- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480020475
感想・レビュー・書評
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理解し易いハナシや文章に共通するのって、
いろんな事象をまとめた『AタイプとBタイプ』みたいなカテゴリ分けをしてみたり
『〜化』『〜現象』みたいな比喩表現とか定義付けが巧みに使われてて
頭に残りやすいと同時にスッキリまとまってると思うんですけど
この本はそういう、情報の濃縮還元、が魅力だなあと思いました。
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タイトルから、論文に近い学術的な内容かと躊躇していましたが、エッセイに近くとても読みやすかったです。
現在でも問題になっているAI(文中ではコンピュータと表現)と人間の関係性について言及してはいるものの、刊行されたのが約40年前であり、現在多く出版されているAI系の書籍に比べると少々物足りない部分があります(それがこの本の趣旨はないとは思います)。当時としてはかなり革新的な内容だったのかなと感じました。
"考える"という行為について、今一度"考えたい"人におすすめです。 -
★★★2021年4月★★★
人間には、「グライダー人間」と「飛行機人間」の2種類があって、同じ人物に中に同居している。
グライダー人間=自ら考えて何かを生み出すというより、けん引されて物事を進めるタイプ。受動的。
飛行機人間=自らのエンジンで飛ぶ飛行機のように、能動的に動くタイプ。
これまでの学校教育では「グライダー人間」を育てることに力点を置いてきた。それが今(1982年)コンピューターの出現で揺らぎつつある。
基礎を身に着けていない「飛行機人間」も困るが…
というのが本書の導入部分で
本論としては「思考」のスキルについて説明した技術書のように感じた。
P24・・・朝の仕事が自然なのである。
P43・・・テーマ同士を競争させる
これらがスキル説明の最たるものか。
睡眠の効果や、メモを取りすぎることのデメリットなどにも触れられている。
1982年当時としては画期的だったのだろうか。
長年売れ続ける理由は、今の僕にはよくわからない。 -
「考える」ということについての本ですが、読む前は難解な本かな?と思ってましたが決してそうではなく平明な語り口で思考についてあれやこれやと提言をしてくれています。
印象に残ったのは、アイデアを寝させることの必要性を説いた「発酵」の章、すぐれた考えがよく浮かぶ三つの場所として馬上、枕上、厠上の三上を挙げた「寝させる」の章、コンピューターが普及する社会となると人間は創造的でなければならないという「コンピューター」の章、以上3つです。
他にも朝型の生活を勧めていたり、参考になる部分が多かったです。 -
大学生になる前に読めてよかった。
思考を巡らせる時のコツやそこで得たものを生かす方法などが書いてある。
短い文章の組み合わせなので読みやすい。
研究論文のテーマが決まらない人、よい書き方がわからない人にもおすすめ。
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・自力では飛べないグライダー人間をつくる学校教育、自発的に考えて自力で飛べる飛行機人間になる方がよい
・1980年代初頭の書であるが、いまでも通じるものがある。
・グライダー人間はコンピュータに仕事を奪われるという記載、現代に置き換えるとAI。
・朝飯前、起きてから何も食べずに仕事をする事が有効。
・昼寝をして、朝飯前を2回つくることでさらに有効的になる。
・寝させる、忘れる時間をつくることで、主観や個性を抑えて頭の中で自由な化合がおこる準備をする
・脳の記録の倉庫はコンピュータに代替でかるので、脳は創造性に使うべき。そのために脳を整理するために忘却が重要。
・睡眠、早歩きで散歩をすることで忘却効果があり頭がすっきりする、
・忘れる事は悪いことではない。
・メモを取り安心することで人は忘れるようになる。忘れたくない場合はメモをとらないこと。
・思考は昔から三上=移動中、床の中、トイレの中に浮かぶ。
・無我夢中、入浴中、散歩中に妙案が浮かぶ
・知恵 老化は端末から始まる→足、手、指を動かす。小指を動かすと内臓が強くなる
・第一次的現実=生の現実世界、二次的現実=本、テレビ、今ではネットも。
一次的世界で仕事や普通の行動をしながら
考えたことを整理してシステムをつくる。
二次的世界ではグライダー人間、一次的現実では飛行機人間でなくてはならない。 -
「知識を与える」現代の学校教育に対する痛烈な批判。受動的に知識を蓄えるだけのグライダー人間養成学校。能動的に自ら思考して新たな知識を生み出す飛行機人間は?Let’s to beグライダー兼飛行機人間。
“見つめるナベは煮えない”
無意識、デフォルトモードネットワークの活用。
無我夢中、散歩中、入浴中の三中。
ふとしたアイデアは手帳の中で寝かせておく。
頭は知識の倉庫×工場。
製造の邪魔にならぬよう、いらないものは処分しなければならない。忘れることは悪だと誤認されているが、記憶する倉庫機能はもはやコンピュータなど外部に頼れば良い。工場機能を上げるためには忘れることが必要不可欠である。
睡眠による自然忘却機能。
読書も。
著者の意図を絶対とする収斂的読書と、
自分の新しい解釈を創り出していく拡散的読書。
人の思考を知ることで、自分の思考を知る。
読書最大の有効性はここにある。
「じゃあ、自分はどう考える?」 -
初めて読んだが、40年前の本でも内容は普遍的で全く古いとは感じない。
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飛行機人間になるためには、知るためではなく考えるための読書が必要。
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グライダー人間の話や、アイディアの出し方、放置法など、今の数ある思考の整理方法などについて記された本の数々を抽象化して一般化したように感じさせられる本でした。なにがすごいって、これ昔の人が書いた本なんですよ。まさにバイブル。研究をする方、クリエイター、現代の学校指針に疑念を持つ方、勉強の意味がわからない高校生・大学生に強くおすすめしたい。
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思考の癖や事例を交え、それでいいのかと投げかけてくる本。
あとがきをみるに83年の本であるけれど、本当にそんなに前のことを言っているのかとハッとする本であると共に、現代に言われているとこは、新しく現代に起きたことでもないのだと感じた。
初めて読むには頭から読むのが楽しいが、読み直しをする場合はⅥからよんで、気になった話が書いてありそうなところに戻るのも良いと思う。
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7月30日の著者逝去の報を受け、読むことにした。
思えば、これほど有名な人なのに、どこか避けてきた気がする。
研究者としての経験から得た、知的生産のコツを伝える。
「朝食」までの時間を活用せよ。
大事なことはメモにするな。
アイディアは寝かせて発酵させよ。
短い章で、こうしたことが一つずつ説かれていく。
文章は読みやすく、ユーモアも交えられる。
なるほど、今も読み継がれるのがわかる。
面白く読んだのは情報の整理の部分。
インプットした一次情報を寝かし、「化学反応」させる。
エリオットの「インパーソナル・セオリー」を援用して導かれているが、要は個性を滅却して素材と素材を結びつけることにより、新しいものを生み出せるというのだ。
このあたり、松岡正剛さんの編集工学にも通じるところがある気がする。
着想は「一次情報」。
発酵、混合、アナロジーなどの思考を介在させ、整理・抽象化することで二次情報、三次情報へ昇華する。
では情報をどう利用できる状態にしてストックするか。
自分自身も学生時代からそこで困ってきた。
方法論は具体的に書かれていた。
スクラップ、カード、ノートに情報を集める。
・状袋式スクラップ
なんとなく野口悠紀雄さんの超整理法を思わせる。
テーマごとに袋にいれる。
コピーも、切り抜きも。
本の場合は、何ページのどのような情報かを書いたカードを。
で、たまってきたところで、整理、廃棄する。
ここは詳しく書かれていないが、実際、それは難しいことだと思うけれど。
・カードによる記録
出典と、冒頭に見出しをつける。
あとは何でもかんでも書かないことが肝要。
・ノートによる記録
カード同様に出典と見出しをつける。
順番を変えられないノートは索引をつける(!)
多くの経験を重ねてきた人だけに、無駄を切り落として磨かれた方法だろうが、この時点でも、マメだなあと思ってしまう。
そして驚いたのは、そこからノートに二度、三度と情報を移し替えていくことだ。
アイディアが浮かんだら、手帖に記録する。
寝かせた後、それでも面白いと思うものだけ、ノートに移し替える。
移し替えるときには、見出し、手帖の記述、ノートに書いた日付、手帖に振ってある番号、スクラップや記事などの貼付を入れる。
…ということは、手帖も廃棄はしないということか。
やはり、手間を惜しんではいけないところもあるということか。
今はデジタルの技術を使って、もっと違う方法も取れるのかもしれない。
でも、一つの情報を育てていくプロセスは、今でも学ぶところがある。
とても興味深く読むことができた。
自分が実践できるかどうかは措いておくけど。 -
考えること、読むことの気づきが得られる本でした
スクラップすることや、ノートにまとめることなど、一度は何かで見聞きしているような内容もありますが、著者の深い洞察とともに書かれていて、改めて自分の考えの浅さを思い知りました。 -
一文一文に「ほんまそれ!」と共感しながら読んでしまった。本文でもまさに触れられていることだが、思考やコミュニケーションそのものについて考えることの多い自分がふだんなんとなく感じていてバラバラの断片になっていた「思い」を一繋ぎにしてくれたような爽快感がある。また、改めて自分は飛行機型の人間に憧れているんだなと再確認。若いうちにすべての人に読んでほしい。
また、理路整然としている上にとても平易な言葉で書かれているので大変読みやすく、我慢できずに音読してしまった。こんな体験は初めて。 -
思考することは重要。創造的でありたい。
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「読んで知識をためることも重要であるが、それを自分なりに解釈して自分だけのものにすることの方が重要である」
「人間の頭を倉庫として使う時代は終わった」 -
30年以上前に刊行されてるけどその中身は今日でも問われる必要がある。
知識詰め込み型の教育より知識をどう使うかという教育が今後重要になってくるのは確か。(かと言って知っているということと知らないということは大きな差がある気がする。やっぱり知っていた方が何かと有利。知っているから使える。)
以下、印象的なシーン
セレンディピティ:どうでもいいことから意外と面白いものが生まれる
知識も余計なものは忘れる:ぜい肉を落としておかないと、動きがとれなくなるのは人間と同じ
調べる時はまず何を、何のために調べるのか明確に→何かを調べる時は欲張らない
うまく忘れるには、他のことをする。別種の活動がリフレッシュになる。→45分授業と同じ考えだ
人の考えに肯定的に:
さっぱりわかりませんね→ずいぶん難しそうですが、なんだか面白そうですね。
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研究者、研究者を志す者、読書家などにオススメ
点と点が繋がって線になる。これが読む前の思考の形成・整理法だと思っていたが、この本ではより多くの整理法があり、近頃の教育スタイルと絡めていてこれから必要となっていく思考法が見つかる。 -
東大・京大の生協で1位、という帯で難しく堅苦しい本だと思っててなかなか手に取らなかったんだけど、気が向いて読み始めてみたらエッセイだったのでびっくり。
「朝は頭が働く」というわざわざ言われなくてもわかりそうな話から始まるけど、例えが適切でわかりやすい。「前にも述べたが」、という言葉がよく出てくるが、それは著者の考えが一貫していることの現れだと思う。
考えを発展させ、まとめる方法は論文を書く前に読みたかった。ぜひ今から論文を書く学生には一読をおすすめしたい。
1984年に書かれたものなのに、既に記憶はパソコンに勝てないと指摘していることに驚き。