- Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396334062
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
犯人の視点で物語が進むのが斬新でした。
実際に扉の向こう側では何が起きてるのか分からない状況で、犯人は犯行時刻の発覚を遅らせようとして、探偵はどうにか扉を開けようと試行錯誤していく駆け引きが非常に面白かったです。
個人的には全体的に少し物足りなく感じましたが、活字慣れしてない友人などに「お勧めの本は?」と聞かれたら、この本を教えてあげようかなーって思うくらい読みやすいです。
続編もあるみたいなので気が向いたら読んでみようと思います。 -
綺麗すぎるとは思いつつも、ドアストッパーの件など理詰めですとんと腑に落ちる感じが、やはり美しい。
理知的な議論なのに、置いていかれることなく一緒に進んでいけるのは、何故なんだろう。
殺人が起きているし、動機も許されるものではありませんが、非常に美しいと思った作品でした。 -
いわゆるクローズドサークルである。
頭の良い人と頭の回転が良い人の頭脳戦となる。
犯人も犯行もわかっている、コロンボや古畑方式になっている。
文庫で最後に追加された箇所で動機がハッキリするが、微妙。
探偵役がああいう性格で、個人的にはうらやましいと思う。また頭脳戦も理解の範疇なので楽しめました。
内容
久しぶりに開かれる大学の同窓会。成城の高級ペンションに七人の旧友が集まった。(あそこなら完璧な密室をつくることができる―)当日、伏見亮輔は客室で事故を装って後輩の新山を殺害、外部からは入室できないよう現場を閉ざした。何かの事故か?部屋の外で安否を気遣う友人たち。自殺説さえ浮上し、犯行は計画通り成功したかにみえた。しかし、参加者のひとり碓氷優佳だけは疑問を抱く。緻密な偽装工作の齟齬をひとつひとつ解いていく優佳。開かない扉を前に、ふたりの息詰まる頭脳戦が始まった…。 --このテキストは、paperback_shinsho版に関連付けられています。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
石持/浅海
1966年、愛媛県生まれ。光文社の新人発掘企画「カッパ・ワン」への応募作『アイルランドの薔薇』で02年に長編デビュー。03年の長編第二作『月の扉』は「このミステリーがすごい!」をはじめ、様々なミステリー・ランキングで上位に選ばれ、日本推理作家協会賞の候補にもなった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) -
死体の発見を遅らせたいという犯人側の目的のためにラストまで、犯人vs天才の掛け合いが繰り広げられるが、なぜ発見を遅らせたいのかクライマックスまで明かされないので、目的の見えない展開の連続が苦痛だった。
論理に無理やり感のある展開が後ろにいくにつれて増え、本作の天才キャラに対しても疑問がでてきたし、せっかく明かされた犯人の動機がかなり納得しづらく次作を読む気になれなかった。 -
完璧だと思われたトリック、しかし仲間の中に1人の天才が潜んでいた。
主人公の犯人目線で犯行の描写や状況が語られ、完全犯罪へのシナリオを着々と進める中、探偵役のヒロインが立ちはだかり、ジワジワと主人公を追い詰めていく。
探偵役の目線でなく、犯人側の視点から事件が語られるところが面白い。後半、主人公が追い詰められながら諦めの境地に至るまでの心理描写が秀逸。 -
犯人である伏見の、計算し尽くされた密室は称賛に値する。
だからこそ早く見破られることを祈っていた。
だけど探偵役の優佳が怖すぎた。
あそこまでロジカルに追い詰められたら逃げ場がない。
というか、本当に逃がしてくれない。
理性的なのに並々ならぬ執着心が顔を覗かせる。
彼女に対する恐怖がゆっくりと這い上がってくる。
これはいろんな意味で嫌だ。