扉は閉ざされたまま: 長編本格推理 (祥伝社文庫 い 17-1)

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396334062

感想・レビュー・書評

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  • 2022年5月27日読了。

    大学時代、サークルで仲の良かった伏見亮輔・石丸孝平・新山和宏・安東章吾・上田五月・碓氷礼子の6人は卒業以来はじめての同窓会を開く事になり、当時から交流のあった礼子の妹・優佳を含めた7人が集まった。
    安東の兄が、祖父から譲り受けた大豪邸を改造して経営しているペンションに集まり、久々の再会で盛り上がる面々。

    そこで伏見は新山を殺害する。
    緻密に練られた計画で完璧な密室を作り上げ、誰にもバレず犯行は速やかに行われた…はずだった。

    密室に仕上げられた部屋の扉は開かれる事なく、ずっと出てこない新山は疲れて眠っているのだろうと皆は疑いもしていなかった。
    ある1人を除いては。

    昔から冷静で優れた洞察力を持ち合わせていた碓氷優佳だけが違和感を感じ、探偵然とした態度で謎を解き明かそうとする。

    伏見と優佳。
    知と知の対決が繰り広げられる。


    初の石持浅海氏の作品。
    長いこと積読の山に眠らせてしまっていた。

    冒頭でいきなり犯人による殺人の描写が描かれ、犯人目線で物語は進んでいく。
    所謂、『倒叙ミステリ』
    犯人の分かっている状態で、探偵によって犯行が露見していく過程を楽しめる。
    この作風の作品は過去にも何冊か読んできたはずだけど、改めて倒叙ミステリの面白さを気づかせてくれた。

    碓氷優佳シリーズをこのまま追いかけて行く予定。
    伏見と優佳のその後の関係性はどうなっているのか?
    優佳の推理は今後も冴えわたるのか。
    次作も楽しみ。

  • 本当に優佳の言う通りに、被害者の動線が不自然なのかと紙に描いて確認しました。優佳の言う通りでした。ちょっとした感動を覚えます。

    この後、犯人が優佳とどのように関係を築いていくのかと思うと、気が重くなりそうです。
    自分の正義で他人を裁いたら、もっと凄まじい重荷を背負わされた感覚です。共犯で良いのかわからないのですが、嫌な相手と秘密を共有したなと思います。

    扉を閉ざしたままにしたい。

  • うわ~めちゃくちゃ好きな話だった。

    石持浅海さんの作品は何冊か読んできたけど、
    いつも設定は面白いのにはまらなかったんだよね、
    けど、これはもう引き込まれました。
    古畑任三郎みたいに、最初から犯人もトリックもわかっているうえで展開されるストーリー。
    切れ者の美人な後輩、碓氷にどんどん追い詰められていく様に、伏見頑張れ…と思わず応援したくなる。

    ミステリーにおいて、わたしはトリックより
    動機に重点を置くから、今回もどういう動機なんだろうとわくわくしていた。
    賛否両論あるらしいけど、わたしはとても好きな理由だった。

    最後の展開もめちゃくちゃ好き。
    手に入らなかった男を隷属させるために追いつめたのだろうか。
    すごい好きなオチでした。

    続編もあるというのでぜひ読みたい。

  • 冒頭で、犯人がきっちりと証拠を残さないように冷静に殺人を犯す。全ては完璧な殺人に見える。
    これを暴いていく探偵役の優佳の頭の切れる事!その冷静さは犯人以上。
    倒叙ミステリーな訳ですが、鮮やかな殺人シーンに始まって、動機も分からないまま話は進みます。
    先ず注目すべきなのは、作者の文章の上手さと読みやすさ。これだけサクサク読めて、内容がすっと頭に入って来て、消化できる本も珍しい。
    こういうミステリー、好きですわ。賢い2人の対決みたいなの。
    優佳が犯行の手口だけではなくてその動機も、そんな事がヒントになっていたの!というような事からひも解いていく。
    これが犯人側の視点からだと、ドキドキするし、読者視点ではすっきりするし、面白かった!

    この優佳を主役にしたシリーズがあるみたいなので他のも読んでみたいな〜

  • コワ…………要するに惚れた男を手に入れるために相手の殺人を許容して更に強請りのネタにする話じゃん……コワ…………
    伏見に「私はあなたがしたことを知っていますよ」って知らしめて生殺与奪の権利を握って自分の支配下に置くためだけの推理披露、マジで優佳の頭も大概どうかしてるでしょ……(ケアレスミスの指摘はそもそも伏見が無罪貫いてくれないと優佳にメリットないので)

    ベッド使った形跡がないって話だったけど話の冒頭で新山ベッドに寝てなかった?その形跡はどこにいったの?
    あと骨髄移植ってドナー側そんな気軽だったっけ?という疑問もあるけど、これは私が見たケースがたまたま重かっただけなんかな……

  • 犯人視点から物事が進む倒叙ミステリーですね!
    普段は探偵側で物事を見ることがほとんどだと思いますが、この作品は犯人の心理状態がよく分かります。
    主人公(犯人視点)と探偵役とのやり取りがとても緊張感があり、スリル感を味わうこと間違いないです。少しのミスも許されない、まさに心理合戦です!
    登場人物も少なく、さらに殆どが会話シーンのため、すごく読みやすいです。逆に会話シーンでここまで面白く持っていけるということは石持浅海先生の凄さも分かる作品となっています。
    まだ未読の方は是非ご覧になって下さい!

  • 面白くて一気読みしてしまった。倒叙モノならではの犯人の恐れと応戦、探偵役の捜査と追求、ロジカルに徹したストーリーの運び方、どれをとっても質が高い。 唯一ケチをつけるなら碓氷優佳と伏見以外の人物が少々間抜けで、優佳の指摘の幾つかは誰かが気づいてもよさそうなモノだ。だが本当にそれくらいしか欠点がない。 伏見には共感するところが多く自分もきっと同じような思考で行動するなと思う反面、優佳の気付くポイントにも察しが付くので「気づけ!怪しまれるぞ!」とつい応援をしてしまう。感情面でも、優佳に対する心情は痛いほど解る。

  • 一気読みしてしまった。
    いわゆる倒叙ミステリで、犯人もトリックも読者は分かっていながら物語は進んでいく。

    頭が切れる犯人・伏見と探偵役・優佳の頭脳戦。ある理由で死体の発見時刻を遅らせたい伏見だが、違和感を汲み取って捜査を進めようとする優佳。ドアを開けるか開けないか、2人の扉1枚を隔てた攻防がたまらない。扉は閉ざされた「まま」なんだよなぁ。

    動機に疑問を持つ理由もわかるが、読書初心者の私からすれば許容範囲であり、むしろうまく回収してるなぁと思ってしまうほどだった。人はある程度、自分の正義のためなら行動できる側面もあるというのもわかる。

  • 久しぶりに読んだ本だったと思う。

    犯人はわかってるのに、トリックもわかってるのに、
    犯人の狙いだけがわからない
    そんな不思議を抱えながら読み進められる本でした

  • 終盤までは、被害者である新山の状況をみんなで考えながら、「まだ無理やり扉を開けるほどではない」という結論を繰り返すだけで少し退屈だったが、終盤での優佳との対峙のシーンが怒涛の展開で面白かった。
    なぜ主人公が発見を遅らせたかったのか、死体の状態が悪くなることで犯人特定させないため?と思い込んでいたが、明確な理由があったことに驚いた。
    さりげない伏線も読み返して納得。
    最後の優佳の強かさも感嘆した。彼女には勝てないと痛感した。(天才すぎるなという違和感はある)

    推理小説では死体が見つかるときにドアを蹴破るシーンなどあるが、現実ではこれぐらい慎重になるよね、というリアル感が面白かった。

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著者プロフィール

1966年、愛媛県生まれ。九州大学理学部卒。2002年『アイルランドの薔薇』で長編デビュー。03年『月の扉』が話題となり、〝碓氷優佳シリーズ〟第1弾となった05年『扉は閉ざされたまま』(祥伝社文庫)が 「このミステリーがすごい!」第2位。同シリーズの最新作に『君が護りたい人は』(祥伝社刊ノン・ノベル)。本作は『Rのつく月には気をつけよう』(祥伝社文庫)の続編。

「2022年 『Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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