大奥 (ヤングアニマルコミックス)

  • 白泉社
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感想 : 74
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784592162797

感想・レビュー・書評

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  • 完結。特装版(「没日後録」付)
    家光・有功編テレビドラマ化をきっかけに読みはじめてから十年近く、連載開始からは16年にわたる大河ドラマで、小説やドラマになりやすい有名どころからマイナーな人物まで徳川の治世を総ざらいさせてもらったことに感謝。江戸城大奥を去った後の最終回はすがすがしい風に吹かれる心地だった。あらためて1巻からゆっくり読み直したい。

    というわけで、1巻から少しずつ読み返して、改めて感銘を受けている。19巻のうちちょうど真ん中の10巻目が赤面疱瘡対策がみつかる折り返し地点(本の装幀も前半と後半で趣向が変わっている)、そこまでは男性が激減して女性が表を取り仕切る世界だったのが、後半は赤面疱瘡への恐怖がなくなり男女比が次第にもとに戻るとともに男が上に立ち女は脇で控える世界にもどっていく。歴史的な事実を換骨奪胎して説得録のある男女逆転パラレルワールドを築き上げる手腕の鮮やかさ。性別が逆転したことで印象が大きく変わるものもあれば、血の呪縛の苦しみや人情のように変わらぬものもあり、ファンタジーを楽しみながら現実世界をみつめなおすこともできる(伝染病との戦いや政治、ジェンダーなどタイムリーなテーマも盛りだくさん)。全編を通奏低音のように貫くのは、性別や長幼、立場を超えた信頼にもとづく人間関係の尊さ。いい作品にであえてよかった。

    表紙は吉宗、家定、家茂。これまで基本的にバックは漆黒(か真っ白)だったが最後は夜明けの色合いが感慨深い。

    ****
    2023年ドラマ10「大奥2」(脚本:森下佳子)をみながら読み返している。
    8巻終盤から始まったシーズン2医療篇、第三回までで赤面疱瘡撲滅チームが悲劇的幕切れを迎え、第五回で医療編が終わって幕末編になり、最終回(第十一回)は15分拡大で前の巻の中盤からこの最終巻の最後の場面まで。西郷との交渉、江戸城明け渡し、そして後日談まで原作の感動を映像でもふたたび味わえた。

  • あらかじめ示唆されていた通り、江戸幕府の終焉とともに女性の時代は終わり、現実の日本に繋がる男性中心の社会へと回帰する。
    女性の時代は無かったことにされるのだが、わずかな希望が未来へと託される形で物語の幕が下りる。
    17年間の終わりにふさわしい大団円。
    ただ、この終わり方以外にないながらも、女性の時代がそのまま続いたらあり得たかもしれない日本の姿を見たかったというのはある。
    そういうオルタナティブな世界を想像させるだけの力を持った作品だったと思う。

  • またひとつ、素晴らしい作品が完結。本作については、終わるタイミングは分かっていた訳で、驚きはないけれど。でもやっぱ寂しくはある。読んでいるうちは、物凄く理解できた気になっていたけど、ふたを開けてみると、やっぱり頭の中は結構ゴチャゴチャ。もちろん、勉強の観点で読んでいた訳じゃないのもあるけど、ちょっと悔しくて残念。でもやっぱりこれ、江戸時代の学習漫画としても秀逸だと思う。小学校で初めて歴史を学ぶとき、本作も一緒に置いてあるのがベストかな。子どもには是非勧めよう。

  • 連載当初は「男女逆転大奥」という、いわばイロモノ大河として始まったけど、男女逆転だからこそ浮き彫りになる女性蔑視とホモ・ソーシャル……という、現代日本にも通ずるテーマを描き続け、Metoo運動に火がついた頃に、「男も女も政に参加する日本はむしろ進んでる」と坂本龍馬がぶち上げる。
    この見事過ぎる現代日本へのブーメランがさらに伏線となり「女が200年も政を仕切っていたせいで、欧米列強に遅れをとった」と西郷隆盛に言わせる、と。
    歴史の歯車を大きく歪める、新政府の闇を感じる。

    そして終盤で和宮にも大きな見せ場がありましたね。
    そういえば、家茂と和宮のガールズフッドも数年は時代を先取っていたな。

    最終的にはハッピーエンドに落ち着き、何より。
    武士から一般人になって苦労するものも多い中、瀧山www
    まあ、元は海千山千の蔭間女郎ってことなのかな。
    切腹し損ねたのはあれですが、全然生きる場所あるやないか。
    仲野を養子にしたのは、自分の死後、いくばくかの財産を残すためであったのであろうけど。

    明治になって、現代の感覚からするとジェンダー感が200年戻ってしまったけど、最後に登場する津田梅子が希望。
    しかし最後のページが、胤篤の悪そうな顔ってどうよ……。

  • 大河ドラマの終わりとしては、盛り上がりに欠ける。もうちょっと、慶喜に見せ場を作ってもらいたかったな。まあ、鳥羽伏見から開城の流れとしては、そうなんだろうけど、フィクションとしては脚色あっても良いよね。
    長く続いた連載で、話の面で男女逆転のアイディアも良かったし、裃のイケメンがズラッと並ぶ絵面という面でも良かった。漫画史に残る大作。シリーズ全体としては⭐️4。

  • 「もし〜ならば」の仮定を繰り返し考える薩摩の郷中教育で育った西郷隆盛の優れたシュミレーション能力に旧幕府首脳陣は翻弄され続けた ここに新政府軍による江戸総攻撃は回避され江戸城の無血開城が決定した 没日録を始めから読み返しとうなってここへ参った こうして何枚かの写真が天璋院篤姫の肖像として残された 日本から輸出された茶の箱に貼られた版画のラベル

  • 家光から幕末まで250年ほどのストーリー。女性が主に徳川の世を担った架空の姿を描く。
    全治を通してのメインは吉宗だが、インパクトは治済だろう。
    ラスト胤篤が津田梅子に思いを託すシーンは、いい終わり方だなあ。

  • テレビドラマ(NHK)を見た後に読んだ。
    やはり漫画の方が詳細がわかる。
    特にラストの船上シーンは、ドラマでは唐突でとってつけた感が否めなかったけど、原作では唐突ながらもフォローがしっかりなされていた。
    ドラマを見てしまった後は、登場人物からなんとなく演じた俳優の面影を見てしまう(^_^)a

  • 傑作!!

  • これで完。

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著者プロフィール

東京都生まれ。代表作の『西洋骨董洋菓子店』は2002年、第26回(平成14年度)講談社漫画賞少女部門受賞。2006年、第5回(2005年度)センス・オブ・ジェンダー賞特別賞、第10回(平成18年度)文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。ほかの作品に、『大奥』『フラワー・オブ・ライフ』『愛がなくても喰ってゆけます』『愛すべき娘たち』『こどもの体温』などがある。


「2022年 『きのう何食べた?(20)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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