i(アイ)

著者 :
  • ポプラ社
3.62
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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591153093

感想・レビュー・書評

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  • 想像力を持ち続けることは大切だと思う、その想像から自分を守ることも。誰かに出会って自分が肯定できて、それがたった1人でも、いやたった1人いてくれるだけで世界は変わるし美しくなる。この世界にアイは存在すると疑わず惑わされず生きてくぜ〜!!!!!!!!!

  • 「この世界にアイは存在しません」
    この一文が様々な場面で現れる。

    シリアで産まれ、裕福なアメリカ人の父と、日本人の母の元で養子として育てられたアイ。

    自分の存在を探るように生きるアイが、
    苦しみもがきながらも、周りの人間を愛し、
    そして、愛され、自分の存在を見つける。

    この瞬間にも、世界では紛争やテロが起きていて、
    罪のない人達が亡くなっているということを
    現実でも忘れてはいけないと思った。

    比べて、自分が恵まれているとか、幸福だとか、そんな陳腐なことではなく、ただ胸を痛めたり、思いを馳せたり、そんな事を考えた。

  • アイ(I)にミナ(Everyone)、そしてユウ(you)

  • 終わり方はよかった。最後の何ページかはとてもいいのでそこまで辿り着ければ気持ち良く読み終われる。が、前半の間延び感が半端ない。正直文章力かがなくて読みづらかった。惹きつけられなかったので読むのが大変だった。LGBTや世界の紛争などをモチーフにしていて意識高い人は楽しめるのかも、、?

  • 読んでいて感情移入すると辛かったけど、人生って色々な経験で出来上がっていくなぁと改めて思った。



  • また読む本

  • ん〜。楽しめなかったですね。
    人間描写が薄っぺらかな。
    シリア産まれの養子には、分からない悩み物語だ。
    ん〜、やはり、つまらなかった。

  • こうこう、こうだった、と、事実を書き連ねるような書き方は、小説としては面白くないと思う。

  • #残酷が多幸感へと変わるとき色とりどりの想像の束

  • 良き

  • アイデンティティとは?と考えさせられる作品でしょうか。。。
    どこかしらサラバに繋がるところがあるのかなと個人的には思います。

  • 2020/1/28 読了

  • シリア生まれでアメリカ人の父と日本人の母の養子となったアイ。

    世界中で起こる災害や戦争で亡くなる人たちがいる中で
    その中の1人になるはずだった自分が
    裕福な生活を送っていることに疑問を持って、ずっと苦しんでいたけれど、それすらも傲慢だと二重に苦しんでいたアイ。

    この世界にアイは存在しませんと、数学教師が言っていた言葉をずっと胸の内に秘め続け、
    数学にのめり込み、世界中で起きた事件事故で亡くなった人たちの数をノートに書き続けたアイ。

    高校でできた親友でレズビアンのミナ。

    東日本大震災が起きて、それでも犠牲者の1人になれなかったアイ。
    デモ活動で知り合ったユウとの結婚、不妊治療で授かった命の流産。

    この世界にアイは、
    苦しい状況の中で生きなければならない人たちのことを
    想像して、非力な自分であることに苦しむ。

    この世界にアイは、存在する。

    祈ることしかできないこともあって。
    流産のところ悲しくてつらかった。
    西さんの話は力強い。

  • 今年の年明けにアメリカとイランで戦争が起こりそうな気配がしたとき、不安で怖くて、イラン生まれの西さんはどんな気持ちなんだろうって思って、救いを求めるような気持ちでこの本を手に取った。
    読んでよかった。

    私はアイと同じように、東日本の震災の時に、無事で安全な場所で変わらず笑って生活している自分を後ろめたく感じたこともあった。
    また、アイのノートみたいに、2003年のイラク戦争の時、戦地で泣き叫ぶ親子が写った新聞記事を取っておいたこともあった。

    でも日々生活していると、その時は胸を痛めたニュースもいつのまにか忘れ、それよりも自分自身の悩みだけにとらわれてばかりいる。
    アイがそうだったように、そちらの方が自分にとっては切実だからだ。

    実際に今回のアメリカとイランのことも、うっかりするともう忘れていて、結局は全て他人事なんだなと思う。
    でも、自分にできることがなかったとしても、もし忘れてしまったとしても、その時に感じた悲しみや怒り、胸の痛みを大事にするべきだとこの本から教えてもらえた。
    西さんは優しい。


    以下、「忘れたくない」文章を書き留めておく。

    ・パレスチナで、アフガニスタンで、そしてシリアで死んでいる者たちの、その名を刻む場所はあるのだろうか。墓地さえ与えられない死者たちは、どこで眠るのだろうか。

    ・誰かのことを思って苦しいのなら、どれだけ自分が非力でも苦しむべきだと、私は思う。その苦しみを、大切にすべきだって、

    ・渦中にいなくても、その人たちのことを思って苦しんでいいと思う。その苦しみが広がって、知らなかった誰かが想像する余地になるんだと思う。渦中の苦しみを。それがどういうことなのか、想像でしかないけれど、それに実際の力はないかもしれないけど、想像するってことは心を、想いを寄せることだと思う。


    西さんがいつしかどこかで、ジョンレノンの「イマジン」が最強の言葉って言ってたけど、まさにそれだ。

  • アイの波に引き込まれて、溺れた

  • 考えさせられた。非常に良かった。
    この世界に起こっている事に目をつむり、平和ボケしている僕らは、考えなければならない。
    このアイの誠実で真摯な生き方、考え方を、心にとめて、生きていかなければならない。

  • 泣いてしまった。すごく良かった。アイとユウとミナと。『テヘランでロリータを読む』も出てきて嬉しかった。

  • 実際の災害や事件と同じ現実に存在し、様々な境遇の人間のことを思い苛まれる主人公。

    虚数”i" と名前の”アイ”が呼応し、
    アイデンティティについて悩む。
    ニューヨークの恵まれた養子として過ごす少女期。
    日本ではLGBTの友人ミナと出会い、裕福に生き残っていることへの罪悪感から免れるように数学の道へ歩んでいく。
    東日本大震災後日本に残り恋人ユウとの出会い結婚、流産、そしてミナの妊娠。

    「アイは存在しません」という高校数学で出てきた虚数の定義を反芻し、自らを虚ろな存在と苦しんできたアイ。
    恋人のユウ、友人のミナといるときには聞こえないその言葉。
    認められることで「アイ」が虚数から実数へとなる喜びが滲むように伝わり、余韻に長く浸ることができる。

    細かく分類され、マイノリティーの割合が増える中、相手への接し方の指針になる作品。

    *メモ*
    「ありがとう」という感謝でも「ごめんなさい」とう謝罪でもなく、「大好き」という言葉で角を立たせず相手の気持ちを包み込むシーンが個人的に一番好きだ。恋人やパートナーには「愛している」でも良いか。
    *メモ2*
    妊娠に対してのアイの気持ちは八日目の蝉を思わされる。

  • 自分のルーツというか、血縁のない不安、世界の不均衡や、戦争や、殺戮、自然災害、すべてに敏感なアイの物語。

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著者プロフィール

1977年イラン・テヘラン生まれ。2004年『あおい』で、デビュー。07年『通天閣』で「織田作之助賞」、13年『ふくわらい』で「河合隼雄賞」を、15年『サラバ!』で「直木賞」を受賞した。その他著書に、『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』などがある。23年に刊行した初のノンフィクション『くもをさがす』が話題となった。

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