夜がどれほど暗くても

著者 : 中山七里

• 角川春樹事務所 (2020年3月14日発売)

感想・レビュー・書評

[純さんの感想 · 2020年9月19日]

お勧め度：☆6個（満点10個）加害者家族の苦悩と被害者家族の苦悩は同じか？世間はどうして、被害者までも苦しめるのか？この小説の根本的な問題がそれだと思う。それが、殺人だろうが傷害だろうが同じだと思う。内容は、大学生の息子がストーカー殺人を犯し、自らも死亡という事件に遭遇。警察は息子の心中事件だと決めつけ犯人死亡で起訴する。そこから、主人公「志賀倫成」の苦悩が始まる。しかも彼は大手週刊誌の副編集長。追う立場から追われる立場となり、妻も離れる。ただ、被害者の娘と触れ合う事で新たな光が見えてくるラストはいい。

[Seigoさんの感想 · 2020年9月17日]

ストーカー、不倫、犯罪被害者・加害者、正義の人々。
事件に関わる人々を丁寧に表現していた。
結末はほぼ同じ予想通りですあったが、気持ちの良い終わり方だった。

[ちゃいろいさんの感想 · 2020年9月15日]

『週刊春潮』の副編集長として芸能人のスキャンダルを暴きたてる仕事を常としている志賀のもとに、深夜、警察が訪れ、一人暮らしをしている息子が死亡し、かつ、ある事件の被疑者であると伝えられる。

それまでは報道して追いかける側であった男が、一転、犯罪者の肉親として追いかけ回れる立場になり、志賀は右往左往する。
たった一人の息子を亡くして妻との関係もぎくしゃくし、被害者遺族の少女からは憎しみを向けられる。

自身の矮小さに七転八倒する中年男の姿を描いた物語だ。

話の設定や展開は面白いのだけれど、中山作品になると、どうにも極端に露悪的な描写が多く、それらがてんこもりの中間はちょっと読んでいて気分が悪くなる。ラストの展開は無茶苦茶ではあるけれど、怒涛の勢いで圧倒された。

[noriさんの感想 · 2020年9月12日]

あらすじから 暗く重い話だろうなぁと 読み始めたけれど それだけではない話の展開

突然 事件の関係者になってしまい 仕事では理不尽と思えるような辛い立場に追いやられ 家庭も上手く行かなくなってしまって 絵にかいたように どん底へ転がり落ちる

だけど そこからが 一味違う

そんなに上手くいくもんかな...も なくはない
でも それが気にならない

希望が感じられる結末に ホッとする
こんな大人がいるなら 世の中は悪くないと 感じさせてくれるお話でした

[mokubroさんの感想 · 2020年9月10日]

編集者であり、殺人者となって死亡した息子を持つ父親と被害者となって1人残された娘の周りで起きる事件。
最後はハラハラして良い読後感。

[taumogさんの感想 · 2020年9月1日]

スキャンダル雑誌の副編集長の息子が殺人を犯し書かれる側に。いろいろなことが盛り沢山。

[あの屋さんの感想 · 2020年8月27日]

取り扱いテーマが多すぎて、色々と大雑把な感が否めないし、長編作品を２時間ドラマか映画の尺に無理やり詰め込んじゃいました風でも納得ができれば、良いのではないかなと思う。そして、できれば、もうちょっと早く救いが欲しかったなぁ。ひたすら辛いです。
2020/7/10読了

[mame-shibaさんの感想 · 2020年8月26日]

読んでないのに既読感が、ということが最近多い。
設定が似てる話が多いのかな。

[shifu0523さんの感想 · 2020年7月28日]

「加害者」の父親の視点で描かれた、宮藤・葛城刑事もの。正直、家族が巻き込まれるのは理不尽以外の何ものでもないと思う。ただの八つ当たり。

[uchinekoさんの感想 · 2020年7月10日]

志賀倫成は大手出版社の週刊誌の副編集長。だが息子・健輔に殺人の疑いがかかり、スキャンダルを追う立場から追われる立場に。被害者の娘、奈々美に襲われるが、彼女と触れ合ううちに…。

スキャンダラスな週刊誌ジャーナリズムへの批判はいささか手垢にまみれた感があるものの、読み進ませる力はあった。加害者家族と被害者家族のふれあいも現実離れしていると思ったけれど、結末には納得。
（Ｂ）

著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい！」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲（ルビ：ソナタ）』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲（ソナタ）』『追憶の夜想曲（ノクターン）』『恩讐の鎮魂曲（レクイエム）』『悪徳の輪舞曲（ロンド）』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司～贖罪の奏鳴曲～（ソナタ）」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」