- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784479308577
感想・レビュー・書評
-
思ったより難しいものではなかった
出来上がるまでの過程が描かれていて面白い
身体も土地も借り物
彼方からやってきて
しばらく身体を借りてここで生き、また彼方へ帰る
先に続く未来に託す
旅立つために少しずつ手放していかねば
主人公は若い子だけど
この小説は大人のものがたりだと思う
自分に向き合うんじゃなくて
わからない人といっしょにいることについて考えるのが
生きること詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
常に生と隣合わせの死。死に対する不安と諦念。そこから生じる生の輝き。言葉と、言葉の間に描かれる人の心とその繋がり。膨らみを持った言葉によって丁寧に生を描いた良作でした。
-
連句という今まで知らなかった世界に触れる事ができた。連句を通しておばあちゃんの思い出を辿りつつ新しい世界を見出す素敵な物語。
-
連句、ポップの仕事、言葉の世界。
-
おばあちゃんに会いたくなる、おばあちゃんのことを考える本。
落ち着いて大切なことを見つめ直せる。
改めて気付かされる言葉の数々と、ノスタルジー。 -
主人公は一葉(かずは)といい、元書店員。
閉店のため失職し、実家に戻った二十代半ばの女性。
おばあちゃんっ子だが、懐いていた祖母、治子は、不意に病を得て他界した。
喪失感を抱えていた一葉が、祖母の残したメモの通り、和菓子を持って、祖母の通っていた連句会に挨拶に行く。
ここから、彼女の世界が広がっていく。
書店員として描いていたポップにより、少しずつ自分を活かす道を見つけ出していく。
連句会の場面が多く、一葉だけでなく、自分もこの新しい世界に目を瞠る思いがした。
大学の時、宗祇らの水瀬三吟百韻を読む講義があった。
日本庭園を散策するように、一句一句で風景が変わる。
春の花を眺めていたと思ったのに、気づくと旅路に出ていたり、雪が降ってきたり、過去の恋を振り返ったりしている。
これがとても面白かった。
この本では、「連句」として現代でそれを創作して楽しんでいるグループが出てくる。
連句をすることを「巻く」、定座より花や月の句を前に出すことを「引き上げる」、逆に遅く出すことを「こぼす」という。
こういう独自の言葉を発達させながら、宗祇の連歌が今も生きていると思ったら、とても懐かしくなった。
連句の座の面々は、年齢も職業も様々。
それがみな優しい。
句を通じて、お互いの気持ちを汲んで、尊重している。
こんな句会があるなら、参加してみたい。
そして、祖母治子は連句会、ひとつばたごの「お菓子番」を自任していたという設定から、和菓子がたくさん登場する。
以前から気になっていた長命寺桜餅も出てくる。
東京で和菓子巡りをしてみたくなる。
当面行けそうにないけれど。 -
ほしのさんの作品は優しくてしっとりしてて
押し付けがましくなく
いろんな事を教えてもらえる。
今回は連句。
連句のお約束事の丁寧な説明があったのですが
それでもよく理解できなかったけど
連句を通して亡くなってしまった祖母と孫が繋がっていくところが
じんわり胸にしみる。
美味しそうなお菓子も出てきて
谷根千、上野あたりをうろうろしたくなる。 -
上手にポップもかけて、いきなり連句も出来る。数珠繋がりで仕事も来る。そんな主人公です。