夜がどれほど暗くても

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 785
感想 : 101
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758413473

感想・レビュー・書評

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  • 中山さん、マスコミ嫌いっぽいよね。
    辛辣に書いてる作品がちょこちょこある気がする。

    話は分かりやすい。
    志賀があんまり魅力的じゃなかったのが残念。

    最後の菜々美を連れて帰って鞠子と遭遇は、またひと悶着ありそうな気がするんだけど、大丈夫かな~。なんか最後でちょっとやだなって思ってしまった。

  • 週刊誌の副編集長に突然降って湧いたような息子の死と嫌疑、加害者家族となってそれまでの生活が一変する。被害者家族の怨嗟と復讐、とドキドキするストーリーで一気読みです。

    子供は大人みんなが守るものだと言う、作中の刑事さんの言葉が印象的。
    後半まで、加害者家族と被害者家族のどちらも辛すぎる状況や、名前の見えない世間の歪んだ正義感に、読んでる自分までしんどい感じでしたが、失われた家族は戻らないけど…希望の見えるさわやかなラストで読後感は良かったです。

  • 息子がストーカー殺人を犯した挙句自死するという突然の事態が、週刊誌の副編集長を務める主人公の生活を一変させる。不倫のスクープやスキャンダルを追いかけていた立ち場が逆転する。殺人犯の家族に対する悪意があらゆる形で押し寄せてくる。正義を振りかざす人々の言動は、今のコロナ禍のなかでの自粛警察の攻撃や感染者に対する中傷を彷彿とさせる。人間の浅はかさや醜さに辟易とさせられるなかで、主人公に対する憎しみの塊であった被害者の娘が、主人公との関わりを通じて心を開いていくのが救いだった。そしてラストの中山マジックで読後感も悪くない。

  • 被害者遺族と加害者遺族。夫婦・親子・家族の関係性。イジメ問題。マスコミの在り方。いろんなものがテンコ盛りになっているが、誌面がそれに追い付いておらず、それぞれの描出が淡く尻切れトンボ。盛り上げるだけ盛り上げられて梯子を外されたような後味の悪さが残る。些か疲れた。ミステリーとしてのどんでんもしっかり用意されており、ドーンとくる。うちひしがれていた奥様が少し元気を取り戻してくれたのがせめてもの救い。

  • 『正直、恥も外聞もなく悲しむことができるのを羨ましいと思った。喪主の立場云々よりも、己の感情に容易く溺れられる状況が羨ましい。』
    ....ずっと心の中で抱いていた感情がようやく言語化された。

    『あんたたちがどれほど偉い人間かは知らないが、苦しんでいる者を更に追い詰める権利なんてないだろう』

    『わたしを非難しなくても、身近な誰かを非難すれば同じだ。改めて聞くが、弱っている人間を叩いて楽しいか。それで君が得るものはあるのか。』

    『君だって母子家庭がどうのと言われた時は痛かったはずだ。その痛みを思い出してくれればいい。』

  • 中山七里さんデビュー10周年、12ヶ月連続刊行企画の第3弾。\(゚∀゚)/ 今回も『どんでん返し』の結末を期待しながらページを捲った。どんでん返しを期待し過ぎた?ちょっと消化不良な結末。でもでも、七里さん作品の醍醐味?!ここで葛城刑事登場\(^^)/他の作品の登場人物がリンクされてるのがファンとして嬉しいのです。今回はストーカー殺人を犯し、自らも命をたってしまった息子を持つ雑誌編集者の父親が主人公。

  • 加害者家族と被害者家族、それぞれの生きにくさ。どちら側も読んでいて辛い。志賀の粘り強さや奈々美の強さが、それも辛いけど、なんとか希望の光。最後は救われてほっとした。

  • 雑誌を売るために他人のプライバシーを土足で入り込む(私もこういう輩が大嫌い)雑誌の編集幹部の家族が、事件を起こし、逆に追っかけられるという発想は痛快だった。ただし、その後が雑ですねぇ。がっかり。

  • +++
    人間の不幸に底はないのか?水に落ちた犬は叩かれ続けるのか?息子の殺人疑惑で崩れ去った幸せ―。スキャンダルとネットの噂に奪われた家族。だが男は諦めなかった―。
    +++

    息子が殺人を犯し、しかもその場で命を絶ったと、警察から知らされた、大手出版社の雑誌の副編集長・志賀の目線で描かれた物語である。息子・健輔は、大学のゼミの教授の家に押しかけ、教授とその夫を殺したあげく自殺したという。仕事にかまけて、ひとり息子と向き合わずに来た志賀は、健輔のことを何も知らないことに愕然とする。妻の鞠子との関係も壊れ、その後の志賀がどう行動するのか興味深かったが、まず不思議に思ったのは、健輔の犯行を思いのほかあっさりと認めてしまったように見えることである。いくら最近の彼のことを知らないとはいえ、そこまでの状況に陥った理由を突き詰め、息子の無実の可能性を探ろうとしなかったのが、いささか腑に落ちないところではある。そこを於けば、犯罪加害者家族に向けられる世間のバッシングや、ひとり残された被害者の中学生の娘のその後など、興味深く惹きつけられる要素は多かった。最終的にはよかったと言えるのかもしれないが、失った命が帰らない限り、後味の悪さは残る一冊ではある。

  • 被害者家族と加害者家族の苦悩は同じ。スキャンダルを売りにする週刊誌の副編集長の息子が殺人犯に!
    今までとは、打って変わって世間の注目を一心に浴びることとなった主人公が何を護ろうすれば良いのかを見つめ直す話。
    面白いのだが、もう少し深みがあれば、なお良かった。

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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