あきない世傳 金と銀 源流篇 (ハルキ文庫 た 19-15 時代小説文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
4.04
  • (270)
  • (431)
  • (197)
  • (15)
  • (3)
本棚登録 : 2789
感想 : 325
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758439817

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 飢饉の口減らしで大阪の呉服商の下働きとして奉公に出された幸が商売のいろはを学んでいく。
    学者の娘として育ち、賢く忠義に固い幸に、いつの間にか大人たちが本音を漏らすようになっていく様子が面白い。店のトラブルから一歩引いた場所にいて順調に商いの知識を身に着けていたはずの幸に、最後の最後で黒い雲が近づいてきて、次の巻も読まずにはいられない。

    読みながら思わず「ゼニの花の色は清らかに白い…」という「細うで繁盛記」のオープニングのセリフを思い出してしまった。

  • ところどころ自分を見るようで、胸が詰まっていったん閉じての繰り返し、なかなか読み進められなかった。本が大好きなのに学問を諦めさせられそうになるところで涙溢れる。

  • 知恵を授かりたいという主人公の少女幸が大阪の呉服屋に奉公に出て、門前の小僧のように商いを学んでいく物語。成長していく姿はいいのだが、幸の出来が良すぎてどうも感情移入しにくい。出来の悪い自分自身のひがみかもしれないが。みをつくし料理帖の方が断然面白い。

  • 「みをつくし料理帖」「銀二貫」の作者の作品なので。

    物語の進む速度が、上の作品の間ぐらいだが、ちょっと物足りないというか、速すぎるというか。
    とはいえ、人々の心持ちを美しく描くさまは相変わらずだし、
    四人もいた女衆候補の中から選ばれた場面は圧巻。

    話とはまったく関係ないが、むかしむかし、学校で先生に言われたことを思い出した。
    「日本は使える土地も狭いし、資源の少ない国だから、頼みは人的資源だけだ。だから勉強するように」
    それは多分私だけではない。
    日本のあちこちで多くの子ども達が同じことを言われていた。
    現在の様にソフトが日本を世界に知らしめてはいなかったが、
    製造業ではすでに世界一の分野がいくつもあり、ハードでは世界を席巻していた。
    それでも、学びは大切だと言われた。

    その通りだよ。
    別に国のために学ぶ訳ではない。
    学んでも、人生の問題が全て解決するわけではない。
    それでも、学べる環境にあるなら、その間だけでも学ぼうよ。
    学びたくても学べない人たちが山ほどいたのだから。
    今でも世界にはたくさんいるのだから。

    そんなことを思いめぐらしてしまうほど、
    幸の気持ちが痛いぐらい伝わってきた。

  • 家族と別れ女衆となった 幸 知識への渇望が今後の運命を照らしていく。次巻が楽しみ。

  • こりゃまた、みをつくし料理帖とはガラリと趣を変えた出だしの1巻目、続きが楽しみになります。幸の人生や如何に?
    このシリーズでは巻末の、読者との交流板も目新しい。

  • はー面白かった!この描写力。
    貧村の学者の娘として生まれた幸が、父の忌み嫌っていた商家に奉公することになり、才覚をあらわす。
    主人筋の三兄弟がそれぞれ違うクズで先が不安……

  • 始めの数ページを読んだだけで、物語にぐいっと惹き込まれてしまう。高田郁さんってすごい!
    「みをつくし~」シリーズがあまりに面白くて、比べてしまうかも?と思ったけれど、これはこれで面白い!雅由兄さんがあまりに素敵だったので、予感はしていたけど、やっぱり…。幸が力強く生きていく様子に励まされます!

  • 時代物としてはすごく読みやすい印象。
    源流編ということもあり、今回は物語の序章。
    今後の話に期待感はあり。

  • みをつくし料理帖シリーズを読み終えて、他に何かないかなと探したら、今度は商いをテーマにしたシリーズものが!
    嬉々として飛び付いたら案の定おもしろい!高田さんの書くものに外れはないな。
    どこか朝ドラのあさが来たを彷彿とさせるお話だったけど、でもどの登場人物も魅力的で、いとも簡単にこの世界に引き込まれた。
    主人公の幸が奉公に出される前、幸せな時間はほんの一時だった。それから立て続けに不幸が襲い、読んでいてもつらかった。そしてせめて奉公先が良いところでありますように、と願いながらページをめくり、お家さんや番頭さんが本当にいい人たちで安心したところにボンクラ息子の騒動!ハラハラしたりホッとしたりと気持ちの上がり下がりが半端ない!
    次巻も早く読みたい。いや、読まなくては!

  • すいすい読める

  • 20170821 高田郁さんの新しいシリーズ。澪つくしからの流れで読んだので最初は少し戸惑った。これからの展開の伏線もたくさん撒かれたと思うのでこの先が楽しみ。

  • 『銀二貫』やみをつくしシリーズでもお馴染みの大坂・天満を舞台にした物語が始まった。故郷での相次ぐ不幸から、商家に奉公する幸を取り巻く人々の多くが意地悪でなく、五鈴屋のお家騒動があるものの、安心して読み進められた。「あさが来た」の大坂言葉が本書を読む上でとても参考になる。商家の番頭、手代、丁稚、女衆などの動く様は、枝雀の落語を彷彿とさせる。

  • 舞台は江戸時代の商人の街・大坂。
    絢爛豪華な元禄期を経て大不況の享保期に移った時代。
    学者の娘「幸」は数々の苦難を経た後、僅か九つで大坂天満の呉服商に奉公へ出る。
    「知恵は生きる力になる」という大好きな兄からの言葉を胸に、精一杯仕事に励む聡い幸。
    その幸を時に厳しく時に温かく見守る大人達。
    物がさっぱり売れず苦悩する中でも、洒落を効かせたテンポの良い会話が読んでいて心地好い。

    「笑う門には福きたる」
    苦難も笑ってやり過ごし知恵を絞っていけば拓ける道もきっとあるはず!
    阿呆ぼんにめげずに頑張れ!
    続きが早く読みたい。

  • 「みをつくし料理帖」の二番煎じ・エピゴーネンかと、今まで手にしないでいた。
    ところが、いざ読み始めてみると、舞台設定、人物造型、物語の展開、どれをとっても「みをつくし…」とは全く趣を異にした作品、それに「みをつくし…」に勝るとも劣らない傑作に、大いに恥じることになった。
    父と敬愛する兄に続けて世を去られ、母と妹とも別れ、大阪の商家に下働きに出た主人公の幸が、今後どういう運命をたどるのか。
    「知恵は、生きる力になる」との兄の言葉を胸に、健気に力強く生きる幸、彼女の人生から目が離せなくなってしまった。

  • 最初の方は何度も泣いた。後半は展開が急。一冊通してプロローグ的なものなのかも。不穏な終わり方をしたので二巻がとても気になる。個人的にはそういのは嫌だなあと思った。

  • 2017.6.10

  • 商人の世界の話。続き作品のようなので全巻揃った時に一気読みしようと思います。

  • 2017.6.12

  • 高田郁さんの新シリーズ、期待して読みました。

    みをつくし料理帖が素晴らしすぎて期待が大きかったこともあり、やや肩透かしでした。
    幸の成長と共に大きなストーリーが広がると思いますが、1冊目は導入部分が延々と続いているような印象でした。1冊の中でも起承転結を作って読み手をもっと引き込んで欲しかったです。
    新シリーズの掴みとしては、少々弱い気がしました。

    たくさんの伏線が張られたので、これから回収していかれると思いますが、ちょっとだらけてしまいそうです。

    高田さんのファンなので、2冊目も購入するとは思いますが、期待はしぼみがちです。

全325件中 141 - 160件を表示

著者プロフィール

髙田 郁(たかだ かおる)
1959年生まれ、兵庫県宝塚市出身。日本の小説家、時代小説作家。元々は漫画原作者で、その時のペンネームは川富士立夏(かわふじ りっか)。
中央大学法学部卒業後、1993年集英社の女性向け漫画雑誌『YOU』で漫画原作者としてデビュー。その後山本周五郎の「なんの花か薫る」に衝撃を受けて、時代小説の執筆に至る。2006年「志乃の桜」で第4回北区内田康夫ミステリー文学賞区長賞(特別賞)を受賞。2007年「出世花」で第2回小説NON短編時代小説賞奨励賞を受賞。そして2008年に同作を含む短編集『出世花』で小説家デビューを果たした。
代表作に、全10巻で300万部を超える大ヒット『みをつくし料理帖』シリーズ。同作は2012年にテレビドラマ化。2013年に『銀二貫』が大阪の書店員らが大阪ゆかりの小説の中から「ほんまに読んでほしい」本を選ぶ「Osaka Book One Project」の第1回受賞作品に選出、2014年にNHK木曜時代劇にて林遣都主演によりテレビドラマ化された。

髙田郁の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
辻村 深月
宮部 みゆき
恩田 陸
朝井 まかて
宮部みゆき
宮下奈都
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×