思考の整理学 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480020475

感想・レビュー・書評

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  • 科学的な方法論というより、むしろエッセイである。それほど、特別なことは書かれていない。自分も、なんとなく実践してきたことも幾つかある。以下、抜書き的メモ。

    ・記憶と忘れることについて.
    手帳にメモし、一旦忘れて「発酵」させる。ただし、ただ「忘れる」のでなく、ある「価値観」(原則・基準)のもとで忘れるのがよい。
     情報・記憶が自然に廃棄される(ただ忘れてしまう)のは、単なる「忘却」。一方、情報や記憶を意識的に捨てるのは「整理」。
     歩いているとき、思考は自由になりやすく、新しい考えが生まれ易い。→ということは「歩きスマホ」などせず、頭を自由にさせ、風を感じながら歩くのがよいに違いない。

    ・書くことについて.
     完成度を考えず、とにかく最後まで書き通す。一旦書き終えたという心の余裕で、次に俯瞰したとき、推敲すべきこと、新アイデアが生まれ易い。

    …上記、ペンで傍線をひいてあった箇所から、そのサマリー。それら傍線部のみ、目を通してみたところ、意外と「なるほど感」を得た。
    それこそ、無意識にやっていたことを、言語化されたことで、方法論として一段深化し始めたかも。

  •  著者も書かれていたが,この本はあくまで,著者の思考の整理方法(考える方法)について紹介されたものであり,ハウツー本ではない.もちろん著者の方法(朝飯を抜いてうんぬんなど)をそのままマネすることもできるが,それではグライダー人間になってしまう.飛行機人間になるためには,自分で思考し,それを整理する必要があると考えられる.
     この本で私が一番耳が痛かったのは,収斂性,拡散性の話である.私もご多分にもれず,小論文のような答えのない問題は苦手だ.これが正解だという自信が持てず,絶えず1つの答えを求めている.しかし,これでは収斂性しか鍛えられていない.思考は,収斂性だけではない.拡散性と収斂性の二つがある.今のままでは思考の半分の収斂性の思考しかしていない.しかもそれは受動的である.とは著者の言葉である.これはかなり耳が痛かった.拡散性の思考を少しでも身に付けるにはどうすればよいか,これから考えてみよう.そのためにはまず忘れる.記録をしてから,しばらく寝かせてみようと思う.忘れたままになってしまわぬように,ここにも記録を残しておく.

  • 大学生の時に読みたかった!
    今まで自分はグライダーかつコンピューターだったかもしれない、と反省。
    飛行機にならねば。
    自ら学び創造することを常に意識していたい。

  • * 師匠の教えようとしないものを奪い取ろうと心掛けた門人はいつのまにか自分で新しい知識,情報を習得する力をもつようになっている
    * 朝食を食べず仕事をし,朝食と注釈を兼ねてブランチ,さらに昼寝すれば朝飯前が2回になる
    * 何かを思いついたらすぐ書き留めておこう
    * 気にかかることがあって,本を読んでも脱線しがち,というときは思い切って散歩に出る.歩くのも足早に歩く.すると気分が変化し,もやもやがはれていく.
    * 書こうとしてみると自分の頭がいかに混乱しているかがわかったりすることもある.とにかく書いてみる.最後まで書ききる.
    * その第一稿をかきなおし,第二稿,...として書き直しの余地がなくなるまでやる

  • とても読みやすいエッセイ。
    得た知識をメモするコツ。得た知識に人との雑談や新聞や読書などで得たアイディアやヒントを酵素にして加え、寝かせて醗酵を待つこと。いいアイディアを生み出すために必要な場の空気…「そうか」「なるほど」がたくさんあります。
    何度も登場することわざ「見つめるナベは煮えない」は至言。「もう煮えたかな」と何度も蓋を取って覗き込むみたいに、そればかりにとらわれていると鍋はいつまでも煮えない、つまり考えはいつまでたってもまとまらないし、アイディアは形にならない。
    コンピューターについては触れられていますが、インターネットについての記述はありません。そういう観点から見ると、すでに古典の趣があります。この本が最初に世に出た1983年からこれまでの、主にインターネットによる社会の情報化がいかに圧倒的な速度で進んで、世の中を変えてきたかを感じました。
    「古典の趣」などと書きましたが、まだインターネットが普及していない段階で(一家に一台はコンピューターがある、なんて時代でももちろんない)、「コンピューターがあらわれて、これからの人間はどう変化して行くであろうか。それを洞察できるのは人間でなくてはできない。これこそまさに創造的思考である」という本文の結びには先を読む視点が感じられますし、内容は普遍的で、今読んでも参考になることが満載です。

  • 帯びの「東大・京大」で4年連続1位!なんて大々的に書いてあったから手にとってみたけど、「スゴイ!」「目からウロコがああああ!」なんて風にはなりませんでした。
    内容は、思考の整理とは?ということについて書かれています。ですので、著者が言うように思考の整理をするには?というようなHow to本ではないので、そこらへんを期待して読んでしまうとちょっとゲンナリします。いや、それって俺のことなんですけどね(笑)
    そんななかでも、グライダーとしての優秀さと、飛行機としての優秀さは違う。ということは、「確かに・・・」と記憶に残る内容でした。

  • 工場と倉庫。人間の脳とコンピュータを言い表した表現。何かを産み出す工場としての脳、多くのものを整理するための倉庫としてのコンピュータ。記憶と再生能力でコンピュータに劣る人間としては、前者のような知的創造力が必要であるにもかかわらず欠如している現代に対しての警告と、知的創造を産み出すための思考の整理方法について書かれた一冊。この本を読んだからといって急にアイデアが湯水のように溢れ湧いてくるという訳ではないが、情報の取り扱いなど参考となるものは多々あり。また、使い古された考えではあるが、新たなアイデアを考える時、0から1を産み出すことに執着するのではなく、1と2から3を産み出すことに着目すべきとの考えがこの本にも記されていた。過去から存在しているアイデアは時の風化作用をくぐり抜け、強固なものであるが故、積極的に利用すべきとのこと。
    この本は一読で終わらず、繰り返し読み知的創造を膨らます思考の整理学に対して、著書と対話して始めて有意義なものとなるであろう。

  • 人間には2つの種類がある。

    僕が今まで信じていたものを視点を変えて見ることができるようになった本。
    従順も考えようだ。

    帯に釣られて購入したこの本ではあるが、生きていく上で何が大切かを考える機会を与えてくれた。

  • 情報や考えたことをどうやってなににストックしておくか、ここ数年の悩みどころだったのだけれど、この本を読んでそのこつが少しわかった気がする。

    切り取ってスクラップし、どんどんノートに考えを書き足していくという、一見今の時代とはそぐわないような手法だけど、電子化しているかしていないかの違いだけで、根本は同じである。

    一番印象的だったのは、「本当に頭に残しておきたいものはあえてメモらない」ということ。メモると安心して忘れてしまうから。

    大学時代に読んでおきたかった。これを読んでいたら少しはまともな卒論が書けただろうなあ…

  • 以下の2つのことを読み取った。
    --------------------
    ■思考を純化する方法
    ・頭を高効率の工場として働かせるには絶えず忘れていく必要がある。
    ・見つめるナベは煮えない。一つのことに従事し続けても思考は発展しない。
    ・書いたり取っておいたりして、一旦忘れて寝かせて捨てていくことで、抽象化、一般化、普遍化した知識が残っていく。
    ■創造的思考を育てるには
    ・何を忘れて何を取っておくかは自分の価値観、自分の責任で区分けする労を惜しまないこと。
    ・汗のにおいのする、実活動に根ざした思考を続けること。
    ・これにより、ただ知識を持っているだけの、既知を再認するだけの人間ではなく、自分で考え解釈し未知に挑む創造的思考ができてくる。
    --------------------
    「質問力」を読んで、そもそも相手の話を整理できる力がないと質問もできないなと感じたので、思考の整理方法を知りたくて読んでみた。
    けれど具体的に黄金の方法論があるというわけではなく、思考が整理されていくプロセスを教えてくれて、これを人為的に再現しましょうという話だった。
    思考の純化をしていくには捨てることが大事だとあるが、捨てるためには自身の価値観・関心の核がしっかりしていないといけないとのこと。まだそのへんがブレブレなので探していかないといけないが、自ずと自分の関心事は忘れずに残っていくということなので、これもヒントになるのかもしれない。
    著者のルーティンはとにかくインプットとアウトプットを日々行っているという感じだったので、これを見習って自分も書いてアウトプットして忘れることを実践していきたい。その中で、忘れ去られない自身の核が浮き彫りになっていくといいな。

  • 実家の本棚から出てきたので興味本位で読んでみたら、なるほど高次な内容で、、、なんとなく言わんとすることは分かるのですが、頭の中で読んだ内容がうまくまとまりません。誰か、頭の中の思いや考えを整理できるハウツー本を教えていただけないでしょうかっ?

  • 中学生の頃に挫折した本を読み返した。
    今まで何気なく本を読んだり勉強をしたりしていたけど、情報をどうインプットし、アウトプットして使うか、について改めて確認することができた。何度か立ち返りたいと思える本。
    少し手法が古いけど先人の知恵ということで。。



  • 約40年前に書かれていたと思えない
    思考の整理について勉強になった




    ・情報過多の社会で1番大事なことは 忘れる こと
    忘れるために 簡単にできるのは、 寝ること
    寝れば大体忘れられて、思考も整理される

    だが、考え過ぎて寝れない時もある
    そういうときは、難解な本をあえて読むと
    自然と眠たくなる




    ・知識の整理
    自身の関心、興味、価値観
    価値観のものさしをはっきりされる
    自分にもってどれか大切で、どれがどうでもいいのかを知る




    ・もやもやして、どうにもならない時
    一旦、違うことをしてみる
    それから 場所をかえて、飲みものを飲んでリフレッシュする
    他にもいい方法として、早足で30分ほど散歩する
    大体忘れられてスッキリする




    ・ホメテヤラネバ  一節  興味深い
    人の話は否定しないことに通ずると思った
    人は否定されるとやる気を落としてしまう
    お世話でも褒められると嬉しくなる
    けされることで何かよいものを生む可能性は極めて低い

    どんなお話だって、
    難しいけど、なんだか良いものが秘めているような気がする と
    前向きな反応を示す



    ・何か難しいことにぶつかったとしても
    絶対に 自分はだめだ と思わない
    必ず  できる  できる  できる
    暗示をかける
    バカバカしいと思うかもしれないが、とっても大事なこと




    ・とにかく書くこと
    書くこともすごく重要で思考整理に役立つ
    ぱっと大事だと思いついたアイデアなどは、メモする
    それから、構成が決まる前に何もかけないという時こそ 
    とりあえず書き出すこと
    書けば書くほど、だんだんと思考が整理ついて 
    書けるようになる
    とにかく書いて書いて、書き終わってから、
    音読で読み返すとよい




    ・しゃべること も大事
    しゃべっているうちに、自分でびっくりするようなことを言ったりする
    声に考えさせてもらうといい

     




  • なんか昔読んだけど、んー刺さらなかったな
    高校生の時にあまりにも過大評価されてるから読んだけど、もうなんかへーって。言いたいことも書いてあることもわかる。けど自分にこれ関係ある?ってなった。なんか無駄に理屈っぽく書いてこねくり回してるけど、じゃあなんやねんって、ひろゆきが読んだらあなたの感想ですよねで終わりそう。学者の悪いところ出てる気がする。なんかもっと他に書くことなかったんかな。もうあんまり内容も覚えてない。
    なんかグライダーの話良かったなぐらい。ほとんど記憶に残んないから今日まで思い出せなかった。

    これのいいところ誰か具体的に教えていただきたい。
    自身の実感に伴わない作品だった。

  •  2015年頃に読んだ本を再読しました。
     今回の再読で学んだのは、①あれもこれも教えない指導法もある、②勉強の目的を明確にする、③収斂思考と拡散思考は別物である、の3点です。

     ①について「~もある」と書いたのは、「あれもこれも教えない」と「懇切丁寧な指導」は二者択一ではなく、TPOによって適切に使い分けていくべきものだと考えているためです。
     教わる側が自分なりに考えていかなければならない類のものもありますし、その過程で得られるスキルもあるとは思います。ですが、私の経験上、この世の仕事の決して少なくない部分を占める「作業系」のような仕事や、右も左もわからない新入社員への教育については、具体的なやり方・仕事の仕方等、型の部分を丁寧に教えてあげる必要があるように感じています。

     ②の「勉強の目的を明確にする」については、個人的な経験から、すごくスッと入りました。
     世界史の勉強をしようと思い立ち、書籍を買って読んでみるが、膨大な知識に頭がついていかず、結局ちゃんと理解しないまま、熱が冷めてしまう――私自身、このようなことを3~4回は繰り返しています。
     勉強する目的を絞れば、少しは身についていたかもしれません。少なくとも、「今、パレスチナで何が起こっているのか理解するために中東の歴史を頭に入れる」くらいまでは明確にしておく必要がありそうです。

     ③を雑にいうと、「一つの正解を求める思考」と「一つの正解から別のものを導き出す思考」だと理解しました。
     前者の思考にそれほど苦手意識はありませんが、後者の思考は少し自信がないので、これからも、日々の仕事を誠心誠意行うほか、ブクログで感想を書くことで、拡散思考のスキルを伸ばしていきたいと思います。
     ただし、二者の間に優劣はなく、これもTPOによって使い分ける必要があると考えます。収斂思考が必要な場面もあるので、二者択一的に考えないように気を付けたいです。

     上に記した3点以外にも、「自他の思考を肯定する」「一気に読む・書く」等、色々なことを学べましたが、これらについては、いずれ再読した時に深堀りしようと思います。

  • もっと体系的にまとまっているのかと思っていましたが、思ってたんと違って散らばってましたが、これはこれで面白かったです。

    学生に向けた本のようです。学校の授業のような受動的に知識を得るグライダー能力と、ものごとを発明・発見する能力。グライダー人間が量産されているが、どちらも大切な能力。本書は知識を活用できるグライダー兼飛行機人間を作るための本とのこと。

    アイデアを寝かせて熟成させること、別の分野とかけあわせて化学反応を起こさせること、思考を抽象化することなど、私はなんとなく試行錯誤のなかで身につけたり、一部書籍などから学んでいたこともありましたが、たしかにこういった思考に関するあれこれを大学生のうちから知っておくと良かったかも。

    カードのメモのひとつひとつに出典をつけたり見出しをつけるなど、せっかくのインプットを活かすには細かいけどこういうことが大事なんだよなぁ。

  • 包丁を錆びさせない方法は、湯に浸してから乾いたふきんでふいておけばいい。

  • 高校生が読むならちょうどいい。いい大人が読むには遅い

  • 面白かったし、思ったより複雑じゃなかった。
    生きるヒントを得られた気分になれる本

  • 大学生向けの本。
    簡単に思考の仕組みを理解することが出来る。
    アイデアは発酵させる、忘却が大事、睡眠や運動による思考の整理、朝の学習の有用性、拡散的読書等、思考においての様々な知識が書かれている。どれも今までの人生で似たような経験があったので深く納得させられる部分が多かった。

    特に、朝の学習や運動、飲み物を飲むことによるリフレッシュは良い事だと知っていたが、実践は出来ていなかったので、これを機に意識してみたいと思う。

    論文を書く人(主に大学生)に向けて書かれたような本だったが、高校生の自分にも刺さる内容のものは多くあった。大学生になったら再読したいと思う。


    物事を自分なりに解釈し、創造性をつけたい。

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著者プロフィール

外山 滋比古(とやま・しげひこ):1923年、愛知県生まれ。英文学者、文学博士、評論家、エッセイスト。東京文理科大学卒業。「英語青年」編集長を経て、東京教育大学助教授、お茶の水女子大学教授、昭和女子大学教授などを歴任。専門の英文学をはじめ、日本語、教育、意味論などに関する評論を多数執筆している。2020年7月逝去。30年以上にわたり学生、ビジネスマンなど多くの読者の支持を得る『思考の整理学』をはじめ、『忘却の整理学』『知的創造のヒント』(以上、筑摩書房)、『乱読のセレンディピティ』(扶桑社)など著作は多数。

「2024年 『新版 読みの整理学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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