ポスト・コロナの学校を描く (教職研修総合特集 701号)

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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865607789

作品紹介・あらすじ

2020年、新学習指導要領で学びの方向が変わり、また学校の「働き方改革」が叫ばれていたこの年に起きたコロナ禍。学校再開後、急いで元に戻そうとすると、ただでさえ無理をしていた学校は壊れかねません。時間がないのでしたら、前例踏襲の「決められたことをすべてこなさなければならない」というマインドから脱却し、学校にとって何が本当に大事なことなのかを見極めなければなりません。持続可能な学校へ。子どもも教職員も楽しく豊かに学べる学校へ。教職員が目の前の子どもを見て、主体的に判断し、行動する学校へ。今こそ学校のバージョンアップが必要です。本書はその考え方を提示します。

第1章 学校は何をするところか?

藤原和博 社会が変わる。学校も変わらなければならない
中原 淳 今こそ学校の役割・機能を見直そう
岩瀬直樹 ポスト・コロナの学校をどう描くか
石川 晋 改めて、人が集まり、学ぶということの意味は
西郷孝彦 「楽しい」学校をつくろう!

第2章 学校の授業を楽しいものに!

平川理恵 授業の本質は「問い」である
溝上慎一 主体的に学ぶ子どもの必然性
平井聡一郎  オンライン授業を止めてはいけない理由
稲垣 忠 対面授業/オンライン授業/家庭学習をミックスして、学びの質を高める
秋田喜代美 授業はすべてこなさないといけないのか?
石井英真 子どもたちの「学びを保障する」とはどういうことか
奈須正裕 学びを「一斉」から「個別」へ
赤沢早人 カリキュラム・マネジメントで「教科書をこなす」発想を変える
田村 学 「コロナ」を探究する

第3章 学校生活を楽しいものに!

新保元康  「ゼロリスク」のリスク
木村泰子 今こそ、学校をすべての子どもの居場所に
山本宏樹 withコロナ時代の校則・生徒指導

第4章 教職員も楽しい学校を!

住田昌治 まずは職員室を楽しい場所に
市川 力 教師は「指導者」から「ファシリテーター」、そして「ジェネレーター」へ
梶谷真司 教職員と子どもが対等になれば、教職員は楽になる―「哲学対話」のススメ
妹尾昌俊  with/ポスト・コロナ時代の学校の働き方
小髙美惠子 管理職に必要な、日頃からの備え
平川理恵 何もやらないことがリスクになる時代

感想・レビュー・書評

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  • コロナでの学びについて知りたいと思い読んだ。
    以下、参考になった点
    ○コロナにより、生活習慣が乱れた、ネガティブな気分になった、将来が不安であると回答した高校がとても多い
    →外部との連携を図り、悩み相談室の設置等が挙げられる。

    ○自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動する力が求められる。
    →まさに主体的・対話的で深い学びの実現が大きな鍵になる。絶対の正解よりも納得解や最適解が期待されている。

    ○対面授業とオンライン授業
    オンライン授業→知識習得などのインプット型
    対面→調べたことを発表したり、話し合ったりするアウトプット型

    ○オンラインでの学びのメリット、デメリット
    メリット 主体性のある子供なら動画を止めたり、何度も見返して学習することができ、個別最適な学びの実現に繋がる
    デメリット 主体性がなければ、うまく取り組めず、逆に学びを止めてしまう恐れがある。

    ○学校を教える場から学ぶ場へ
    →教師が教えて、生徒が教わると言った学校から、教師が生徒の学びを支えて、生徒が学ぶ、教え合う学校づくりを目指す。

    個人的に、学校をもっと豊かにするために、カフェを導入することが考えられる。
    職員室は生徒にとっては入りづらい、教師にとっても居心地の悪い場所になることもしばしばある。職員室の雰囲気づくりが挙げられるが、実際に他者の違いを認め、対立は起こるものだと考えることは難しい。
    例えば、イギリスでは、ほとんどの学校にカフェがあり、生徒、教師は休み時間になるとコーヒーを飲みながら意見交換を行なっている。日本でも大学にはカフェがある場合があるが、中・高には滅多にない。生徒の主体性を伸ばすなら、学びの環境作りも必要だと感じた。

  • ポスト・コロナの学校に対する様々な提案がなされている。個人的には真っ当な意見、提案だと思うのだが、現実はコロナ前に全力で戻ろうとしている。
    「なぜ」やるのか、の「Why」の部分から共有していかないと、組織全体は変わらないのかな、と考えるこの頃。

  • 豪華執筆陣による、ポストコロナの学校構想が描かれている。

    コロナによって、学校教育の問題点が浮き彫りになり、多くの人の関心が教育に集まった。
    政府も世論を反映し、GIGAスクール構想の前倒し、少人数学級の実現を目指すなど、これまでにないほど教育を変えようとしている風潮は感じる。

    そして、本書のように多くの人がポストコロナの学校の情景を描き、提言している。

    しかし、現場は中々変わらない。
    むしろ、じわじわと着実にコロナ前の状態に戻ろうとしているのではないだろうかと感じずにはいられない。

    自分自身もこのままではいけないと思いつつも、7時間授業に加えての消毒作業、そして土曜授業もあるという多忙さに流されてしまっている。


    そんな現状でも本書を読んで改めて思ったのは、考えることをやめてはいけないということ。
    教育改革のうねりが起ころうとしていることは間違いない。そのうねりの波をいつ掴むか。
    関心を持ち続け、考え続けなければ、その波を掴むことすらできないだろう。

    まずは自分にできることから。

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著者プロフィール

1970年、北海道生まれ。東京学芸大学大学院教育学研究科修士課程修了。埼玉県の公立小学校教諭として、4校で22年間勤め、学習者中心の授業・学級・学校づくりに取り組む。2008年度埼玉県優秀教員表彰。2015年に退職後、東京学芸大学大学院教育学研究科教育実践創成講座准教授に就任。学級経営、カリキュラムデザイン等の授業を通じて、教員養成、現職教員の再教育に取り組んだ。2018年3月に退職し、一般社団法人軽井沢風越学園設立準備財団副理事長に就任。2020年4月に幼小中混在校の軽井沢風越学園の開校を目指している。教師教育学会所属。大3、高1、小5の3児の父(2018年現在)。
主な著作に、『せんせいのつくり方――“これでいいのかな”と考え始めたわたしへ」(旬報社、2014年)(共著)、『最高のチームになる! クラスづくりの極意』(農文協、2011年)、『最高のクラスのつくり方』(小学館、2010年)他多数。

「2019年 『クリエイティブ・ラーニング』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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