- 大江広元 (人物叢書 新装版 238)
- 上杉和彦
- 吉川弘文館 / 2005年5月10日発売
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大江殿から見た #鎌倉殿の13人 総集編か(^^;
大江広元の生涯を描き、とても面白かった。
頼朝任官以前、京時代に、九条兼実の部下だったとは。頼朝右筆時代、頼朝名代として毎年上洛し、朝幕交渉に当たっているが、その時の兼実の戸惑いは如何ばかりであったか。
「広島」の由来が広元にある、といった小ネタが所々挟まれているのが、またいい。
彼は著作物や詩歌は遺さなかったという。ということは、公文書のみが遺されている訳だ。鎌倉幕府を立ち上げ、支えた、文人政治家・官僚として生涯を貫いた、とも言えようか。
2022年12月30日
- ハムレット (白水Uブックス (23))
- ウィリアム・シェイクスピア
- 白水社 / 1983年10月1日発売
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小田島雄志訳。あまりにも有名な「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」の箇所は、訳者の新しい解釈だそうだ。自分的には、小田島訳の方がしっくりきた。
初見だが物語として面白く読めた。確かに結末は悲劇なんだけど、狂人を装ったハムレットの皮肉たっぷりの台詞などニヤリとする場面も多い。
芝居で見たくなる。
2022年9月23日
- 空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑
- 荒木健太郎
- KADOKAWA / 2021年4月30日発売
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遅ればせながら読んでみた(眺めてみた(^^;)。
説明のわかりやすさはもちろん、写真とイラストがとても楽しい。すぐにでも空を見て確認したくなる。
「天気入門」「気象啓蒙」といったカテゴリ分けがよけいに思えるが、この本を一言で言うならば、
「天気入門」の決定版。
2022年9月19日
- 福島第一原発事故の「真実」
- NHKメルトダウン取材班
- 講談社 / 2021年3月1日発売
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734頁と分厚いが、読み応えあり。
NHK取材班による福島原発事故検証。
第1部の事故当時の現場の格闘の再現は読ませる(見せる?)が、本当に読ませるのは第2部の検証部分。
最も事故が進み、周辺住民に避難を強いたと思われた2号機が、注水に失敗したため、水ージルコニウム反応が起きず、格納容器破壊までは至らなかったとか、1号機の海水注入はほとんど役に立たず、12日間空だきだったとか、改めて知ることが多い。
本当は何が起きていたのか、検証はまだまだ続きそう。
2022年6月19日
- ニールス・ボーア論文集 1 因果性と相補性 (岩波文庫 青 940-1)
- ニールス・ボーア
- 岩波書店 / 1999年4月16日発売
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アインシュタインとの論争を含めた、ニールス・ボーアの量子力学論文集。
20世紀初頭に出た量子力学は、シュレジンガーの猫やら、粒子性と波動性の2面性やら、不確定性原理やらで、それまでの古典物理学や一般常識とかけ離れていて、さぞかし当時は面食らったろう。
アインシュタインが「神はサイコロを振らない」と言うのもうなずける。
が、このボーアの論をじっくり読んでみると、なんとなく分かった気になってくる。
「測定はそれ自体対象に影響を与える」との説明にはうなずかされた。
難しいし、論をきちんと追うのは骨が折れる。けど、面白い。
2022年7月9日
- シミュレート・ジ・アース―未来を予測する地球科学
- 河宮未知生
- ベレ出版 / 2018年10月15日発売
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地球シミュレーション解説。
とても分かりやすいが、自分には分りやす過ぎたかも。第4章、過去の地球シミュレーション辺りから面白くなってくる。温暖化など気象関連だけで無く、地震や火山の話も興味深い。
なお、校正が甘いのか、図の表記漏れが気になる(例えば図1.2で、図のタイトルにある「M」「P」が図中に見当たらないのにはorg)。
2022年4月16日
- 生きのびるための流域思考 (ちくまプリマー新書)
- 岸由二
- 筑摩書房 / 2021年7月8日発売
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流域治水入門。総合治水とも言う。
豪雨災害の発生は、その場の降水量だけで決まるものでは無く、上流の雨量、土地の保水力、遊水池、河川・下水整備など様々な要因で起こることがわかりやすく説明されている。
鶴見川治水探検は面白い。他の河川の取り組みはどうなっているのだろうか。
2022年4月11日
- 人新世の「資本論」 (集英社新書)
- 斎藤幸平
- 集英社 / 2020年9月17日発売
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面白かった。
「気候変動危機の解決策」の帯に惹かれて読んだが、むしろ経済学本かな。
資本主義は結局のところ儲けることが目的だから、地球や人類の危機にはその下では解決できない。成長を目的とせず、社会的共有<コモン>即ち、水、電力、医療、教育を適切に管理する社会を目指そう、と主張する。
一見、そんなの理想郷だ、とも思うが、現にバルセロナが目指していると書かれると、いけるかも、という気になってくる。
SDGsの胡散臭さもスッパリ切っている。
2021年8月22日
- 雲を愛する技術 (光文社新書)
- 荒木健太郎
- 光文社 / 2017年12月14日発売
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雲研究者による雲愛あふれる雲の本。
イラストや綺麗な写真がたっぷりで楽しい。QRコードから動画が見れるのも面白かった。
わりと気象学の深い知識まで書かれているが、そこまでいるかは微妙。自分は参考になったけど。
このような一般書は、読者ターゲットをどの辺りにするかは難しいんだろうなぁ。
2023年2月12日
- 空がおしえてくれること
- 蓬莱大介
- 幻冬舎 / 2019年10月24日発売
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ミヤネ屋気象キャスターのエッセイ。テレビで語りかけるような文体が文字にするとちょっと(^^;キャスターとしての裏話、葛藤は面白い。
2022年9月19日
- 新・いのちを守る気象情報 (NHK出版新書 654)
- 斉田季実治
- NHK出版 / 2021年5月11日発売
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気象を含めた自然災害に対応するための情報取得方法と対策のまとめ。斉田さんが書かれたものだけあり、テレビの解説同様、とてもわかりやすい。
過去の災害事例がそれぞれの現象について上げられており、振り返る事ができる。
2021年10月31日
- 道化の文学: ルネサンスの栄光 (中公新書)
- 高橋康也
- 中央公論新社 / -
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ルネサンス期、15世紀西欧で興隆した道化の文学のレビュー。「ドン・キホーテ」がその掉尾を飾り、その後姿を消していったが、時を同じくして、「狂人」のみならず「貧困者」が収容施設に排除・収容されていったとは・・・
2021年9月23日
- 戦後政治史 第三版 (岩波新書)
- 石川真澄
- 岩波書店 / 2010年11月20日発売
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コンパクトな戦後政治史。ではあるけれど、戦後75年にもなると、大分厚くなった。さすがに初版読んだときのワクワク感はもう無い。
改めて、戦後政治史は自民党史であり、野党敗北史であることが良くわかる。にしても権力の味をしめた自民党はしたたかだ。危機のたびになり振り構わず策を弄して政権にしがみつく。90年代の社会党への抱きつき戦略などお見事。
したたかさを学んだ安倍が最長政権となったのもわからんでも無い。岸田文雄現首相もかなりのしたたかさを持っているので、手強いか。
巻末の選挙データはじっくり分析すると面白いんだろうけど・・・
2022年1月3日
- 福島原発事故10年検証委員会 民間事故調最終報告書
- 一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ
- ディスカヴァー・トゥエンティワン / 2021年2月19日発売
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民間事故調による事故10年後の調査報告。
事故直後に発表された政府事故調などの提言が活かされているかを検証。本来、政府がやるべきことなんだけどな。
検証内容は、技術論ほぼ無く、組織論、規制論、リスコミなどが主。まぁ、事故防止や処理のためにはそれが大切で、しかも他分野の事故防止にも役立つのかもしれない。
各章に付けられたコラムが面白い。
これによると、真のヒーローは、Fukushima50より、女川原発の敷地高を15mに決めた東北電力副社長平井弥之助であり、第一原発同様津波に襲われたが、冷静に所員を指揮し冷温停止させた福島第二原発所長増田尚宏であることがよくわかる。
2021年11月28日
- 福島第一原発事故の「真実」
- NHKメルトダウン取材班
- 講談社 / 2021年3月1日発売
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734頁と分厚いが、読み応えあり。
NHK取材班による福島原発事故検証。
第1部の事故当時の現場の格闘の再現は読ませる(見せる?)が、本当に読ませるのは第2部の検証部分。
最も事故が進み、周辺住民に避難を強いたと思われた2号機が、注水に失敗したため、水ージルコニウム反応が起きず、格納容器破壊までは至らなかったとか、1号機の海水注入はほとんど役に立たず、12日間空だきだったとか、改めて知ることが多い。
本当は何が起きていたのか、検証はまだまだ続きそう。
2022年6月19日
- 孤塁 双葉郡消防士たちの3.11
- 吉田千亜
- 岩波書店 / 2020年1月31日発売
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福島原発事故時の、地元双葉郡消防士たちの記録。
突如、地震、津波に加え原発事故と過酷な複合災害に見舞われた福島県双葉郡。装備・情報・受け入れ病院などが限られた中、刻々と変わる状況で、避難誘導・被害者の搬送などに不眠不休で奮闘する地元消防士たちには本当に頭が下がる。
当時は自衛隊の放水など画が派手な物に注目が集まったのだが(しかも事故収束にはほとんど役に立たなかったのだが)、地元消防士(を含め震災・原発事故対応に当たった人たち)の様な地道な活動にもう少し光が当たっていい。
特に3月16日、4号機火災の出動要請に、決死の覚悟で応じ原発所内に出動した消防士を待っていたのは、鎮火確認依頼と退避要請だったとは。この部分は東電に対し、怒りを覚えた。
暴走する原子炉に手を焼き、混乱していたのはわかる。だが、後にちゃんと双葉消防本部に詫びたのかが気になる。
当初、東電からの原子炉冷却要請には葛藤していたが、火災の通報に際し、「火災、と聞けばスイッチが入る」「消防士の性だ」との言葉には、心が震えた。
事故時にこの人たちの犠牲の上に成り立つような事業はあってはならない。
2022年9月21日
- 植民地から建国へ 19世紀初頭まで (岩波新書 新赤版 1770 シリーズアメリカ合衆国史 1)
- 和田光弘
- 岩波書店 / 2019年4月20日発売
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アメリカ史第1巻。最新の知見と共に、大西洋史や記憶史(当時の史実だけではなくその後の時代での扱いの盛衰)も取り入れて書かれているそうで、面白かった。
特に所々ちりばめているエピソード的な出来事が興味深い。
・ボストン茶会事件は別にパーティがあった訳じゃ無い
・黒人奴隷制度のおぞましさ
・イギリスとは何度も戦って独立を勝ち取り、その後も戦っている
・マラトンの戦いの故事を彷彿とさせる出来事が今のボストンマラソンに繋がっている
・独立後政府の中心人物だったハミルトンが決闘で死んでいる
・今の米大統領が2期までなのは、初代ワシントンが2期で辞めちゃったから
・・・
分かりやすく書かれているので、一気に読めるのが嬉しい。
2021年5月5日
- 白嶺の金剛夜叉 山岳写真家 白籏史朗
- 井ノ部康之
- 山と渓谷社 / 2020年5月14日発売
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山岳写真家白旗史朗の生涯。
山の雄大さ、美しさを世に示した写真家は、強烈な個性の持ち主だった。
富士山写真家・岡田紅陽への弟子入りの時と別れの際のエピソードは、印象的。この一徹さ、頑固さが、最高の一瞬を逃さない粘り強さに繋がるのであろうか。
なお、本書に白旗の写真は載っていない。彼の写真の良さは、単行本の大きさには収まりきらないという事か。
改めてまた、写真集を見たくなってしまう。
2020年11月3日
- われら (光文社古典新訳文庫)
- ザミャーチン
- 光文社 / 2019年9月20日発売
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ディストピアだけどSF色強い小説。独特の文体で、読むのに少々骨が折れる。
「1984年」か「進撃の巨人」か、と思って読み終わったら、解説を読んで(@_@)
何と1921年の作品。
ロシア革命直後に書かれていて、オーウェルの「1984年」より前だったのか(むしろこっちが本家か)。
となると改めて読み直したてみたくもなるが、さて(^^;
2021年1月11日
- 監視大国アメリカ
- アンドリュー・ガスリーファーガソン
- 原書房 / 2018年2月26日発売
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ビッグデータを利用したアメリカ警察捜査の現状報告。
元データあるいは入力データに偏見があれば、予測結果も偏見が含まれる、といった採用活動でもあったAI利用の問題点が指摘されている。予測結果が出たとして、人と場所のどちらを監視するのか、といった運用問題も残されているようだ。
2年前の書ではあるが、最近のBLM運動のきっかけとなった事件にも繋がるか。
現状、ヒトの感と人海戦術捜査を補えるかもしれないが、副作用も大きい、といったところか。
2020年8月16日
- 戦争は女の顔をしていない 1
- 小梅けいと
- KADOKAWA / 2020年1月27日発売
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独ソ戦に従軍したソ連女性兵インタビューの漫画化。
洗濯兵や狙撃兵、衛生兵として前線に行っていたとは。
極限状態から解放された彼女たちの涙が印象的。
2020年5月3日
- 岡田メソッド――自立する選手、自律する組織をつくる16歳までのサッカー指導体系
- 岡田武史
- 英治出版 / 2019年12月18日発売
- Amazon.co.jp / 本
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朝200118
2020年2月16日
- 原子力の人類学 ―フクシマ、ラ・アーグ、セラフィールド―
- 内山田康
- 青土社 / 2019年9月19日発売
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タイトルは大げさ。
人類学者の原子力施設ある記、くらいか。
この手の施設は、政治的にも社会的にも地政学的にも「周縁」であることの問題と悲しさが、静かに語られている。
ラ・アーグ再処理工場がノルマンディーやシェルブールの近くにあることは知らんかった。
2020年7月24日
- 原子力時代における哲学 (犀の教室)
- 國分功一郎
- 晶文社 / 2019年9月25日発売
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原子力に関する哲学講義録。
1950年代に原子力(原爆ではなく)に対する危険性を指摘していた、唯一の哲学者ハイデガー(本書ではハイデッガー)に焦点を当てる。
彼が著した数少ない単行本のなかで、原子力の問題を指摘しているが、その著作の最終的な答えが「考える」。何とまぁシンプルかつ深い。が、本書は哲学講義録だけあって、読み進めていけば、自分も考えさせられる。
「科学は考えない」(ハイデガー)とはまた刺激的(^^;
第四講(終講)では、フクシマ後、明らかに非合理な原発推進が何故行われるかを、哲学の義務として考え、それは太陽の贈与を受けない自立したエネルギーを欲望するナルシズムだ、と説明。
うーん、分からんでもないけれど、現実は、ムラの掟に逆らえないとか、飯のタネとかもっと単純な理由の気がする。まぁ「考えて」いない、ということかな?
2021年8月30日