を歩いているだけなのに、ログアウトできない。
重大なシステムエラーを引き起こす可能性あり。
ラスト、悟志に伝えることができて良かった。泣ける。
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同性愛者であるというのは、頭がいいとか、足が速いとか、そういう特徴と変わらない。
人と人は放っておいたら離れるものなんだ。
だから繋がりたい人とは、必死になって繋がらなくちゃならない。
好きな人のこと、分からないから分かりたいって思うし、分かろうとするんでしょ。
家族から、友人から、世界中から認められたって、お前がお前を認めていないなら、何の意味もない。
大事なのはお前だ。
お前が、お前自身をどう捉えているかだ。 -
高3のバスケ部エースである塚森裕太がSNSで「俺は、同性愛者です」とカミングアウトしたことに影響を受けた本人を含む5人の人間の物語。
何かしらもがいていた登場人物たちが皆ふとしたことがきっかけで悟りを開いたような感じになり、ちょっとうまくまとまりすぎな気はしたが、自分と向き合うということについて考えさせてくれる良作であった。 -
「ログアウト」という表現になるほどなと思った。色んな立場からの描かれ方がされているので、色んな考え方から読める。でも皆、一生懸命で真面目だ。
2021/4/21