サヨナライツカ ― Sayonara, toujours pres de moi (世界文化社)

著者 :
  • 世界文化社
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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784418015016

感想・レビュー・書評

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  • いつも人はサヨナラを用意して生きなければならない.

    孤独はもっとも裏切ることのない
    友人の一人だと思うほうがよい.

    人間は死ぬとき
    愛されたことを思い出す人と
    愛したことを思い出す人とに わかれる.

    わたしはきっと愛したことを思い出す.

    「サヨナライツカ」

  • 内容は男に都合のいい、夢物語。ただ、過ぎてしまった歳月は取り戻しようがない、という当たり前さが切ない物語ではある。

  • 1975年8月。タイのバンコクで東垣内豊は、真中沓子に出会った。
    光子という婚約者を日本に残してきている豊は、12月の挙式まで、それまでの冒険のつもりだった。
    二人はザ・オリエンタルバンコクのサマーセットモームスイートで、期限つきの、無謀で情熱的な愛の日々を送った。
    そのたった4ヶ月という、人生におけるほんの一瞬を、忘れられずに生きていく二人。
    これまでの同氏の作品に比べて、登場人物の独特なキャラクターが話の展開を握っているという感じがなく、それゆえに単純だが感情移入しやすかった。

  • ありえない話!と思いながらも、映画を見ていたので登場人物の設定がすぐ頭に浮かんで読みやすかった。
    西島さんが個人的に好きなので、良かったです(笑)

  • サヨナラに込められた想い。

  • 愛し合った記憶は、どうしてこんなにも切なくて、苦しくて、いとおしいんだろう。

    周囲から好青年と呼ばれる豊は、恋人である光子との婚約中にバンコクで出会った沓子と体の関係を持ってしまう。最初は結婚までのちよっとした遊びと自分に言い聞かせていた豊だっが、次第に沓子への気持ちは大きくなっていって…。

    出会った当初の沓子は、本人も言っていたように元旦那を見返すために男をひっかけるようなまさに悪女という表現がぴったりの女性。しかしそんな彼女も豊と出会い会瀬を重ねるたびに少女のような純真さを顕にさせる。その破天荒でありながら繊細で、蠱惑的でありながら不安定な彼女の自由で優雅な雰囲気に飲み込まれる。

    25年の間、豊のことを想い続けていたという沓子。途方もないその時間を、豊を愛することに心から誇りを持ち、1人で生きていくことを選んだ彼女の決意は、とても簡単には真似できることではない。

    それでも、その気持ちはわかる。

    かつて誰かと心から愛し合った記憶を持つ人、誰かを心から愛した記憶を持つ人ならきっとわかる。むせ返るような甘ったるさと、胸を締め付けるような切なさを携えてその記憶は何度も何度も甦る。けれどその痛みも、誰かにとっては幸福の一部に違いないのだろう。


    私もきっと、愛したことを思い出す。

  • バンコクへ行く飛行機とホテルで読みました。

    残念なことに、登場人物の誰にも共感できませんでした。
    特に主人公。
    婚約しているのに、猛烈アタックしてくるセクシー美女と官能に浸り、
    結婚してもなお、きっかけがあれば会いに行ってしまうとは…

    舞台になった
    オリエンタルホテルに行ってきました。
    その思い出に☆3です。

  • 中山美穂の主演で映画化されたものの原作。
    映画は観ていない。

    1975年のバンコクが舞台。
    結婚を目前に控えた好青年こと東垣内豊と、魅力的な未亡人真中沓子の、4ヶ月間の恋。
    辛い別れから25年の時を経て再会した二人。

    運命的かつ情熱的な恋をした彼らは凄いけど、光子の存在を思うと決して美しい話ではないかな・・・

    あまり幸せな気持ちにはなれなかったので、★★★

  • 浮気の話とか,三角関係とか議論はあるけれど。光子が「サヨナラをいつも用意しておかなくてはならない」というのは,自分が愛した記憶をきちんと残すため。豊にはそれができなかったから,ずっと後悔し続けたんだと思う。そういう豊を見て,光子は再度サヨナライツカを手渡したのでは…

  • 感情に流されてはいけない
    けど感情を抑えることができない

    浮気をしてしまう男の人
    ずるい。ほんとにずるい。

    理解はできるけど。仕方ないこと。
    感情に嘘をついた結婚を選んだ
    彼にとってはそうするしかないこと


    私が光子だったら、
    夫の感情がここにないことに必ず気付くかな


    私が沓子だったら、
    一生自分のもとに戻らない男に
    人生を捧げるようなことはしないかな


    何より、条件で結婚相手を選ぶような
    男の人と結婚することはしなくないな

    最終的には、感情に正直にいるのが1番幸せだと思うから
    【2012.4.19】

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著者プロフィール

東京生まれ。1989年「ピアニシモ」で第13回すばる文学賞を受賞。以後、作家、ミュージシャン、映画監督など幅広いジャンルで活躍している。97年「海峡の光」で第116回芥川賞、99年『白仏』の仏語版「Le Bouddha blanc」でフランスの代表的な文学賞であるフェミナ賞の外国小説賞を日本人として初めて受賞。『十年後の恋』『真夜中の子供』『なぜ、生きているのかと考えてみるのが今かもしれない』『父 Mon Pere』他、著書多数。近刊に『父ちゃんの料理教室』『ちょっと方向を変えてみる 七転び八起きのぼくから154のエール』『パリの"食べる"スープ 一皿で幸せになれる!』がある。パリ在住。


「2022年 『パリの空の下で、息子とぼくの3000日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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