- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784750513287
感想・レビュー・書評
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あ、この広告ね。うん、このCM見たことある。1970年~2011年の間に、電力9社が費やした広告宣伝費は、2兆4179億円超。
もちろん、その費用の原資はあなたや私が支払っている電力料金から、そしてその多くは「原子力発電所は絶対に事故を起さない」「万一事故が起きても放射能は絶対に外に漏れない」「原発は安全・安心なシステム」という福島第一原発事故で露呈した嘘で固められた原発神話を作り上げるための物であった。
「電通と原発報道」で日本の広告業界が電通を通じた巨大マネー(原資は電力料金)によって、情報統制されている事実を淡々と明らかにした筆者が、その証左として3.11以前の広告の実例を列挙したこの本を、できるだけ多くの人の目にふれさせたい。そして、その事実を実感して欲しい。
新聞テレビ等のマスコミには頼れない、なぜなら彼らこそ巨大マネーを受け取り情報統制に積極的に参加してきた当事者たちだから。
その広告等に出演、参加してきた著名人、芸能人は責めない。なぜなら、彼らも私たちも巨大マネーに騙されてきたのだから。そして、だからこそ彼らにに期待する。南アフリカのアパルトヘイトに反対して"Sun City"を歌い訴えた多くのアーティストたちのように、立ち上がることを。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
原発推進広告のオンパレード。よくも集めたり。しかし実際は原発広告は膨大で、本書にあるのはその一部だと。どうして寡占事業に広告がいるのか。答えは本書で。
意見広告のようでいて、反論の余地のない一方的なカネに物を言わせたやり方はどうなのだ、と、かなり前に天野祐吉さんが広告批評で原発広告をとりあげていた。ここは必見である。
プロパガンダのやり方、の本とも言える。原発業界というより広告業界(大手広告代理店)に怒りを向けたい、というのが真意だとは思うのだが。
どんな業界にしても、大きくなりすぎたところ、力を持ちすぎたところがあらわれると、あとはこうなるのだと。食品も、実のところこんな感じだろう。となると自動車やら通信なんかも危ないのかなあ。それでもって、そういう業界が頼るところが所謂デンパク、だとすると、あらゆるメディア広告は同質だ! なんてのは早合点か。
従来は、原発広告は事故のたびに増え、謹慎と復活の繰り返し。今後はどうなるのか。でもそれだけが問題ではない。
メディアと電力業界の…なんていう枠だけに押し込めて怒るんじゃあなくて、いろんなところに頭を働かせて読むべき本。 -
yonda...
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539.091||Ho
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原発に関して「いくらくらい」「どのように」広報活動が展開され、その日本最大の広告費でメディアの自主規制を陰に陽に招いていたかを、豊富な事例とデータを基に描いている。反原発ではあるけど冷静な第三者的な筆致が守られており、国家プロパガンダ研究の書としても有用。
しかし、これだけの広告コストを独占企業が総括原価方式で電気代に計上するとかよく見逃されていたものです、というか国家広報の一翼だっただけの話ではありますが。
広報費用・再処理費用を考えると原発にコストメリットなど無かったのは明らかなことですが、バブルの時に買ってしまった(しかもトイレも無い)マンションみたいなものなのだから、原発のコストを明示した上で、コストの高い原発も含めたベストミックスを考えて運用していかなくてはいかんのでしょうな。