- Amazon.co.jp ・本 (343ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488013431
作品紹介・あらすじ
北の湿地にある建物の半地下の部屋で、老人の死体が発見された。金品が盗まれた形跡はなく、突発的な犯行であるかに見えた。だが、現場に残された三つの言葉のメッセージが事件の様相を変えた。次第に明らかになる被害者の隠された過去。衝撃の犯人、そして肺腑をえぐる真相。
シリーズは世界四十カ国で紹介され七百万部突破。グラスキー賞を2年連続受賞、CWAゴールドダガー受賞。いま最も注目される北欧の巨人、ついに日本上陸。
感想・レビュー・書評
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読みたかった本。主人公・犯罪捜査官のエーレンデュル自身の環境があまりにも暗く(娘がヤク中とか)事件の内容もかなり重いので読むのが辛かったが、アイスランドジョーク?や地道な捜査の様子などがツボに。警察ミステリを堪能した。
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ひまわりめろんさんのレビュー見て、おもしろそうなシリーズものだなーと思って借りてみました。
北欧はアイスランドを舞台にしたミステリー。
世界40ヵ国で紹介され、シリーズ全体で700万部突破!
ガラスの鍵賞を2年連続受賞。
CWAゴールドダガー賞受賞。
だそう。
なんかこういうの書いてると前フリみたいで嫌なんだけど(笑)
う~ん。普通のミステリー(笑)
★2か3か迷ったけど、魅力はそこそこだが特に瑕疵もなかったということで★3。
ガラスの灰皿で殴られて殺された老人が見つかって、よくある強盗とかの普通の殺人とか思いきや、へんなメッセージの紙切れがあって。そこからどんどん奥が深くなっていきます。
読みやすいし、展開も早いし、300ページくらいだから楽なんだけど。
ストーリーはともかくとして、キャラクターがちょっと弱いんだよなー。
主人公の捜査官は特にこれといった特徴もないし、一緒に捜査する2人なんてもっと特徴らしきものがない。
主人公は離婚しているおっさんだが、転がり込んできた娘が実はヤク中で、その娘になぜか事件の経緯を説明してるのが意味わからんかったな。殺人事件の経緯なんて、そんなこと家族に話しちゃいかんだろ。
訳者あとがきで、訳者がアイスランドを訪れた話がおもしろかった。
作品の中でも雨の場面が多かったが、アイスランドはとにかく天気が良く変わるらしい。
編集者によると一日で5つの天気を経験することも良くあるとか。
そのぶん太陽への憧れはとても強いらしくて、一年にわずかしかない一日中快晴の日には、商店や会社は「本日快晴につき休業」と張り出して、太陽に顔を向けて外に座っているのだそうだ。ホンマかいな。
おもしろい。
一日快晴が珍しくて休みになるなんて。
まあ、でも外で仕事なんかしてると天気が良いってのが何よりありがたいのはわかる。
でも、そんなに天気が悪い国なんて住みたくないなー。
住む予定もないけど。
逆に向こうからしたら日本なんてしょっちゅう地震が起きるから恐くて住みたくないって言うかもだがな(笑)
このシリーズは、残念だがもういいかな。
表紙はいい雰囲気で好きなんだけど。-
最近金平糖って見なくなりましたねー(笑)
何かの本で最近金平糖見た気がするのですが、何だったのか思い出せない(-。-;
読んだ瞬間から忘...最近金平糖って見なくなりましたねー(笑)
何かの本で最近金平糖見た気がするのですが、何だったのか思い出せない(-。-;
読んだ瞬間から忘れちゃう。
私も明日快晴だったら休業したいなぁーーー。
あー、次はミステリ読みたいなー。2024/03/03 -
2024/03/03
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2024/03/03
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いやはや困った
またしても追いかけたい作家さんが増えてしまった
このボリュームでこれほど深みのある作品を生み出せるなんてとても稀有な作家さんであると言わねばならない
良質な海外ミステリを読みたいけれど600ページを超えるような大長編はちょっと…という方に是非お勧めしたい
物語はほぼほぼ一本道と言っていい
複数の事件が複雑に絡み合ったり、次々と容疑者が現れたり、突然舞台がカリフォルニアに移ったり、どんでん返しに次ぐどんでん返しが巻き起こったりはしない
ただしその道は最初から最後まで“湿地“に覆われている
そんな気にさせる悲劇の物語でした
また、物語の根幹はアイスランドという国が持つちょっと特殊な背景に根差していると思います
どういった背景かも物語全体から感じらます
そして主人公である老練な刑事エーレンデュル、彼自身家族に問題を抱えていて悩み苦しみ、自分の弱さを認めながらも少しづつ前に進もうとします
そんな彼のこの先を見続けたいとも思いました -
エーレンデュル捜査官シリーズの第1作。
舞台はアイスランド。鈍色の物憂げな雰囲気が物語を覆っていて、雨に降り込められた湿地に自らもが浸かっていくような心許ない印象を受ける。複雑な構文や比喩の多用はなく、文体はきわめて叙述的で、描かれる事件も虚飾を排して小気味よく展開していく。ただ、アイスランド語の固有名詞のかな表記は簡単ではなく、地名や人名の音の響きに結構悩まされる。巻頭に人物リストあり。
これは血のつながりとアイデンティティをめぐるヘイトクライムであり、過去へと時間を遡行することそれ自体が二重、三重の意味で作品のモチーフとなっている。降り続ける雨が、事件の性格と主人公の疲弊した私生活と見事にシンクロしている。そして、いたたまれない結末。「断つべきだった」と犯人自らが感じずにはいられない連鎖。その中で、主人公と娘の不安定で緊迫した関係が徐々に打ち解けていくことが、この陰鬱な「北の湿地」において適度な深みと温かい色を与えている。 -
アイスランド作家によるアイスランドを舞台にした地に足のついた骨太の社会派ミステリ。司馬さんを彷彿とさせる質実剛健なカラリとした文体で淡々と描かれていて読みやすいです。内容に派手さは無く、身近で根深い問題が丁寧に(時には執拗なまでに)細部まで再現されており、自分が体験したことではないのに身につまされるような見事な筆致でした。本国ではこの作品の前に2冊同シリーズが出ているそうですが、日本語で読めるのは文学賞を受賞したこの作品以降からのようです。翻訳者によるアイスランドの歴史と社会の解説と、原作者へのインタビューの抜粋もとても良かったです。主人公エーレンデュルは昔気質の男やもめで、別れた家族と確執を抱え、自身の生い立ちにも悲しい過去があるらしく、これらはシリーズを通したテーマになっているようです。満足して読了しました。
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人間は不完全であることを前提とした登場人物たちが繰り広げる事件解決まで。
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レイキャビク2001年、男が自室アパートで殺されて発見。70才前後、血が流れたそばにはガラスの灰皿が落ちていた。調べが進むうち、殺された男ホルベルクのおぞましき過去が露わになる。現場に残された紙片にあった「あいつ は ・・」という言葉、この言葉こそこの犯罪の要なのだが、あまりにも悲しすぎる。
刑事たちは30年前の男の過去を調べる。人口30万人のアイスランドだからできるのか、その遺伝子情報データが一か所にそろっているのだ。ここで露わになる事実には目を背けたい。しかし、執拗な描写は、巻末の著者の弁によれば、「私は女性に対する暴力の正体を男たちに知らせたい」のだという。そして「犯罪小説は、”人間の条件(human condition)を描く文学、すなわち、ある人物が自分や周りの人々の人生を良くしようとしてしたこと、ないしはしなかったことを描く文学であり、常に自作ではそれを心がけている」のだという。
あまり情報の入らないレイキャビクやアイスランドの暮らしがちょいちょいと描かれる。最初にレイキャビクの市街地図が載っていて、殺されたのはノルデュルミリという地区で「北の湿地」という意味。広そうなレイキャビク美術館に接していて、少し行くと絶景建築写真集などで見た、「ハルグリムス教会」などもある。
調査で分かったこととして語られるのは、ノルデュルミリに半地下のあるアパート群があり、そこの建物は戦時中と戦後にたてられた。アイスランドは独立し、通りの名前はアイスランドの英雄伝説(サーガ)からつけられた。この街には貧富、あらゆる種類の人間が集まり、湿地には金のない人が住んだ。建物の所有者が地下に下働きの者を住まわせ、それがアパートになった。
訳者あとがき
アイスランドは874年にノルウェー人バイキングが乗りこんで、それまで無人島だった島にスコットランドとアイルランドのケルト人とともに定住。世界最古の議会アイシンクも設けられたが13世紀以降ノルウェーとデンマークの.支配下に置かれる。19世紀に独立運動が起き、1874年にアイスランド自治法が制定されたが、その後もデンマークの支配下に置かれ、1944年に共和国として完全独立を果たす。国土は北海道と四国を合わせたくらい。人口32万。
アイスランド語はアイスランドの人口32万人のみが使っている言語で、訳者はスウェーデン語に訳されたものから日本語にしている。共に古ノルド語を土台としていて言葉のニュアンスや雰囲気が近い。またファーストネームが正称で、姓のほうは一般に使われない。
レイキャビク警察犯罪捜査官のエーレンデュルの元、配下のエーリンボルク、シグルデュル=オーリが捜査に当たる。エーリンボルクは女性。う~ん、発音しづらくて覚えずらい・・
☆早川海外ミステリハンドブック2015:北欧ミステリ
2000年発表
2012.6.15初版 図書館 -
アイスランドの巨匠、初登場。
北欧五カ国のミステリの中で最優秀と認められる「銀の鍵賞」を受賞した作品。
アイスランド共和国の首都レイキャビク。
北の湿地(ノルデュミリ)にあるアパートで、ホルベルクという老人が発見された。
ずさんで不器用な突発的な強盗殺人のようで、最初は典型的な「アイスランドの殺人」(自嘲的にこう呼ぶらしい)かと思われた。
だが現場に残されたカードには、三つの単語からなるメッセージが。
計画的な犯行か?
レイキャビク警察の犯罪捜査官エーレンデュルの捜査が始まる。
エーレンデュルは、昇進を断ってまで現場にこだわり続けるベテランの警官。
上司も同僚もエーレンデュルの言うことはそのまま通すようになっている。
若いシグルデュル=オーリは、新しい捜査法に通じている違うタイプだし、女性警官のエーリンボルクも不満を感じることがあるようだが。
ホルベルクを調べていくと、過去にレイプで訴えられていた。
応対した警官がひどい態度をとったらしく、女性は訴えを取り下げていたが‥
ホルベルクの複雑な過去がしだいに明らかに。
こういう題材にしては書き込みは少なめですが、文体にある種心地よい緊張がみなぎり、できるだけ簡潔にしようとしている意図が伝わってきます。
読みなれている人なら途中から展開も読めると思いますが。
アイスランドならではのある事情を背景に、何の罪もない人に起きた思いがけない出来事の痛みがなんとも‥言葉を失う思いにさせられます。
しみじみと哀切な印象が長く残る、やはりこれは傑作でした。
エーレンデュルは、もじゃもじゃの髪の大男で、50歳になる。
別れた妻とは20年も会っていない。
子供二人と会うこともできなかったが、子供のほうが大きくなってから父親を探し当てた。
エーレンデュルは両手を広げて迎えたが、子供達は悲惨な状態にあった。
娘のエヴァ=リンドの抱える闇は深く、薬を買うための金をせびりにくる。息子は少しだけましだが。
間に合ううちに子供達を捜さなかったことを深く後悔し、できるだけのことをしようとしているのだが。
エヴァ=リンドとのやりとりが短いがたびたび出てきて、印象としてはかなりの比重を占めています。
緊迫して救いがない苦痛に満ちた関係のようでいて、立ち直りたいという気持ちがないでもないエヴァ=リンドの様子に、目を開かされます。
妊娠したエヴァ=リンドが、エーレンデュルの苦しみに寄り添おうとするシーンも。
アイスランドは、北海道と四国を合わせたほどの国土に、人口は32万人。
そのうち20万人が都市に住む。
火山が多く、家の暖房は地熱でまかなわれているとか。
人の正式名は名前のみで、電話帳も名前のみ。
家の名というものはなく、姓にあたるものは、親の名前にその息子、その娘という意味がつくものしかない。
インドリダソンというのはインドリディの息子という意味。
著者は1961年レイキャビク生まれ。
父親は高名な作家。
新聞社に就職、後に映画評論家となる。1997年にエーレンデュルのシリーズ第1作で作家デビュー。
小さな国なので連続殺人やカーチェイスなどは似合わず、ミステリは彼が登場するまで軽んじられていたらしい。
3作目の本書と、次の作品で、ガラスの鍵賞を連続受賞。
次の作品ではCWA賞も受賞している。
シリーズは世界40ヵ国で出版され、700万部を超えるヒット作に。 -
好感の持てるアイスランド発のミステリ。
簡潔な文章でテンポよく物語が展開し、
人物の描写もよい。
北欧ミステリは今後も要チェックだ。
2002 年 ガラスの鍵賞受賞作品。