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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863853966

作品紹介・あらすじ

「たべるのがおそい」終刊から一年。
書肆侃侃房より新たな文学ムックを創刊します。

感想・レビュー・書評

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  • 千葉雅也さんの「マジックミラー」と、片山麦子さんの「レースの村」がよかった。二作ともに、近づいていこうとするのと、距離をおこうとするのと、そういう"動き"を感じた。

  • 千葉雅也「マジックミラー」
    ハッテン場をめぐる短編小説。語り手は忘却と記憶の狭間にいて、手のひらからこぼれおちていく思い出という水を、忘れるまいとしている。

    マーサ・ナカムラ「帝都の墓 阿弥家の墓参り」
    代々、皇居の地下に眠る墓を守っている一族の話。それよりなにより、側溝の蓋の下に自分の両親が見えたというあのリアリティに痺れた。

    阿部和重「Hunters And Collectors」
    スパイ?のアレクサンドルがかつての師であるイワン・ペトローヴィチを尋問するために彼の家を訪れる。陰謀が渦巻く物語の、ほんの1シーンだけを切り取ったかのような短編だった。また、壮大なサーガが生まれるのだろうか。

    小林エリカ「緋色の習作」
    初めて作者の小説を読んだ。写真が2枚付されているけれど、まさかこれって実話に基づいているの?

    小笠原鳥類「エルガーを聞きながら書いた小説」
    小説とはいえ、詩。いや、でも小説なのかもしれない。音楽を聴こうとしたのだけれど、いつのまにか他ごとを考えてしまう人の頭の中を覗いたみたいで、笑えた。

    保坂和志「胸さわぎ」
    庭先に舞い降りる鳥を観察し、鳥について考えている近頃、また、レヴィ=ストロースの『悲しき熱帯』を読み返したり、ジャングルに暮らす少数民族が直線を引くのが困難であるというのを読んで、なるほどたしかにジャングルには凸凹ばかりで、幾何学という概念は都市的であると同時に痩せているとか考えていた矢先、まさにピンポイントのことが書かれていて、それこそ胸さわぎを覚えている。

    佐川恭一「舞踏会」
    ひたすら呪いの言葉が、いや、呪いにならない程度の言葉が書きつらねられている。呪いになりきれないところが、本作の魅力だと思った。

    片山麦子「レースの村」
    新興宗教めいた、女性だけが暮らすある種のコミューンに育った少女が語り手。
    その中で起きる小事件がある種、不自然に自然化されるさまがなんとも怖い。ここで描かれているのはまさにこの今だ。

  • 『たべるのがおそい』に続く文学ムック第2弾。
    読み比べてみると、編集方針として『文学』の本流により近いのはこちらかな、という印象を受ける。

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著者プロフィール

1978年生まれ。立命館大学大学院先端総合学術研究科准教授。
著書に『意味がない無意味』(河出書房新社、2018)、『思弁的実在論と現代について 千葉雅也対談集』(青土社、2018)他

「2019年 『談 no.115』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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