- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784620321479
作品紹介・あらすじ
緊急対談!「権力のウソ」すべて暴きます。法治国家最大の危機、"検察問題"の流れを変える一冊!"ごまかし"、"詭弁"だらけの「最高検報告書」全文掲載。
感想・レビュー・書評
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ふむ
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特捜検察の手法は、鈴木宗男さんや佐藤優さんの逮捕・判決のプロセスを他の本で知り得ていたが、一度決めた筋を徹底して多少の無理があっても作り込む様は、今回のインタビューからもよく伝わってきた。正義云々ではなく、勝つか負けるかということが、本質だなと感じた。
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小川敏夫 民主党の元法相、陸山会事件の検察の虚偽報告に対し指揮権を発動しようとして内閣改造で更迭させられた。
石川知裕 元小沢一郎秘書、陸山会事件で東京地検に嵌められかけた。政治資金規正法で有罪
大坪弘道 元特捜部長、村木厚子さんのえん罪事件で部下の証拠改ざんで犯人隠避で有罪になった。
八木啓代 メキシコ在住のラテン歌手、健全な法治国家のために声を上げる会代表
郷原信郎氏とこの4人の対談で陸山会事件における田代検事の虚偽報告書がどのように作られたかが明らかになっていく。巻末には問題の最高検報告書を添付してある。
小川対談
検察側は捜査中の証拠文書はたとえ現職の法相が相手であっても簡単には見せない。ちゃんと認識していなかったのだが本人が内容を確認した上で署名する供述調証書は証拠能力が高く、捜査報告所はあくまで捜査状況を上司に報告するための報告書。しかし、検察審査会では証拠文書であるかのように資料として提出され、審査会の判断の根拠とされた。
田代報告書がでっち上げだと言う証拠を突きつけられた最高検は「記憶違い」という弁明を受け入れた。これが通るのであれば今後偽証は全て記憶違いでOKだ。田代検事は佐久間部長にこの報告書を見せていた様だが2012年6月嫌疑不十分で不起訴になっている。
石川対談
取り調べの様子が生々しい。ポイントは佐藤優氏の助言に従って取り調べをICレコーダーで全て録音していた事。これが無ければどうなっていた事か。それでも政治資金規正法で有罪にされてしまっているのだが。
石川氏はとかげのしっぽ切りにあった田代検事に同情的ですらある。取調中に吉田副部長は「石川さん、水谷建設の5000万円を認めて、秘書の事件にして、これを終わらせましょう。」「秘書がたまたま横領したことにして、小沢さんはあずかり知らずということにした方がすっきりするし」「いや、このままでいくと小沢さんは検察審査会で間違いなく黒になる」どうやら小沢氏を立件するのはとても無理なので検察審査会に持ち込む戦術をかなり早い段階から考えていたようなのだ。
石川氏の録音記憶には田代検事の告白が残っている。「要するにさ、ぼくはあの、石川さんに対してね、ま、色んな技をさずけて、長所にした部分もあるけれど」「結局、やっぱり法律家であれば、やっぱり共謀の認定っていうのは、ま、認めてはいるんだけど、それじゃ、ちょっと共謀の認定としてはきついよねっていう、位の話はしたじゃない」「うちの方は、ま、なんていうかな。うまい具合にさ、そこは、ね、要するに想像したとおりになっやわけでしょ。うん、だけど、そこのところがやっぱり、検審の、その法律家じゃない人には、ま、理解が多分しづらいところなんじゃないかと思うんだよな」
つまり、田代検事は上司が認めてくれてギリギリ起訴にならない線で調書を作り、でも検察審査会の素人には理解できなかったと。
大坪対談
田代報告書の検証を二人でしているが、それ以上に頭に来ているのが村木さん事件では上司は知っていたに違いないと、大坪氏が否認したにも拘らず逮捕、起訴した検察が田代事件では記憶違いを認めお咎めなしになった所。前田事件で部下の証拠改ざんに気がつかなかった点は大坪氏は責任を感じている。しかし、田代事件は追いつめると上司に累が及ぶとしたのだが、どちらも構造は同じでどこまでを組織が守ろうとしたかの線引きが違うだけだ。
八木対談
この人がどういうタイミングで出てきたのかあまりハッキリ覚えてないのだがBLOGOSだったか、ツイッターだったか。どうも最初に市民団体を立ち上げたのは勢いだった様だ。そしてロシアのサーバーにある問題の調査報告所をだれかが八木氏宛にリークし(しかも出元は複数ある様だ)ネットに公開した。マスコミが出来なかったことを普通の人ができてしまうネット社会の象徴的な出来事だったと思う。
検察の問題はもうだれも報道しなくなって久しいがたかが1〜2年で体質が変わるわけが無い。
特定秘密保護法案に反対する理由は検察が信用できないだけでも十分だろう。
おまけ、特定秘密保護法案に対する登場人物の見解
郷原氏
http://www.huffingtonpost.jp/nobuo-gohara/post_6356_b_4388670.html
八木氏
http://blogos.com/article/74709/
登場人物と言えるか? 佐藤優x福島瑞穂
http://blogos.com/article/75169/ -
小沢事件がいかに無茶な捜査だったかを検証した本
この事件がなければ民主党が政権をとった時には小沢さんが総理だったんだろうね。 -
マスコミがこういった話を報じない限り、この本を読むべきだと思う。そして、マスコミが報じるニュースと比較検討し、どう思うか考えるべきだと思う。
弁護士(元検事)郷原氏が、小川敏夫・元法務大臣、石川知裕・衆議院議員、大坪弘道・元大阪地検特捜部長そして八木啓代氏と郷原氏の対談録を収載し、そしてそれら対談を踏まえ、郷原氏は正義は失われ、検察が崩壊していると断罪する。国は(司法)は正義を働くと考えているので、国民は国家秩序に従う。だが、国が不正義を働いているとしたら...
巻末に、「最高検報告書」、「田代報告書」を全文掲載している、これらの客観的事実と報道、本書を読んで自分で考えることができる。
指揮権を発動し、司法の暴走を食い止めようとした法務大臣は、野田総理によって更迭された。野田、細野はじめとする民主党は、誰を守って誰を守らない選択をしたのか、それも忘れてはいけないこと。 -
小沢さんは検察では不起訴になったが、検察審査会では起訴
相当となった。一見検察の意向に添わず無理筋で起訴になったと思えますが、実は検察の一部がわざと検察審査会で起訴に誘導するように行っていたということを関係者のインタビューという形式で検証していく。
検察という権力をもった組織が一刻の宰相選びさえも自分の意に沿うように妨害できてしまうという恐ろしさがわかる。 -
所謂、陸山会事件の関係者の対談集。
誰が考えても無理筋の捜査、立件で検察審査会による裁判。
検察のウソがウソを拡大再生産してしまうという悪循環。
ニッチモサッチモ行かなくなり、最後の大嘘。
そのようなことの一連の流れが、正義をこよなく愛するメンバーの対談集。
閉鎖社会でコソコソ生きる検察が惨め。
このような腐りきった組織を再生できるのは市民の力しかない。
八木啓代氏、がんばれ!