不思議の扉 時をかける恋 (角川文庫 あ 101-1)
- 角川書店(角川グループパブリッシング) (2010年2月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043943395
感想・レビュー・書評
-
「時間と恋」をテーマにした短編アンソロジー。
「美亜ヘ贈る真珠」/梶尾真治
・航時機に乗った恋人を見る女性の想いがせつない。
「エアハート嬢の到着」/恩田陸
・悲運の恋人との再会が涙を誘う。
「Calling You」/乙一
・架空の携帯電話で繋がる恋。設定が面白い。
「眠り姫」/貴子潤一郎
・同じ時間を生きながら、病が2人の時間を分かつ切ない物語。
「浦島さん」/太宰治
・太宰治さんの独自解釈で綴られた浦島太郎。新鮮で面白かった。
「机の中のラブレター」/ジャック・フィニイ
・古い机に託された手紙が異なる時代の2人を繋ぐ、ちょっとメルヘンチックな物語。雰囲気があって好き。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【梶尾真治】 “航時機”というのが、面白い。
【恩田陸】 二人が幸せなら、いいと思う。
【乙一】 頭の中の携帯で繋がる二人。距離じゃない。
【貴子潤一郎】ピュアな話。思いは届いていると思う。
【太宰治】 こういう話も書くんだな。落語のようだ。
【ジャック・フィニー】時を超えたラブレター。ロマンチックだ。 -
SFというジャンルなんですよね? これらの作品群は。すんなり理解できるものもあれば、ちょっと作品世界に入っていきづらいものもありました。ただ、幸い(?)にして、全く入り込めない作品はなかったです。やはり、ちょっと切ない感じのもの、悲恋ものは人間でなくとも心にしみます。
-
国内外の作品からテーマごとに集められた短編集の第一弾。
古典から現代作品まで幅広く、新しいお気に入りの作家さんを発掘するのにもってこいの作品。 -
時間、タイムトラベル系の恋愛短編集。
既読が多かった。
最後のジャック・フェニィのごく短い小説「机の中のラブレター」に思いがけず涙が出た。
この時間の長さとこもった気持ちの濃密度、ページ数じゃないですね。 -
梶尾真治「美亜へ贈る真珠」
恩田陸「エアハート嬢の到着」
乙一「Calling You」
貴子潤一郎「眠り姫」
太宰治「浦島さん」
ジャック・フィニィ「机の中のラブレター」 -
時をかける話の短編集。
乙一泣ける。白乙一!
太宰の浦島さんが良かった。
純文学たまに読みたくなる。
大学時代に先生が浦島さんを読んでみてと薦められてたことを
今さら思い出した。 -
恋とSFはどうしようもなくせつない
-
大森望:編 SF恋愛集
「美亜へ贈る真珠」梶尾真治
「エアハート嬢の到着」恩田陸(ライオンハート)既読
「Calling You」乙一(失はれる物語)既読
「眠り姫」貴子潤一郎
「浦島さん」太宰治
「机の中のラブレター」ジャック・フィニィ ◎ -
「時間と恋」をテーマにした、こんなアンソロジーが出ていることは全く知らなかった。たまたま図書館の蔵書検索をしていて、気になったタイトルの文庫本だった。その内容紹介を見てびっくり。太宰治が入っているのが妙な気がしたものの、実に豪華な執筆陣。未読の短編ばかりでテーマも好みのものということで手に取った次第。 読書の楽しみが広がるアンソロジーだと思う。梶尾真治の若き日のデビュー作、『美亜へ贈る真珠』は初々しい。恩田陸の『エアハート嬢の到着』を一読して、すぐにこの短編を収録している連作短編集『ライオンハート』を予約したのは言うまでもない。必読の一作と思われるのは『Calling You』で、乙一さんの作品。時間のトリックと計算されたストーリー・テリングが生み出した切ない恋物語だ。意外に面白かったのが、意表をついた『浦島さん』という太宰作品。竜宮城への案内をする亀のキャラクターが、ひょうひょうとした江戸っ子じみていて秀逸。 最後の作品、『机の中のラブレター』(ジャック・フィニイ作)は大森さん自身の翻訳。この手のロマンティック・タイムトラベル物のパイオニアらしく、過去への憧憬と細部にこだわった作品だった。大森さんの解説の中には、たくさんの作家と作品の紹介が、、、これはと思える作品がいっぱいで、これからの読書が楽しみになりました。