うつくしが丘の不幸の家

著者 :
  • 東京創元社
4.06
  • (231)
  • (365)
  • (152)
  • (14)
  • (2)
本棚登録 : 2350
感想 : 256
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (505ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488028046

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 住む人が次々と不幸になる家って聞くとホラーな感じがしますが、実際には次のようなもの。
    不幸な境遇の人が住むことになるが、あるきっかけで前向きに生きることを決意し、新しい人生のために新天地へと旅立っていく家の物語。

  • 面白かった!題名は「うつくしが丘の不幸の家」だけどこの家に移り住むそれぞれの家族は、いろんなだけど悩みはあれど希望がみえるラストで話しが終わっててどのストーリーも優しい気持ちになります。だんだん時代がさかのぼっていく構成で、ひとつひとつの謎が遡るたびに明かされていくので読む手が止まりませんでした。エピローグで最新の住人の正体がわかり思わず私まで笑顔になりました。心理描写も丁寧な文章で引き込まれて読みました。よかった!

  • うつくしが丘という名の振興住宅地に建つ一軒の家に住む代々の住人にまつわる物語を綴ったリレー形式の短編集。

    第1章で新たにこの家に越してきた美保理は、近所の住人と思われる見知らぬ人からいきなり、その家が"不幸の家と呼ばれている"と聞かされる。そして、庭の枇杷の木について、"枇杷の木は縁起が悪い"と言われたことを思い出し、切り倒そうと躍起になる。
    が、隣人の信子に、枇杷の木の様々な効能を教えてもらうとともに、"しわあせは人から貰ったり人から汚されたりするものじゃない。自分で作り上げたものを壊すのも汚すのも、いつだって自分にしかできない"と諭される。
    美保理はそれまで自分には幸せをつかめないと思い、沈んでいたが、予想外の義父母の思いを知り、信子の言葉に感謝すると共に、幸せは人から貰うこともあると感じる。

    その前の住人たちも何かしら問題を抱えていて、-特に親との関係で大人を恐れたり、卑屈になったりした登場人物が多いので少し重いが、家を巡るストーリーなので、仕方ないのかも- それでも各々、家を離れるときには少し前向きに新たな一歩を踏み出して行った様子が描かれる。

    子供の有無、親子や夫婦の関係性など、家ごとに違い、何が幸せかなんて誰にもわからないが、本人の考え方、捉え方で随分感じ方は違ってくる。
    一見ツライ状況にあったとしても、前向きに、大切な人とはきちんとコミュニケーションを取っていきたい。


  • タイトルからして不穏な話なのかな?と
    思っていましたが...とても幸せなお話。

    各物語一つ一つがとても優しいお話でした。

  • 心がほかほかして幸せな気持ちになりました。

  • 出てくる男の人がクズばかりで辛かった。ラストがどんな良い結末を迎えても、私は暴力(肉体でも言葉でも)を振るう人が連作で出てくる本は辛いみたいだ。
    本自体は、テーマにそって話しがつながっていて、それが救いになる形の、素敵な本だった。

  • うつくしが丘に建つ 三階建て一軒家に代々住む人々の話。
    現在から過去に遡っていく、5つの家族の物語+エピローグで構成されている。
    タイトルとはかけ離れた読後感。重いものを抱えている登場人物達だが、皆、芯は強く幸せの方向に前進しているところが良かった。
    あと物語がループで繋がっているところが良かった。第1章の表題?がおわりの家と言うのは、この家に最後に住むと言うことかな~
    お隣の信子さんの言葉に、色々学ばせて貰った。

  • 町田その子、面白いね~~~
    全体の文章構成、人の重なり、これぞ、その子節と言うべきか!
    町田その子の作品は、必ず何かベースとなる人や物が存在する。
    この作品では、それが家になる。この家をベースとして、それぞれの人や家族の人間模様が優しく暖かく描かれている。
    これまで読んだ作品全てに於いて、読後感は「良かった」とホッとしてしまう。

  • 不幸な部分にはハラハラしましたが、結末にスッキリ!

  • 「不幸な家」なんて、ぶっそうな内容か?はたまた、本当に不幸な話だったら…。でもそこはやはり、町田そのこさん。ちゃんと未来の希望につながっている。5つの家族の連作小説。
    となりの家の信子さんが、すてきな人。彼女もいろいろ抱えているけれど、とても温かい。
    「不幸かどうか決めるのは、他人ではない。私自身だ。」もいい言葉だ。
    エピローグでは、え??ってなって、急いで戻って…。連作短編小説のおもしろさを堪能した。
    町田そのこさん、やっぱりとても好きな作家さん。「52ヘルツのくじらたち」や「星を掬う」のようにちょっと重たい内容もあるけれど、登場人物がちゃんと未来を見て、希望がある。これからも作品を追い続けたい。

全256件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

町田そのこ
一九八〇年生まれ。福岡県在住。
「カメルーンの青い魚」で、第15回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。二〇一七年に同作を含む『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』でデビュー。他の著作に「コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店―」シリーズ(新潮社)、『うつくしが丘の不幸の家』(東京創元社)などがある。本作で二〇二一年本屋大賞を受賞。
近著に『星を掬う』(中央公論新社)、『宙ごはん』 (小学館)、『あなたはここにいなくとも』(新潮社)。

「2023年 『52ヘルツのクジラたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

町田そのこの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×