短編少年 (集英社文庫)

  • 集英社 (2017年5月19日発売)
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感想 : 70

【正直な子ども】
嘘をついちゃいけないよ
子供の時その言葉の真意がわからなかった。

大人こそ嘘をつくじゃないか。都合が悪くなれば「冗談だよ」て言葉を盾にできる。思ってもない言葉を述べて「お世辞」なんて違った言葉にも変えられる。
それなのに自分に向けられた「嘘をついちゃいけない」は、なんだか損をした気分ですんなり受け止められなかった。

ある言葉を知った
「別に嘘をついたっていいんだよ」
「傷つける嘘、自分を守る嘘、誰かのための嘘、救われる嘘 いろんな嘘がある。だから大人になるほど嘘が必要になる。」目から鱗だった。ほれ見ろと言ってやりたかった。
言葉は続いた「けど、嘘をつき続けられると何が本当なのかわからなくなる」
「自分を救うための少しの嘘で誰かが被害をうける事もある。嘘をつかれた事でその人を信じていいのか悪いのかわからなくなる。場合によっては友達を失うことになるかもしれない」
「子どもたちにそうはなってほしくないから「嘘はついちゃいけないよ」て伝えるんだよ」と。


今回 正直な子どもを読み、上のことを思い出した。

自分が壊した時計を元々落ちてたことにする事も、普段作っていたキャラと違うキャラで母親と接することも、別に誰かを傷つけたりはしない。

何も間違っていることではない。
ただ、それだけで人は離れていく。「そういう子」として受け取め、確実に仲間は少なくなっていく。
大人でもいるよな…そう思わせる話だった。

たくさんスッキリする話がある中で、自分の中を読後ずるずる占めるのはこの話。

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感想投稿日 : 2021年6月29日
本棚登録日 : 2021年6月29日

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