夜がどれほど暗くても

著者 :
  • 角川春樹事務所
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758413473

感想・レビュー・書評

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  • 被害者側と加害者側も、その家族はどちらも苦難が待ち構えている…
    辛いね。そんな日本になってほしくない。
    そして、亡くなってから気づいても命は戻らない。
    「今」を大事にしなくてはいけないなと、あらためて思いました。

  • 最後の大どんでん返しがよかった。
    子どもを失うなんて悲劇は考えたくもないけど、なんと加害側だと。そんなことがあっていいわけがない。でもそんなことが起きてしまった主人公志賀は、事件を契機に失うものばかり。ほんと真っ暗な夜の闇はここまで深いのかと思いつつもネット社会においてはさもありなん。それでも、もがき苦しむ志賀の前に現れた現実は…。

    最後のどんでん返しに少し救われた気がした。
    でも、もう少しページを割いてもらったほうがよかったなぁ。生意気言ってすいません!

  • 人は弱い立場の人ほど叩きたたいものなのだろうか。マスコミで人を追い詰める立場にあった編集者が加害者の親になって地獄をみる辺りはすっきりするどころか胸が締め付けられ読むのが苦しくなってくる。被害者の娘との邂逅であったり火事での救出劇は出来すぎの感が否めなかったが、ラストでまた立場が逆転して、周囲が手のひらを返してくるのが滑稽で厭世感でいっぱいになった。

    過去のどうにもならないことに思考が及ぶのが鬱
    といった表現が、心にのこった。

  • ある意味想像通りの展開。人の醜聞に吸い付くヒルみたいな男が逆の立場に立って身悶え。不思議と「ざまぁ」とは思えない。むしろこんな強靭な神経の持ち主いるかしらん、と、最後は読み飛ばしてしまった。

  • いろいろうまい具合に進みすぎ感はあったけど、面白かった。被害者家族も加害者家族も大変なんだな。自分を正義と思い込んでる第三者ほど、面倒くさくて厄介なものはないな。

  • 中山七里氏は手を変え品を変えあらゆる社会問題をわかりやすく共感しやすい形で提示してくれる貴重な作家さんである。こんな方がなぜ未だに直木賞を受賞していないのか選考委員の資質を疑う。
    本作は突然息子が殺人を犯して自らも自殺したと知らされる親の苦悩から始まる。そこから始まる加害者家族・被害者家族双方への理不尽な誹謗中傷。どうして人は善人面して悪意をぶつけられるのだろうか。本人が正義だと思いこんでる場合が一番質が悪い。これが人間の本性なのか,社会が病んでるせいなのか。
    作中,マスコミ関係者の言葉として出てくる,小学3年生にもわかるように作れというのが印象深い。普段の幼稚な報道でマスコミはバカだと思っていたが,あれは向こうが情報を受け取る側をバカだと思っていたせいなのか。結局マスコミが腐ってるのは一般大衆が腐ってるのが原因てことか。

  • 副編集の志賀倫成と妻鞠子の元に警察が朝訪れて息子健輔が大学講師の星野希久子と官僚の夫隆一を殺害後自殺したと言われた。追う立場から追われる立場になった。今までの生活は一変した。そして、星野の娘奈々美もまた学校でいじめを受けていた。被害者には優しい世の中であって欲しいし、加害者だからと言って何をしても良い訳ではない事を知って欲しいと思った。しかし宮藤刑事と葛城刑事のような人がいなければ、冤罪を生むところだった。早期解決も大切だが慎重の捜査を望む。悲しみはなかなか消えないが、奈々美と一緒に乗り越えて欲しい。

  • 主人公は芸能ネタが主体の雑誌副編集長。一人息子がストーカー殺人犯として死亡し、当たり前にあった仕事、信頼、夫婦関係と次々に壊れていく。情報過多のネット社会で被害者家族も加害者家族も疲弊していく。
    知らなかった息子の人間関係を辿ると結末は親としてホッとするところへ。

    やはり志賀に入り込めない。鞠子に対しての冷たさ、奈々美に纏わりつく感じが好きになれないからだろうか。今ひとつ納得感がでない。
    ドラマ化という期待値ではかってしまい、読み応えがなく残念ではあるが、これも好みの問題か。

  • 他人のプライバシーを暴くことを仕事とする雑誌編集者が殺人容疑者の父親となり、追いかけられる立場になる逆転劇。

    同じ作者の「テロリストの家」の設定とも若干かぶる感がある。

    謎解きはあっさり目だが、加害者家族や被害者家族が置かれる切実な状況や、希望の見える結末など、読みどころは十分にある。

  • スキャンダル記者の男の息子が自殺。
    ストーカー殺人事件を起こし、その場で自殺。
    逆の立場になる。ストーカーしていた女子に近づく。
    真犯人は同じ大学の中国人留学生。留守だと思い盗みに入るが帰ってきて殺害。息子はストーカーしていて中国人の怪しい動きを知っていた。殺されてしまう。

    wiki
    大手出版社・春潮社発行のスキャンダル記事を売り物とする『週刊春潮』の副編集長である志賀倫成は、ある朝突然訪ねてきた警視庁捜査一課の刑事・宮藤賢次から、息子の健輔が、通っている大学講師の星野希久子に対し、ストーカー行為の末に相手夫婦を惨殺、そして自ら命を絶った疑いがあると告げられる。とても信じられず、取り乱す妻の鞠子をなだめながら、息子にかけられた嫌疑を晴らすときっぱり主張した志賀だったが、事件はすぐにマスコミに知れ渡り、追う側から追われる側へと立場は逆転、編集長の鳥飼からは休みをとるように命じられてしまう。テレビやネットでは健輔の人となりが好き勝手に報じられていたが、志賀には健輔が犯人ではないという物的証拠を示して反論することもできず、これこそが今まで自分がやってきたことなのだと思い知る。葬儀を終えて間もなく、鳥飼から「容疑者の父親からコメントをとらないわけにはいかない」と言われ、“ストーカー殺人犯 実父の告白”と見出しを打った『週刊春潮』を発売するが、謝罪の一言も無いその内容に反響と同時に抗議電話が殺到する。そして街を鞠子と歩いていた志賀は、「あんたたちの子供にパパとママを殺された」と星野希久子の娘・奈々美にカッターナイフで襲われ、被害者遺族について何ら考えがおよんでいなかった自分に気づく。

    いまや悪辣なヘイト雑誌との認識が成されている『春潮48』へ異動させられてしまった志賀は、アイドルの不倫現場を追えば逆に取材対象にカメラを向けられ、街頭インタビューに立てば市民から罵倒され、社内でデスクワークをすれば他の社員からポンコツ扱いされ、精神は少しずつ疲弊していく。そして同じく周囲からの嫌がらせや奈々美からの敵意に疲れ果てていた鞠子と口論した挙句に手をあげてしまい、鞠子は家を出ていってしまう。義母の久恵からも冷却期間を置くように言われた志賀は、以前ネットニュースで見かけたNPO法人〈葵の会〉を訪ねてみることにする。〈葵の会〉は犯罪被害者だけでなく、加害者家族の精神的ケアをサポートする全国でも珍しいNPO法人で、代表の椎名は志賀が「息子が人を殺めた」と話すと歓迎してくれた。しかしそこはすでに奈々美も出入りしている場であり、鉢合わせした奈々美は激昂する。椎名からはすまなそうに入会を断られ、自分だけがなぜこんなにも何もかも失わなくてはならないのかと怒りの矛先を奈々美に向けた志賀は、ひとこと言ってやろうと奈々美の家をつきとめるが、奈々美は両親がいない家で近所からの誹謗中傷に耐えながら一人で暮らしており、その身体には大きな痣もみてとれた。奈々美に見つかり再び激昂されるが、毒気を抜かれた志賀は立ち去る。するとその様子を見ていた宮藤の部下・葛城に呼び止められ、葛城も奈々美のことを心配していること、葛城と宮藤は事件が終結したとは思っていないことなどを聞かされる。

    志賀は奈々美の学校の裏サイトを検索したり、実際に学校を張り込み、暴力をふるわれている現場で身を挺して奈々美をかばったり、学校にも乗り込んで奈々美に危害を加えるクラスメートの身元を調べて直接忠告したりと奈々美を守るようになる。そんな様子に理解不能という顔をしながらも、会話を交わしたり、怪我をした志賀を介抱したりと次第に奈々美の態度は軟化していく。怪我の状態が激しいにも関わらず、暴行されたことを否定し続けたため、病院から通報されたことで志賀は再び葛城と顔を合わせることになるが、そこで葛城から、なぜ犯行現場が星野宅で、犯人はスペアキーを持っていたのかという疑問点と、人間の情報はその生活圏に集中しているものだというヒントを与えられる。そして志賀はさらに奈々美との会話の中で、本当は事件前日から星野夫婦はシンガポールを旅行する予定だったが、濃霧で飛行機が飛ばず一度家に戻っために殺されたのだと知る。真相まであと少しと感じたのもつかの間、志賀は「家が燃えている」という奈々美からのSOSを受け、またしても身を挺して炎の中から奈々美を助け出す。そして現場にきた宮藤から、放火をした被疑者がイコール星野夫婦および健輔殺害の被疑者であり、すでに逮捕したと聞かされる。

    火災保険と両親の生命保険で金には困らないものの、14歳の子にホテル住まいをさせるわけにはいかないと、志賀は奈々美を自宅へ連れ帰る。すると玄関には戻ってきた鞠子の姿があった。

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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