- Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
- / ISBN・EAN: 9784840208048
感想・レビュー・書評
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電撃文庫が創刊されて、この本が電撃大賞を取ってデビューして、明らかにラノベは変わったと思います。ミステリーで言えば綾辻以前と以降みたいな感じで、それくらい衝撃的でした。ここまで現実世界を意識させるラノベはそれまでなかったですから。それ以前にラノベという言葉すらまだなかったですけど。それまではコミックの小説版みたいな感じでしたけどここくらいからライトノベルという一つのジャンルが確立してきたように思います。
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これは中学生の頃とかに読んでたら影響受けまくってたかもしれない。あくまで学園内、それも非常に限られた人間関係の中、そのような閉じられた世界で人知れず世界の運命が左右されていく様はまさにライトノベルといえよう。 妙に気取ったような文章もまた醍醐味の一つ
最近はラノベにも女の子しか出ないような安っぽい作品が増えてきてしまっているけれど、こういった硬派な作品もまた良いものだと思う -
発売当初に購入して読んでいた作品を久し振りに読み直し。ぼくがライトノベルに興味を持つきっかけとなった小説。この作品の特徴は、学園に起こる事件を語り手や時系列を変えながら描き、読み進めていく内にその全貌が明らかになっていく手法。同じ場面でも立場が違えば、その意味合いは大きく異なってくる。普通に見える行動の裏側で、実は思いもよらないことが進んでいたり、その反対もあったり、視点が変わる面白さを堪能できる。まさにゲーム小説大賞にふさわしいと感じた。
事件自体はとてもシンプル。学園に棲む“人を喰うもの”を巡る戦い。中盤から少しずつ盛り上がってきて、伏線が回収されて決着する部分はもちろん面白い。ただ、それ以上にそれぞれの登場人物の心理描写が見どころになっている。普通の学生だけど皆何かしら歪なものを抱えていて、それについて悩んだり、どうにかしようともがいたり、それでもどうにもならなかったり、そういうとても個人的な戦いこそ、この物語のテーマなんだと思う。
『ブギーポップは笑わない』というタイトルの意味を知って、物語を読み終わってから、もう一度第一話を読み返すと感慨深いものがある。最初にして本質が書かれた話で、読み直した時にエピローグにもなるような形で書かれているのは絶妙。
そして、世界の存亡をかけた戦いの中心にあったのが、実は恋心であったり、人間の在り方だったというのが憎い演出だなと思う。ぼくたちが生きる現実でも、誰かにやさしくすること、笑いかけること、それが世界を救うことに繋がるのかもしれないよなと考えるのも楽しい。 -
独特の世界観描写。
2014年の今となって読むと、古臭く感じるかもしれないが、それが一つのワールドとして見えてしまうのが良い。 -
「ブギーポップ」シリーズの第1弾です。
深陽学園に通う竹田啓司(たけだ・けいじ)は、恋人の宮下藤花(みやした・とうか)と待ちあわせをしていましたが、彼女はすがたを見せず、その代わりに彼女にそっくりで黒いマントをまとった「ブギーポップ」と名乗る人物に出会います。ブギーポップは藤花のもうひとつの人格で、この世界に危機が訪れたときに藤花に代わって登場するということが、彼女の口から明かされます。
ブギーポップのいう危機とは、「マンティコア」と呼ばれる生命体がとある研究施設から脱走し、深陽学園の生徒になりすましているということでした。心のうちに深い闇をかかえていた早乙女正美(さおとめ・まさみ)は、マンティコアの正体を知り、かえってマンティコアに協力することになります。
さらにマンティコアのオリジナルであり、宇宙からやってきた「エコーズ」は、紙木城直子(かみきしろ・なおこ)に助けられつつ、マンティコアの行動を止めようとします。
少年マンガ的なギャグ・テイストの強いファンタジーものが主流だったライトノベルの世界に、あたらしい風を吹き込んだエポック・メイキングな作品として知られている本です。また、語り手となるキャラクターが交代しつつ、すこしずつストーリーの全貌が明らかになっていくというスタイルも、斬新だったのかもしれません。本作の登場以降、同様の趣向やテイストの作品が増えていったため、若い読者にとっては本作のもたらしたインパクトがかえってわかりにくくなっているのではないかという気がしますが、現代にまでつながるライトノベルの古典としての地位を確立しているといえるのではないでしょうか。 -
ラノベを読んでみたいと思い題名に面白さを感じ手に取った一冊。舞台が現実世界なのに対し、敵も味方も非現実的なキャラが出てくるところがワクワク感があり面白かった。
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視点がくるくる変わりながら、徐々に謎が明かされてゆく形式の物語。登場人物の選定や謎が明かされてゆく過程が絶妙であった。
ただ、登場人物が多くなりすぎており、各キャラへの入れ込んで読むのがあまりできないのが残念。あと、ちょっと読みにくい気もした。 -
同一の時間の出来事が様々な人物の視点で語られ、一つの事件の真実へと迫ってゆく群像劇。
世界を救ったのは寂しがり屋で惚れっぽいお人好しの少女だった、という終わり方がちょっと切ない。
ラノベ業界に大きな影響を与えた作品。
まずこの不思議な語感のタイトルに惹かれるし、学園モノに特殊能力要素を盛り込んだ設定をラノベ作品のメジャーにしたのもこの作品じゃないだろうか。
テンポよく読めるのに内容が濃い。古い作品だが、今読んでも色褪せない面白さ。